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【クローズアップ現代】金価格高騰で日本金鉱山に「外資殺到」の理由

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金価格が2年で2倍以上に高騰し、日本の閉山した金鉱山に外資系企業が殺到しています。なぜ今、日本が「黄金の国ジパング」として再び注目されているのでしょうか?この記事では、2025年12月16日放送のNHKクローズアップ現代をもとに、金価格高騰の背景から日本の金鉱山探査の最前線、そして世界で起きている金争奪戦の実態まで詳しく解説します。


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金価格高騰で日本金鉱山に外資が殺到する背景とは

2025年12月現在、金価格は1グラムあたり約23,000円台と過去最高値を更新し続けています。この2年間で価格は2倍以上に跳ね上がり、世界中で「令和のゴールドラッシュ」とも呼べる状況が生まれています。

こうした中、熱い視線が注がれているのが日本です。かつて「黄金の国ジパング」と呼ばれた日本には、まだ発見されていない金鉱脈が眠っている可能性があり、外資系企業が最新技術を駆使して全国各地で探査を始めているのです。

外資系企業が日本市場に参入しやすくなった大きなきっかけは、2011年の鉱業法改正です。それ以前は、鉱業権を取得するのに技術力や資金力が問われませんでした。しかし法改正によってこれらの条件が加わり、開発する力がある事業者が権利を得られるようになりました。その結果、豊富な資金と高い探査技術を持つ外資系企業にとって、日本は魅力的な「新たなフロンティア」となったのです。

現在、金の調査を行っている外資系企業は少なくとも3社あり、すべて2011年の法改正以降に参入しています。全国34箇所で探査が進められており、まさに日本は世界の金探査の最前線となっています。


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鹿児島・山ヶ野地区で高品位金鉱脈を発見!外資の最新探査技術

宝探しの現場として注目されているのが、鹿児島県霧島市の山間にある山ヶ野地区です。ここでカナダの資源探査会社の日本法人「アービリングリソースジャパン合同会社」が、新たな金鉱脈を発見しました。

驚くべきはその品位の高さです。2024年に掘削された鉱石には、1トンあたり最大で45.9グラムの金が含まれていました。世界の主な金鉱山で採れる鉱石のおよそ10倍という驚異的な数値です。同社の宮武修一副社長は「高品位の金鉱脈がたくさんある地区として、世界的にも稀有なところ」と評価しています。

金鉱脈の発見を可能にしたのは、最新技術による地質調査です。ポイントは「電気の通しにくさ」。日本では、電気を通しにくい石英という鉱物の中に金が含まれることが多いため、電気抵抗を測定することで金鉱脈の位置を推測できるのです。

調査では、かつての坑道付近から地下700メートルまで範囲を広げ、電気を通しにくいエリアが東にずれていくことを発見。このデータをもとにボーリング調査を実施したところ、推測通りの場所で金が見つかりました。さらに、ボーリング調査のたびに得られた情報を3Dモデルに反映させることで精度を高め、金の含有率が高いゾーンを自信を持って予測できるようになっています。

山ヶ野地区は江戸時代から国内有数の金鉱山として栄えましたが、採算が取れなくなり戦後に閉山しました。しかし現代の技術なら、地下深くに眠る金を見つけられるかもしれない。その可能性に賭けた外資系企業の挑戦が、今まさに進行中なのです。


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国内唯一稼働の菱刈鉱山と外資系3社の探査状況

外資系企業が鹿児島に注目した理由の一つが、国内で唯一稼働している菱刈鉱山の存在です。菱刈鉱山は鉱石1トンから採れる金の量が平均20グラムと世界トップクラスで、年間3.5トンの金を産出しています。

鹿児島県北西部のこのエリアには、かつて多くの金鉱山がありました。菱刈鉱山がこれほど高品位である以上、周辺にも同様のポテンシャルを持つ鉱脈が眠っている可能性は十分にあります。宮武副社長は「ポテンシャルに対して十分な探査が行われていない可能性が高い」と語り、「一山当てたい」という意気込みを見せています。

カナダ系の資源探査会社「ジャパンゴールド」は、2011年の鉱業法改正を受けて13年前に日本に進出しました。同社のジョン・プルーストCEOは「突然、新たに調査できる場所が生まれた」と当時を振り返ります。これまでに全国で380件の金鉱脈を調査する権利を獲得し、日本円でおよそ110億円を投資してきました。

プルーストCEOは「日本は新たなフロンティアです。まだ見つかっていない金がたくさんあります。日本にはリスクを取るだけの価値がある」と断言しています。こうした期待感は、地元自治体にも広がっています。霧島市の中重真一市長は「新たな税収が入ってくることは大変ありがたい。本格的な採掘が早く始まってくれれば」と期待を寄せています。

ただし、探査から実際の採掘開始までには5年から6年、あるいはそれ以上かかる見込みです。過疎化が進む山ヶ野地区にとって、金鉱山の復活は雇用や観光客の増加につながる「地域再生の夢」でもあるのです。


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世界の金争奪戦|違法採掘とラオス金銀行の実態

金価格の高騰は、世界各地で様々な動きを引き起こしています。

東南アジアのラオスでは2024年、政府主導で「金の専門銀行」が設立されました。この銀行が取り扱うのは通貨ではなく金です。ラオスでは伝統的に金を重んじる文化があり、国民が持っている金を預金として集めています。設立から1年で預けられた金は2トン以上、日本円でおよそ460億円に上ります。

狙いは世界的な物価高によるインフレと通貨安への対策です。ラオス・ブリオン・バンクのチャントーン・シッティサイCEOは「集めた金をうまく使うことで、通貨を強くし、国際的な信用を獲得したい」と語っています。

一方、アフリカ最大の金産出国ガーナでは、金の違法採掘が深刻な問題となっています。2024年には国の輸出額の半分以上を金が占めるなど、金で国力を高めてきたガーナですが、政府の管理が行き届かない違法採掘が増加しています。

違法採掘者たちは手作業で採掘を行い、1日で0.6グラム(日本円で約1万円)ほどの金を得ています。貧困が深刻なガーナでは、違法採掘が手軽な収入源になっているのです。しかし問題は環境汚染です。採掘の最終工程で使用される水銀が、そのまま排水されています。世界銀行のまとめでは、80カ国で鉱物の小規模な採掘が行われ、その8割から9割が違法だと報告されています。

地元住民からは違法採掘の中止や補償を求める抗議活動が広がっていますが、採掘者は「この国には仕事がないから、やり続けないといけない」と訴えています。金の高騰がもたらす「光」と「影」が、ここに凝縮されています。


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根岸祥子准教授が解説|金高騰が続く国際情勢とドル離れ

なぜここまで金の争奪戦が激化しているのでしょうか。国際金融に詳しい同志社大学の根岸祥子准教授は、「今、最も信頼できる資産が金である」と指摘します。

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同志社大学の根岸祥子准教授                        (引用:「同志社大学」HPより)

根岸准教授によると、金価格高騰の背景には複数の要因があります。まず、ウクライナや中東情勢によって世界経済への不安感が高まっていること。そしてトランプ政権下での利下げや大規模減税といった景気対策は、いずれもドルの魅力を低下させる方向に働きます。

こうした状況から、各国は国の貯金である「外貨準備」を、弱っていくドルからより安定した金へと振り替えているのです。2024年の金保有量増加ランキングを見ると、1位はポーランド(+89.54トン)、2位トルコ(+77.41トン)、3位インド(+72.6トン)、4位中国(+44.17トン)と続きます。

ポーランドはウクライナ情勢を受けて軍事費をGDPの4%程度まで増やしており、安定した金の保有を進めています。インド、中国、トルコなどのBRICS関連国は、アメリカが主導する国際秩序やドルへの一極集中からの脱却を目指し、金を増やしているのです。

根岸准教授は「今後も金への依存、そして金価格の上昇傾向は続く可能性が高い」としつつも、「今の価格高騰はかなりの異常事態。これほどまでに金に頼る必要のない世界に戻っていくことが望ましい」と述べています。金価格の高騰は、世界情勢への不安の裏返しでもあるのです。


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川村洋平教授に聞く|日本の採掘ハードルとリサイクル技術の強み

日本で実際に金を採掘するためには、いくつものハードルがあります。北海道大学の川村洋平教授は、3つの課題を指摘します。

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北海道大学の川村洋平教授                                (引用:「資源マネージメント研究室」HPより)

第一は「アクセスと深さのコスト」です。金が採れた場所から精錬所までのアクセスをどう確保するか、そして深く掘り進めていくためのコストが問題となります。

第二は「環境維持のコスト」です。鉱山を操業すると地下水が汚染されるため、浄化装置のコストがかかります。さらに鉱山を閉じた後も地下水汚染は続くため、長期にわたる処理コストを考慮しなければなりません。

第三は「金の含有量」です。海外の金鉱山では1トンあたり3〜5グラム(場合によっては1〜5グラム)の含有量があれば採算が合うとされています。菱刈鉱山の平均20グラムは「ものすごい値」であり、山ヶ野地区の最大45.9グラムも期待が持てる数字ですが、平均がいくつになるかは今後の調査次第です。

川村教授は「金の価格×含有量」が操業コストを上回れば採掘GOとなると説明します。現在の金価格高騰は、以前なら採算が取れなかった鉱山でも開発可能になる追い風といえます。

一方、日本が世界をリードしている分野もあります。それが「都市鉱山」と呼ばれる電子機器からの金のリサイクルです。秋田県の小坂精練では、使用済みパソコンの基板などのEスクラップから金を回収しています。Eスクラップには天然の金鉱石の数十倍から100倍の金が含まれているといい、1本12.5キログラム(時価10億円超)の金塊を鋳造しています。

ただし、EUが2025年1月からEスクラップの国境を越える移動への規制を強化するなど、世界的に「囲い込み」が進んでいます。横浜の企業「ガルデリア」が開発した、温泉に住む藻を使った金のリサイクル技術にも海外から問い合わせが相次いでおり、日本のリサイクル技術は世界最高水準にあると川村教授は評価しています。


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まとめ

2025年12月16日放送のNHKクローズアップ現代「令和のゴールドラッシュ」では、金価格高騰を背景に日本の金鉱山に外資系企業が殺到している実態が明らかになりました。

鹿児島県の山ヶ野地区では、最新の探査技術によって世界平均の10倍という高品位の金鉱脈が発見され、全国34箇所で探査が進行中です。一方で、世界ではラオスの金専門銀行設立やガーナでの違法採掘問題など、金をめぐる様々な動きが起きています。

根岸祥子准教授が指摘するように、金価格の高騰は「世界情勢への不安の裏返し」でもあります。川村洋平教授は日本のリサイクル技術の優位性を評価しつつ、地下資源とリサイクルの「両輪」で資源を有効活用する必要性を説いています。

金の光にばかり目を向けがちですが、その影の部分にもしっかり目を向ける必要がある。番組が伝えたメッセージは、私たちに多くの示唆を与えてくれます。

※ 本記事は、2025年12月16日放送のNHKクローズアップ現代を参照しています。

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