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テレビ番組・情報

【カンブリア宮殿】古谷乳業・古谷裕彦「ミルクの束縛で大逆転」強さの秘密

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2025年7月24日放送のテレビ東京系「カンブリア宮殿」で取り上げられた古谷乳業は、牛乳離れが深刻化する中で逆風に立ち向かい、大手メーカーとは一線を画すユニークな戦略で業績を伸ばし続けている千葉県の中小乳業メーカーです。3代目社長の古谷裕彦氏が率いるこの会社の強さの秘密と、酪農業界に新風を吹き込む革新的な取り組みについて詳しく解説します。

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古谷乳業とは?カンブリア宮殿で注目された千葉の中小乳業メーカー

古谷乳業は1945年に創業し、2025年で80年の歴史を持つ千葉県の中小乳業メーカーです。本社は千葉市中央区に位置し、成田工場は千葉県香取郡多古町にあります。初代社長の古谷良作氏が終戦直後に牛乳の量り売りから始めたこの会社は、現在では1日約100トンの牛乳を出荷する規模まで成長しました。

同社の特徴は、大手メーカーが「機能性」を重視する中で、一貫して「おいしさ」を追求している点にあります。千葉県内の小中学校の約25%で古谷牛乳が飲まれており、地域密着型の経営を貫いています。また、80年前の創業以来続けている宅配事業では、約120の販売店を通じて4万件に配達を続けており、地域コミュニティとの深いつながりを維持しています。

近年の業績は右肩上がりを続けており、牛乳離れが進む業界の中でも売上を伸ばし続けている数少ない企業として注目を集めています。その背景には、独自の商品開発戦略と、3代目社長古谷裕彦氏による革新的な経営改革があります。

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古谷裕彦社長の経営改革「野球型からラグビー型へ」

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古谷乳業株式会社の古谷裕彦社長                              (引用:「カンブリア宮殿」より)

現在54歳の古谷裕彦氏は、当初は跡継ぎになることに迷いを感じていました。「どちらかというとカリスマ性のない、凡人なタイプ」と謙遜する古谷氏ですが、父である2代目健一氏の急逝により、2014年に突如3代目社長に就任することになりました。

就任時の状況は深刻でした。赤字は過去最大の6億円に膨らみ、約40億円の借金を抱える自転車操業状態でした。カリスマ社長だった父が作った商品を売れなくなってもずるずると製造し続けた結果、コストや人件費が膨らんでいたのです。

古谷氏はまず商品数を絞り込み、さらに思い切って本社を売却するという決断を下しました。この決断により、社内外に対して強い覚悟を示すことができました。そして最も重要だったのが、経営スタイルの抜本的な変革でした。

従来の「野球型」経営から「ラグビー型」経営への転換です。「野球型」とは、監督(社長)が常にベンチから指示を出すトップダウン型の経営スタイル。一方「ラグビー型」は、プレー中は監督が指示を出せないため、フィールドにいる選手(社員)が主体的に相談しながら進める経営スタイルです。

この変革により、社員の意識も大きく変わりました。就任2年後には赤字から脱却し、その後は右肩上がりの成長を続けています。古谷氏は「答えはできるだけ言わないようにして、やんわりとこうした方がいいかもねという形で話すように意識を変えた」と語っており、社員の自主性を重視する経営姿勢が成功の要因となっています。

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ヒット商品「ミルクの束縛」誕生秘話と340万本突破の理由

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大ヒットとなった「ミルクの束縛」                                       (引用:「カンブリア宮殿」より)

古谷乳業の代名詞とも言える「ミルクの束縛」は、2年前の発売から累計340万本を突破した大ヒット商品です。このユニークなネーミングの背景には、一度の大きな失敗がありました。

当初、営業担当者から「牛乳屋らしい美味しいコーヒーを出したい」という提案があり、生乳比率を上げたミルクコーヒーを開発しました。しかし、パッケージと売り方が良くなかったため「思いっきり空振り」してしまいます。古谷社長も諦めかけていたところ、営業担当者が「もう一度やらせてほしい」と申し出て、現在の「ミルクの束縛」という企画を持ってきました。

古谷社長自身も最初は「うーん」と思ったそうですが、「ここまでやってダメだったら諦めるだろう」とOKを出したところ、思いのほか反響をいただき、社長自身も驚いているということです。

「ミルクの束縛」の最大の特徴は、その圧倒的なシンプルさにあります。原材料は生乳、砂糖、コーヒーの3つだけ。他社製品がカラメル色素や香料など様々な添加物を使用している中で、生乳を75%も使用した贅沢な配合となっています。文字だけが書かれた独特のパッケージデザインも話題を呼び、SNSで「やばい」「マジでうまい」といった評価が拡散されました。

ファミリーマートの担当者も「元々千葉県のみの展開だったが、あまりにも販売が好調で、現在は北海道と沖縄を除く全国で展開している。いい意味で期待を裏切っていただけた」とコメントしており、ミルクコーヒーとしては異例の大ヒットとなっています。

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HTST殺菌製法による「房の恵み」-美味しさへのこだわり

古谷乳業の美味しさへのこだわりを象徴するのが「房の恵み」です。この商品の最大の特徴は「HTST殺菌製法」にあります。一般的な牛乳は120度から130度で2秒間の高温短時間殺菌を行いますが、「房の恵み」は75度で15秒間という低温長時間殺菌を採用しています。

この製法により、タンパク質が壊れにくく、搾りたての生乳に近い風味を保つことができます。秋葉原駅構内にあるミルクスタンドでは全国14種類の牛乳を販売していますが、店員が「うちの社長はこれが一番好き」と推薦するほど評価の高い商品となっています。

古谷乳業では全社員が参加する官能検査講習会も定期的に開催しており、濃度の違う5つの牛乳の味比べをして違いを判別する訓練を行っています。「牛乳は産地やエサの状況で味に影響が出るため、違いに気づけることが重要」という考えのもと、全社員が美味しい牛乳を目指す体制を整えています。

千葉県は江戸時代の徳川吉宗の時代に嶺岡で白い牛3頭を飼い始めたのが始まりとされる「酪農発祥の地」です。工場周辺には牧場が密集しており、銚子市の小池牧場をはじめとする地元酪農家から新鮮な生乳を調達できる環境が、この高品質な牛乳製造を支えています。

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物語のあるヨーグルト「冬の入道雲」-絵本風パッケージの戦略

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大ヒットのヨーグルト「物語のあるヨーグルト」シリーズ                          (引用:「カンブリア宮殿」より)

2024年9月に発売された「物語のあるヨーグルト」シリーズは、発売10ヶ月で累計450万本を売り上げた古谷乳業のもう一つの大ヒット商品です。この商品の開発には、神奈川県鎌倉市の面白法人カヤックとタッグを組み、これまでにない斬新なアプローチを取りました。

最大の特徴は、パッケージ全体を絵本のようにデザインしたことです。表面には「古谷乳業作」と表記し、上蓋を外すとあらすじが現れます。「これには生乳しか入ってないみたい。だから雲のようにふわふわしてるんだね」といった具合に、商品の特徴を物語風に表現しています。裏面には「著者:古谷乳業」「発行者:乳酸菌」と細部まで絵本風にこだわりました。

このパッケージ戦略により、「普段全くヨーグルト食べない子が、これ食べてみたいというコメントが結構ある」という効果が生まれています。従来のヨーグルト購買層である高齢者だけでなく、女性や子どもにまで顧客層が拡大したのです。

味にもこだわりがあります。代表商品「冬の入道雲」では、生乳100%使用で「ふわとろ感」という新しい食感を実現しました。一般的なヨーグルトの粘り気のあるトロっとした食感に加え、ふわっとした食感を加えるため、他社が使ったことのない乳酸菌を探し続けて開発されました。

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酪農発祥の地千葉での地域密着戦略と牛乳瓶宅配

古谷乳業の強さの根幹にあるのが、80年間継続している宅配事業です。現在も約120の販売店から4万件に配達を続けており、これは単なる商品販売を超えた地域コミュニティとの絆を築いています。

宅配で使用されるのは紙パックではなく、昔ながらの牛乳瓶です。54年間配達を続けている米倉販売店の須合新一さんは、40年以上の付き合いになる顧客を「親父の頃からの付き合い」と語ります。顧客からも「孫が来て、牛乳瓶がいいらしい」という声が聞かれ、瓶の持つ特別感が評価されています。

この宅配事業は、単なる商品販売を超えた社会的な役割も果たしています。須合さんは「年寄りの一人暮らしで牛乳を取ってないから『どうしたんだろう?』と思うと、家の中で倒れていたりする。ネットではできない地域の世話役的な機能も担っている」と説明します。

千葉県は酪農発祥の地として、工場周辺には牧場が密集しています。銚子市の小池牧場では約80頭の乳牛を飼育し、1頭当たり1日約30kgのエサを与えています。夏と冬の寒暖差が少ない銚子の気候は牛にとって過ごしやすく、高品質な生乳生産を支えています。牧場から工場まで40分という近距離での輸送により、新鮮な生乳を迅速に製品化できる環境が整っています。

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酪農業界の現状と古谷乳業が目指す未来

酪農業界は現在、深刻な危機に直面しています。牛乳の消費量は30年前と比べて約30%減少し、全国の酪農家数は1963年のピーク時と比べ2023年にはわずか3%まで激減しています。

さらに、物価高や燃料価格の高騰により、酪農家の経営はより厳しくなっています。小池牧場の小池倫博さんは「エサ自体も入ってこないし、船賃が上がって到着した頃には倍になっている。かといって食わせないわけにはいかない」と苦境を語ります。利益が出ない状況で「耐える時なのかな」という言葉からは、業界全体の厳しさが伝わってきます。

古谷乳業では、生産管理部の宮川聡氏が定期的に酪農家を訪問し、「生乳の需要が伸びてくれるとありがたい」という声を直接聞いています。同社ができることは生乳の需要をより増やすことであり、これが「ミルクの束縛」や「物語のあるヨーグルト」の開発につながっています。

宮川氏は「酪農家さんがいなかったら我々の事業は成り立たない。一緒に取り組んでいかなきゃいけないし、なんとか一緒に盛り上げていけるように」と語り、小池さんも「歯を食いしばって頑張っている酪農家が駆け上がっていける、そういう酪農家の未来を描きたい」と前向きな姿勢を示しています。

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まとめ

古谷乳業の成功は、「ラグビー型」経営による社員の主体性向上、独創的な商品開発、そして地域密着型の事業展開という3つの柱によって支えられています。特に注目すべきは、大手メーカーが機能性を重視する中で「おいしさ」を追求し続ける姿勢と、商品に物語性を持たせることで新たな顧客層を開拓した点です。

「ミルクの束縛」340万本、「物語のあるヨーグルト」450万本という大ヒットは、中小企業でも独自性と品質へのこだわりがあれば大手に対抗できることを証明しています。古谷裕彦社長の「みんなで力を合わせて、奢ることなく、皆様に感謝の気持ちを常に持ち続けることが大事」という言葉は、同社の企業理念を端的に表現しています。

厳しい酪農業界の現状の中で、古谷乳業の取り組みは業界全体に希望を与える事例として注目され続けるでしょう。地域との絆を大切にしながら、革新的な商品開発で全国に羽ばたく同社の今後の展開が期待されます。

※ 本記事は、2025年7月24日放送(テレビ東京系)の人気番組「カンブリア宮殿」を参照しています。
※ 古谷乳業株式会社のHPはこちら

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