2025年8月24日放送のTBS系「がっちりマンデー!!」で大きく取り上げられた「儲かる成分」の中でも特に注目を集めたのが、江崎グリコの「メンタルバランスチョコレートGABA」に含まれるGABAという成分です。なんと累計2億個以上も売れているこのチョコレートの秘密と、その背後にある驚きのビジネスストーリーを詳しく解説していきます。
GABAとは?ストレス軽減効果が注目される理由
GABAとは「ガンマ・アミノ・ブチリック・アシッド(γ-アミノ酪酸)」の略称で、アミノ酸の一種です。私たちの体内にもともと存在する成分で、特に脳や脊髄において「抑制性の神経伝達物質」として重要な働きを担っています。
現代社会において、GABAが注目される理由は何といってもそのストレス軽減効果にあります。GABAは興奮状態や緊張状態を抑制し、リラックスした状態へと導く働きがあるのです。具体的には、ストレスを感じたときに活発になる交感神経の働きを抑え、休息やリラックスを司る副交感神経を活性化させます。
実際の研究では、GABAを28mg摂取することで一時的・心理的なストレスを低減する効果があることが科学的に証明されており、これが機能性表示食品としての根拠となっています。また、血圧を下げる効果や睡眠の質を向上させる働きも報告されており、まさに現代人が求める機能を持った成分といえるでしょう。
がっちりマンデーで紹介されたGABAの儲かる仕組み
番組では、GABAが「儲かる成分」として紹介され、その市場規模の大きさに注目が集まりました。特に印象的だったのは、経済アナリストの森永康平さんが指摘した「チョコを食べる言い訳になる」という鋭い視点です。これこそが江崎グリコの巧妙なマーケティング戦略の核心を突いています。
実際に、機能性表示食品制度においてGABA含有商品は約250件も届け出されており、その約8割がファーマフーズの「ファーマギャバ」を原料として使用しているという事実からも、この成分の商業的価値の高さが伺えます。
江崎グリコは、GABAという機能性成分を前面に出すことで、単なる嗜好品であるチョコレートを「健康機能食品」として位置づけることに成功しました。これにより、罪悪感なく甘いものを楽しめるという新たな価値を消費者に提供し、2005年の発売以来20年間にわたって愛され続ける商品を生み出したのです。
江崎グリコのGABAチョコレートが2億個売れた理由
江崎グリコの商品開発担当である松川広輝さんによると、「メンタルバランスチョコレートGABA」は2005年からの累計で2億個以上を売り上げているロングセラー商品です。現在の価格は1袋290円となっており、決して安価とは言えませんが、その人気の秘密には確固たる理由があります。
まず注目すべきは、チョコレートの原料であるカカオにはもともとGABAが含まれているという点です。しかし、松川さんが説明するように、ストレス軽減効果を期待するためには「板チョコ5、6枚ぐらい食べなあかん」という現実的ではない量が必要でした。
そこで江崎グリコは、GABAを強化した「GABAパウダー」を投入し、たった5粒で必要な量のGABA成分(28mg)を摂取できる商品開発に成功しました。これにより、現実的な摂取量でストレス軽減効果を期待できる革新的なチョコレートが誕生したのです。
さらに商品設計においても細かな配慮が見られます。オフィスでも食べやすいよう小さめサイズで丸みを帯びた形状にし、急な電話がかかってきても頬に避難させやすいデザインを採用。また、サイコロ型にすることでデスクの上をコロコロと転がりにくくするなど、ビジネスシーンでの使い勝手を徹底的に考慮した設計となっています。
ファーマフーズのGABA製造技術「K-3乳酸菌の発見」
江崎グリコのGABAチョコレートに使用されるGABA成分は、京都にあるファーマフーズが製造しています。同社の開発部部長である山下裕輔さんによると、年商は約650億円に上り、GABAはその売上を大きく支える大黒柱的な成分となっています。
ファーマフーズのGABA製造の核心技術は、「K-3乳酸菌」と呼ばれる独自の乳酸菌にあります。この乳酸菌は、数百種類の乳酸菌を一つずつ調べていく中で、京都のあるお漬物の中からついに発見された特別な菌株です。
製造方法は、植物由来のグルタミン酸(昆布やチーズに含まれるうま味成分)にこのK-3乳酸菌を混ぜて発酵させるという比較的シンプルなプロセスですが、この乳酸菌がファーマフーズの「命」とも言える重要な技術資産となっています。
現在、同社では巨大タンクを3つ使って毎週数トン、4日間かけて生産しており、世界一のGABA生産量を誇る企業として業界をリードしています。完成したGABAは白い粉状で、スタッフが味見した感想によると「うま味調味料みたいなものを薄めた感じ」の独特な味がするそうです。
金武祚社長が語るGABA開発秘話と実証実験
ファーマフーズの創業者である金武祚(キムムジョウ)社長は、約30年前にGABAの開発を始めたきっかけについて興味深いエピソードを明かしています。当時、社内でストレス軽減をキーワードに研究をしていた際、一人の研究員がGABAの構造式を見て直感でひらめいたのが始まりでした。
金武祚社長は「構造式っていうのを見て、これ体内に、脳にもあるし。ですから、ある理由っていうのが何かって考えて。これはストレス軽減ってこと考えた」と振り返ります。この研究者としての直感が、後に世界的なビジネスへと発展していくことになるのです。
しかし、GABAが本当にストレスを軽減するのかどうか、実際に人間で確かめる必要がありました。そこでキム社長たちが考案したのが、奈良県の山奥にある高さ54メートル、長さ300メートルの吊り橋を使った驚きの実証実験でした。
この実験では、社員たちが実際に吊り橋を渡り、GABAを摂取したグループとそうでないグループでストレスレベルを比較しました。吊り橋のど真ん中という恐怖を感じる場所でのストレスチェックという、なかなか大胆な方法でしたが、結果は見事にGABAを摂取した人のストレスが大幅に減ったという科学的な証拠を得ることができました。
このような地道な研究と実証実験の積み重ねが、現在のGABA市場の基盤を築いたのです。
GABAの効果的な摂取方法とストレス軽減への活用法
GABAを効果的に活用するためには、適切な摂取方法を理解することが重要です。専門家によると、GABAの1日の摂取量の目安は約30〜100mgとされており、より機能を実感したい場合は50〜100mgの摂取が推奨されています。
江崎グリコのGABAチョコレートの場合、5粒で28mgのGABAを摂取できるため、1日の推奨量を効率よく補うことが可能です。ただし、GABAは体内で約1時間をピークに急速に減少するという特性があるため、効果を期待する30分〜1時間前に摂取するのが最も効果的とされています。
摂取タイミングについては、リラックス効果を期待する場合は就寝の1〜2時間前、日中のストレス軽減を目的とする場合は、ストレスを感じやすい時間帯の前に摂取するのがおすすめです。
また、GABAは疲労やストレスによって日々消費されているため、一度にたくさん摂るよりも少しずつでも毎日習慣的に摂取することが重要です。チョコレートなどの健康食品であれば、日中のブレイクタイムに取り入れるのも効果的な活用法といえるでしょう。
自然の食品からGABAを摂取したい場合は、発芽玄米(100g中に10mg)、トマト、なす、アスパラガス、かぼちゃ、キムチなどの発酵食品に多く含まれているため、これらの食材を意識して食事に取り入れることも有効です。
まとめ
「がっちりマンデー!!」で紹介されたGABAは、単なる健康成分を超えて、現代のストレス社会における新たなビジネスモデルを創出した画期的な素材です。江崎グリコの巧妙なマーケティング戦略により、チョコレートという嗜好品に「ストレス軽減」という機能性を付加し、累計2億個という驚異的な売上を達成しました。
その背景には、ファーマフーズの京都の漬物から発見した独自の乳酸菌技術や、金武祚社長の研究者としての直感と実証実験への情熱がありました。吊り橋を使った大胆な実験から始まったGABAの効果検証は、現在では世界一の生産量を誇る巨大ビジネスへと成長しています。
GABAの成功は、科学的根拠に基づいた商品開発と消費者のニーズを的確に捉えたマーケティングの融合によって生まれた現代的な成功事例といえるでしょう。ストレス社会で生きる私たちにとって、GABAのようなメンタルヘルスサポート成分の重要性は今後ますます高まることが予想されます。
※ 本記事は、2025年8月24日放送(TBS系)の人気番組「がっちりマンデー!!」を参照しています。
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※ ファーマフーズのHPはこちら
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