ミラノ・コルティナオリンピックで54年ぶりの表彰台独占を狙う男子ハーフパイプ日本代表。前回金メダリストの平野歩夢をはじめ、戸塚優斗、平野流佳、山田琉聖という最強の4人がそろいました。クローズアップ現代では、なぜ日本がここまで強いのか、その理由と各選手の実績を徹底解説。本記事では番組内容をもとに、金メダル争いの行方を展望します。
男子ハーフパイプ日本代表4選手の実績一覧
2026年ミラノ・コルティナオリンピックに出場する男子ハーフパイプ日本代表は、平野歩夢(27歳)、戸塚優斗(24歳)、平野流佳(23歳)、山田琉聖(19歳)の4選手です。全員が金メダルを狙える実力を持ち、まさに史上最強の布陣といえます。

ハーフパイプ男子日本代表 (引用:「olympics.com」より)
平野歩夢は前回北京オリンピックの金メダリストで、ソチ・平昌では銀メダルを獲得しており、オリンピック3大会連続でメダルを手にしています。戸塚優斗は今シーズンのワールドカップ4戦目で優勝し、2位も2回と絶好調。平野流佳は昨シーズンまでワールドカップ種目別で3シーズン連続年間王者に輝いています。そして19歳の山田琉聖は今シーズン初めてワールドカップで優勝を果たし、急成長を遂げている超新星です。
日本選手による冬季オリンピックの表彰台独占は、1972年の札幌大会スキージャンプ70m級以来、実に54年ぶりとなります。この快挙に向けて、4人全員が万全の準備を整えています。
平野歩夢|連覇を狙う王者の強さと新技への挑戦
平野歩夢の強さの秘密は、世界一の高さとも言われる約6メートルのエアにあります。番組では、平野が派手な技を出さず、単純なエアを何度も繰り返す練習風景が紹介されました。踏み切りのタイミングや着地の感覚を徹底的に研ぎ澄ますことで、長い滞空時間を生み出し、空中で難度の高い技を繰り出せるようになるのです。
平野本人も「基本的なことをこだわってやってきた時間は、技よりもそこを優先して突き詰めてきた。他の選手よりも自信がある」と語っています。この基礎へのこだわりこそが、トリプルコーク1440という人類史上最高難度の技を生み出した原動力でした。
今大会に向けて平野は、ダブルコーク1620という新技の開発に取り組んでいます。縦に2回回りながら横に4回転半する技で、前回大会より半回転増やした超高難度の大技です。「スピンが速すぎて周りが見えない。高さがなかったら大事故になる」と本人が語るように、まさに命がけの挑戦です。
ただし、オリンピック前最後の試合で平野は壁に激しく叩きつけられ、複数箇所の骨折や打撲が判明しました。本番への影響が懸念されますが、スノーボード専門誌編集長の野上大介さんは「ソチの時も大会直前に足首を痛めていたが銀メダルを取った。歩夢だからこそ、やってくれると思う」と期待を寄せています。
戸塚優斗|北京10位から復活した世界初の大技
戸塚優斗は小学3年で競技を始め、周囲から天才と呼ばれてきました。しかし北京オリンピックでは着地のズレが続き、まさかの10位に終わりました。本人も「めちゃくちゃ悔しいというよりは、だろうなという感じだった」と振り返っています。
転機となったのは、日本代表スタッフの白川尊則さんとの基礎からの作り直しでした。飛び出す際の体の使い方や滑る時の姿勢を一から見直し、技を繰り出す前の動きを徹底的に磨いたのです。「本当に辛い時期で、やっててよかったと思う瞬間がない1年が続いた」と戸塚は明かしましたが、正しい体の使い方を身につけたことで、踏み切りや着地に安定感が生まれました。
その成果として、戸塚はスイッチバックサイド1440という世界初の大技を成功させました。通常と反対の右足を前にして後ろ向きに4回転する、難度が最も高いエアの種類です。番組では、この技を決めた直後に「いやー、いいね。これだ。命知らずだな」と興奮する戸塚の姿が映し出されました。
本番では4回転半の1620にも挑戦する構えで、「今更言わなかったってこれ誰も真似できないですからね」と自信をのぞかせています。基礎を鍛え直したからこそ、高回転の技も進化させられたという戸塚の復活劇は、見事という他ありません。
平野流佳|W杯3年連続年間王者の実力
平野流佳は昨シーズンまでワールドカップの種目別で3シーズン連続年間王者に輝いた実力者です。同級生の戸塚優斗とは小さい頃からずっと競い合ってきた仲で、お互いを高め合う良きライバル関係を築いています。
野上大介編集長によると、流佳の魅力は技術だけでなく、その人間性にもあるといいます。「仮に優斗に逆転されても、優斗がいい滑りをやったら自分のことのように称える。ガッツポーズしてるぐらい」とのこと。スノーボードには「セッション」という文化があり、みんなで競い合って高め合い、いい滑りをした者がその日一番かっこいい、という精神が根付いています。流佳はまさにスノーボーダーらしいスノーボーダーなのです。
技術面では、平野歩夢の代名詞だったトリプルコーク1440を習得し、世界の上位を争うために必須と言われるこの技を武器にしています。安定感のある滑りと勝負強さで、表彰台の一角を狙います。
山田琉聖|19歳の超新星が魅せる独創的なスタイル
19歳の山田琉聖は今シーズン初めてワールドカップで優勝を果たした成長著しい選手です。他の選手とは一線を画す独創的なスタイルが最大の特徴で、野上編集長は「みんなが高難度な技、トリプルコークをやっているのを見て、俺は違う道を歩むと決めた選手」と紹介しています。
山田が得意とするのはダブルマックという技。回転数でいえば540と決して多くはありませんが、そのスタイルの美しさと独創性は唯一無二です。「スノーボードってかっこつけてなんぼでしょ」という哲学のもと、自分だけの道を追求しています。
野上編集長は「スノーボードに精通していない方がオリンピックを見ても、山田琉聖の滑りは『こいつ全然違う、めちゃくちゃかっこいい』って思ってもらえる」と太鼓判を押しています。回転数だけでは測れない、スノーボード本来の魅力を体現する選手として、今大会で大きな注目を集めることでしょう。
日本が強い理由とは?野上大介編集長が語る練習量
なぜ日本のハーフパイプはこれほど強いのでしょうか。スノーボード専門誌編集長の野上大介さんは、その理由を明快に語っています。
まず挙げられるのは、平野歩夢という王者の存在です。銀、銀、金とオリンピックでメダルを重ねた平野の姿を見て、戸塚優斗や平野流佳ら若手選手たちは「絶対歩夢くんに負けたくない」という強い気持ちを抱くようになりました。
そして最大の理由は圧倒的な練習量です。平野歩夢は小さい頃から「練習の虫」と呼ばれ、日が暮れてみんなが帰っても、ひたすらハーフパイプを滑り続けていたといいます。それは金メダリストになった今も変わらず、誰よりも練習する姿勢を貫いています。
野上編集長は「歩夢くんがやっているんだからやらなきゃいけない、という意識が日本人ハーフパイプライダー全体に広がっている」と指摘。SAJの村上大輔コーチも「日本人が一番練習している」と断言しているそうです。王者が示す背中と、それを追いかける若手たちの切磋琢磨が、日本の強さを支えているのです。
海外ライバルと表彰台独占への展望
日本勢の前に立ちはだかる海外のライバルとして、野上編集長が注目するのがオーストラリアのスコッティ・ジェームズ(31歳)です。180センチ以上の大柄な体格から繰り出すダイナミックな滑りに加え、技数が多く非常に器用な選手です。

オーストラリアのスコッティ・ジェームズ選手(引用:「olympics.com」より)
不気味なのは、大会にあまり出てこないこと。野上編集長によると「噂では3つぐらい誰もできない技を隠し持っていて、最近2個出してきた。もう1個が本当にできるのか分からないぐらいの大技」とのこと。その隠し技がミラノで披露される可能性もあります。
ただし、日本勢もまだまだ技を出し切っていません。野上編集長は「ミラノ・コルティナで、世界初の大技が複数出る戦いになる」と予想しています。平野歩夢のダブルコーク1620、戸塚優斗のスイッチバックサイド1620など、金メダルをかけた史上最高レベルの戦いが繰り広げられることは間違いありません。
女子代表4選手も紹介|注目の16歳コンビ
男子だけでなく、女子もメダルが期待されています。今回の女子代表は小野光希(21歳)、清水さら(16歳)、工藤瑠星(16歳)、冨田せな(26歳)の4選手です。
特に注目なのが16歳の女子高生コンビ、清水さらと工藤瑠星です。野上編集長は「さら・りせが今、めちゃくちゃ勢いがある。やってくれると思う」と期待を込めています。
冨田せなは前回北京オリンピックで銅メダルを獲得した実力者。2大会連続のメダル獲得に向けて、万全の準備を整えています。若い力とベテランの経験が融合した女子チームも、表彰台を狙える戦力が整っています。
ハーフパイプ決勝の日程と放送予定
ミラノ・コルティナオリンピックのスノーボード・ハーフパイプの決勝日程は以下の通りです。
- 女子ハーフパイプ決勝:2月13日(木)
- 男子ハーフパイプ決勝:2月14日(金)
NHKでも中継が予定されており、54年ぶりの表彰台独占という歴史的瞬間をぜひリアルタイムで見届けてください。選手たちの命を張った滑りと、その先にある栄光の瞬間を、日本中で応援しましょう。
まとめ
クローズアップ現代で特集された男子ハーフパイプ日本代表は、平野歩夢、戸塚優斗、平野流佳、山田琉聖という最強の4人。それぞれが世界トップクラスの実績を持ち、全員が金メダルを狙える布陣です。
日本の強さの秘密は、王者・平野歩夢の存在と、それに刺激を受けた若手選手たちの圧倒的な練習量にあります。基礎を徹底的に磨き上げ、そこから新たな大技を生み出していく姿勢は、まさに世界の模範といえるでしょう。
ミラノ・コルティナオリンピックでは、54年ぶりの表彰台独占という歴史的快挙に期待がかかります。世界初の大技が複数披露される史上最高レベルの戦いを、ぜひお見逃しなく。
※ 本記事は、2026年2月4日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。






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