2025年6月1日、世界牛乳の日に放送されたTBS系「がっちりマンデー!!」で、宮城県白石市の山田乳業が大きな注目を集めました。創業141年の老舗乳業メーカーが生み出した革新的な商品「フロム蔵王ハイブリッドアイスクリーム」は、運送費という課題を逆転発想で解決し、年間200万個、売上2億2千万円の大ヒット商品となっています。番組では山田泰社長が語る成功の秘訣と、地元で愛され続ける企業の姿が紹介されました。
山田乳業のハイブリッドアイス「フロム蔵王」とは?がっちりマンデーで話題
がっちりマンデーで紹介された山田乳業の「フロム蔵王ハイブリッドアイスクリーム」は、従来のアイスクリームの常識を覆す画期的な商品です。このハイブリッドアイスの最大の特徴は、普通のアイスクリームとしても楽しめる一方で、溶けても液状にならずムース状を保ち、2通りの食感で楽しめることです。
番組内で新人ADの近藤さんが実際に試食した際、「なんか泡とも言わないんですけど、なんか不思議な、お菓子とかでも食べたことないふわふわっていう感じがしますね」と表現したように、従来にはない独特の食感が評判を呼んでいます。加藤浩次さんも「ムースだ。だからヨーグルトでもアイスでもないムースだよ」と驚きの声を上げるほど、新しいタイプのデザートとして認知されています。
宮城県白石市に本社を構える山田乳業は、宮城県内唯一の地場乳業メーカーとして、蔵王山麓の豊かな自然環境で生産される新鮮な生乳を活用しています。「おいしさ自然主義」をコンセプトに掲げ、地元産の良質な生乳を新鮮なうちに殺菌処理し、消費者に届けることを第一に考えた経営を行っています。
創業141年・山田乳業と山田泰社長の経営哲学
山田乳業の歴史は明治17年(1884年)まで遡ります。「山田養生舎」として創業し、酪農と牛乳の処理販売からスタートした同社は、現在の山田泰社長で代々受け継がれる家族経営企業です。太平洋戦争からの復興間もない1950年には、まだ日本では普及していなかったヨーグルトの製造を他社に先駆けて着手しました。
1963年に「山田乳業株式会社」に組織変更し、1965年にはアイスクリームの製造も手掛けるようになり、現在の業容を形成しました。その後、宮城県産や国産の特産物にこだわった商品群に「フロム蔵王」というブランドを付けることで、県外への販路拡大を図りました。
山田泰社長の経営哲学の特徴は、地元に根ざした商品開発です。蔵王山麓という酪農の盛んな地域に立地している利点を活かし、地元産の良質な生乳を集乳場経由にせず、そのままタンクローリーで市内の自社工場へ直接運ぶ独自の輸送ルートを確立しています。この輸送時間の短縮により、生乳で大切な殺菌・加熱処理が素早く行われ、より新鮮な状態で消費者に届けられています。
番組では工事中の事務所増築について質問された際、山田社長が「がっちり!」と答える場面もあり、着実な成長を続けている企業の姿が印象的でした。
フロム蔵王ハイブリッドアイスクリームの特徴「溶けてもおいしい」秘密
フロム蔵王ハイブリッドアイスクリームの「溶けてもおいしい」特徴を支えているのは、アイスの中にうまくゼラチンを混ぜる独自の製法です。番組内で行われた実験では、普通のアイスクリームが1時間放置後にドロドロの液体になったのに対し、ハイブリッドアイスはムース状で形を保っていました。
この新製法により、従来のアイスクリームでは考えられなかった「溶けても美味しく食べられる」という特性が実現されています。溶けた状態では、ふわふわのムースやババロアのような食感となり、まったく異なる味わいを楽しむことができます。
現在販売されているフロム蔵王ハイブリッドアイスには、セレクトバニラ、チョコレート、仙台いちご、宇治抹茶の4種類があり、各110ml入りのカップタイプで提供されています。蔵王高原で生産される新鮮な生乳をベースに作られており、濃厚なミルクの香りが特徴的です。
製品には要冷凍(-18℃以下)での保存が推奨されていますが、万が一溶けてしまっても美味しく食べられるという安心感が、多くの消費者に支持される理由の一つとなっています。
山田泰社長の逆転発想「運送費問題を解決したアイデア」
ハイブリッドアイスクリーム誕生の背景には、山田泰社長の「逆転発想」がありました。20年前から全国販売を目指していた山田乳業でしたが、最大の課題は運送費でした。
従来のアイスクリームの全国配送には、発泡スチロールとドライアイスが必要で、山田社長は番組で「発泡スチロールとドライアイスで送るって言うのがまあ普通のアイスクリームの送り方なんですが、発泡スチロールもドライアイスもめちゃくちゃ高いです」と当時の状況を振り返りました。
さらに発泡スチロール使用により荷物サイズが80サイズに大きくなり、運賃も上昇するという二重の問題を抱えていました。そこで山田社長が考えたのが「発泡スチロールとドライアイスをやめる方法はないのか?」という発想でした。
「だったら逆転の発想で溶けても美味しいアイスを作ればいいじゃん」という考えから生まれたのがハイブリッドアイスクリームです。山田社長自身も番組で「苦肉の策です」と謙遜していましたが、この発想転換により運送費を大幅に削減し、元々の箱よりもコンパクトな梱包で全国に届けられるようになりました。
この逆転発想により、地元では変わらぬ味で愛され続ける給食事業を維持しながら、全国には新たな価値を提供する商品を作り出すことに成功しました。現在では年間200万個の売上を誇る主力商品に成長しています。
山田乳業の地元で愛される商品「フレンドヨーグルト」
ハイブリッドアイスクリームで全国的な注目を集める山田乳業ですが、地元宮城県白石市では「フレンドヨーグルト」が47年間変わらぬ味で愛され続けています。番組では地元の小学生や高校生がフレンドヨーグルトについて熱く語る様子が紹介されました。
小学生は「他のは結構とろとろしてるけど、フレンドヨーグルトちょっと固めです」と他商品との違いを説明し、地元の高校生は「ストックでこれ3つで買ってます」「家の中に常にあります、本当に」と愛用ぶりを語っていました。
フレンドヨーグルトは年間400万個の売上を誇り、地元での圧倒的な支持を得ています。学校給食でも提供されており、白石市の子どもたちにとって当たり前の存在として親しまれています。この地域密着の商品が、山田乳業の経営基盤を支える重要な収益源となっています。
山田牛乳についても、刈田地区(七ヶ宿、白石、蔵王)や柴田郡、仙台の一部地域の小中学校給食用として1日約25,000本が出荷されており、年間470万本という実績を誇っています。番組で紹介された地元の小学校でも、子どもたちが「山田牛乳」「美味しいです」と口々に答える様子が印象的でした。
ふるさと納税返礼品で全国1位!フロム蔵王の人気の理由
フロム蔵王ハイブリッドアイスクリームは、ふるさと納税返礼品としても大きな成功を収めています。番組でゲストの森永康平さんが紹介したように、「実はここふるさと納税の返礼品にも出してるんですよ。今アイス部門で1位」という人気ぶりです。
ふるさと納税サイトでは「フロム蔵王 Hybrid スーパーマルチアイスBOX」として24個入りのセットが提供されており、セレクトバニラ、チョコレート、仙台いちご、宇治抹茶の4種のカップアイス(110ml)を各6個ずつ詰め合わせたメガ盛りのギフトセットとなっています。
この人気の理由として、アイスクリームの冬場の売上低迷という業界の課題を「溶けても美味しい」という特性で解決していることが挙げられます。森永さんも番組で「アイスって冬場売れないんですよ。なんで冬になると売り上げがどうしても安定しなくなるんですけども」と指摘していましたが、ハイブリッドアイスは季節を問わず楽しめる商品として年間を通じて需要があります。
また、「ハイブリッドアイス」という名前自体のインパクトも大きく、加藤浩次さんも番組で「ハイブリッドアイスって言われたら一回食べたくなるもんね」とコメントしていたように、商品名の分かりやすさと新奇性が消費者の興味を引く要因となっています。
楽天市場やYahoo!ショッピングなどのECサイトでも上位ランクインを果たしており、オンライン販売でも好調な売上を維持しています。
まとめ
2025年6月1日のがっちりマンデーで紹介された山田乳業の成功事例は、地方の中小企業が直面する課題を創意工夫で乗り越えた素晴らしい例です。山田泰社長の逆転発想から生まれたフロム蔵王ハイブリッドアイスクリームは、運送費という現実的な問題を「溶けてもおいしい」という新たな価値に変換することで、年間200万個、売上2億2千万円の大ヒット商品となりました。
創業141年の歴史を持つ山田乳業は、地元で愛されるフレンドヨーグルトや山田牛乳で培った信頼をベースに、全国市場でも独自のポジションを確立しました。ふるさと納税返礼品のアイス部門1位という実績は、同社の商品力と企画力の高さを物語っています。
「おいしさ自然主義」をコンセプトに、蔵王山麓の豊かな自然環境を活かした商品開発を続ける山田乳業の取り組みは、地方企業の成功モデルとして多くの示唆を与えてくれます。伝統と革新を両立させながら、地域密着と全国展開を実現した山田乳業の今後の展開にも注目が集まります。
※ 本記事は、2025年6月1日放送(TBS系)の人気番組「がっちりマンデー!!」を参照しています。
※ 山田乳業のHPはこちら
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