2025年7月12日にテレビ東京系で放送された「ブレイクスルー」では、作家・相場英雄氏がGMOサイバーセキュリティbyイエラエの牧田誠CEOに密着取材を行いました。日本最大級のホワイトハッカー集団を率いる牧田氏の使命と、日本を守るための壮大な挑戦が明らかになりました。サイバー攻撃による被害が全世界で年間140兆円にも上る中、日本の最前線で戦う正義のハッカーたちの実態に迫ります。
牧田誠とは?GMOサイバーセキュリティbyイエラエCEOの経歴と使命
牧田誠氏は、GMOサイバーセキュリティbyイエラエのCEOとして、日本のサイバーセキュリティ分野をリードする人物です。牧田氏自身もホワイトハッカーとしての経歴を持ち、大学時代には情報セキュリティの研究に没頭していました。
その後、ソフトバンクやサイバーエージェントといった大手企業でセキュリティチームの立ち上げを担当し、豊富な実務経験を積みました。そして2011年、優秀なホワイトハッカーが活躍できる場所を作りたいという強い思いから起業を決断しました。
現在、牧田氏が率いる会社は200人のホワイトハッカーが在籍する日本最大級の組織にまで成長しています。「我々の会社の使命というか、ミッションというのが日本のサイバーセキュリティ全体を守る」と語る牧田氏の言葉からは、個人的な利益を超えた大きな使命感が感じられます。
ホワイトハッカー集団の実態「200人の正義の戦士が守る日本」
牧田氏が率いるホワイトハッカー集団は、現在約200人の精鋭で構成されています。彼らは24時間体制で日本の企業や行政機関を守っており、現在2000ほどの大企業や行政機関のセキュリティを担当しています。
ホワイトハッカーたちが働く現場は、まさに最前線の戦場のような環境です。7人のホワイトハッカーが数百社のサイトのセキュリティを担当し、サイバー攻撃を受けていないか24時間監視を続けています。モニターがずらりと並ぶ部屋では、各企業に届いた攻撃をリアルタイムで監視し、必要に応じてブロックして攻撃を阻止しています。
興味深いのは、ホワイトハッカーたちの多様な背景です。例えば、片岡玄太さんはドラマで見たハッキングシーンに憧れて、お問い合わせフォームから直接採用をお願いして入社したという経歴を持ちます。また、カンボジアの大学を卒業後、新卒で入社した水野沙理衣さんは「日本の会社を守っていけたらと思って」この職業を選んだと語っています。
三村聡志さんのように、複雑なコードを解読する作業を「なぞときに近い」と表現し、楽しみながら仕事に取り組む社員も多く、牧田氏は「みんな共通としてあるのが、このセキュリティが好きなんですね。これ楽しくてやってるっていう側面はあります」と説明しています。
深刻化するサイバー攻撃の現状「年間140兆円損失と1分間600万件の脅威」
サイバー攻撃による損失は、全世界でなんと年間140兆円にも上っています。特に日本は格好の標的となっており、牧田氏が示したデータによると、昨年末の実際の攻撃では1分間に600万件ものサイバー攻撃が行われました。
「もう止まない雨みたいな形でひたすら攻撃来るんですね」と牧田氏が表現するように、攻撃は絶え間なく続いています。攻撃の対象は企業だけでなく、交通のインフラ、原子力発電所、工場など、ITを使っているあらゆる場所が標的となっています。
具体的な被害事例も深刻です。2024年には日本航空が大量のデータを送られてシステムがダウンし、一部の便に遅延や欠航が発生して交通が大混乱しました。出版大手のKADOKAWAでは身代金を要求される攻撃を受け、一部個人情報が流出する事態となりました。さらに深刻なのはDMMビットコインの事例で、480億円相当のビットコインが不正に流出し、廃業へと追い込まれました。
牧田氏は「攻撃者がハッキングした時の、その儲かるお金が年々増えてってしまってるんですね。日本の会社だけでも1回の攻撃で、数百億円、まあ、200億とか500億がその盗まれるっていう事件が起きてますし。あとは最近1回の攻撃で2000億円盗まれるっていうことも出てきてます」と、攻撃者のモチベーションが高まり続けている現状を説明しています。
ホワイトハッカーの防御技術実演「企業を守る最前線の戦い」
番組では、ホワイトハッカーの実際の防御技術が実演されました。阿部慎司さんが担当したデモンストレーションでは、まず仮想の会社のサイトに対してわざと攻撃を仕掛け、弱いところがないか調査するテストが行われました。
攻撃を実行すると、瞬時にサイトが書き換えられてしまいます。しかし、これは防御レベルを高めるための重要なプロセスです。ホワイトハッカーは攻撃の痕跡をシステムのログから分析し、同じ攻撃に二度と合わないようにブロック機能を設定します。
実際に同じ攻撃を再度仕掛けてみると、今度は「あなたの攻撃通信はブロックされました」というメッセージが表示され、会社のサイトは完全に守られていることが確認できました。
さらに驚くべきは、ドローンのハッキング実演です。悪意あるハッカーがドローンを乗っ取ると、操作している方向とは反対に動くよう指示を出すことができ、最終的にはドローンを墜落させることも可能であることが実証されました。牧田氏は「これ人が乗ってる空飛ぶ車であれば、人命に関わるっていう、まあ、甚大な影響があるデモになります」と警鐘を鳴らしています。
このような脅威に対応するため、牧田氏の会社では車を実際に購入して分解し、リバースエンジニアリングによって脆弱性がないか構造やシステムを隅々までチェックしています。これにより、ハッキングによる事故を未然に防ぎ、企業の信頼確保につなげているのです。
自衛隊サイバー部門との連携「横須賀リサーチパークで5万人育成計画」
2025年5月にサイバー攻撃を未然に防ぐための能動的サイバー防御の関連法が成立しました。これは電気や鉄道などの重要インフラに攻撃が予測される場合、警察や自衛隊が攻撃元にアクセスして機能を停止させ、攻撃を無力化することを可能にする画期的な法律です。
この法制化を受けて、牧田氏の会社は国と連携した新たな取り組みを開始しています。最先端の研究施設が集まる横須賀リサーチパークでは、自衛隊サイバー部門の訓練が行われており、実は牧田氏の会社が国と連携してこの訓練を担当しています。
牧田氏は「2030年までに5万人の教育をこちらで提供したい。官民学が連携をして、みんなで協力しながらこの脅威に立ち向かっていくっていうことは必要になってます」と語り、国家レベルでのサイバーセキュリティ人材育成に取り組んでいます。
横須賀リサーチパーク専務の上之段功氏も「サイバー関連の法案が成立をして、今後様々な規定がですね、定められていくと思います。え、GMOさんの知見をですね、十分に生かしながら、え、活動していきたい」と、この連携に期待を寄せています。
天才ハッカー集団のマネジメント術「成果主義と長期評価の極意」
200人の天才ハッカーをまとめる牧田氏のマネジメント手法は独特です。人材採用の出発点は、牧田氏自身が参加していたハッキングコンテストでした。「そこに集まってくる人たちがやっぱ面白い、世界トップレベルの天才ハッカーであるっていうのが分かって、まあ、一緒にビジネスやろうよっていう話をして」会社に誘い、その人たちがまた新しい人を呼んでくるという連鎖で組織が成長してきました。
天才たちのマネジメントで重要なのは、成果にフォーカスすることです。牧田氏は「よくある間違いっていうのが、まず減点方式で評価をする。何回遅刻したかとか、まあ、ええ、納期を守れなかったのか。本当は芸術のような、その成果を出してるのに、ま、そこを皆さん見ない。これは1つ大きな間違い」と指摘しています。
さらに重要なのは、評価を長期的な視点で行うことです。「集中力がない時にいくら体に鞭打ってやったとしても、出せる成果っていうのは本当にその苦しいものになる。なので、ある程度の長い期間を見て、その間でどんな成果が出せたかっていうのを評価をすれば、正しくこれは評価できる」という考え方が、天才たちの能力を最大限に引き出しているのです。
報酬面でも、牧田氏は「我々は日本で一番給与が高い会社にしたいと思っていて、まあキーエンスを超えるっていうのを昔からみんなで目指してまして」と明確な目標を掲げています。実際、顧客からは「もっと値段上げてくれっていうことを、その言われまして。潰れてもらっては困るから値段上げてもいいからうちの仕事受けてほしい」という声が寄せられており、ホワイトハッカーたちの価値が高く評価されていることがわかります。
牧田誠が語るブレイクスルー「人を助けることが全ての原動力」
番組の最後で相場英雄氏が牧田氏に「ブレイクスルーとは何か」を問いかけたとき、牧田氏の答えは明確でした。「僕にとってのブレイクスルーは人を助けるってことです」。
牧田氏は続けて「この会社を始めた時は、手の届く範囲の数人のエンジニアと、まあ、数社のお客様から始まったんですけども。ま、少しずつ広がりまして、今は日本全体を我々が守るっていう使命にまで広がってます。なので、人を助けるっていうのが我々の全ての行動の原動力っていうものですね」と語りました。
この言葉からは、技術的な興味や経済的な成功を超えた、より高次元の使命感が感じられます。サイバー攻撃の脅威が日々増大する中で、牧田氏とそのホワイトハッカー集団が持つこの使命感こそが、日本のサイバーセキュリティを支える最も重要な要素なのかもしれません。
まとめ
テレビ東京系「ブレイクスルー」で紹介された牧田誠氏とGMOサイバーセキュリティbyイエラエのホワイトハッカー集団は、年間140兆円もの損失を生むサイバー攻撃から日本を守る最前線で戦っています。200人の精鋭ハッカーによる24時間体制の監視、国との連携による5万人育成計画、そして「人を助ける」という純粋な使命感に基づく組織運営は、まさに現代日本に必要不可欠な存在といえるでしょう。
1分間に600万件もの攻撃を受ける日本にとって、牧田氏のような開拓者とその志を共にするホワイトハッカーたちの存在は、デジタル社会の安全を守る希望の光なのです。
※ 本記事は、2025年7月12日にテレビ東京系で放送された「ブレイクスルー」を参照しています。
※ GMOサイバーセキュリティbyイエラエのHPはこちら
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