鮮魚店の値段の付け方に疑問を持ったことはありませんか?特に物価高が続く昨今、魚の値段が気になる方も多いでしょう。2025年3月25日放送のテレビ東京系の人気番組「ライフイズマネー」で紹介された本庄鮮魚の値段の付け方は、ビジネスにも応用できる知恵に満ちています。大衆魚で利益を確保しつつ、高級魚は適正価格で提供するなど、3つのパターンを使い分ける戦略を知れば、お買い物上手になるだけでなく、自分のビジネスにも活かせるヒントが満載です。
本庄鮮魚の値段の付け方3パターンとは?人気鮮魚店の戦略を徹底解説
2025年も物価高が続く中、多くの人が食費の節約を考えています。特に鮮魚は価格の変動が激しく、良質な魚を手頃な価格で購入したいと考える人が増えています。そんな中、テレビ東京の経済番組「ライフイズマネー~世の中お金で見てみよう~」で、人気鮮魚店「本庄鮮魚」の値段の付け方について特集が組まれました。
本庄鮮魚は埼玉県を拠点に、本庄店、鶴ヶ島店、亀戸店の3店舗を展開し、常時約100種類もの魚介類を取り扱っています。これは一般的なスーパーの約3倍の品揃えです。そんな本庄鮮魚が実践している値段の付け方は、大きく分けて3パターンあります。
- しっかり利益を取る商品(粗利率約40%)
- 普通に利益を取る商品(粗利率約25〜32%)
- 採算度外視で提供する商品(赤字覚悟のサービス品)
これらの値段設定の背後には、消費者心理や市場環境を巧みに読み取った戦略が隠されています。一般的なスーパーに比べ、廃棄率を抑えながら高品質な魚を提供できる秘訣にも注目が集まっています。
大衆魚は粗利40%!本庄鮮魚が「アジ」などの人気魚で儲ける理由
本庄鮮魚の値段設定の第一パターンは、「しっかり利益を取る商品」です。この代表格が「アジ」などの大衆魚です。本庄鮮魚の仕入れ担当者である磯谷成輝さんは、「売れちゃう魚なので、多少は儲けさせていただく粗利商材」と説明しています。
具体的な数字を見てみましょう。豊洲市場でのアジの仕入れ価格は1尾あたり約180円。これを店頭では300円で販売しているため、粗利率は約40%になります。これは一見高い数字に感じるかもしれませんが、鮮魚は日持ちしないため、売れ残りのリスクを考慮した値段設定が必要なのです。
また、本庄鮮魚ではアジ以外にも、鯛や鯖などの知名度が高く需要の多い大衆魚に関しても同様の値段設定をしています。これらの魚は消費者にとって馴染み深く、調理方法も確立されているため、手に取りやすいという特徴があります。
値段交渉の場面でも興味深い点が見られました。豊洲市場で3店舗分のアジを仕入れる際、当初は1箱6,000円でしたが、交渉の末に5,000円まで値引きしてもらうことに成功しています。このように仕入れ段階から利益率を高める工夫も行っているのです。
マツカワカレイなど知名度の低い高級魚の値段設定と販売戦略
本庄鮮魚の値段設定の第二パターンは、「普通に利益を取る商品」です。これは主に知名度の低い魚や高級魚に適用されます。特に注目すべき例が「マツカワカレイ」です。
マツカワカレイは、刺身にしても絶品と言われる白身魚ですが、漁獲量が少ないため「幻の高級魚」として知られています。本庄鮮魚では、このような知名度の低い高級魚は「売れ残りのリスク」を考慮して、粗利率を抑えています。
実際の数字を見てみましょう。マツカワカレイの仕入れ価格は1尾あたり約2,250円。これを店頭では3,000円で販売しているため、粗利率は約25%になります。これは大衆魚の粗利率40%に比べると、かなり控えめな設定です。
また、珍しい魚として「ハチビキ」も紹介されました。長崎県産のハチビキは、見た目から「赤鯖」とも呼ばれる魚で、1尾950円で仕入れ、店頭価格は1,400円と設定されていました。粗利率は約32%で、こちらも大衆魚に比べて低めの設定となっています。
本庄鮮魚の南雲将武店長は、「買っていただいて初めて商売のサイクルが回ります。あまり知られていないけど美味しいという魚を販売して、お客様に『前回美味しかった』と言っていただけると、やりがいを感じます」と語っています。
さらに、顧客満足度を高めるために、本庄鮮魚では珍しい魚の美味しい食べ方を研究し、接客時にお客様へ提案しています。例えば、マツカワカレイはお寿司や煮付けにすると特に美味しいとアドバイスしているのです。
解体ショーのマグロは「赤字覚悟」!顧客獲得の秘策とは
本庄鮮魚の値段設定の第三パターンは、「採算度外視」で提供する商品です。これは顧客獲得のための戦略的な価格設定と言えるでしょう。
最も顕著な例が、2週間に1度開催される「マグロの解体ショー」で販売されるマグロです。解体ショーでは、中トロの柵も大トロの柵も、どちらも税抜き1,500円で販売されています。これは通常の相場からすると、かなり安い価格設定です。
番組では、このマグロの販売は「儲けなしの値段」であると紹介されていました。つまり、利益を度外視した価格設定なのです。なぜそのような価格設定をするのでしょうか?それは、お客様に喜んでもらい、店のファンになってもらうための「サービス品」として位置づけているからです。
実際、マグロの解体ショーの日には、多くの人が集まり、捌いたそばから柵のマグロが飛ぶように売れていくという光景が見られます。このように、一部の商品を「赤字覚悟」で提供することで、集客力を高め、他の商品の購入にもつなげる戦略が取られているのです。
この戦略は、短期的には利益を犠牲にしますが、長期的には顧客ロイヤルティを高め、リピーターを増やすことにつながります。まさに「損して得取れ」の考え方を実践していると言えるでしょう。
本庄鮮魚の廃棄率はわずか1.2%!安く提供できる理由と工夫
本庄鮮魚が魚を比較的安く提供できる理由の一つに、廃棄率の低さがあります。番組では、全国のスーパーマーケットの鮮魚コーナーの廃棄率が平均で8.6%であるのに対し、本庄鮮魚はわずか1.2%というデータが紹介されました。
この低い廃棄率を実現するために、本庄鮮魚では様々な工夫をしています。例えば、売れ残りそうな魚は調理してお寿司にしたり、人気のある魚と無名の魚をセットにして販売したりするなど、商品形態を変えることで対応しています。
また、魚の目利きも重要な要素です。本庄鮮魚の仕入れ担当者である磯谷さんは、豊洲市場で新鮮で美味しい魚を見極めています。値段が高すぎると判断した場合は、無理に仕入れることはせず、「ちょっと安く買える時じゃないとなかなかお客さんに手に取ってもらえない」と述べています。
このように、仕入れの段階から売り切るまでの一連のプロセスを最適化することで、廃棄ロスを最小限に抑え、その分を価格に還元することができるのです。これは環境面でも経済面でも優れた取り組みと言えるでしょう。
外国人に人気の魚「ボラ」が利益商品に変わった秘密
本庄鮮魚の値段設定の面白い事例として、「ボラ」の存在が挙げられます。ボラは、その卵巣が「カラスミ」として高級品として知られていますが、身自体は臭みがあるため、日本人にはあまり好まれない魚でした。
しかし近年、本庄鮮魚では外国人客、特に南西アジア出身の方々がボラを積極的に購入しているそうです。番組では、バングラデシュやインド出身の方々がボラを輪切りにして購入する様子が紹介されました。
彼らはボラをフライやカレーなどにして調理し、ご飯と一緒に食べるとのこと。特にバングラデシュ風ボラカレーは、スパイスで臭みを消し、美味しく食べられる料理として紹介されました。
このように、かつては日本人には人気のなかったボラが、外国人客の需要によって「利益を出す魚」に変わったのです。これは、多様な顧客層を理解し、その需要に応えることで、新たなビジネスチャンスを生み出した好例と言えるでしょう。
同様に、かつては「知る人ぞ知る魚」だったカワハギも、現在では認知度が上がり、利益を多く取れるようになってきたとのことです。魚の知名度や需要の変化に合わせて、柔軟に価格設定を変えていくことも、本庄鮮魚の戦略の一つなのです。
まとめ:本庄鮮魚に学ぶ、成功する値段の付け方とは
テレビ東京の「ライフイズマネー」で紹介された本庄鮮魚の値段の付け方から、ビジネスに活かせる多くの知見が得られました。
本庄鮮魚の成功のポイントは、以下の3つの値段設定パターンをバランスよく組み合わせていることにあります:
- 大衆魚(アジ、タイ、サバなど)で粗利40%を確保する
- 知名度の低い魚や高級魚(マツカワカレイ、ハチビキなど)は粗利25〜32%に抑える
- 解体ショーのマグロなどは「赤字覚悟」のサービス品として提供する
これらの戦略に加えて、廃棄率をわずか1.2%に抑える工夫や、外国人客の需要を捉えたボラの販売戦略など、細やかな市場分析と顧客理解が、本庄鮮魚の成功を支えています。
また、知名度の低い魚の美味しい食べ方を研究し、顧客に提案する姿勢も、顧客満足度を高める重要な要素となっています。カワハギのように、時間をかけて認知度を高め、徐々に利益率を上げていく長期的な視点も見逃せません。
物価高が続く2025年の今、小売業に限らず様々なビジネスにおいて、このような「メリハリのある値段設定」と「顧客志向の商品開発」は大きなヒントになるでしょう。本庄鮮魚の事例は、単なる値段設定の話を超えて、持続可能なビジネスモデルの構築に関する貴重な示唆を与えてくれています。
※本記事は、2025年3月25日放送のテレビ東京系人気番組「ライフイズマネー」を参照しています。
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