2026年4月5日放送の「がっちりマンデー!!」では、木造ガードレールという意外な製品が紹介されました。開発したのは和歌山県有田郡のクスベ産業。その名も「木景(コカゲ)」。鉄のガードレールを木に変えることで、景観を美しくしながら地域の林業も活性化する。そんなユニークな取り組みの全容を、番組の内容をもとにお届けします。
木造ガードレール「木景(コカゲ)」とは?クスベ産業が開発した理由
「普通は鉄でできているものを木で作りました」
クスベ産業の瀧川翼さんがそう切り出したとき、番組スタッフも「びっくりします」と目を丸くしていました。ガードレールと言えば銀色の鉄製が当たり前。それを木で作るとは、なかなか発想が飛んでいます。
しかし、この木造ガードレール「木景(コカゲ)」は、単なる思いつきではありません。クスベ産業は和歌山県内で公共工事や土木工事を手掛ける会社で、地域の「放置林問題」と真正面から向き合った結果、たどり着いた製品なのです。
今、日本全国で手入れされないまま放置された森林が増えています。放置林が増えると山の災害リスクが高まり、地域の林業も衰退していく悪循環に。そこで「地元の木材をもっと使える製品を作れないか?」と考えて生まれたのが、木のガードレールだったというわけです。
つまり「木景」は、ガードレールという製品でありながら、地域の林業を救い、森林を守るための「仕組み」でもあるのです。この発想の背景にある志の高さには、素直に感動しました。
鉄のガードレールと何が違う?木造でも国の基準をクリアする強さ
「木のガードレールなんて、車がぶつかったら壊れるんじゃないの?」
多くの人がそう思うでしょう。しかし、木景はトラックを実際に衝突させる厳しい国の基準(車両用防護柵性能評価衝突試験)をクリアしています。B種・C種ともに合格しているのですから、安全性は折り紙付きです。
その秘密は構造にあります。木景は杉の木材2本を金具でつなぎ、上下のビームを枠状に一体化させることで、衝突時の衝撃を分散して支柱に伝える仕組みになっています。木だから弱い、というのは完全な先入観だったわけです。
しかも支柱には通常の鋼製ガードレールと同じものを使用しているため、既存の鋼製ガードレールからビーム部分だけを木に付け替えることも可能。この互換性の高さは、普及を考える上で非常に大きなメリットと言えるでしょう。
放置林問題の解決へ!木造ガードレールが地域の林業を活性化する仕組み
木景が素晴らしいのは、製品としての機能だけでなく、「地域経済の循環」を生み出す点です。
木景に使用するのは地元の杉。地元で伐採し、地元で加工し、地元に設置する。このサイクルによって、放置されていた森林に手が入り、林業の雇用が生まれ、地域経済が回り始めます。
瀧川さんも番組で「地域でどんどん木材を使って、林業を活性化させて、森林に手を入れていく。そのための木のガードレールです」と語っていました。単に「エコだから木を使おう」ではなく、地域全体を巻き込んだ持続可能なビジネスモデルを作ろうとしている。この点は非常に重要だと思います。
さらに、木製ガードレールは製造段階でのCO2排出量が鋼製に比べて大幅に少なく、100メートルあたり約1.63トンのGHG(温室効果ガス)削減効果があるとされています。加えて、木材自体が炭素を固定するため、カーボンニュートラルを超える「炭素吸収型製品」としても注目されています。
八角形デザインの理由は加工のしやすさ|地元の杉を活用
木景のビームが八角形をしているのには、ちゃんとした理由があります。
瀧川さんの説明によると、「真四角の角材から面を取るだけで八角形になるので、加工がしやすい」とのこと。つまり、特殊な機械や高い技術がなくても、地元の木材組合で加工できるように、あえてシンプルなデザインにしているのです。
この「誰でも作れる」という設計思想こそ、地域への普及を本気で考えている証拠だと思います。いくら良い製品でも、特定の工場でしか作れないのでは広がりに限界がある。八角形という一見シンプルなデザインの裏に、地域の林業を活性化するための深い戦略が隠されていたのです。
また、二段に分かれたビームの間から景色が見通せる構造になっているのもポイント。鉄のガードレールのように視界を遮らず、周囲の自然景観に溶け込むデザインは、国定公園や観光地の道路では特に好評を得ています。「写真に写っても嫌じゃない」ガードレールという発想は、これまでありそうでなかったですよね。
和歌山から全国へ!木造ガードレールの設置状況と今後の展開
番組によると、木景は2026年4月時点で和歌山県内に約11キロメートル設置されています。高野山や白浜町など主要な観光地の幹線道路を中心に、県が積極的に木造化を進めています。
和歌山県は2017年度(平成29年度)から、主要観光地のガードレールを順次木造化する方針を打ち出しており、紀州材の利用促進と観光振興の両面から木景を推進しています。国土交通省の発注工事にも採用された実績があり、NETIS(新技術情報提供システム)にも登録されています。
今後はこの取り組みを日本全国に広げていきたいとのこと。同じように放置林問題を抱える地域は全国にありますから、木景のモデルは大きな可能性を秘めています。「地元の木で地元のガードレールを作る」という仕組みが全国に広がれば、日本の林業が抱える課題の解決にも一歩近づくのではないでしょうか。
まとめ
2026年4月5日放送の「がっちりマンデー!!」で紹介された、クスベ産業の木造ガードレール「木景(コカゲ)」についてお伝えしました。
景観に溶け込む美しさ、国の基準もクリアする安全性、そして放置林問題の解決と地域活性化に貢献するビジネスモデル。木景は「ガードレール」という身近なインフラを通じて、地域と森林の未来を守ろうとするプロジェクトです。
和歌山から始まったこの取り組みが全国に広がる日も、そう遠くないかもしれません。ドライブ中に木のガードレールを見かけたら、ぜひその背景にある物語を思い出してみてください。
※ 本記事は、2026年4月5日放送(TBS系)の人気番組「がっちりマンデー!!」を参照しています。
※ 株式会社クスベ産業の公式サイトはこちら





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