2025年12月7日放送の「がっちりマンデー！！」で紹介された引き算ビジネスが話題です。オネスティーズが開発した「前後も裏表もないTシャツ」は、必要そうなものをあえて引き算することで大ヒットを生み出しました。この記事では、年間売上前年比3倍を達成した革新的な商品の秘密と、そこに隠された技術や開発ストーリーを詳しくご紹介します。
オネスティーズの「前後裏表なし」Tシャツとは?引き算ビジネスの革新
オネスティーズ株式会社が展開する「前後も裏表もないTシャツ」は、Tシャツの常識を覆す画期的な商品です。一見すると普通のTシャツに見えますが、実は前後を逆にしても、裏表を逆にしても、まったく違和感なく着られるという驚きの特徴を持っています。
オネスティーズの裏表と前後がないTシャツ （引用：「がっちりマンデー」より）
従来のTシャツは、襟の形状や縫い目の位置によって、必ず前後・裏表が決まっていました。しかしオネスティーズは「本当にそれが必要なのか?」という疑問から出発し、あえてその常識を引き算することで、まったく新しい価値を生み出したのです。
この引き算ビジネスの発想は、世の中に溢れる「足し算」の商品開発とは真逆のアプローチです。新機能を追加したり、新サービスをプラスしたりするのではなく、むしろ「なくても困らないもの」「なくした方が便利になるもの」を見極めて削ぎ落とす。その潔さと着眼点の鋭さが、消費者の心を掴んでいます。
番組内でゲストの森永康平さんも指摘していたように、引き算ビジネスで大切なのは「何を引いたらいいのかという見極める力」と「決断力」、そして「綺麗に抜きたいところだけ引きたいところだけ引ける技術力」です。オネスティーズのTシャツは、まさにこの3つの要素を完璧に満たした商品と言えるでしょう。
西出喜代彦社長が生み出した画期的な発明
奈良県生駒郡に拠点を置くオネスティーズを率いるのが、西出喜代彦社長です。西出社長は番組の取材に対し、年間売上について具体的な金額は明かさなかったものの、「前年比3倍で伸びています」と自信を持って語りました。
オネスティーズ(株)の西出喜代彦社長 （引用：「がっちりマンデー」より）
この成長の背景にあるのは、西出社長の「日常の不便さ」に対する鋭い観察眼です。誰もが当たり前だと思っていたTシャツの前後・裏表という概念に疑問を持ち、「これって本当に必要?」と考えたことがすべての始まりでした。
実際、私たちの日常を振り返ってみると、朝急いでいる時にTシャツを裏返しに着てしまったり、洗濯物を畳む際にいちいち裏表を直したりする手間は、確かに無駄な時間です。西出社長はこの「小さな不便」を見逃さず、ビジネスチャンスに変えたのです。
このような発想の転換は、長年の経験と観察から生まれたものでしょう。単なる思いつきではなく、実際に商品化して市場に受け入れられるまでには、相当な試行錯誤があったはずです。その努力が実を結び、現在の急成長につながっているのだと思います。
フラットシーマ縫製による「縫い目」の秘密
前後も裏表もないTシャツを実現するために、オネスティーズが採用したのが「フラットシーマ」という特殊なミシンです。西出社長は番組内で「フラットシーマっていうミシンで縫製しています」と説明し、「縫い目が表も裏もフラットになる」技術だと紹介しました。
フラットシーマミシン （引用：「がっちりマンデー」より）
通常のミシンで布を縫う場合、布を縦に重ねた部分を縫い合わせるため、どうしても裏側に縫い目が出っ張ってしまいます。これが裏表の区別を生む大きな要因の一つでした。しかしフラットシーマミシンは、布を横に重ねて縫い目を平らに縫い合わせる技術を使っているため、表も裏も同じようにフラットな仕上がりになるのです。
このフラットシーマ縫製は、もともと肌が敏感な赤ちゃんの服などを作るために開発された技術です。赤ちゃんの肌はデリケートなので、縫い目の出っ張りが刺激になってしまうことがあります。そこで縫い目を極限まで平らにする技術が求められ、フラットシーマが生まれました。
オネスティーズはこの技術を大人用のTシャツに応用することで、裏表のないTシャツを実現しただけでなく、着心地の良さも同時に実現しています。番組でとにかく明るい安村さんが実際に試着して「全然違和感ない」「めっちゃいいっす」と感想を述べていたのも、この縫い目の技術による快適さが理由でしょう。
坂西康成さんが語る開発の苦労と試作の歴史
オネスティーズで開発を担当する坂西康成さんは、番組内で前後をなくす技術の難しさについて語りました。一見すると「後ろの襟をカーブさせればいいだけでは?」と思えるこの技術ですが、実は非常に複雑な工夫が必要だったのです。
オネスティーズの開発担当 坂西康成さん （引用：「がっちりマンデー」より）
坂西さんは「後ろと前と同じ形状だと、襟がこう広がっていくんです」と説明し、襟ぐりだけでなく「肩とか脇とか、色々変えてます」と明かしました。ただし、その詳細については「これ以上はちょっと言えないです」と企業秘密であることを強調しています。
さらに驚くべきは、その試作の回数です。坂西さんは「何十回っていう試作を経て、今の形状になってます」と語りました。何十回という試作は、相当な時間とコストがかかったはずです。一つの形状を試して失敗し、また別の形状を試して失敗し…その繰り返しの中で、ようやく現在の完成形にたどり着いたのでしょう。
この開発ストーリーからわかるのは、「引き算」は決して簡単ではないということです。むしろ足し算よりも難しいかもしれません。何かを加えるのではなく、何かを取り除きながらも機能を維持する、あるいは向上させるには、高度な技術と粘り強い努力が必要なのです。坂西さんのような技術者の地道な努力があってこそ、この革新的な商品が生まれたと言えます。
前後も裏表もないメリット:畳むの楽で時短が実現
オネスティーズのTシャツがもたらすメリットについて、西出社長は「2つメリットがあります」と説明しました。1つ目は「着る時に着間違いせずに着れるので楽です」、2つ目は「洗濯物を畳む時に裏表を元に戻したりする必要がなくなるので、着るのもしまうのが楽になります。その辺で時短になります」とのことです。
この時短効果は、想像以上に大きいかもしれません。毎日のように着るTシャツだからこそ、小さな手間の積み重ねが大きな時間のロスになります。朝の忙しい時間に裏返しに気づいて着直す手間、洗濯物を畳む際にいちいち表に直す手間。これらがゼロになるだけで、日常生活のストレスが確実に減るでしょう。
番組内で森永康平さんが指摘していた用途も興味深いものでした。「介護施設とかでも」使えるという視点です。介護施設では多くの利用者の衣類を洗濯しますが、洗濯業者にとって「全部表裏直して納品するのがめんどくさい」というのは確かに大きな課題です。オネスティーズのTシャツなら、その手間が完全になくなります。
また、加藤浩次さんが「子供服とかすごいいいと思う」と発言したのも的確な指摘です。子供は自分で服を着る練習をする際、前後や裏表を間違えることがよくあります。親がいちいち直してあげる必要がなくなれば、子供の自立にもつながりますし、親の負担も減ります。
このように、一見地味な「引き算」が、実は多様なシーンで大きな価値を生み出しているのです。
年間売上前年比3倍!オネスティーズの成長
オネスティーズの成長は目覚ましいものがあります。西出社長が明かした「年間売上前年比3倍」という数字は、この商品の市場での受け入れられ方を如実に示しています。
前年比3倍という成長率は、スタートアップ企業でもなかなか達成できない高い数字です。これは単に珍しい商品だから一時的に売れているのではなく、実際に使った人が「便利だ」「これはいい」と実感し、リピート購入や口コミによる拡散が起きている証拠でしょう。
この成長の背景には、時代のニーズとの合致もあると考えられます。現代人は忙しく、時間の効率化を常に求めています。また、ミニマリズムやシンプルライフといった価値観も広がっており、「本当に必要なものだけを持つ」「無駄を省く」という考え方が支持されています。オネスティーズのTシャツは、まさにこうした時代の流れに乗った商品と言えます。
さらに、西出社長が具体的な売上金額を明かさなかったのも、ビジネス戦略として興味深い点です。成長率は示すことで勢いをアピールしつつ、具体的な数字は伏せることで競合他社に情報を与えない。この慎重さも、経営者としての賢明な判断だと感じます。
パンツや靴下にも展開する引き算ビジネス
オネスティーズの引き算ビジネスは、Tシャツだけにとどまりません。番組では、同社が「裏表と前後を引き算したパンツや靴下も開発」していることが紹介されました。
パンツ(下着)の前後がないというのも、考えてみれば非常に便利です。朝の着替えで前後を間違えて履いてしまった経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。また、洗濯物を畳む際にも、どちらが前かを確認する手間が省けます。
裏表と前後を引き算したパンツ （引用：「がっちりマンデー」より）
靴下の裏表がないというのも画期的です。靴下は特に裏返しになりやすいアイテムですし、左右の区別さえなくなれば、片方だけ穴が開いた時にも別のペアと組み合わせて使えるという副次的なメリットも生まれるかもしれません。
裏表がない靴下 （引用：「がっちりマンデー」より）
このように、オネスティーズは一つの成功パターンを他のアイテムにも横展開することで、ビジネスを拡大しています。これはTシャツで培った技術やノウハウを活かせるため、効率的な成長戦略と言えます。
今後は、さらに多くのアイテムに「前後も裏表もない」という概念が広がっていく可能性があります。ワンピースやトレーナー、パーカーなど、展開できるアイテムはまだまだあるでしょう。オネスティーズの引き算ビジネスは、これからも成長を続けそうです。
まとめ
2025年12月7日放送の「がっちりマンデー」で紹介されたオネスティーズの引き算ビジネスは、「前後も裏表もないTシャツ」という革新的なアイデアで年間売上前年比3倍を達成しました。
西出喜代彦社長の鋭い観察眼と、坂西康成さんをはじめとする開発チームの粘り強い努力により、何十回もの試作を経て完成したこの商品は、フラットシーマ縫製という特殊な技術と、襟ぐり・肩・脇などの緻密な設計によって実現されています。
着間違いがなく、畳むのも楽で時短になるというメリットは、一般家庭だけでなく、子供服や介護施設など、さまざまなシーンでの活用が期待されます。さらにパンツや靴下への展開も進んでおり、オネスティーズの引き算ビジネスは今後も目が離せません。
「本当に必要なものは何か?」という問いかけから生まれた、この画期的な商品。私たちの日常にある小さな不便を見逃さず、それをビジネスチャンスに変える発想力こそが、これからの時代に求められるイノベーションなのかもしれません。
※ 本記事は、2025年12月7日放送（TBS系）の人気番組「がっちりマンデー！！」を参照しています。
※ HONESTIES（オネスティーズ）株式会社の公式サイトはこちら
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