2024年11月28日放送(テレビ東京系)の「カンブリア宮殿」で話題となった「買いクル」。無店舗型リユースという新しいビジネスモデルで、日本のリユース業界に革新を起こしています。創業者の大堀直樹社長が掲げる「何でも査定、何でも引き取り」の理念と、その独自のビジネスモデルについて詳しく解説していきます。
買いクルとは?「何でも査定、何でも引き取り」で急成長するビジネスモデル
現在3兆円を超える日本のリユース市場。その中で「買いクル」は、出張買取に特化した無店舗型リユースチェーンとして急成長を遂げています。株式会社RCが運営する「買いクル」の最大の特徴は、「何でも査定、何でも引き取り」というシンプルな方針です。
ブランドバッグやドライヤーといった一般的な商品はもちろん、紙袋や釜飯の容器まで買い取ります。通常なら粗大ごみとして処分費用がかかるような不用品でも、「買いクル」なら無料で引き取り、さらには買い取り金額まで支払ってくれるのです。
2018年のサービス開始以来、チェーン全体の売上高は約15億円に達し、買取エリアは124拠点まで拡大。フランチャイズ加盟の問い合わせは月200件を超えるなど、着実な成長を続けています。
大堀直樹社長の知られざる半生と独自のリユース哲学
「買いクル」を創業した大堀直樹社長(45歳)は、東京都港区の裕福な家庭で5人兄弟の長男として生まれました。しかし、小学4年生の時に父親が事業に失敗して失踪。その後、児童養護施設で暮らすという経験を持ちます。
高校卒業後はフリーター生活を経て中堅リユース会社に就職。トップクラスの成績を収めた後、29歳で独立し、中古車買取を中心とした会社を設立しました。
転機となったのは、ある閉店する飲食店の備品買取でした。半年前の出店時の工事見積書が800万円だったことを知り、「出店にお金をかけすぎて潰れてしまうのは意味がない」という思いから、無店舗型ビジネスの構想が生まれたのです。
買いクルが選んだフランチャイズ展開とその特徴
「買いクル」の事業所の9割はフランチャイズで、その9割がリユース業界未経験者という特徴があります。加盟の初期費用は198万円と、通常の店舗型の約1000万円と比べて低コストです。本部へのロイヤリティも月額10万円の固定制で、売上が伸びれば伸びるほどオーナーの利益になる仕組みです。
平均月商は約150万円。オーナー一人で運営する場合は利益率40%、店長を雇用する場合でも20%という高い収益性を実現しています。直近では3ヶ月弱で初期投資を回収した加盟店もあるといいます。
未経験者でも安心して参入できるよう、本部による10日間の研修制度や、商品査定のサポート体制も整っています。さらに、加盟希望エリアの競合状況や需要を徹底的にリサーチし、的確なアドバイスを提供しています。
カンボジアへの海外販路開拓で実現する”究極のリユース”
大堀社長が「何でも引き取る」を実現するために、最初に取り組んだのが海外販路の開拓でした。2年かけて東南アジアの国々を回り、最終的にカンボジアに活路を見出しました。
現在、カンボジアには25店舗の提携リユースショップがあり、月に1〜2本のコンテナで商品を輸出しています。日本では需要の少ない大型家具や、使用感のある商品でも、カンボジアでは十分な需要があるといいます。
さらに、売れ残った商品は現地の児童施設や貧困地域に寄付するなど、最後の一つまで責任を持って活用する「究極のリユース」を実践しています。
新たな挑戦「おもいでむすび」で切り拓くリユースの未来
2024年、大堀社長は新たなサービス「おもいでむすび」の展開を開始しました。リユース業界最大級のプラットフォーム「おいくら」を運営するマーケットエンタープライズ(年商190億円)とタッグを組み、商品に付随する「思い出」に価値を見出す新しいリユースの形を模索しています。
例えば、大学合格を勝ち取った思い出のペンや、手作りの衣服など、モノに込められた物語や思い出を付加価値として評価し、売り手と買い手をつなぐ試みです。
まとめ:買いクルが目指す持続可能な社会と新しいリユースの形
「買いクル」は、無店舗型というビジネスモデルの革新性、海外販路の開拓、そして「何でも引き取る」という理念で、リユース業界に新しい価値を提供し続けています。
大堀社長の「最後まで責任を持つ」という姿勢は、単なるビジネスを超えて、持続可能な社会の実現に向けた具体的な取り組みとなっています。今後も「おもいでむすび」など新しいサービスを通じて、リユース業界の発展に貢献していくことが期待されます。
※本記事は、2024年11月28日放送(テレビ東京系)の番組「カンブリア宮殿」を参照しています。
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