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【クローズアップ現代】リチウムイオン電池発火事故「止まらない背景」と対策

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2025年12月3日放送のNHKクローズアップ現代で特集された、リチウムイオン電池の発火事故。過去最多ペースで増加する背景には、分業体制による構造的な闇やリコール制度の穴が存在します。この記事では、番組で明らかになった発火事故の実態と、消費者が今すぐできる具体的な対策を詳しく解説します。あなたの身近にある製品が危険かもしれません。


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リチウムイオン電池発火事故が過去最多ペース|2025年の深刻な実態

リチウムイオン電池を搭載したモバイルバッテリーや家電製品の発火事故が、2025年に入って過去最多のペースで急増しています。番組では、静岡県で2025年7月に発生したマンション全焼火災が取り上げられました。この火災は、リチウムイオン電池が使われていたスピーカーが火元とみられ、70代の女性が住む部屋を全焼させる深刻な被害をもたらしました。

さらに同じ7月には、山手線で乗客5人が怪我をする火災も発生。原因はモバイルバッテリーで、驚くべきことに、同じ製品で既に16件もの発火事故が起きていたことが判明しています。

番組が独自に調査したところ、製品の不具合などで起きた重大製品事故として公表された3年半分のうち、少なくとも400件あったうち、リコールされていたのはわずか188件。つまり、半分以上の危険な製品がリコールされることなく、そのまま放置されている実態が明らかになりました。

この数字が示すのは、私たちの身の回りにあるリチウムイオン電池製品が、いつ火を噴いてもおかしくない状況にあるということです。特にモバイルバッテリーは持ち歩く機会も多く、公共交通機関での事故リスクも高まっています。


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発火事故の背景にある「構造的な闇」とは?分業体制が生む問題

リチウムイオン電池製品の発火事故が増加する背景には、製造過程の分業体制による構造的な問題が潜んでいます。

現在、モバイルバッテリーの多くは中国など海外で製造されており、電池や部品を作る会社、それを組み立てる会社、そして日本で輸入販売する会社など、複数の企業が分業で関わっています。この分業体制そのものは効率的なシステムですが、問題が発生した際の責任の所在や原因究明が非常に困難になるという弱点を抱えています。

番組で取材に応じたモバイルバッテリー販売企業「ティ・アール・エイ」の東亨代表取締役は、発火事故の原因を調査しようとしても、製品を組み立てる中国の会社から協力が得られなかったと証言しています。「もう1年半過ぎてます。お宅さんに我々供給してから、あとは我々知りません」と言われ、現在は返事すら来ない状況だといいます。

この分業体制の闇は、単なる企業間の連携不足ではありません。国際的なサプライチェーンにおいて、各工程の品質管理を徹底することの難しさ、そして問題発生時に迅速に対応できない構造そのものが、消費者の安全を脅かしているのです。

消費者庁製品事故情報検討会の座長を務める越山健彦氏も、「製造メーカーと契約関係があって、総輸入販売代理店みたいな権限がある程度あるところじゃないと、なかなか訴求できない」と指摘しています。つまり、中小の輸入販売業者では、海外の製造工場に対して十分な管理や監督ができないという実態があるのです。


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サイレントチェンジ|無断で部品を変える危険な実態

発火事故の背景には、「サイレントチェンジ」と呼ばれる業界特有の問題が存在します。これは、製造工場が事前の取り決めとは異なる部品や材料に無断ですり替える行為を指します。

この3年で100万台を超える製品のリコールを実施した大手モバイル機器メーカー「アンカー・ジャパン」のケースは衝撃的です。2025年6月にリコールした主力のモバイルバッテリーで発火事故が相次ぎ、原因を調査したところ、取引先の中国工場で無断で部品の材料が変更されていたことが判明しました。

アンカー・ジャパンの井田真人執行役員は「本来は変更したというところを、まずは組み立て工場の方に連絡をして、組み立て工場の方から弊社の方に連絡が来るというのが本来の流れ」と語りますが、細かい部材の変化まで追えない状況だったと認めています。

別のモバイル機器メーカー「オウルテック」の小川真技術部マネージャーは、「そのようなサイレントチェンジが結構、多い」と証言。実際に、販売前の検査で基盤の土台が本来2つに分かれているべきところがくっついていて、部品を無理やりねじ込むような状態になっていたケースを発見しています。

なぜサイレントチェンジが起きるのか。番組の取材に応じた中国の部品メーカー担当者は「みんなコストダウンの話をしています。だから確かに多くの工場がコストダウンを迫られています」「管理面がそれほど厳しくない場合、勝手に『これ同じものに変えてもいいんじゃないか』と判断してしまう」と、その実態を赤裸々に語りました。

世界で流通するリチウムイオン電池の部品のほとんどを作っている中国では、価格競争が非常に激しく、「安物ばかりで、品質も玉石混交」という状況です。この競争の激しさが、サイレントチェンジという危険な慣習を生み出しているのです。


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リコール制度の”穴”|消費者に届かない安全情報の課題

リコール制度そのものにも大きな問題があります。静岡県の火災事故で被害に遭った70代女性のスピーカーは、実は事故の前年、2024年4月にメーカーがリコールを実施していた製品でした。しかし、リコール情報は女性本人には届いていませんでした。

商品を購入した次男にはメールが2回送られていましたが、他のメールに埋もれて気付かなかったといいます。長男は「深刻であればそれこそお電話いただくとか、何か防ぐ方法はあったんじゃないかな」と悔しさを語りました。

製品事故に詳しい中村雅人弁護士は、大手通販サイトが送っていたメールの問題点を指摘します。件名には「商品に不具合の可能性がある」とだけ記され、発火のリスクなどについては言及されていませんでした。中村弁護士は「『絶対読んでください』と。『そうしないとあなたは死ぬかもしれませんよ』というぐらいの緊迫感のあるアナウンスをしてほしい」と訴えています。

さらに根本的な問題として、日本のリコール制度は企業が原則として自主的に行うものであるという点があります。消費生活用製品安全法には、非常に危険な製品には危害防止命令という強制命令権がありますが、通常の危険な製品に関しては、自主的にリコール等の措置をすることとしか規定されていません。

越山健彦氏は「そのやり方だとか中身に関しては、必ずしも一致してるわけではない」と、現行制度の限界を指摘しています。企業の判断に委ねられているため、リコールの実施が遅れたり、そもそも実施されなかったりするケースが後を絶たないのです。


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PSEマーク制度だけでは不十分?安全制度の限界

製品の安全性を担保するために国が設けているのが「PSEマーク」制度です。モバイルバッテリーなどは、販売事業者がこの丸型のPSEマークをつけることが法律で義務付けられています。

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PSEマーク(2種類)

しかし、この制度にも大きな穴があります。安全基準を満たしているかどうかの検査は、販売業者が自ら行うことになっているのです。つまり、第三者機関による厳格な検査ではなく、自己申告に近い形になっているということです。

適切に検査を行っている企業が数多くある一方で、不具合が見過ごされて市場に出回っているケースも少なくありません。国が市場で流通する製品がPSEマークの基準を満たしているかランダムに検査したところ、3年間で安全基準に不適合で違反しているものが53件もありました。

この数字は氷山の一角である可能性が高いと考えられます。国はすべての製品を検査できるわけではなく、ランダムに抽出して検査した結果がこれだけあったということは、市場全体ではさらに多くの不適合製品が流通している可能性があるのです。

国は2025年12月から、違反の疑いがありながら連絡が取れない企業があった場合には、企業名を公表するとしていますが、これだけで十分な抑止力になるかは疑問が残ります。


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消費者ができる具体的な対策|越山健彦氏が解説

では、私たち消費者はどのように自分の身を守ればよいのでしょうか。越山健彦氏が提案する対策は大きく2つあります。

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消費者庁製品事故情報検討会座長の越山健彦氏                      (引用:「日本消費者新聞」より)

まず1つ目は、消費者庁のリコール情報サイトを定期的に確認することです。このサイトでは、リコールされた製品の情報が一覧できます。モバイルバッテリーだけでも、直近3年間で14社の製品がリコールされていることが分かります(アンカー・ジャパン、小米技術日本、住本製作所、Bigblue Tech、CIO、ノジマ、ベルキン、エアージェイ、イケア・ジャパン、Shenzhen Baseus Technology Co.,Ltd、深圳市巨脳星貝科技有限公司(llano)、ゼンデュア・ジャパン、レノボ・ジャパン、ティ・アール・エイなど)。

越山氏は「一般の消費者っていうのは、普段から自分が使ってる製品について常に、これは事故が発生してるのかとか、リコールしてる可能性があるのかなっていうことは、通常あんま考えない」と指摘しつつ、「こういうサイトがあるっていうことを伝えることで、もしかしたらと思った時に、検索できる、また調べることができるっていうようなルートを確保すべき」と強調しています。

2つ目は、企業のメール会員に登録することです。購入した製品にリコールが発生した場合、登録していればメールで通知を受け取れる可能性が高まります。ただし、メールが届いても見逃さないよう、件名に「リコール」という言葉が入っているメールには特に注意を払う必要があります。

国も対策を強化しており、2025年12月25日から、海外の事業者が日本で通販サイトなどを通じて直接日本の消費者に販売する場合、国内に管理人を置いて、国内事業者と同様にPSEマークの安全基準を遵守することを義務付けます。また、通販サイトに法律違反の製品などが出品されている場合は、出品の取り消しを要請するとしています。


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粗悪品を見極めるポイントと安全な使い方

粗悪品を購入しないために、私たち消費者が注意すべきポイントがあります。

まず最も重要なのは、他の製品に比べて安すぎる製品には注意することです。越山氏も「あんま安すぎる商品っていうのは、やはりちょっと気になる」と指摘しています。極端に安価な製品は、コスト削減のために品質を犠牲にしている可能性があります。

次に、販売元が信頼できるかを確認することです。具体的には、連絡先が明記されているか、問い合わせに対応してくれるか、日本国内に拠点があるかなどをチェックしましょう。

また、すでに購入した製品については、適切な使い方を守ることが重要です:

  • 落とさない、ぶつけない:物理的な衝撃は電池内部の構造を損傷させる可能性があります
  • 充電しながらの使用に注意:発熱リスクが高まります
  • 温度管理:冬場は特に注意が必要で、暖房器具のそばなど熱すぎる場所や、窓のそばなど寒すぎる場所での保管は避けましょう

さらに、企業側も新技術を導入し始めています。神戸大学発のベンチャー企業「Integral Geometry Science」が開発した電流密度映像化装置は、リチウムイオン電池に電気を流し、内部で電流がどう広がっているかを確認することで、発火リスクの高い電池を事前に検出できます。こうした技術の普及により、粗悪な電池の流通を防ぐ取り組みも進んでいます。

また、「CIO」などの国内メーカーは、電池を含む主要な部品一つ一つにQRコードをつけることで、どの工場でいつ作られたものかを記録する取り組みを始めています。これにより、問題があった場合に迅速に特定し回収できる体制を構築しています。

使わなくなった製品の廃棄も重要です。自治体によって捨て方が異なるため、まずは自治体のホームページで確認しましょう。また、家電量販店などに設置されている回収ボックスを利用することもできます。


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まとめ

2025年12月3日放送のクローズアップ現代が明らかにしたリチウムイオン電池の発火事故問題は、私たちの身近に潜む深刻なリスクを浮き彫りにしました。

発火事故の背景には、国際的な分業体制による管理の難しさ、コスト競争が生むサイレントチェンジ、リコール制度の機能不全、そしてPSEマーク制度の限界など、複数の構造的な問題が絡み合っています。

重要なのは、これらの問題が一朝一夕には解決できないという現実を受け止め、消費者自身が主体的に安全を確保する意識を持つことです。消費者庁のリコール情報サイトを定期的にチェックし、安すぎる製品を避け、信頼できる販売元から購入し、適切な使い方を守る。こうした地道な取り組みの積み重ねが、自分と家族の命を守ることにつながります。

国や企業の対策強化も進んでいますが、最終的に製品を選び、使用するのは私たち一人ひとりです。便利さの影に潜むリスクを正しく理解し、賢い消費者として行動することが、今こそ求められています。

※ 本記事は、2025年12月3日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。
※ 消費者庁 リコール情報サイトはこちら
※ PSEマークについて詳しくはこちら

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