TBS系列の人気番組『がっちりマンデー』で紹介された愛媛県のNo.1企業・大王製紙をご存知ですか?年間売上高6,700億円を誇るこの製紙メーカーは、紙を作るためにダムや港まで自ら建設するという驚きの戦略で成功を収めています。本記事では、大王製紙が愛媛県でどのようにして紙産業の頂点に立ったのか、その秘密と経営戦略から学べるビジネスのヒントをご紹介します。地域特性を活かした壮大なスケールの発想転換は、あなたのビジネス戦略にも新たな視点をもたらすでしょう。
愛媛県No.1企業・大王製紙が『がっちりマンデー』で紹介された驚きの生産体制
2025年4月27日に放送されたTBS系の人気経済番組『がっちりマンデー!!』では、「うちの県のNo.1会社」という新企画でした。この企画では、各県の売上高ナンバーワン企業に着目し、その成功の秘密を探っていくというもの。番組MCの加藤浩次さんと進藤晶子さん、そしてゲストの経済アナリスト森永康平さんとテツandトモの2人が、意外と知られていない各県の最大手企業について紹介していきました。
その中で特に注目されたのが愛媛県のNo.1企業である大王製紙株式会社です。ティッシュやトイレットペーパーでおなじみの「エリエール」ブランドを展開する大王製紙は、紙おむつや書籍用紙、コピー用紙など2万種類以上の紙製品を製造しています。同社の生産本部長である棚橋敏勝さんによると、年間売上高は驚異の6,700億円にものぼるとのこと。まさに「ガッチリ」と儲かっている日本を代表する製紙メーカーなのです。
番組では大王製紙が愛媛県でナンバーワン企業になれた理由として、紙作りに必要な「水」「木材」「製造機械」という3つの要素を徹底的に追求した戦略が紹介されました。特に驚きだったのは、これらの要素を確保するために、ダムや港まで自ら建設したという事実です。一般的な企業の発想をはるかに超えた壮大なスケールの経営戦略が、視聴者に大きな衝撃を与えました。
大王製紙の歴史と愛媛県での紙産業発展の背景
大王製紙が愛媛県で成長した背景には、地域の特性が深く関わっています。愛媛県の四国中央市は元々和紙の生産が非常に盛んな地域でした。最盛期には600以上もの和紙会社や工場が立ち並ぶ、まさに「和紙の町」として知られていました。このような土地柄から、紙産業に関する技術や知識が集積していたのです。
1943年、当時の伊予三島町(現在の四国中央市)出身の井川伊勢吉氏が大王製紙を設立します。創業者の井川氏が目指したのは、地元愛媛の和紙産業を近代化し、洋紙生産へと転換することでした。当時の四国中央市は産業の選択肢が限られていたため、井川氏は製紙産業を発展させることで地域の発展に貢献したいという思いを持っていました。
森永康平さんが番組内で指摘したように、「元々いろんな産業がやりづらい立地だったっていうのを逆に利用して、じゃあ新しく作りゃ良いじゃん」という逆転の発想が、大王製紙の成功の鍵となりました。地域の特性を理解し、その弱点を強みに変える経営戦略は、現在のビジネスモデルにも通じる重要な考え方です。
大王製紙は創業以来、地域と共に歩みながら成長を続け、現在では愛媛県を代表する大企業へと発展しました。地域の特性を活かした企業の成長は、地方創生の優れた事例として、多くのビジネスパーソンにとって参考になるでしょう。
紙作りを極めた大王製紙の3つの驚きの戦略
『がっちりマンデー』で紹介された大王製紙の成功戦略の中で、特に印象的だったのが次の3つです。
1. ダムを作って水資源を確保
紙の生産には膨大な量の水が必要です。番組内で紹介されたデータによると、紙1トンを生産するためには、なんと100トンもの水が必要とのこと。しかし、四国地方は雨が少なく、水不足になることも度々あります。
この問題を解決するために、創業者の井川伊勢吉氏が取った大胆な戦略が「ダムを作る」というものでした。国や愛媛県と資金を出し合いながら、なんと3つの巨大なダムを建設したのです。これにより、安定した水供給を確保し、大量生産の基盤を整えました。
企業が自らダムを建設するという発想は、通常の経営者では考えつかないスケールの大きさです。森永康平さんも「普通の経営者だと工場1個作るのにもすごいお金かかるから怖いじゃないですか。そうじゃなくてダムも港も作る。普通の経営者の思考回路じゃない」と驚きのコメントをしていました。
2. 港を作って木材を輸入
紙作りには木材も欠かせません。1トンの紙を生産するためには、約4トンもの木材チップが必要になります。大量の木材を効率よく調達するために、大王製紙は再び大胆な戦略を実行します。それが「港を作る」というものでした。
大王製紙の生産本部課長である川林淳史さんは、「実はですね、港まで作っちゃいました」と明かしています。国と愛媛県の協力のもと、工場近くに全長200mの巨大な港を建設。この港を利用して、海外から大量の木材チップを直接輸入できる体制を整えました。
港では巨大なクレーンが活躍し、1回のすくいで6〜7トンもの木材チップを運搬。川林さんによると、この作業は24時間体制で3日間休みなく続くそうです。この徹底した効率化によって、安定した原料調達を実現しています。
3. 巨大マシンで大量生産
水と原料が確保できたら、次に必要なのは高性能な製造機械です。大王製紙は印刷用紙を生産するための巨大マシン「N10マシン」を導入しました。このマシンの長さは約350m、時速100kmを超えるスピードで回転し、1日に1,000トンもの紙を生産します。
棚橋敏勝さんによると、このN10マシンの価格は「数百億円」とのこと。企業が設備投資としてこれほどの金額を投じるのは、並大抵の決断ではありません。しかし、この巨大マシンによって大量生産が可能となり、大王製紙の競争力を大きく高めることに成功しました。
大王製紙が年間6700億円の売上を達成できた製紙技術の秘密
これら3つの戦略によって、大王製紙は年間210万トンという膨大な量の紙を生産しています。特筆すべきは、大王製紙が製造する紙の約6割が愛媛県で生産されているという事実です。これは地域経済にとっても非常に大きな意味を持ちます。
大王製紙のナンバーワン企業としての地位は、単に生産量が多いだけではなく、高品質な製品を効率よく製造する技術力にも支えられています。2万種類以上もの紙製品を開発し、市場ニーズに応える製品ラインナップの豊富さも強みの一つです。
加藤浩次さんも番組内で「ナンバーワンにはナンバーワンの技術がやっぱりありますよね」と感想を述べていました。長年培ってきた製紙技術と、時代に合わせた製品開発力が、大王製紙の成功を支える重要な要素となっているのです。
棚橋敏勝・川林淳史が語る大王製紙の今後の展望
番組に出演した大王製紙の生産本部長・棚橋敏勝さんと生産本部課長・川林淳史さんは、会社の現状だけでなく、今後の展望についても語っています。
棚橋さんは「ガッチリいってます」と現在の好調ぶりを語っています。デジタル化が進む現代において、ティッシュやトイレットペーパー、紙おむつなどの生活必需品としての紙製品は依然として需要が高く、これらの分野での技術革新を続けていく方針とのことです。
一方、川林さんは原料調達の効率化やサステナビリティへの取り組みについて言及し、環境に配慮した生産体制の構築を進めていることを強調しています。24時間体制での生産を支える効率的なシステムは、今後も大王製紙の強みであり続けるでしょう。
まとめ:愛媛県の誇る製紙メーカー・大王製紙から学ぶビジネス戦略
『がっちりマンデー』で紹介された愛媛県No.1企業・大王製紙の成功からは、多くのビジネスの知恵を学ぶことができます。
地域の特性を活かした事業展開、長期的視点に立った大胆な投資、そして徹底した効率化の追求。これらの戦略は、時代や業種を超えて参考になる普遍的な経営の知恵ではないでしょうか。
特に印象的なのは、課題を前にしたときの発想の転換です。水不足なら「ダムを作る」、輸送が非効率なら「港を作る」という大胆な発想は、常識にとらわれない創造的な問題解決の好例です。
愛媛県という一地方から全国区の大企業へと成長した大王製紙の歴史は、地方創生や地域経済の活性化を考える上でも非常に示唆に富んでいます。地域の特性を活かし、大胆な発想で事業を展開することで、地方からでも大きな成功を収めることができるという希望を与えてくれます。
『がっちりマンデー』が伝える愛媛県の誇りとも言える大王製紙の成功物語は、ビジネスパーソンだけでなく、多くの視聴者にとって勇気と発想の転換を与えてくれる貴重な情報であったと言えるでしょう。
※ 本記事は、2025年4月27日に放送されたTBS系の人気経済番組「がっちりマンデー!!」を参照しています。
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