2025年10月12日放送の「がっちりマンデー!!」で紹介された、株式会社findによる落とし物販売の実証実験が大きな注目を集めています。電車の落とし物をメルカリで販売するという斬新なビジネスモデルは、鉄道会社の処分費削減とSDGsの両立を実現。この記事では、和田龍COOが挑む新たな収益化の仕組みと、実証実験の詳細を徹底解説します。
find落とし物販売の実証実験とは?【がっちりマンデー10月12日放送】
2025年10月12日にTBS系列で放送された「がっちりマンデー!!」では、儲かる実証実験をテーマに、様々な企業の挑戦が紹介されました。その中でも特に注目を集めたのが、株式会社findが2025年2月から開始した落とし物販売の実証実験です。
この実証実験の核心は、駅や商業施設で発生する大量の落とし物を、ただ処分するのではなく、メルカリというフリマプラットフォームで販売し、新たな収益源に変えるというものです。findは既に落とし物管理のDXツールを3000社に導入している実績を持つ企業ですが、今回の実証実験では「落とし物が売れるかどうか」という新たな仮説検証に挑んでいます。
番組では、経済アナリストの森永康平さんと劇団ひとりさんがゲスト出演し、「人の落とし物を売って稼ぐことへの倫理的な問題」についても議論されました。しかし実際にSNSでの反応を見ると、SDGsの観点から賞賛の声が多く、findの和田龍取締役COOは「そこはクリアできた」と手応えを語っています。
実証実験という言葉を聞くと難しく感じるかもしれませんが、要するに「実際にやってみないと分からない」ことを試す取り組みです。findのケースでは、落とし物という特殊な商材が本当にビジネスとして成立するのか、どれくらいの割合で売れるのか、そして社会的に受け入れられるのかを確かめる段階なのです。
株式会社findと和田龍COOが挑む新ビジネスモデル
株式会社findは、落とし物管理の領域でイノベーションを起こしてきた企業です。和田龍取締役COOが中心となって推進するこの実証実験は、単なる思いつきではなく、綿密な市場調査と既存事業の知見に基づいています。
番組では、findが今年1月にも取材されていたことが明かされました(以前の取材内容はこちら)。当時紹介されたのは、落とし物をコンピューターで管理し、お客様が落とし物を見つけやすくするシステムです。駅や大型店舗で毎日発生する落とし物を、従来のアナログな方法で管理するのは膨大な手間がかかります。findのシステムはこの課題を解決し、わずか数ヶ月で導入施設が倍増し3000社に到達したと和田さんは語っています。
そんなfindが次に目をつけたのが、「引き取り手のない落とし物」という社会課題でした。落とし物管理のプロフェッショナルとして現場を知り尽くしているからこそ、和田さんは膨大な量の落とし物が最終的に処分されている現実を目の当たりにしてきたのです。
「どうせ捨てるなら、売れないだろうか」──この発想の転換が、今回の実証実験の出発点です。処分費を支払う側から、収益を生み出す側へ。和田さんのビジョンは、鉄道会社や商業施設にとってのコスト削減と、環境への配慮を同時に実現する「三方良し」のビジネスモデルなのです。
電車の落とし物がメルカリで販売される仕組みを解説
では、実際にどのような流れで電車の落とし物がメルカリで販売されるのでしょうか。その仕組みを詳しく見ていきましょう。
まず重要なのは、findが扱う落とし物は「所有権が鉄道会社に移っているもの」という点です。番組で紹介された北大阪急行電鉄箕面萱野駅のケースでは、鉄道の車両や駅構内で拾われた落とし物が、まず鉄道会社で一定期間管理されます。その後、持ち主が引き取りに来なかった場合、警察署に届けられ、そこでさらに3ヶ月間保管されます。
それでも持ち主が現れない場合、施設側が所有権を主張することができ、再び鉄道会社に戻ってきます。つまり、findが引き取る時点で、すでに合法的に施設の所有物となっているわけです。この法的プロセスを経ているため、「人の落とし物を勝手に売る」わけではないのです。
findの和田さんは、北大阪急行電鉄の保管庫を訪れ、黄色い袋に詰められた約800点もの落とし物を引き取りました。これらを東京港区のfindオフィスに運び、スタッフの井梅美優さんと共に「売れるもの」と「売れないもの」を仕分けしていきます。
販売プラットフォームとしてメルカリを選んだ理由は、ユーザー数の多さと、中古品・訳あり品でも売れやすい市場環境があるためです。findはメルカリ上に専用ショップを開設し、そこで落とし物を出品しています。
収益モデルも明確です。商品が売れた場合、売上金の20%から30%を手数料として施設側に支払います。鉄道会社にとっては、処分費を支払う立場から収益を得る立場に変わるのですから、まさに180度の転換です。
北大阪急行電鉄・布川桃子が語る「年間数十万円の処分費問題」
実証実験のパートナーとなった北大阪急行電鉄の布川桃子さん(鉄道事業部)は、番組の中で鉄道会社が抱える深刻な問題を赤裸々に語りました。
「もう、どちらかというと処分するための費用を支払ってるというような流れでしたので、半年間、1年間という形で、何十万というようなお金を支払っているような時もありました」
この証言は、多くの視聴者に衝撃を与えたのではないでしょうか。落とし物を保管するにも場所が必要で、最終的に処分するにも業者に依頼すればコストがかかります。年間数十万円という金額は、中小規模の鉄道会社にとっては決して無視できない負担です。
加藤浩次さんも「邪魔だもんね」とスタジオで共感を示していましたが、まさに鉄道会社にとって持ち主不明の落とし物は「お荷物」そのものだったのです。
布川さんの立場から見れば、findの実証実験は救世主のような存在でしょう。引き取りは無料で、しかも売れた場合は収益の一部が戻ってくる。保管スペースも空き、処分費も不要になる。まさに一石三鳥です。
この実証実験が成功すれば、全国の鉄道会社にとって大きな福音となるはずです。特に地方の中小私鉄では、コスト削減の圧力が強まっている中、こうした新しい収益源や経費削減手段は経営を支える重要な要素になり得ます。
番組では約40分間で保管庫の落とし物がきれいに無くなった様子が映されましたが、この光景こそが、鉄道会社が求めていた未来なのかもしれません。
井梅美優が実践!売れる落とし物の見極めポイント
findのスタッフである井梅美優さんは、落とし物の仕分け作業で中心的な役割を果たしています。番組では、和田さんと井梅さんが実際に落とし物をチェックする様子が紹介されました。
「あー、これ売れないな」 「意外と売れないっすよね、充電器」
この会話からも分かるように、落とし物だからといって何でも売れるわけではありません。井梅さんたちは、これまでの経験から「売れるもの」と「売れないもの」の見極め基準を培ってきました。
特に注目すべきは、片耳だけのイヤホンに関する発見です。通常なら「片耳だけ」は商品価値がないと思われがちですが、井梅さんたちは独自の販売手法を編み出しました。
「片耳だけ(のイヤホン)落ちていて、(イヤホン)ケースだけ落ちて、というのをセットにして売ってます。そうすると売れます」
右耳用、左耳用、そして充電ケースが、それぞれ別々の落とし物として見つかることがあります。これらを組み合わせて初期化し、セットとして販売することで、3000円以上の価格で売れるというのです。片方だけイヤホンを無くした人にとっては、新品を買うより安く済む魅力的な選択肢になります。
この発想は、単に「あるものを売る」のではなく、「価値を創造する」という点で非常に重要です。井梅さんのような現場スタッフの創意工夫が、実証実験の成否を左右すると言っても過言ではありません。
チェック開始から30分後、「来ました!」という和田さんの声。高級ブランドのプラダのバッグを発見した瞬間です。こうした「当たり」を見つける目利き力も、経験を積むことで養われていくのでしょう。
プラダ、エルメス、片耳イヤホン…意外と売れる落とし物リスト
番組で明らかになった「実際に売れた落とし物」のリストは、視聴者の予想を裏切るものでした。
高級ブランド品
- プラダの財布:1万7000円で売却
- エルメスのカードケース:約3万4000円で売却
加藤浩次さんが「来ました、プラダ来ました!ブランド好きだねみんな」と驚いたように、高級ブランド品が落とし物として出てくること自体が意外です。しかも、これらはきちんと鑑定を経て本物と確認されたものです。和田さんと井梅さんが「ワンチャンあるね?マジで」「それ本物だと思います」とやり取りする場面は、宝探しのようなワクワク感がありました。
片耳イヤホンセット
- 3000円以上で売却
前述の通り、バラバラの落とし物を組み合わせることで商品価値を生み出す好例です。劇団ひとりさんも「片耳だけなくしちゃう人いるから」と納得していましたが、需要と供給がマッチする面白いケースです。
売れにくいもの 番組では、充電器類は「意外と売れない」ことも明かされました。恐らく規格が多様で、自分の機器に合うか分からないため、購入者が敬遠するのでしょう。
こうした「売れるもの・売れないもの」のデータが蓄積されることこそが、実証実験の大きな価値です。将来的にビジネスとして本格展開する際、どの商品カテゴリーに注力すべきか、仕入れ(引き取り)の判断基準をどう設定すべきかが明確になります。
個人的には、ブランド品の出現率がビジネスの収益性を大きく左右すると考えます。800点中何点がブランド品なのか、その比率次第で損益分岐点が変わってくるでしょう。
実証実験の成果は?現状と今後の展開
番組終盤で和田さんは正直に語りました。
「どんどん広がって”がっちり!”できたら嬉しいです」
この発言からも分かるように、現時点では「まだまだ赤字」とのことです。落とし物の引き取り、輸送、保管、仕分け、撮影、出品、発送といった一連の業務には人件費と時間がかかります。売れる商品の割合がまだ十分に高くないのかもしれません。
しかし、赤字だからといって失敗とは言えません。むしろ、実証実験とはそういうものです。森永康平さんが指摘したように、「絶対売れると思ったのに意外と売れなかった」というのはビジネスの世界では珍しくありません。大切なのは、実際にやってみて得られたデータと学びです。
現在findが検証しているのは、以下のポイントだと推測されます:
- 収益性:どの程度の割合で売れるのか、利益率は?
- オペレーション効率:作業を効率化できるか?
- 社会的受容性:倫理的な問題は起きないか?
- スケーラビリティ:全国展開は可能か?
3番目の社会的受容性については、SNSでの反応が好意的だったことから、大きなハードルはクリアできたと言えるでしょう。SDGsや循環型社会への関心が高まる中、「捨てずに再利用」というコンセプトは時代の要請に合っています。
今後の展開として期待されるのは、AIやデータ分析の活用です。大量の落とし物の中から「売れる確率が高いもの」を自動判定できれば、仕分け作業の効率は劇的に向上します。また、販売価格の最適化や、需要予測なども可能になるでしょう。
3000社という導入実績を持つfindにとって、このネットワークは大きな資産です。実証実験が成功すれば、既存顧客への横展開は比較的容易でしょう。全国の駅、百貨店、テーマパーク、空港などが対象となれば、市場規模は相当なものになります。
まとめ:findの落とし物販売実証実験がSDGsとビジネスを両立
2025年10月12日の「がっちりマンデー!!」で紹介された株式会社findの実証実験は、社会課題解決とビジネスを両立させる好例です。
和田龍COOが率いるfindは、単なる思いつきではなく、落とし物管理DXツールで培った知見とネットワークを活かし、新たな価値創造に挑戦しています。北大阪急行電鉄の布川桃子さんが語った「年間数十万円の処分費」という課題を、メルカリでの販売を通じて収益源に変える──この発想の転換が実証実験の核心です。
井梅美優さんをはじめとするスタッフの現場での創意工夫、特に片耳イヤホンをセットにして販売するアイデアは、「売れないもの」を「売れるもの」に変える好例でしょう。プラダやエルメスといった高級ブランド品が実際に売れることも実証されました。
現時点では赤字とのことですが、実証実験の本質は「やってみて学ぶ」ことにあります。収益性、オペレーション、社会的受容性といった多角的な検証を経て、ビジネスモデルは磨かれていくはずです。
何より重要なのは、この取り組みがSDGsの理念と完全に合致している点です。大量廃棄される落とし物を再び市場に戻すことは、資源の有効活用であり、循環型社会の実現に貢献します。SNSで賞賛の声が多かったのも、こうした社会的意義が評価されたからでしょう。
findの実証実験は、「捨てるしかなかったもの」に新たな可能性を見出しました。今後の展開に注目が集まります。
※ 本記事は、2025年10月12日放送(TBS系)の人気番組「がっちりマンデー!!」を参照しています。
※ 株式会社 findの公式サイトはこちら
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