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【クローズアップ現代】ネクスト・パンデミック「WHOが警鐘」新たな感染症への備え

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新型コロナから5年、次なる脅威「ネクスト・パンデミック」への警戒が高まっています。WHOはいつ起きてもおかしくない新たな感染症に警鐘を鳴らす一方で、アメリカの脱退により機能低下が深刻化。日本でも感染症への備えが十分でない現状が明らかになっています。この記事では、クローズアップ現代の特集内容をもとに、病原体Xの脅威から日本の課題まで、専門家の尾身茂氏の提言も交えて詳しく解説します。読むことで、来るべきパンデミックに対する正しい知識と備えの重要性を理解できるでしょう。

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ネクスト・パンデミックとは?WHOが警告する新たな感染症の脅威

新型コロナウイルスのパンデミックから5年が経過した今、世界保健機関(WHO)は「ネクスト・パンデミック」と呼ばれる未知のウイルスによる新たな感染爆発がいつ起きてもおかしくないと警鐘を鳴らしています。

2025年5月21日に放送されたNHK「クローズアップ現代」では、この差し迫った脅威について特集が組まれました。WHOのテドロス事務局長も「次のパンデミックはいつどこで起こるか分からない」と明言しており、特に「病原体X」と呼ばれる未知のウイルスによって引き起こされる可能性に言及しています。

WHOは昨年、ネクスト・パンデミックに備えて特に優先的な対策を取る必要のある病原体リストを公表しました。このリストには鳥インフルエンザウイルスやコロナウイルスのほか、「X」と表記される未知の病原体も含まれ、その合計はおよそ30種類に及びます。専門家たちは、グローバル化や森林伐採による生態系の変化が、人と野生動物の接触機会を増加させ、新たな感染症のリスクを高めていると指摘しています。

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ウイルス探索の最前線:研究チームがベトナムで行う未知の病原体調査

未知のウイルスを事前に発見し対策を講じるため、日本の研究チームはベトナム北部の山岳地帯でウイルス探索を行っています。この地域は中国雲南省と隣接しており、近年複数の新たなコロナウイルスが発見されている場所です。

東京大学医科学研究所の佐藤佳教授を中心とする日本とベトナムの合同研究チームは、2025年5月中旬に洞窟を調査し、キクガシラコウモリの捕獲に成功しました。このコウモリは2002年に発生したSARSや2020年の新型コロナウイルスのルーツとなったウイルスを保持していたと考えられています。

(画像はイメージです)

佐藤教授は「次のパンデミックに備えるという意味で、未知の病原体を探しに行き、それを元にしてワクチンや対策を準備することが重要」と述べています。また調査地域では観光化やインフラ整備が進んでおり、人と野生動物の接触機会が増加している現状に警鐘を鳴らしています。「リスクは間違いなく昔に比べて高まっている」と佐藤教授は指摘し、こうした場所が新たなパンデミックの発生源となる可能性を示唆しています。

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WHOの機能低下:アメリカの脱退表明がもたらす世界的影響

WHOは世界の感染症対策の最前線として機能していますが、現在重大な危機に直面しています。2025年1月、これまでWHOの資金の約2割を拠出していたアメリカがトランプ大統領のもとで脱退を表明し、途上国への援助なども凍結しました。

この影響で、アフリカ中部を中心に拡大しているMpox(サル痘)対策など、現在進行中の感染症対応においても資金不足が深刻化しています。2024年8月にはMpoxの緊急事態宣言が出され、2025年だけで1万2000人が感染していますが、現地での活動は縮小せざるを得ない状況に陥っています。

さらに問題なのは、アメリカのCDC(疾病対策センター)など重要な研究機関とWHOとの技術的な情報交換が途絶えていることです。WHO感染症危機管理部のマリア・バンケルコフ部長代行は「私の部署にいたアメリカ当局の2人は1月から出勤せず連絡が取れません」と語り、「コロナ禍でも技術的なやり取りは続いていたので大変驚いています」と述べています。

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パンデミック条約採択の意義と課題:尾身茂氏が語る国際的取り組み

こうした状況の中、番組放送の前日である2025年5月20日、WHOの加盟国はパンデミック条約を採択しました。この条約は世界の感染症対策強化を目指すものです。番組に出演した結核予防会理事長で元新型コロナウイルス感染症対策分科会会長の尾身茂氏は、「条約が採択されたことは非常に評価します」としながらも、いくつかの課題を指摘しています。

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結核予防会理事長の尾身茂氏(引用:「NHK」より)

 

尾身氏は「条約が採択されたからといって様々な問題が自動的に解決されるわけではない」と述べ、各国間の複雑な関係や利害関係の調整が必要であると強調しています。また、アメリカのWHO脱退という大きな障壁も存在します。

さらに尾身氏は、20世紀から繰り返し起きているパンデミックの歴史を振り返り、「パンデミックが起こるかどうかではなく、いつ起こるかという問題意識が重要」だと述べています。森林伐採やグローバル化の加速により、人と動物の接触が増加していることがその背景にあると指摘しています。

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日本の感染症対策の現状:コロナ禍の教訓は生かされているか

コロナ禍で13万人を超える命が失われた日本ですが、その経験や教訓が十分に生かされていない実態が番組の取材で明らかになりました。

感染症対策の中核を担う保健所では、コロナ禍で業務が逼迫した原因の一つであったFAXによる情報伝達の問題が解消されていません。国はシステムを改良し患者情報をオンラインで報告できるようにしたものの、実際には昨年度の新宿区保健所に届いた発生報告の8割以上がいまだにFAXだったのです。

オンラインシステムの利用が進まない理由として、電子カルテとの未接続や、法律上の利用が「努力義務」とされていることが挙げられています。新宿区保健所保健予防課の渡邊愛可課長は「コロナのような危機感を持って全ての届け出対象疾患に対応していただけていない」と懸念を示しています。

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病床ひっ迫と情報共有の課題:行政と医療機関の連携はどうあるべきか

感染症流行時の病床確保も大きな課題です。2025年1月に流行した季節性インフルエンザでは多くの医療機関で病床が逼迫しました。新型コロナ流行時には自治体が病床情報を取りまとめ入院調整を行う仕組みが構築されましたが、コロナ収束後はこうした調整が医療機関側に委ねられています。

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NHKの調査によると、インフルエンザでコロナ禍と同レベルの病床ひっ迫が見られた29の都道府県のうち、入院調整を行ったのはわずか5つにとどまっていました。尾身氏は「インフルエンザは5類感染症で入院調整は都道府県の裁量に任されている」と説明しつつも、「地域の現場状況は地域が一番よく知っているので、必要であれば行政が医療機関と連携して対応する方法を今のうちに検討すべき」と提言しています。

済生会横浜市東部病院の清水正幸センター長は「医療機関同士の対応だけでは難しい。新しく何か考えないと、今後より感染症の患者さんに対応するのが難しくなってくる」と危機感を示しています。

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病原体Xに備える:次のパンデミックを防ぐための具体的対策

次のパンデミックを防ぐ、または被害を最小限に抑えるためには、どのような対策が必要なのでしょうか。

尾身氏は「パンデミック対策は起きた時の対応も大事だが、それ以上に大事なのは平時の準備」と強調しています。日本版CDCの設立や新型インフルエンザ行動計画の策定は評価すべき点ですが、「これらは必要条件であって十分条件ではない」と指摘し、感染症や災害対応に強い人材育成、適切な医療制度の構築、感染症対策と社会経済活動のバランスの取り方などの課題が残されていると述べています。

また、3年前に政府の有識者会議がまとめた報告書に記された提言の実行も急務です。この報告書では、行政の権限強化や迅速な情報共有の必要性などが指摘されていましたが、尾身氏は「報告書自体はよいが不十分」と評価し、「世界でも一流だと言われる日本の医療でなぜ医療逼迫が起きたのかなど、過去を振り返ることが重要」と述べています。

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まとめ:新たな感染症への備えと私たちにできること

ネクスト・パンデミックの脅威は、「いつ起きてもおかしくない」現実として私たちの前に立ちはだかっています。WHOの機能低下、日本国内の感染症対策の課題、そして国際協力の重要性など、さまざまな問題が山積しています。

尾身氏が指摘するように、日本は「喉元過ぎれば熱さ忘れる」にならないよう、コロナ禍の経験を風化させることなく、次の感染症に備える必要があります。特に超高齢社会である日本では、5類感染症であっても高齢者を中心に重症化のリスクが高く、適切な対応が求められています。

私たち一人ひとりも、感染症への備えを怠らず、正確な情報を得ることの重要性を認識し、社会全体で取り組む姿勢が求められています。次のパンデミックを防ぐため、または最小限に抑えるためには、国際的な協力体制の構築とともに、国内での迅速な情報共有システムの整備や医療体制の強化が不可欠です。

ネクスト・パンデミックという見えない脅威に立ち向かうために、過去の教訓を生かした実効性のある対策を今こそ進めていくべき時なのです。

※ 本記事は、2025年5月21日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。

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