富士フイルムの復活劇をご存知ですか?デジタルカメラの普及で大打撃を受けた同社が、チェキを中心とした新戦略で年間売上3兆円を達成しました。「がっちりマンデー」で紹介されたこの驚きの復活劇から、企業の危機を乗り越えるヒントが見えてきます。富士フイルム復活大作戦①の秘密を探り、イノベーションの重要性を学びましょう。
富士フイルム、デジタル時代の大打撃からの復活劇
富士フイルムといえば、かつては「フジカラーで写そう」のキャッチフレーズで知られる写真フィルムの大手メーカーでした。しかし、2000年代に入ってデジタルカメラが普及し始めると、同社は大きな打撃を受けることになります。
2000年、富士フイルムの利益の3分の2は写真関連事業から得ていました。しかし、その後フィルムの需要は毎年20〜30%以上も減少し続けたのです。この危機的状況に直面した富士フイルムは、大胆な改革を決意します。
当時の古森重隆社長(2000年就任)は、「技術の棚卸し」という戦略を打ち出しました。これは、同社が持つ技術を一から見直し、新たな分野での活用を模索するというものでした。この取り組みが、後の富士フイルムの大復活につながっていくのです。
チェキが牽引する富士フイルムの新戦略
富士フイルムの復活を支えた製品の一つが、インスタントカメラ「チェキ」です。チェキは1998年に発売されましたが、当初はデジタルカメラの台頭に押されて苦戦していました。
しかし、2007年頃から韓国の若者を中心に人気が出始めます。きっかけは韓国のテレビドラマでチェキが使用されたことでした。スマートフォンで簡単に写真が撮れる時代に、その場で写真がプリントできるチェキは新鮮な魅力を放っていたのです。
進化し続けるチェキ:若者のニーズを捉えた商品展開
チェキの人気に気づいた富士フイルムは、若者や海外の人々のニーズに合わせて製品を進化させていきます。例えば、チェキを斜めがけするのがファッションになっていることに着目し、パステルカラーを取り入れた「世界で一番可愛いインスタントカメラ」として売り出しました。
また、海外では写真を壁や机に飾る文化が根付いていることから、リアルな写真へのニーズが高いことにも気づきました。このような細やかな市場分析と製品開発が、チェキの世界的なヒットにつながっていったのです。
チェキプリンター:スマホ時代に対応した新たな需要創出
さらに富士フイルムは、スマートフォン時代に対応した「チェキプリンター」を開発します。これは、スマートフォンで撮影した写真を簡単にプリントできる製品です。
チェキプリンターの登場により、ユーザーは好きな写真を何枚でもプリントして友人や家族にプレゼントすることができるようになりました。この新しい使い方が、若い世代を中心に支持を集めています。
後藤禎一社長が語る:チェキがもたらす新たなビジネスチャンス
富士フイルムホールディングス株式会社の代表取締役社長CEOである後藤禎一氏は、チェキがもたらす新たなビジネスチャンスについて語っています。
特に注目されているのが、バーチャルツーショット機能を搭載したチェキです。後藤社長自身も常に携帯しているというこの新型チェキは、例えば人気アイドルや野球選手とファンがバーチャルでツーショット写真を撮れるというものです。
後藤社長は、「西武ライオンズ様のようなプロ野球チームやイベント、フェスティバルなどで、このバーチャルツーショット機能を使ったビジネスが増えつつあります」と語っています。これは、従来の等身大パネルとは一線を画す、新しいファンサービスの形として注目を集めています。
高井隆一郎氏が明かす:チェキ進化の秘訣と海外市場戦略
富士フイルムのチェキ担当、高井隆一郎氏は、チェキの進化と海外市場戦略について詳しく語っています。高井氏によれば、チェキの売上は2024年現在、年間1500億円にも達しているそうです。
高井氏は、チェキの成功の秘訣として、若者の文化やトレンドを綿密に分析し、製品に反映させていることを挙げています。例えば、韓国でのチェキブームの発見や、海外での写真を飾る文化への着目など、きめ細かなマーケティングがチェキの進化を支えているのです。
また、高井氏は海外市場戦略について、「各国の文化や若者のニーズに合わせた製品開発と販売戦略を展開している」と説明しています。この戦略が、チェキの世界的な成功につながっているのです。
まとめ:富士フイルムの復活劇から学ぶイノベーションの重要性
富士フイルムの復活劇は、既存技術の新たな活用方法を模索することの重要性を教えてくれます。写真フィルムの技術を基に、チェキという新しい製品カテゴリーを生み出し、さらにそれをデジタル時代に合わせて進化させていった富士フイルムの姿勢は、多くの企業にとって参考になるでしょう。
2024年9月29日の「がっちりマンデー!!」で紹介された富士フイルムの事例は、技術革新とマーケティングの融合が企業の復活と成長をもたらす可能性を示しています。チェキを中心とした新戦略は、富士フイルムの年間売上を約3兆円にまで押し上げた一つの要因となっています。
今後も富士フイルムは、後藤禎一社長のリーダーシップのもと、既存技術の新たな活用法を模索し続けることでしょう。チェキの例に見られるように、ユーザーのニーズを的確に捉え、時代に合わせた製品開発を行うことが、企業の持続的な成長につながるのです。
富士フイルムの復活劇は、どんな困難な状況でも、イノベーションと柔軟な思考によって道は開けるという希望を私たちに与えてくれます。これからの富士フイルムの更なる発展に、注目が集まることでしょう。
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