新聞全面広告で驚異的な売上を達成している世田谷自然食品。なぜ、デジタル時代に新聞広告が効果的なのでしょうか?「がっちりマンデー!!」で紹介(2024年8月4日放送-TBS系)された、その独自戦略と「違和感」を活用したマーケティング手法の秘密に迫ります。この記事を読めば、従来の常識を覆す新たな広告戦略のヒントが得られるかもしれません。
世田谷自然食品の驚異の売上実績
世田谷自然食品といえば、野菜ジュースが有名ですが、その売上実績は驚くべきものです。新聞広告担当の間瀬知美さんによると、野菜ジュースの販売開始からおよそ10年で、なんと319億円もの売上を達成しているそうです。
年間の売上は約30億円。累計販売本数は2億本以上にも上ります。通常価格で30本入り7,000円程度の商品が、これほどまでに売れている秘密はどこにあるのでしょうか。
新聞全面広告の力
世田谷自然食品が採用しているのは、新聞の全面広告戦略です。全国紙や地方紙、スポーツ新聞まで、実に55社もの新聞に広告を出しています。しかも、ほぼ毎日どこかの新聞に広告が掲載されているというから驚きです。
なぜ、ネット全盛の時代に新聞広告なのでしょうか。間瀬さんは次のように説明しています。
「新聞は読みたいと思って、実際に自分がお金を払って買っているという媒体であるからこそ、ちゃんと読まれる方が多いんです。野菜ジュースの商品の特徴や品質、美味しさなどをちゃんと新聞で説明できるんです。」
つまり、新聞読者は情報をしっかり読み込む傾向があり、商品の詳細な説明が効果的に伝わるというわけです。
新聞広告の「違和感」を活用した戦略
世田谷自然食品の新聞広告で特徴的なのは、あえて「違和感」を生み出す工夫です。例えば、「お試し価格1000円」という部分を手書き風にしているのです。
間瀬さんは、「新聞って全部活字じゃないですか。その中で広告で手書きがあるとパッと違和感があります。『あれ、なんで手書きなの?』って」と説明しています。
この「違和感」が読者の目を引き、注目を集める効果があるのです。さらに、手書き風の文字がスーパーの値引きのような印象を与え、「今だけのお得な商品」という感覚を生み出しているのです。
データ分析に基づいた広告戦略
世田谷自然食品の広告戦略で注目すべきは、徹底したデータ分析です。広告ごとに別々の申し込み番号を振り分け、どのレイアウトの原稿がよりたくさんの購入につながったかを細かく分析しています。
例えば、缶がずらっと並んだ広告と、みずみずしい野菜が目立つ広告を比較したところ、意外にも缶がずらっと並んだ方が売れるという結果が出たそうです。この「ずらっと並んだ缶」が、実際に届く本数を視覚的に示し、お得感を演出しているのかもしれません。
20代女性2人が担当する広告戦略
驚くべきことに、この新聞広告戦略を担当しているのは、間瀬知美さんと青木南月さんという20代の女性2人だけなのです。若い感性と斬新なアイデアが、従来の常識を覆す広告戦略を生み出しているのかもしれません。
新商品開発への展開
世田谷自然食品は、およそ10年のサイクルで主力商品を変えているそうです。かつての主力商品はグルコサミンでしたが、現在は野菜ジュースに。そして次は「お惣菜」が主力商品になる見込みだといいます。
新聞広告は、単なる販促ツールではなく、新商品のマーケティングツールとしても活用されているのです。トライアンドエラーを重ねることで、次の主力商品を見出しているのです。
まとめ
世田谷自然食品の新聞全面広告戦略は、一見すると時代遅れに思えるかもしれません。しかし、その実態は緻密なデータ分析と斬新なアイデアに基づいた、非常に効果的なマーケティング手法だったのです。
「違和感」を活用し、読者の目を引きつける工夫。徹底したデータ分析による広告の最適化。そして若い感性を活かした戦略立案。これらの要素が組み合わさり、驚異的な売上を生み出しているのです。
2024年現在、デジタル広告が主流となる中で、あえて新聞全面広告にこだわる世田谷自然食品。その独自の戦略は、広告業界に新たな可能性を示唆しているのかもしれません。
この記事を通じて、従来の常識にとらわれない柔軟な発想の重要性を感じていただけたでしょうか。ビジネスの世界では、時に「違和感」こそが新たな成功の鍵となるのです。
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