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社会・暮らしの問題

【クローズアップ現代】後払い決済サービス「トラブル4万件」の実態

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2026年4月13日放送のNHK「クローズアップ現代」では、急拡大する後払い決済サービス(BNPL)の深刻なトラブルが特集されました。手軽さの裏で国民生活センターへの相談は年間4万件を突破し、10代から高齢者まで被害が広がっています。この記事では、番組で語られたクレジットカードとの違いや法規制の抜け穴、イギリスの先行事例まで、後払いの現状と課題をわかりやすく整理します。「自分は大丈夫」と思っている方にこそ、ぜひ読んでいただきたい内容です。


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後払い決済サービス(BNPL)とは?クレジットカードとの決定的な違い

番組冒頭で桑子真帆キャスターが紹介したのが、「後払いサービス」という新しい決済の仕組みです。メールアドレスや携帯電話番号を入力するだけで商品を購入でき、代金は後日コンビニなどで支払うというものです。海外では「Buy Now, Pay Later」の頭文字を取って「BNPL」と呼ばれています。

では、従来のクレジットカードと何が違うのでしょうか。番組で弁護士の池本誠司さんが解説していた最大のポイントは、審査義務の有無です。

クレジットカードの場合、原則18歳以上であることに加え、法律(割賦販売法)によって利用者の収入や信用情報を事前に調べる「審査」が義務付けられています。利用者が総額いくら借りているかを、国が定める信用情報機関が一元的に管理し、貸す側にはそれを調べる義務が課されています。支払い能力を超えた時点で、すべての利用が止まる仕組みになっているわけです。

一方、後払いサービスは「代金の立て替え」という形を取っているため、この割賦販売法の規制対象になっていません。つまり、年齢や年収の審査義務がなく、18歳以下でも利用でき、信用情報機関への照会もありません。

正直なところ、この仕組みの説明を聞いた時点で、筆者は背筋が寒くなりました。クレジットカードが何十年もかけて整備してきた消費者保護の仕組みが、たった「立て替え」という名目の違いだけで丸ごとすり抜けてしまっているのです。便利さの裏にある構造的なリスクを、まず理解しておく必要があります。


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後払いトラブル急増──10代の督促状から多重債務者の抜け道まで

番組では、後払いサービスが引き起こす深刻なトラブルが、具体的な当事者の声とともに紹介されました。

まず登場したのは、10代の女性です。未成年でクレジットカードを一人で作れなかったため、後払いサービスを利用し始めました。1,000円程度の服やアクセサリーを次々と購入するうち、支払額は万単位に膨らみ、自宅に督促状が届く事態に。親の同意も「チェックボタンを押すだけ」で済んでしまったといいます。彼女は「周りの友人にも後払いを使っている子が結構いて、結構な子に督促状が届いている」と語っていました。

さらに衝撃的だったのは、40代男性のケースです。この男性は競馬や競艇で約600万円の借金を重ねて自己破産。消費者金融からも借り入れを断られ、クレジットカードも利用停止になっていました。しかし、後払いサービスだけは使えたのです。なぜなら、後払いサービスは信用情報機関をチェックする義務がないため、他の借金の状況が把握されないからです。男性はギフトカードを後払いで購入して転売し、現金化するという方法で利息や生活費に充てていました。

番組終盤では、コロナ禍で仕事を失い、金融機関から借金もできなくなった20代男性も登場しました。「食べていくために後払いを利用した」という切実な声の裏で、借金は600万円にまで膨らんでいました。

ここに共通しているのは、後払いが「最後の砦」として機能してしまっているということです。本来なら止まるべきところで止まらない。これは個人の責任だけで片付けられる問題ではなく、制度の構造的な欠陥だと感じます。


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国民生活センターに相談4万件超!悪質加盟店と遅延損害金の問題

後払いサービスをめぐるトラブルは、利用者の使いすぎだけではありません。国民生活センターに寄せられる後払い関連の相談は年間4万件を超えており、その多くは利用者と販売店との間で起きるトラブルです。

番組に出演した国民生活センター相談第2課の内藤奈津樹さんは、「美容液を買ったところ、いつでも解約できると広告に書いてあったのに解約金を求められた」といった事例を紹介。最近では膝の痛みが取れるとうたう商品やシワ取りクリームなど、高齢者が興味を持ちやすい商品が増えているとも指摘していました。さらに、トイレの修理や害虫駆除といったサービス分野にまで後払いが広がっているそうです。

クレジットカードであれば、法律によってカード会社が加盟店の調査・管理や苦情処理を行う義務があります。しかし後払いサービスは法規制の対象外であるため、こうした義務が課されていません。対応は業界の自主ルールに任されているのが現状です。

池本誠司弁護士が番組内で指摘していたもう一つの問題が、遅延損害金と延滞手数料の二重請求です。後払いの支払いが遅れた場合、遅延損害金を上限いっぱい請求されたうえに、さらに「延滞手数料」を加算されるケースが実際に起きているとのこと。これは実質的に法の上限を超えているのではないかと裁判で争われるケースも出てきています。

さらに見逃せないのが、キャリア決済との合算リスクです。後払いの代金を携帯電話料金と一緒に支払う仕組みを利用した場合、トラブルがあっても苦情を言えば「携帯電話を止めますよ」と言われかねないのです。日常生活に不可欠な携帯を人質に取られるような状況で、泣き寝入りせざるを得ない消費者が現実にいるという話は、かなり深刻です。


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なぜ法規制がない?後払い決済サービスと割賦販売法の「抜け穴」を池本誠司弁護士が解説

番組で消費者法に詳しい弁護士・池本誠司さんが詳しく解説したのが、法規制の「抜け穴」の構造です。池本弁護士は国の決済手段に関する専門調査会の委員も務めています。

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弁護士の池本誠司氏                          (引用:「内閣府」HPより)

日本の割賦販売法は、クレジットカードのような信用取引を規制するために整備されてきました。しかし、この法律が適用されるのは「2か月を超える」分割払いやリボ払いに限定されています。翌月に一括で支払う形式の後払いサービスは、この「2か月以内」の枠に収まるため、規制の対象外となっているのです。

その結果として生じる問題を、池本弁護士は3つに整理していました。

まず、利用時に信用情報機関のチェックがないため、支払い能力に関わらず誰でも利用できてしまうこと。次に、加盟店を審査する義務がないため、悪質な業者も入り込めること。そして、トラブルが起きても苦情対応の義務がないため、消費者が救済されにくいこと。

実は2026年4月現在、日本にはBNPLだけを対象とした独立した法律は存在していません。金融庁は2024年秋の金融審議会の作業部会で規制の必要性について議論を始めており、経済産業省もオブザーバーとして参加していますが、池本弁護士によれば、まだ「どういう決済手段が広がっているのか」という実態調査の段階から始めたのが実情だそうです。

「どの省庁の法律で規制するか」という縦割りの議論に入ると錯綜してしまうため、まずは決済手段を問わず「消費者保護に必要な共通ルール」を検討しようという方向で進んでいるとのことです。池本弁護士は「政府はキャッシュレス比率80%を目指すと言っているのだから、本当に急いで制度を整備する必要がある」と訴えていました。

個人的には、「便利さを推進する旗は振るのに、安全網の整備は後回し」という構図は、日本の消費者行政にありがちなパターンだと感じます。被害が拡大してから慌てて規制する「後追い行政」から脱却できるかどうかが問われています。


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イギリスの後払い規制から学ぶ日本の課題と業界の自主ルール

番組では、日本に先行して後払いが普及したイギリスの事例が紹介されました。イギリスでは後払いサービスの国内利用額が年間2兆7,000億円に上り、約3,000万人が利用したことがあるとされています。しかし、4人に1人が支払いを延滞した経験があり、深刻な社会問題になりました。

イギリスの消費者保護団体のサム・リチャードソンさんは「後払いサービスは借金だという認識を持つべき」と主張。この声の高まりが国を動かし、イギリスは法律で後払いサービスをクレジットカードと同等に位置づけ、規制することを決定しました。具体的には、金融行為規制機構(FCA)の認可取得の義務化、返済能力チェックの義務化、利用者が経済的に困った時の支援提供の義務化などが盛り込まれています。この規制は2026年7月15日から施行される予定です。

ただし、イギリスの規制にも課題はあります。番組に登場した金融政策コンサルタントのミック・マカティアさんは、「大手小売店が自ら提供する後払いサービスは規制の対象外になっている」と指摘。これは経済活動との両立を図った結果ですが、大きな抜け穴になり得ます。マカティアさんは日本に対して「問題が大きくなってから後追いで規制するのではなく、早い段階で介入すべきだ」と助言していました。

一方、日本の業界はどう対応しているのでしょうか。事業者で構成する「日本後払い決済サービス協会」では、加盟店の審査に関する自主ルールの策定、悪質な店の情報交換制度、消費者への啓発活動を進めています。番組に対する協会の回答では、「デジタル社会における不可欠なインフラとしての役割を担っている」との認識が示されていました。

池本弁護士はこの自主ルールについて「クレジット業界のものを参考にして、かなり踏み込んだものを作っている」と一定の評価をしていました。しかし同時に、協会に加盟しているのは10社足らずの大手に限られるという問題も指摘。しっかりした審査を行う事業者から加盟を拒否された悪質業者は、審査の甘いアウトサイダーの決済業者と結びつく可能性があり、結果として消費者は守られないままになる──これが池本弁護士の最大の懸念です。

つまり、「自主ルール」だけでは限界があり、業界全体に適用される共通の法的ルールが不可欠だということです。


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まとめ

2026年4月13日放送のNHKクローズアップ現代は、急拡大する後払い決済サービスの「便利さ」と「危うさ」の両面を、具体的な事例と専門家の解説で浮き彫りにしました。

番組を通じて見えてきたポイントは、後払いは法律上クレジットカードと同等の規制を受けていないため、審査なしで誰でも利用でき、トラブルが起きても法的な救済が十分でないということです。国民生活センターへの相談は年間4万件を超え、10代の若者から多重債務者、高齢者まで幅広い層が影響を受けています。

イギリスでは2026年7月から後払いをクレジットカードと同等に規制する法律が施行されますが、日本ではまだ実態調査と議論の段階です。業界の自主ルールには限界があり、法整備が急がれます。

池本弁護士が番組の最後に述べた「後払いは借金をしているのと同じ」という言葉は、すべての利用者が心に留めておくべきでしょう。後払いサービスを使うこと自体が悪いわけではありません。しかし、本当に必要なものを、信頼できるサイトやお店で、自分の支払い能力の範囲内で利用する──この当たり前のことを再確認する機会として、今回の放送は大いに価値があったと思います。

※ 本記事は、2026年4月13日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。

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