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【いまからサイエンス】服部正平が語る腸内細菌「40兆個の秘密」とは

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2025年11月26日放送のBSテレ東「いまからサイエンス」で、東京大学名誉教授の服部正平先生が腸内細菌研究の最前線を語りました。私たちの体に住む40兆個・1000種類の腸内細菌が、がんや生活習慣病に深く関わっていること、そして世界各国を比較した驚きの研究結果が明らかに。この記事では、番組で語られた腸内細菌の秘密と、服部教授の驚くべき経歴まで詳しく解説します。


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腸内細菌40兆個・1000種類が健康を左右する驚きの事実

番組冒頭で明かされたのは、私たちの体に約40兆個、1000種類もの腸内細菌が住んでいるという事実です。そして驚くべきことに、一人として同じ腸内細菌バランスの人間は存在しないのです。

服部正平教授は「親子でも、兄弟でも、一卵性双生児でも腸内細菌は全然違う」と説明しています。人それぞれが持つ菌の種類や割合を比較すると、30〜40%も異なるというのですから、腸内細菌の多様性には目を見張るものがあります。

さらに注目すべきは、地球上に存在する菌の数です。人口が約100億人に対し、菌は10の30乗個も存在します。服部教授の言葉を借りれば、「菌が人間と同じ大きさだとしたら、私たちは菌に囲まれて肩身が狭い状態で生きている」ということになります。

この膨大な数の菌の中で、私たち人間は40兆個もの常在菌と共生しています。そしてその約9割が腸に存在する腸内細菌なのです。これらの菌は、手を洗ってもわずか1〜2時間で元通りになるほど、私たちの体と密接不可分な関係にあります。

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服部正平教授のプロフィール|東京大学名誉教授の経歴と実績

服部正平先生は、東京大学名誉教授で、現在は早稲田大学先進生命動態研究所の招聘研究員として研究を続けています。

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東京大学の服部正平名誉教授                              (引用:「いまからサイエンス」より)

腸内細菌研究で世界から注目される服部教授ですが、実は元々は化学が専門でした。工学部で化学を学び、博士号を取得した後、東亞合成という化学会社に就職。そこで私たちにもなじみ深い瞬間接着剤「アロンアルファ」の改良開発に携わっていたというから驚きです。

その後、バイオテクノロジーの波が到来した1980年頃、会社からの命令で九州大学医学部に派遣され、DNA研究の道へ。当初は「今更生物なんかできるか」と反発していた服部教授でしたが、DNA分子を扱う実験が化学実験と同じ感覚でできることに気づき、一気に魅了されていきます。

そして最も重要な功績が、ヒトゲノム計画への参画です。2003年から13〜15年をかけて、人間の30億塩基対を解読する国際プロジェクトに貢献。ヒトゲノム全解読に寄与した研究者の一人として、世界的に知られる存在となりました。

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DNA解析技術で腸内細菌研究が劇的に進化した理由

腸内細菌研究が長年困難だった理由は、常在菌のほとんどが培養できないという壁にありました。病原菌は寒天培地で培養して研究できますが、常在菌は1種類だけでは生きられず、集団の中でお互いに助け合って生きているため、個別に取り出しても増殖しないのです。

この難題を解決したのが、服部教授らが開発したDNA解析技術です。

培養せずに便から腸内細菌のDNAを一括で取り出し、次世代シーケンサーという機械で塩基配列(GATC)を読み取ります。この方法により、1000種類もの腸内細菌を培養せずに、まとめて解析できるようになったのです。

服部教授は「世界で一番初めに、この方法を編み出した」と語っています。元々化学を専門としていた服部教授にとって、DNAは単なる化学物質。生物学を学んできた研究者たちが苦戦する分子実験を、化学の知識で難なくこなせたことが、この革新的手法の開発につながりました。

この技術により、一人一人の腸内細菌の90%以上を占める菌種の特定や、その割合を決定できるようになり、腸内細菌研究は飛躍的に進歩したのです。

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世界12カ国比較で判明!国同士に共通点がある驚きの理由

番組で最も衝撃的だったのが、世界12カ国の成人の腸内細菌を比較した研究結果です。

服部教授らの研究チームが各国の腸内細菌の種類と割合を調べたところ、地理的に全く離れた国同士が似ているという予想外の結果が出ました。具体的には、日本・オーストリア・フランス・スウェーデンが同じクラスター(集まり)に分類され、アメリカと中国も似たパターンを示したのです。

「全然場所違うじゃないですか!」と驚く加藤浩次さんに対し、服部教授は興味深い仮説を提示します。それが抗生物質の使用量です。

従来、腸内細菌は食事によって決まると考えられてきました。しかし実は、「食事と腸内細菌の関係には明確なデータがなかった」と服部教授は指摘します。むしろデータから見えてきたのは、抗生物質の使用量が腸内細菌の組成を大きく変えているという事実でした。

グラフを見ると、抗生物質の使用量が少ない国(マラウイ、ベネズエラ、ペルー)、多い国(アメリカ、中国、デンマーク、スペイン、ロシア)、中程度の国(スウェーデン、フランス、オーストリア、日本)で、それぞれのグループ内の腸内細菌組成が非常に似ていることが確認されています。

この発見は、「腸内細菌は食べ物で決まる」という常識を覆す画期的な研究成果と言えるでしょう。

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腸内細菌の組成を決めるのは「食事」ではなく「抗生物質」

「地球上で微生物に最も影響を与えるものは抗生物質だ」と服部教授は断言します。

抗生物質は、細菌による炎症を抑えるために幅広く使われる薬です。しかし、体内の菌だけでなく環境中の菌にも影響を及ぼし、腸内細菌の組成を大きく変えてしまいます。

興味深いのは、抗生物質の使用が医療の発達と比例している点です。先進国ほど医療が発達しており、感染症治療だけでなく、歯の治療後の予防的使用など、さまざまな場面で抗生物質が処方されます。その結果、先進国の国民の腸内細菌は、抗生物質の影響を強く受けた組成になっているのです。

一方、マラウイやベネズエラ、ペルーなど医療があまり進んでいない地域では、抗生物質の影響を受けていない本来の腸内細菌層が保たれていると考えられます。

ただし服部教授も指摘するように、「病気になったら抗生物質を飲まなければならない時は飲まなければだめ」です。近年の医学教育では「できるだけ抗生物質を使わないようにする」という方針が若い医師に教えられているそうで、抗生物質と上手く付き合っていく必要性が認識されています。

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がんや生活習慣病との関係|人間のゲノムより影響大?

番組で服部教授が強調したのは、腸内細菌が人間の遺伝子よりも病気に影響している可能性です。

「がんや生活習慣病など、腸内細菌の機能の方が疾患の発症に関係している」という研究結果が出てきているのです。これまで病気を治すための薬は、主に人の遺伝子をターゲットにして作られてきました。しかし、病気を引き起こしているのが腸内細菌であれば、その部分は手つかずのまま残されていることになります。

糖尿病の患者を調べると同じような菌が出てくることから、特定の菌が病気を起こしていることが明らかになってきました。服部教授は「腸内細菌をターゲットにした薬を作れば、非常に効率の良い薬ができるのではないか」と展望を語っています。

また番組では、精神疾患(自閉症スペクトラム、うつ病など)と腸内細菌の関係についても触れられました。精神疾患の患者の腸内細菌を調べると、健康な人とは違う組成を持っていることが分かっています。ただし、「病気になったから腸内細菌が違うのか、腸内細菌が違うから病気になるのか」という因果関係の証明はまだされていないとのことです。

腸内細菌研究は、私たちの健康と病気の理解を根本から変える可能性を秘めているのです。

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服部正平のターニングポイント|化学からヒトゲノム計画へ

服部教授の研究人生における最大のターニングポイントは、会社からの思わぬ命令でした。

1980年頃、バイオテクノロジーが注目され始めた時代。化学会社の東亞合成で瞬間接着剤の改良に取り組んでいた服部教授は、会社から「DNA研究をしてこい」と九州大学医学部への派遣を命じられます。

「生物には全然興味がない」「化学で生きていくんだ」と思っていた服部教授でしたが、実際にDNA研究に取り組んでみると、化学実験と同じ感覚で扱えることに気づきます。むしろ、生物学を学んできた研究者たちが苦戦する分子実験を、化学の知識でスムーズにこなせたのです。

そして何より、「化学はアイデアが行き詰まり、重箱の隅をつつくようなことしかできなかったが、生物の世界はほとんど何も分かっていない。やることがいっぱいある」という魅力を感じたと言います。

半年で会社に戻るつもりだった服部教授でしたが、3年滞在し、最終的には会社を辞めて大学に残る決断をします。九州大学の教授が「ヒトゲノムをやりたい」という夢を持っており、服部教授がその研究にぴったりの人材だったからです。

「人を対象にすることは面白い」「人とは何か、人の進化をゲノムで見る」というテーマに惹かれた服部教授は、ヒトゲノム計画に参画。30億塩基対を13〜15年かけて解読するという、技術的にも挑戦的なプロジェクトに全力で取り組みました。

ヒトゲノム計画終了後、「次は何を研究しようか」とぶらぶらしていた(文献を読んでいた)時に、「腸内細菌という面白いものがある」と紹介されたことが、現在の研究につながっています。

番組の最後で服部教授は「サイエンスとは明日のことを考える」という金言を残しました。「今日のことは既知。我々は未知を見ようとしている」という言葉には、常に先を見据えて研究を続ける姿勢が表れています。

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まとめ:腸内細菌研究が切り開く「明日」への可能性

2025年11月26日放送の「いまからサイエンス」で明らかになった腸内細菌の秘密は、私たちの健康観を大きく変える可能性を秘めています。

40兆個・1000種類という膨大な腸内細菌が、がんや生活習慣病に深く関わっていること。そして、その組成を決めているのは食事ではなく抗生物質の使用量であるという驚きの発見。服部正平教授のDNA解析技術により、これまで謎に包まれていた腸内細菌の世界が次々と明らかになっています。

化学からバイオテクノロジーへ、ヒトゲノムから腸内細菌へと研究対象を変えながらも、常に「未知」に挑戦し続けてきた服部教授。その研究は、「20年後にはもう解明されているんじゃないか」という言葉通り、着実に進んでいます。

乳酸菌入りの商品を飲めば健康になるという単純な話ではなく、「健康とは何か」という根本的な問いに向き合いながら、腸内細菌をターゲットにした新しい治療法の開発へ。服部教授の研究は、私たちの「明日」をより良いものにする可能性に満ちているのです。

※ 本記事は、2025年11月26日放送(BSテレ東)の人気番組「いまからサイエンス」を参照しています。

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