2026年3月23日放送のクローズアップ現代では、「住まいの高騰」「老朽化(リフォーム高騰)」「相続トラブル」という住宅を巡る3つの課題が特集されました。不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏、弁護士の香川希理氏・中山二基子氏ら専門家が、具体的な対策を解説。本記事では番組内容をもとに、マンション価格の高騰から売れない実家の相続問題まで、いま知っておきたい住宅課題の全体像と解決のヒントを網羅的にお届けします。
番組が取り上げた住宅の3大課題とは?高騰・老朽化・相続トラブル
2026年3月23日、NHK「クローズアップ現代」は72分の拡大版として、住まいに関する3つの大きな課題を徹底的に掘り下げました。テーマは「住まい高騰」、「リフォーム高騰(老朽化)」、「相続トラブル」の3本柱です。
番組には視聴者から大量の声が寄せられ、「買うも借りるも高い」「修繕費が足りない」「売却も処分もできない」という切実な悩みが浮き彫りになりました。
まず「住まい高騰」について。東京23区で販売された新築マンションの平均価格は1億4280万円に達し、中古マンションも調査開始以来初めて1億2000万円を超えました。もはや都心のマンションは一般的なサラリーマン世帯にとって「手が届かない存在」になりつつあります。
次に「リフォーム高騰」。築33年以上の住宅がこの20年で2倍以上に増え、リフォーム需要は年々拡大しています。ところが資材費と人件費の高騰により、リフォーム総額は5年前と比べて1000万円以上も増加しているケースがあるとの試算が示されました。
そして「相続トラブル」。団塊の世代が全員後期高齢者となり、2030年頃から相続が見込まれる持ち家は365.4万戸にのぼります。これは横浜市にある住宅の数の約2倍に匹敵する規模です。
この3つの課題は、決して他人事ではありません。住宅を購入しようとしている人、今の家に住み続けたい人、いずれ実家を相続する可能性がある人——つまり、ほぼすべての人に関わってくる問題です。番組では、それぞれの課題に対して具体的な対策と制度が紹介されましたので、以降で詳しく見ていきましょう。
住まい高騰の対策|コンパクト戸建てとアフォーダブル住宅という選択肢
住宅価格の高騰が止まらない背景には、構造的な問題があります。番組に出演した不動産事業プロデューサーの牧野知弘氏は、「建築資材のほとんどが輸入品であり値上がりが止まらないこと、加えて日本固有の人手不足問題もあるため、新築住宅が安くなることはあまり期待できない」と指摘しています。
この厳しい現実を踏まえたうえで、番組が紹介した選択肢の一つが「コンパクト戸建て」です。
敷地面積60平方メートル未満の狭小な戸建て住宅で、ハウスメーカーのオープンハウスでは「コンパクト戸建て」として数多く販売しています。23区内での平均価格は6800万円余りで、新築マンションの平均価格のおよそ半分。広い土地を小分けにして同時に複数の家を建てることで、1戸あたりのコストを抑えているそうです。大手不動産サイトに掲載された敷地面積60平方メートル未満の戸建て物件数は、5年で2.8倍に急増しているといいますから、まさに時代のニーズに合った選択肢と言えるでしょう。
番組では、40平方メートル弱の土地に2階建ての家を建てた家族の暮らしぶりも紹介されました。面積は小さくても2人の子供がそれぞれ個室を持てるよう部屋の数を優先し、天井の傾斜を活かした壁紙の工夫やドアの高さ調整で開放感を演出。ベランダの代わりに室内干しスペースを確保するなど、限られた空間を知恵で補っている姿が印象的でした。
個人的な意見として、コンパクト戸建ては「割り切りの住宅」だと感じます。「いつまで住むか」という出口戦略も含めて考えるなら、十分に現実的な選択です。特にマンションと違い、管理費や修繕積立金が不要という点は長期的な家計の安定にも寄与するでしょう。
一方、賃貸の高騰も深刻です。東京23区のファミリー向けマンションの家賃は25万6000円余りと、5年前に比べて6万円以上の上昇。大阪や福岡などでも上昇が続いています。
こうした状況を受けて注目を集めているのが、東京都が打ち出した**「アフォーダブル住宅」**です。英語で「手頃な」を意味するこの施策は、子育て世帯に相場より2割ほど安い家賃で住宅を提供するもの。都が出資する住宅供給公社は、都内に7万戸所有する住宅のうち6年間で1200戸を貸し出す計画です。さらに民間と共同出資し、子育て支援サービス付き新築マンションや、年収600万円以下のひとり親世帯向けなど、4つのタイプの住宅整備も進めています。
番組ではひとり親世帯向けに手頃な住宅を提供する名古屋市の企業「LivEQuality大家さん」の取り組みも紹介されました。投資家から低金利で資金を募りマンションを購入し、約7割の部屋を相場と同じ家賃で貸し出して利益を確保。その利益を活かして残りの部屋を安く貸し出すという仕組みです。実際に利用している清水さんは、2LDKを家賃4万8000円(相場より3割安)で、駅から徒歩10分の利便性の良い物件に住めています。
こうした官民連携の動きは、もっと全国に広がってほしいと率直に思います。住宅費は生活費の中で最も大きな割合を占めますから、ここが軽くなるだけで暮らしの質は劇的に変わります。
さらに牧野氏は、全国に約900万戸ある空き家の活用にも言及しました。驚くべきことに、そのうち約1割にあたる約90万戸が東京都内にあるそうです。「今までは新しいものがいいと思われてきたが、最近の古い家は住宅性能がかなり高い。もう少し古い家に目を向けてもいい」と、中古住宅への意識転換を提案しています。
リフォーム高騰を乗り切る|牧野知弘が勧める「部分改修」の考え方
築33年以上の家が急増している今、建て替えるよりも費用を抑えられるリフォームの需要は右肩上がりです。市場規模は15年でおよそ1.6倍に拡大。2月に都内で開かれた大手リフォーム会社(住友不動産ハウジング)主催の相談会には、4日間でおよそ1400組が来場したといいます。
しかし問題は、そのリフォーム費用もまた高騰していること。番組で示された試算では、5年前と比べてリフォーム総額が1000万円以上も増加。個別に見ても、キッチンは60万円→84万円、ユニットバスは70万円→95万円と、いずれも大幅に値上がりしています。
番組に声を寄せた大阪府在住の槇本さんは、築38年の木造住宅に住む65歳以上のご夫婦。予算は1000万円ほどですが、床の剥がれ、壁の補修、耐震性の向上など課題は山積み。定年退職後で主な収入は限られた年金のみという状況で、「目一杯使ってしまっていいものかどうかも怖い」と率直な不安を口にされていました。
実はこの感覚、多くの方に共通しています。番組によれば、リフォームを検討している人の4割が「費用が不安」と回答しているそうです。
こうした不安に対して番組が提示したキーワードが「部分改修」です。中古住宅の改修に詳しい一級建築士の池田浩和氏(岡庭建設)は、「耐震と断熱の性能向上が最も重要」と明言しています。
とはいえ、80平方メートルの家全体に断熱改修を行うと800万円ほどかかる場合もあります。そこで池田氏が勧めるのが、コストを抑えた段階的アプローチです。
最も手軽で効果が高いのは「窓だけの断熱」。 従来の窓の内側にもう1枚、樹脂製の窓を取り付ける工事で、費用は1枚あたり10万円から20万円。国から最大100万円の補助金が出る場合もあり、人気の高い施策です。番組では実際のモデルハウスで検証し、断熱した部屋としていない部屋では窓の表面温度に9度もの差が出ることが示されました。
さらに、家の一部屋だけに断熱材を壁や床下に施工する方法も紹介されました。全面改修に比べればコストは格段に抑えられますし、冷暖房費の削減効果も期待できます。
槇本さんのケースでは、既存住宅状況調査技術者の大森敞彦氏が現地を調査。「どの部分を改修するか具体的に洗い出し、長期的に計画していくこと」がポイントだとアドバイスしました。調査の結果、急を要する改修箇所は見つからず、今後10年・20年を見据えたバリアフリー対応(引き戸への変更、段差解消、洗濯動線の改善など)を優先順位をつけて進めていく方向性が固まりました。
筆者の視点から言えば、「一気にやらない勇気」が実はいちばん大切だと感じます。限られた予算で無理に全てを直そうとすると、かえって中途半端な仕上がりになりかねません。今本当に必要なことは何か、10年後・20年後に必要になることは何かを整理するだけでも、リフォームの満足度は大きく変わるはずです。
老朽化した住宅の安全チェック|インスペクションと耐震性の優先順位
リフォームを考える際に、真っ先にチェックすべきは何でしょうか。牧野知弘氏は「家の中のあちこちを直したくなるが、最初に確認すべきは耐震性」と断言しています。
耐震性には年代に応じた3つの基準があり、まず自分の家がどの年代に建てられたかを確認することが重要です。加えて、家が建っているエリアの地盤状況も大きなポイント。川沿いなど地盤が弱い場所ほど、より高い耐震基準を満たす必要があります。自治体のホームページで地盤の状況はチェックできるので、ぜひ確認してみてください。
また、自分の家の安全性を知るために池田浩和氏が推奨しているのが「インスペクション(専門家の調査)」です。これは劣化状況や不具合の有無を専門家が調査するもので、プロの目で家の安全性を客観的に評価してもらえます。
具体的にどんな症状に注意すべきか。番組で挙げられたチェックポイントは以下のようなものです。
- 壁のひび割れ——構造的な問題のサインかもしれません
- 天井の雨によるシミ——雨漏りが進行している可能性
- 床の傾き(ドアが閉めづらい)——地盤沈下や白アリ被害が潜んでいるかも
- 白アリ被害——放置すると家の構造を根本から蝕みます
こうしたサインが見られたら、早めにインスペクションを依頼することをお勧めします。
安全性の次に大事なのは「快適性」です。家族構成が変わり、自分も高齢になっていく中で、どんな暮らしを送りたいかをベースに考えていきます。ただし注意点もあり、子供部屋が不要になったから壁を抜いて広くしたいといった場合、家の構造によっては壁を壊すと耐震性が弱まることがあります。必ず専門家に確認してから実施することが重要です。
番組では、高齢期に備えたリフォームのポイントとして、国のガイドラインに沿った情報も紹介されました。水回りの集約、寝室とトイレの距離を近くする、玄関への手すり設置と段差の解消など。こうした工事には介護保険で費用の一部が支給されたり、自治体独自の助成がある場合もあるとのこと。まずはお住まいの自治体に相談してみるのが第一歩です。
マンション大規模修繕のトラブル|なりすまし・談合の実態と香川希理弁護士の対策
戸建てだけでなく、マンションの老朽化も深刻な問題です。経年劣化した外壁や配管を直す大規模修繕工事の費用が高騰する中、番組では衝撃的な不正の実態が明らかにされました。
なりすまし事件——横浜市のマンションで、2年後に数億円の大規模修繕を計画していた修繕委員会に、住民を装った外部の人物が入り込んでいました。「山田」を名乗るこの人物は建築関係の仕事をしていると自己紹介し、業者の見積もり比較資料を率先して作成。特定の業者を勧めるような発言も繰り返していました。
しかし、管理人が委員会の日以外にこの人物を見かけたことがないと指摘したことをきっかけに、防犯カメラの映像検証へと発展。オートロックを自分で開けず他の住民の後に続いて入る姿が確認され、居住しているはずの部屋には別人が住んでいることが判明しました。住民たちが警察に相談した上で問い詰めると、住民ではないことを認めて退出。後に大阪の工事会社の社員だったことがわかりました。
この工事会社の幹部は取材に対し、「代わりに行ってるだけ」「騙しているという感覚はない」と開き直りとも取れる回答をしています。NHKの取材によると、同様のなりすましは少なくとも首都圏の9つのマンションで起きていたとのことです。
さらに「談合」の問題も。2025年には公正取引委員会が大手ゼネコンの子会社を含むおよそ30社に立ち入り検査を実施しました。談合とは、複数の工事会社が事前にどこが工事を請け負うかを決めておくもの。例えば本来5000万円でできる工事を、受注予定のA社が6500万円で見積もりを出し、B社・C社はそれよりさらに高い金額を提示。結果として「一番安い」A社が選ばれるというからくりです。
番組に匿名で出演した設計コンサルタント会社の元社員は、「適正金額に2割から3割のプラスアルファが上乗せされている」「多くの会社がそのビジネスモデルで長年食べてきている」と、業界の構造的問題を暴露しました。
こうした不正に対して、弁護士の香川希理氏は3つの対策を提案しています。
1つ目は「本人確認」。 修繕委員会のメンバーについて、運転免許証やパスポートなど顔写真付き証明書で本人確認を行い、実際に住んでいるかも確認する。さらに、これを管理組合のルールとして制度化することが重要です。
2つ目は「第三者の目」。 設計コンサルタントとは別に、管理組合自身でも別途見積もりを取る。一級建築士やマンション管理士など、利害関係のない第三者にアドバイスを求めることも有効です。
3つ目は「人任せにしない」。 香川氏はこの点を最も強調していました。一軒家のリフォームなら自分で複数の見積もりを取るのに、マンションになると途端に関心が薄れてしまう。その理由は、修繕積立金を毎月少しずつ積み立てていくため、自分がお金を払うタイミングと業者に発注するタイミングにズレがあること。しかし、マンションも大切な自分の住まいであることに変わりはないのです。
牧野氏も「マンションこそコミュニティに入るということ。積極的に管理組合に参加し、共有の財産の価値をどう維持・向上させるかを考えてほしい」と訴えました。
なお番組では、横浜市が2026年1月から始めた、工事会社の見積もり金額を過去の相場データと比較して査定するサービスも紹介されています。あるマンションでは見積もり2387万円に対し査定では1815万円と、約600万円もの差が出たとのことです。こうした行政の取り組みが広がれば、不正の抑止力になると期待できます。
一方で香川氏は「大規模修繕業界はここ20〜30年で急激に伸びてきた業界で、法整備が追いついていない」とも指摘。設計コンサルタントや修繕業者の登録制度の導入や、問題を起こした際のペナルティなど、制度面の整備も急務だとしています。
相続トラブルを防ぐには|売れない実家と認知症リスクへの備えを中山二基子弁護士が解説
番組で最も多くの声が寄せられたのが、「相続トラブル」に関する悩みでした。日本はまさに「大相続時代」を迎えています。
番組では、二つの象徴的なケースが紹介されました。
ケース1:売れない実家に悩む後藤さん(75歳、川崎市在住)。 4年前に母親が102歳で亡くなり、岐阜市にある築62年の実家を相続。しかし家の前の道路が幅4メートル未満の狭あい道路で、トラックや重機が入れないため解体や建て替えが困難。こうした状況の住宅は日本全体の3割にのぼるそうです。建ぺい率も現在の基準をオーバーしており、空き家バンクへの登録も断られました。
後藤さんは、倒壊の恐れがある「特定空き家」に指定されると固定資産税が最大6倍になるリスクも抱えています。75歳で実家への往復に3万円の交通費と片道2時間がかかり、年に2回行くのがやっと。200枚もの父親の絵画などの遺品整理も一人では難しく、全ての遺品処分には27万円余りの費用がかかることもわかりました。「自分の代で終わらせて、子供には負の財産を残したくない」という言葉が重く響きます。
ケース2:親の認知症で実家が動かせない野本さん(千葉県在住)。 築57年の平屋に住んでいた84歳の母親が6年前から物忘れが始まり、3年前に認知症と診断されて介護施設に入所。施設費用は月20万円以上かかりますが、家の権利を持つ母親が認知症のため、売却や遺言書の作成ができない状況です。「亡くなってからじゃないと動かせないのかな」という野本さんの苦悩は、今後多くの家庭で起こりうる問題です。
こうした状況に対し、弁護士の中山二基子氏が解説した対策が「任意後見制度」と「法定後見制度」です。
任意後見制度は、認知症になる前に備える方法。親本人が判断能力がある段階で、信頼できる人(子供など)を後見人に選び、家や財産の管理を任せる契約を結んでおきます。認知症になった後に後見を開始させ、必要に応じて自宅を売却することもできます。ただし、この制度を利用するとき必ず家庭裁判所から選任された「監督人」がつき、その報酬が本人負担になる点は注意が必要です。
法定後見制度は、すでに認知症になった後でも利用可能。家族が家庭裁判所に申し立てを行い、裁判所が後見人を選任します。子供が後見人になりたい場合は、申し立て時に候補者欄に自分の名前を書いておくことがポイント。子供同士の対立がなく、財産管理が複雑でなければ、子供が後見人に選任されるケースが多いそうです。
一方、後藤さんのように家を売却すること自体が難しい場合について。番組ではいくつかの選択肢が示されました。民間に費用を払って引き取ってもらう方法、国に負担金を支払って引き渡す「相続土地国庫帰属制度」、そして相続放棄です。何もしなければ空き家になり、固定資産税が増えるリスクも。
ここで牧野氏が「意外と有効」と紹介したのが、「隣に売る」という方法です。お隣さんが庭を広げたい、子や孫の家を建てたい、畑を作りたいといったニーズを持っていることは意外に多いそうです。牧野氏自身の知人でも、隣に声をかけたら売れたという成功例がいくつもあるとのこと。ダメ元でも声をかけてみる価値は十分にあるでしょう。
そして番組の後半で紹介されたのが、福岡市社会福祉協議会の「終活サポートセンター」。家の相続などの相談対応は年間1000件以上という実績を持ち、年に60回ほどの「出前講座」で、不安があっても自ら相談に来ない人を拾い上げる活動をしています。
番組で取り上げられた田中郁夫さん(68歳)のケースは示唆に富んでいます。5年前に妻を亡くした後、離れて暮らす子供のために家を早めに売却すべきか一人で悩んでいましたが、終活サポートセンターに相談し、弁護士から「まずは相続する娘と対話すべき」とアドバイスを受けました。海外で暮らす長女に話したところ、「将来的な売却は賛成だけど、健康なうちは思い出のある実家に住んでいてほしい」と言われ、一人で結論を急ぐ必要はなかったことに気づけたそうです。
中山弁護士も「親の側から子供に話すのがポイント」と強調。相続問題を考えることは、実は親自身が「これから老後をどう生きるか」を前向きに考えることにつながると述べています。
さらに牧野氏は、自分の不動産の価値を知る簡単な方法として「路線価図」の活用を紹介しました。スマートフォンで「お住まいの自治体名+路線価図」と検索するだけで、土地の概算評価がわかります。路線価は1000円単位で表示されており、例えば「100」と記載された道路に面した80平方メートルの土地なら、10万円×80平米=800万円が相続時の評価目安になります。
まとめ
2026年3月23日放送のクローズアップ現代では、住まいを巡る3大課題——「住まい高騰」「リフォーム高騰(老朽化)」「相続トラブル」——について、専門家を交えた具体的な対策が示されました。
ポイントを整理すると、以下のようになります。
住まい高騰への対策としては、コンパクト戸建てやアフォーダブル住宅など新たな選択肢が広がりつつあること。全国900万戸の空き家(うち約90万戸が東京都内)の活用も視野に入れるべきだという点です。
リフォーム高騰への対策としては、「部分改修」の発想が鍵。窓だけの断熱(国の補助金あり)や一部屋単位の改修を段階的に進めることで、コストを抑えながらも快適性・安全性を向上できます。まずはインスペクションで家の状態を正確に把握することが第一歩です。
マンション修繕のトラブル対策としては、本人確認の制度化、第三者の目の導入、そして何より住民が人任せにしないこと。香川希理弁護士が指摘するように、法整備の遅れも大きな課題であり、設計コンサルタントや修繕業者の登録制度やペナルティ制度の導入が求められます。
相続トラブルへの備えとしては、認知症になる前の任意後見制度の活用、親子間の早めの対話、路線価図による不動産評価の確認など。中山二基子弁護士が語ったように、「相続の問題を考えることは、老後をどう生きるかを前向きに考えること」という意識が大切です。
番組の最後に牧野知弘氏が述べた言葉が印象的でした。「古くなった家を壊して建て替えるという発想から、きちんと管理し、必要なリニューアルをして、子や孫の代に引き継いでいく——そういう考え方が、これからの私たちには非常に重要になる」と。
鎌倉市内の築38年の中古住宅をフルリノベーションし、前の住人から受け継いだ立派な梁と庭の柿の木とともに暮らす家族の姿が、番組のラストを飾っていました。「この家は100年だって住める。100年くらい住んでやるつもりで住んでいる」——古いイコール住みにくいではない。知恵と技術の力を使えば、より豊かな暮らしが待っている。そんなメッセージが、視聴者の心に深く残ったのではないでしょうか。
住まいの課題は、早めに向き合うほど選択肢が広がります。ぜひ今日から、ご自身の住まいについて考えるきっかけにしていただければ幸いです。
※ 本記事は、2026年3月23日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。





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