カンブリア宮殿に登場した三越伊勢丹の細谷敏幸社長が、百貨店業界で直面する課題と未来の展望を語りました。本記事では、細谷社長の考えに基づき、三越伊勢丹がどのように業界をリードしているのかを詳しく解説します。業界の未来を知ることで、今後のビジネスや消費行動にどう影響を与えるのかを理解できるでしょう。
三越伊勢丹ホールディングス 細谷敏幸社長の革新的戦略
三越伊勢丹ホールディングスの細谷敏幸社長が、2024年9月5日放送のテレビ東京系「カンブリア宮殿」に登場し、百貨店業界に新風を吹き込む革新的な戦略を語りました。
細谷社長は、1987年に伊勢丹に入社して以来、百貨店業界の厳しい時代を乗り越えてきました。マレーシアでの勤務経験や、福岡の岩田屋三越の再生など、豊富な経験を持つ細谷社長の戦略は、三越伊勢丹を過去最高益へと導きました。
「マスから個へ」百貨店ビジネスの新たな挑戦
細谷社長が掲げる「マスから個へ」という考え方は、百貨店ビジネスの新たな挑戦を象徴しています。これは、大勢の来店客を「マス」として捉えるのではなく、一人ひとりの顧客を「個」として認識し、それぞれのニーズに合わせたサービスを提供するという戦略です。
細谷社長は「スタートは「マス」ですが、一度でも館内に入っていただいたら、「個」にするんです」と語っています。この方針により、新宿や日本橋の店舗では、来店客の70%が識別可能になったといいます。
高感度上質戦略:三越伊勢丹の顧客識別システム
三越伊勢丹が実践する「高感度上質戦略」は、顧客の「高感度で上質でありたい」という思いを捉え、それに応えるというものです。この戦略の核心は、精緻な顧客識別システムにあります。
MIカードやアプリを通じて得られる顧客データを分析し、年齢、購入金額、趣味嗜好などを把握。これにより、より精度の高いサービスを提供しています。
MIカードとザ・ラウンジ:顧客体験を変える仕掛け
MIカードは単なるポイントカードではありません。会員限定のイベントや、購入額に応じた特別なサービスを提供しています。
その一例が「ザ・ラウンジ」です。年間購入額が300万円以上の顧客が利用できるこの空間は、飲み物やお菓子が無料で、平日で500〜600名、土日で700〜800名が利用する人気スポットとなっています。
バイヤーの役割進化:三位一体の人材育成
細谷社長は、バイヤーの役割を進化させる必要性を強調しています。将来的には、バイヤー、販売員、外商部員の三位一体となった人材を育成したいと語っています。
これにより、個々の顧客のニーズにより細やかに対応できる体制を整えようとしています。感性と科学の両方を身につけた人材の育成が、今後の百貨店の鍵となりそうです。
デジタル活用と対面販売の融合:百貨店の未来像
ネット通販全盛の時代にあっても、細谷社長は対面販売の重要性を強調しています。特に、デパ地下、化粧品、宝飾時計、ラグジュアリーブランド、日本のデザイナーズブランドなど、ストーリーを語ることで顧客の納得を得やすい商品群には、ハイタッチなサービスが必要だと考えています。
一方で、独自性のある商品群の開発にも注力。デジタル技術を活用しつつ、対面販売の良さを融合させた新しい百貨店の形を模索しています。
細谷改革の真髄:3000人の社員との対話
細谷社長の改革手法の特徴は、現場社員との対話を重視している点です。既に3000人以上の社員と対話を重ねてきたといいます。
この対話を通じて、社員の意識改革や、現場の声を経営に反映させることを目指しています。トップダウンではなく、社員との対話を通じて会社全体を変革していく姿勢が、細谷改革の真髄といえるでしょう。
独自性ある商品群とハイタッチサービスの重要性
細谷社長は、百貨店の未来について「ハイタッチなサービスが必要な商品群と、独自性のある商品群に行くべき」と語っています。
例えば、三越日本橋本店では、ヒューモルガンやティールなど、他では手に入らない独自の商品を揃えています。また、150万通りの組み合わせが可能な弁当企画など、百貨店ならではの楽しさを提供しています。
まとめ:三越伊勢丹が描く百貨店の新時代
細谷社長の革新的な戦略により、三越伊勢丹は困難な時代を乗り越え、新たな百貨店の姿を模索しています。「マスから個へ」の転換、高感度上質戦略、デジタル技術の活用、そして何より顧客一人ひとりを大切にするという姿勢が、三越伊勢丹の強みとなっています。
今後は、世界に向けたアプリの展開など、さらなる挑戦も予定されているようです。細谷社長が描く百貨店の新時代は、まさに始まったばかりといえるでしょう。
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