2025年12月7日放送の「がっちりマンデー！！」で紹介された、引き算ビジネスの革命児・マーナの「ベルトなし傘」をご存知ですか？傘を閉じる時の「あの面倒」を解消しただけで、累計15万本・年商3.6億円を達成した驚きのビジネスモデル。この記事では、なぜベルトを無くすだけで大ヒットしたのか、その開発秘話と仕組みを徹底解説します。読めば、引き算の発想がビジネスに革命を起こす理由が分かります。
マーナのベルトなし傘「シュパットアンブレラ」が大ヒット
東京墨田区に本社を構える株式会社マーナが開発した「シュパットアンブレラ」は、2023年5月の発売から約2年半で、傘業界に衝撃を与える大ヒット商品となりました。
(株)マーナの「シュパットアンブレラ」 （引用：「がっちりマンデー」より）
その実績は驚異的です。累計販売本数は15万本、年間売上は3億6000万円に到達。価格帯は6,380円からと、一般的な傘と比べて決して安くはありません。それでもこれだけ売れているのには、明確な理由があります。
最大の特徴は、傘に必ずあるはずの「ベルト」が無いこと。雨に濡れた傘を閉じる時、ベルトでぐるっと巻いて留める作業は誰もが経験する面倒な動作です。その際、濡れた布地に触れて手がびちゃびちゃになるのは、長年の「傘あるある」でした。
シュパットアンブレラは、このベルトを完全に無くしても傘が自然と閉じたままになる画期的な構造を実現。番組内でゲストのとにかく明るい安村さんも「これはいいですね」と絶賛し、司会の加藤浩次さんも「これ傘がこれになる可能性ありますよ、もう」と将来のスタンダードになる可能性を指摘しました。
実際に使ってみると、傘を閉じるだけで生地がピチッと収まり、手が濡れることがありません。この「当たり前の不便」を解消しただけで、ここまでの支持を得られたことは、引き算ビジネスの威力を物語っています。
引き算ビジネスの発想:傘からベルトを無くした理由
「引き算ビジネス」とは、従来あって当然と思われていた要素をあえて削ぎ落とすことで、新たな価値を生み出すビジネスモデルです。番組でも紹介されたように、ダイソンの扇風機が「羽」を無くして革命を起こしたのと同じ発想です。
マーナがベルトに着目したのは、雨の日の「小さなストレス」を徹底的に観察したからでしょう。傘を使う人なら誰もが、濡れた傘を閉じる際に感じる不快感を知っています。ベルトを巻く時に手が濡れる、ベルトがうまく留まらない、急いでいる時にイライラする──これらは些細な不満かもしれませんが、積み重なると大きなストレスになります。
開発担当の谷口諒太さんは番組で「この傘は傘からベルトを引き算した傘になります」とシンプルに説明しましたが、その裏には「本当にベルトは必要なのか？」という根本的な問いがあったはずです。
「シュパットアンブレラ」の開発者 谷口諒太さん （引用：「がっちりマンデー」より）
経済アナリストの森永康平さんが番組内で指摘したように、引き算ビジネスで重要なのは「何を引いたらいいのかという見極める力」と「決断力」、そして「綺麗に抜きたいところだけ引ける技術力」です。マーナはまさにこの3つを兼ね備えていたと言えるでしょう。
ベルトを無くすという発想自体は誰でも思いつくかもしれません。しかし、実際にそれを実現し、商品として成立させるには、確固たる技術力と開発への情熱が必要です。マーナはその挑戦を5年間かけて成し遂げました。
革命的な仕組み!布をたたむ骨の秘密とは
ベルトを無くしても傘が閉じたままになる──この一見矛盾した要求を実現したのが、「布をたたむための骨」という独自の機構です。
通常の傘は、閉じる時に生地が外側に広がってしまうため、ベルトで押さえる必要があります。しかしシュパットアンブレラは、傘の骨と骨の間に、もう一本の特殊な骨を追加することで、この問題を解決しました。
谷口さんの説明によれば、「普通の骨」と「骨をたたむための骨」の2種類があり、後者が布を内側に引っ張って折りたたむ役割を果たします。さらに、この「布をたたむ骨」が回転することで、布をくるくると巻き込んでいく仕組みになっています。
シュパットアンブレラは布を巻き込む仕組みになっている （引用：「がっちりマンデー」より）
番組内で実演された様子を見ると、傘を閉じると自動的に布が内側に畳まれ、ベルトなしでもピチッと収まっています。安村さんが「勝手にぐーっと巻いちゃう」と驚いたように、まるで傘が自ら閉じるかのような滑らかな動きです。
この仕組みは地味に見えますが、実は高度な設計と精密な加工技術の結晶です。骨の角度、回転のタイミング、布地の張力──すべてが絶妙なバランスで成り立っています。だからこそ開発に5年もの歳月を要したのでしょう。
加藤さんが「これはやったな」「これは発明だよ」と評価したように、シンプルな発想を確実な技術で形にしたマーナの開発力には脱帽です。引き算ビジネスは、引くだけでなく「補う技術」も同時に必要であることを、この傘は教えてくれます。
開発に5年!谷口諒太さんと名児耶剛社長の挑戦
シュパットアンブレラの誕生までには、約5年という長い開発期間がありました。谷口諒太さん（開発部）は番組で「約5年かかって、ようやく生まれました」と振り返っています。
5年間──この数字の重みを考えてみてください。商品開発の世界では、半年や1年で形にできないプロジェクトは中止されることも少なくありません。それでもマーナが開発を続けられたのは、名児耶剛社長をはじめとする経営陣の理解と、社内の風土があったからでしょう。
(株)マーナの名児耶剛社長 （引用：「がっちりマンデー」より）
実際、名児耶社長は番組で「うちヒット商品表彰みたいな、表彰制度がある」と語っており、開発者を正当に評価する仕組みが整っていることが分かります。谷口さんはこのヒット商品表彰で得た賞金を、2週間のヨーロッパ新婚旅行に使ったそうです。「本当に、感謝しかないです」という谷口さんの言葉からは、努力が報われた喜びが伝わってきます。
5年間の開発期間中には、おそらく何度も壁にぶつかったはずです。骨の設計、布地の選定、耐久性の確保──試行錯誤の連続だったでしょう。しかし、諦めずに「ベルトなしで閉じる傘」という目標を追い続けた結果、年商3.6億円という成果に結実しました。
この事例は、引き算ビジネスが決して「簡単に何かを省くだけ」ではないことを示しています。むしろ、引くことで生まれる課題を技術で解決し、新たな価値を創造する──そのプロセスには、時間も情熱も必要なのです。
累計15万本・年商3億6000万円達成の秘訣
シュパットアンブレラが2年半で累計15万本、年間売上3億6000万円を達成した背景には、いくつかの成功要因があります。
第一に、明確な課題解決です。「雨の日に傘を閉じると手が濡れる」という、誰もが経験する小さな不満に真正面から向き合いました。この課題は大きな社会問題ではないかもしれませんが、日常生活の中で繰り返し発生するストレスです。そこにソリューションを提供したことが、多くの支持を集めた理由でしょう。
第二に、価格設定の妥当性です。6,380円からという価格は、100円ショップやコンビニの傘と比べれば高額です。しかし、毎日使う道具として、そして長年の不満を解消してくれる商品として考えれば、十分に価値に見合った価格と言えます。実際、これだけ売れているということは、消費者が「払う価値がある」と判断した証拠です。
第三に、話題性とメディア露出です。「がっちりマンデー」のような人気番組で取り上げられることで、認知度が一気に高まります。「ベルトのない傘」というインパクトのある特徴は、口コミやSNSでも拡散しやすく、自然と話題になりやすい要素を持っています。
第四に、確かな技術力です。単なるアイデア商品ではなく、実用性と耐久性を兼ね備えた製品として仕上げたことが、リピート購入や口コミでの推奨につながっています。
引き算ビジネスの本質は、「何を残し、何を捨てるか」の判断にあります。マーナはベルトという「あって当然」の要素を捨て、代わりに「手が濡れない快適さ」という新しい価値を提供しました。その結果、傘という成熟市場で、年商3億円超のヒット商品を生み出したのです。
まとめ
2025年12月7日の「がっちりマンデー！！」で紹介された、マーナの引き算ビジネスは、イノベーションの本質を教えてくれます。
ベルトなし傘「シュパットアンブレラ」は、傘からベルトを引き算するというシンプルな発想から生まれました。しかしその実現には、布をたたむ骨という独自機構の開発、5年間の試行錯誤、そして開発者の情熱が不可欠でした。
累計15万本、年商3億6000万円という実績は、小さな日常の不便に真摯に向き合うことが、大きなビジネスチャンスになることを証明しています。
引き算ビジネスの成功は、単に「何かを削る」ことではなく、「何を残すべきか」を見極め、「削ったことで生まれる課題を技術で解決する」ことにあります。マーナはそれを体現し、傘業界に新風を吹き込みました。
雨の日の小さなストレスを解消してくれるこの傘は、これからの傘のスタンダードになる可能性を秘めています。引き算の力で、暮らしはもっと快適になる──そう確信させてくれる商品です。
※ 本記事は、2025年12月7日放送（TBS系）の人気番組「がっちりマンデー！！」を参照しています。
※ 株式会社マーナの公式サイトはこちら
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