【カンブリア宮殿】LOWYA浮城智和社長「バズリ家具で年商159億」成功の全貌

カンブリア宮殿で話題！LOWYA（ロウヤ）とは？浮城智和が築いた家具EC帝国

「カンブリア宮殿」では、家具ECのパイオニアとして注目を集めるLOWYA（ロウヤ）を運営するベガコーポレーションの浮城智和社長が出演し、大きな反響を呼びました。

ベガコーポ―レーションの浮城智和社長　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（引用：「カンブリア宮殿」より）

LOWYAは、福岡市に本社を構えるベガコーポレーションが展開する家具・インテリアブランドです。2004年の創業以来、ネット専業で事業を展開し、現在では年商159億3,500万円規模まで成長した家具EC界の革命児と言えるでしょう。従業員数244人という比較的コンパクトな組織ながら、デザイン性・機能性・価格の三拍子が揃った商品で、20～30代の若者や主婦層を中心に熱狂的なファンを獲得しています。

特に注目すべきは、LOWYAが生み出す「バズリ家具」の存在です。SNSのショート動画では再生回数1,000万回を超える商品を次々と生み出し、実物を見られないというネット通販の弱点を独自の戦略で克服してきました。売上の9割が自社開発のオリジナル商品という点も、他社との大きな差別化要因となっています。

2023年からは実店舗の展開も開始し、わずか2年間で全国10店舗（2025年現在）まで拡大するなど、ECとリアルの融合を図るOMO戦略にも積極的に取り組んでいます。

浮城智和社長の起業ストーリー「インターネットと家具ECの可能性を見抜いた慧眼」

ベガコーポレーション社長の浮城智和氏（48歳）は、1976年北九州市で生まれました。実家が不動産業を営んでいたこともあり、子供の頃から会社員になるイメージは持てず、起業への道を歩むことになります。

転機となったのは19歳の時です。1995年のWindows95登場とともにインターネットが急速に普及する中、浮城氏は「全身稲妻走るってこういうことかな」と表現するほどの衝撃を受け、ネットビジネスの可能性を確信しました。しかし、当時はまだ経験値が低く、どの分野でインターネットと掛け合わせれば成功できるかが見えませんでした。

そこで浮城氏が取った戦略が、20代を1年ごとに異なる業界で働くというユニークなものでした。寿司店、携帯電話ショップ、不動産会社など様々な職種を経験し、ネットとの親和性を探求したのです。しかし、25歳頃からは転職が難しくなり、26歳の時には無職期間も経験しました。

人生を変える出会いは、家具の輸入商社でのアルバイト時代に訪れます。取引先の家具店で、顧客が店に在庫がない色の商品をカタログだけを見て注文している光景を目撃したのです。「家具って物が大きくて、全部が全部、店舗に在庫をされてなくて、注文が入ったので、この商品を送ってください」という流れが当たり前に行われていることに気づき、これがECの原型だと直感しました。

27歳でベガコーポレーションを創業した浮城氏でしたが、順風満帆とはいきませんでした。事業が軌道に乗り始めた頃、仕入れ先の家具メーカーが自分たちもネット販売を始めたのです。メーカー直販の方が安いため、LOWYAの売上は激減し、倒産の危機に迫られました。

この最大のピンチを乗り越えたのが、商品ページを他社よりもひたすら詳しく書き直すという地道な取り組みでした。浮城氏は社員が帰った後、一人で深夜まで商品説明の改善に取り組み、わずかな可能性を信じて努力を続けました。その後、中国を回って新たな仕入れルートを開拓し、海外メーカーとのオリジナル商品開発に着手することで、現在のビジネスモデルの原型を完成させたのです。

LOWYAが生み出すバズリ家具の秘密「SNS戦略と年間3000件のコンテンツ制作」

LOWYAの大きな特徴の一つが、SNSで話題となる「バズリ家具」を次々と生み出していることです。本社近くのマンションの一室を撮影スタジオとして活用し、年間3000件ものコンテンツを制作している点が、その成功の秘密と言えるでしょう。

SNS担当は20代の若手社員が中心となっており、商品の魅力を伝える動画撮影を行っています。撮影では実際の使用シーンを想定し、「購入した後のイメージがめっちゃ膨らみやすくなる」ような動画作りを心がけています。特に印象的なのは、逆再生やスピード感のある編集で商品の機能性をわかりやすく伝える手法です。

実際に大きな話題となったバズリ家具のランキングを見ると、その戦略の成功がよくわかります。

第3位：伸縮ラック（14,990円） 再生回数1,400万回を記録したこの商品は、その名の通り伸び縮みして長さを変えられる機能が特徴です。動画では見せる収納と隠す収納を演出し、角度を変えてコーナーにも置ける多用途性 をアピールしました。

伸縮ラック（引用：「LOWYA」HPより）

第2位：推し活収納OSHITERU（17,990円） 再生回数3,100万回という驚異的な数字を記録したのが、アニメやアイドルなどの推しのコレクション用に開発された商品です。写真集やCD、タオルやうちわなどをしまえ、普段は普通の収納として使える点がZ世代の心を掴み、ニッチなターゲットにも関わらずヒット商品となりました。

推し活収納OSHITERU　（引用：「LOWYA」HPより）

第1位：折りたたみダイニングテーブルセット（49,990円） 堂々の第1位は再生回数3,400万回を記録した折りたたみダイニングテーブルセットです。天板を畳むことで人数に合わせて4人掛けから2人掛けに変えられ、椅子を使わない時は収納してコンパクトになる機能性が大きな話題となりました。

折りたたみダイニングテーブルセット　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（引用：「LOWYA」HPより）

これらの成功を支えているのが、専属のスタイリストによる撮影体制です。商品に合う家具や雑貨をコーディネートし、実際の部屋に置かれているような写真に仕上げることで、「自分とこにも合うな」とイメージしやすいような工夫を凝らしています。一つの商品だけで撮影が1日がかりになることも珍しくなく、その徹底したこだわりがバズる動画を生み出す原動力となっています。

ネット専業から実店舗展開へ「LOWYAが全国9店舗に拡大する理由」

LOWYAは2004年の創業以来、一貫してネット専業で事業を展開してきましたが、2023年から実店舗の運営を開始しました。この大きな方向転換の背景には、「実物見れないんですか？」という顧客からの声が20年間言われ続けてきたことがあります。

浮城社長自身も「実物見たい派」だと公言しており、特にソファーやマットレスなどの商品については、座り心地や寝心地を伝えることの難しさを実感していました。実際に店舗で顧客が座ったり寝て試したりしている姿を見ると、「家具っていうのは実物を見るっていうことと親和性が高い」ことを改めて認識したといいます。

2023年4月に1号店となる「LOWYA九大伊都店」をブランド誕生の地である九州（福岡市）に開業してから、わずか2年間で10店舗まで拡大しています（2025年現在）。

現在の店舗展開状況：

• LOWYA九大伊都店（福岡）
• LOWYAなんばパークス店（大阪）
• LOWYA名古屋みなと店（愛知）
• LOWYAマークイズみなとみらい店（神奈川）
• LOWYA二子玉川ライズ店（東京）
• LOWYAイオンモール広島府中店（広島）
• LOWYAイオンモール茨木店（大阪）
• LOWYAマークイズ静岡店（静岡）
• LOWYAららぽーと安城店（愛知）
• LOWYAイオンモールむさし村山店（東京）

各店舗は約500点の商品を展示し、L字型パソコンデスク（14,990円）、4人掛けダイニングテーブルセット（27,990円）、日本製ローテレビ台（39,990円）など、リビングの家具一式を15万円ほどで揃えられる価格設定で好評を得ています。

2025年には既にイオンモールむさし村山店とららぽーと安城店が開業しており、さらなる店舗拡大が計画されています。ベガコーポレーションは実店舗展開を積極化することで、ECと直営店を連動させながらOMO展開を実現し、在庫状況や展示状況、持ち帰り状況など、さまざまなデータを連動させていく戦略を描いています。

ベガコーポレーションの商品開発力「売上9割がオリジナル商品の舞台裏」

LOWYAの最大の強みは、売上の9割を占める自社開発のオリジナル商品にあります。「どこにでもある商品は作らない」という明確な方針のもと、社員のプロダクトデザイナーたちが日々新しい商品を生み出しています。

入社15年目のヒットメーカー森慎介氏は、開発のアプローチについて次のように語っています。「普段当たり前のように使ってる商品であっても、ここの棚って動けばいいのにとか、ここが引き出しになってたら、便利なのに」という潜在的なニーズを見つけ出し、それを解決することが企画のスタートだと説明します。

最近のヒット商品である3人掛けソファー（72,990円）は、まさにその発想から生まれました。一般的にソファベッドは若者層向けの商品が多い中、潜在的なニーズを紐解くとファミリー層の広いリビングでも使われており、来客時にたまにベッドにするという声が多いことがわかりました。そこで、ファミリーが重宝しそうな大容量の収納スペースも付けることで、「痒いところに手が届く」商品に仕上げたのです。

オリジナル商品の製造では、国内外の提携工場に依頼しており、その8割は海外メーカーが担っています。創業104年の老舗メーカー東馬との連携も重要な要素の一つです。バイヤーの手島良輔氏が東馬の工場を訪れ、新商品のテレビ台の試作をチェックする様子からも、品質へのこだわりが伝わってきます。

東馬の木原涼氏は「デザインにやっぱりこだわられるということで、我々工場も新しい案件をいただいたら、それをどうにか実現できないか。本当に開発し甲斐がある」と語っており、LOWYAの商品開発力が製造パートナーからも高く評価されていることがわかります。

商品開発では社員全員が企画に参加できる社風を大切にしており、推し活収納OSHITERUも推し活好きの女性社員の発案から生まれました。浮城社長は「そういう者たちが集まって、あんまり私も細かいこと言わずに、どうぞご自由に」という姿勢で、現場の創造性を重視しています。

AI活用の最前線「おくROOMアプリで変わる家具購入体験」

LOWYAは家具EC業界でいち早くテクノロジーの活用に取り組んでおり、2024年11月にリリースした「おくROOM」アプリは、その集大成と言える存在です。浮城社長も日常的にChatGPTを事業相談に活用するなど、新しいテクノロジーをビジネスに生かす姿勢を見せています。

アプリ「おくROOM」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（引用：「ベガコーポレーション」HPより）

おくROOMアプリは、購入前に欲しい家具を部屋に試し置きして、全体のイメージを確認できる革新的なサービスです。まず家具を置きたい部屋の寸法や床の色などを入力すると、部屋が3Dで再現され、そこに家具を配置して様々なコーディネートを試すことができます。

実際にアプリを使用した小野寺さん一家では、L字型の大きめなソファーを試し置きし、「かなり広い」「座面が奥まである」「ちょうどいい」などの確認ができました。一週間後に実際のソファーが届いた際も、「アプリ、しっかりそれ通りだったなっていう感じがします。大満足です」という高い満足度を得ています。

このアプリのもう一つの特徴は、家具選びに迷った時にAIが部屋に合ったコーディネート例を提示してくれる機能です。リリースから半年で40万ダウンロードを突破するなど、ユーザーからも高い支持を得ています。

ARを中心としたテクノロジーへの投資は、「引っ越しする前にだいたいどのような部屋になるのか確認することができ、引っ越した後に『イメージが違った』『大きすぎた』などのエラーを防ぐ」という明確な課題解決を目的としています。これにより、実物を見られないというネット通販の弱点を、テクノロジーで克服する新しいアプローチを実現しています。

東馬など老舗メーカーとの連携「LOWYAのものづくりネットワーク」

LOWYAの成功を支える重要な要素の一つが、東馬のような老舗メーカーとの強固な連携です。創業104年の歴史を持つ東馬との協業は、LOWYAのオリジナル商品開発における品質向上に大きく貢献しています。

番組で紹介された新商品のテレビ台開発では、縦格子を使った凝ったデザインという、LOWYAにはなかった新しい挑戦が行われていました。バイヤーの手島良輔氏が東馬の工場を訪れ、「デザイナーのこだわりで、どうしてもこの脚でいきたい」という強いこだわりを持って臨む姿勢が印象的でした。

コストよりもデザインに振り切った商品作りに対し、東馬の木原涼氏は「我々工場も、新しい案件をいただいたら、それをどうにか実現できないか。本当に開発し甲斐がある」と前向きな姿勢を示しており、単なる製造委託を超えた共創関係が築かれています。

LOWYAのオリジナル商品は、国内外の提携工場に製造を依頼していますが、その8割は海外メーカーが担っています。この多様な製造ネットワークにより、デザイン性と機能性を両立させながら、手頃な価格での商品提供を実現しています。

特に注目すべきは、「図面通り、イメージ通りできてるかなと思ってます」という手島氏の言葉に表れているように、LOWYAのデザイナーの意図が製造現場まで正確に伝わっている点です。この緊密なコミュニケーションが、高い完成度のオリジナル商品を生み出す原動力となっているのです。

浮城社長の「デザイン性、機能性、低価格。お求めやすい価格で収まる範囲でどれだけおしゃれにできるのか、どれだけ機能を詰め込めていけるのか、一つずつ丁寧に商品を作っていく」という理念が、製造パートナーにも共有され、LOWYAブランドの価値向上に貢献しています。

まとめ

2025年7月10日のカンブリア宮殿で紹介されたLOWYAの成功事例は、デジタル時代の家具EC業界における革新的なアプローチを示す貴重な事例です。浮城智和社長の先見性とリーダーシップのもと、ベガコーポレーションは年商159億3,500万円という驚異的な成長を遂げました。

SNSで話題となるバズリ家具の開発、実店舗への展開、AIを活用した新サービス「おくROOM」、そして老舗メーカーとの連携による高品質なものづくりなど、多角的な戦略でネット通販の弱点を克服し続けています。特に売上の9割を占めるオリジナル商品の開発力と、年間3000件のコンテンツ制作によるマーケティング力は、他社との大きな差別化要因となっています。

今後も実店舗の拡大やテクノロジーの活用により、ECとリアルの融合を進めるOMO戦略の推進が期待されます。浮城社長の「好況よし、不況なおよし」という松下幸之助の教えを胸に、変化する市場環境に柔軟に対応しながら、さらなる成長を目指していくLOWYAの動向に今後も注目が集まりそうです。

※ 本記事は、2025年7月10日放送（テレビ東京系）の人気番組「カンブリア宮殿」を参照しています。