2025年6月22日に放送されたTBS系「がっちりマンデー!!」で、長年愛され続けているロングセラー商品が急に過去最高売上を記録する理由が特集されました。その中でも特に注目を集めたのが、森永製菓の「ハイチュウ」です。1975年の発売から50年という節目を迎えた今年、なぜハイチュウが過去最高の売上を達成できたのでしょうか。番組で明かされた森永製菓の戦略的改革について詳しく解説していきます。
ハイチュウが過去最高売上を達成した森永製菓の2大改革
森永製菓の菓子マーケティング部の堤崇将さんが番組で明かしたところによると、ハイチュウが過去最高売上を達成した背景には「2つの大きな改革」がありました。これらの改革は、ハイチュウの50年の歴史の中でも特に大規模なものだったと語られています。
まず1つ目の改革は、2022年に実施された「食感の大幅改良」です。これは実に25年ぶりの大規模な食感変更で、森永製菓のキャンディ開発グループの川崎翔太さんによると、噛み始めの硬さを約50%減らすという画期的な改良でした。従来のハイチュウは3回程度噛むことで口の中の水分や温度が伝わり柔らかくなっていましたが、新しいハイチュウは最初から柔らかい食感を実現しています。
2つ目の改革は、2024年に行われた「ロゴの英語表記への変更」です。長年親しまれてきたカタカナの「ハイチュウ」から、英語の「HI-CHEW」へと変更されました。この変更により、特に10代から20代の若者世代の購入金額が大幅に向上したということです。
がっちりマンデーで明かされたハイチュウ50周年の快挙
番組では、加藤浩次さんと進藤晶子さんが司会を務め、ゲストにはなかやまきんに君とエコノミストのエミン・ユルマズさんが出演しました。森永製菓の堤崇将さんが登場し、「今年で50チュウ周年を迎えます」と50年という長い歴史を持つハイチュウについて説明しました。
ハイチュウは1975年の発売以来、まさにロングセラー商品として愛され続けてきました。しかし、一般的にロングセラー商品は売上が横ばいだったり、じりじりと下がっていく傾向があります。ところが、ハイチュウはコロナ禍の影響を受けたものの、ここ1、2年でグイグイと売上を伸ばし、ついに過去最高売上を更新したのです。
この快挙の背景には、森永製菓が長年にわたって蓄積してきた技術力と、時代に合わせて変化する柔軟性がありました。番組では、なかやまきんに君が実際に新旧のハイチュウを食べ比べ、「確かに全然違います」と食感の違いを実感する場面も放送されました。
食感改良で実現した「1番幸せを感じる」柔らかさの秘密
森永製菓が2022年に行った食感改良は、単なる思いつきではありません。川崎翔太さんによると、「めっちゃくちゃ大事」な第一印象として、柔らかな噛み出しがその後の喫食体験を楽しい思い出にするかどうかを左右するということです。
森永製菓は、ハイチュウを噛んだ時の柔らかさがどれくらいだったら「1番幸せを感じる」かを徹底的に研究しました。さまざまな硬さのハイチュウを製作し、圧力を測定しながら、最も多くの人が幸せを感じる柔らかさの度合いを科学的に分析したのです。
この研究の結果、現在のハイチュウの柔らかさは、最も多くの人が幸せを感じるように調整されています。噛み始めの硬さを従来の約半分にまで減らすことで、「最初に歯を入れた時の噛み出しの柔らかさ」を実現し、一口目からの幸福感を提供することに成功しました。
番組のスタジオでも、実際に食べ比べた出演者たちが「歯がグーっと入る感じが全然違う」「柔らかい」と食感の変化を実感していました。この科学的アプローチによる食感改良が、ハイチュウの売上向上に大きく貢献しているのです。
カタカナから英語へ!ロゴ変更が若者世代に刺さった理由
2024年に実施されたロゴ変更も、ハイチュウの売上向上に大きな影響を与えました。長年親しまれてきたカタカナの「ハイチュウ」から英語の「HI-CHEW」への変更は、一見小さな変更に思えるかもしれませんが、その効果は絶大でした。
特に注目すべきは、この変更が10代から20代の若者世代に「まさかまさかの大受け」したことです。堤崇将さんによると、ロゴ変更により、この世代の購入金額が明確に上がったということです。英語表記の方がカタカナよりも「ちょっとかっこいい」という印象を若者世代に与え、ブランドイメージの向上につながったのです。
この変更は、グローバル展開を進める森永製菓の戦略とも合致しています。実際に、ハイチュウは現在アメリカを中心に30カ国以上で販売されており、米国でのハイチュウ事業は2018年度から毎年20%を超える成長を遂げています。2023年度の米国事業の売上高は約190億円の規模まで成長しており、英語ロゴへの統一は世界的なブランド展開においても重要な意味を持っています。
堤崇将氏と川崎翔太氏が語る開発秘話
番組に出演した森永製菓の2人のキーパーソンは、それぞれ異なる専門分野からハイチュウの成功に貢献しています。菓子マーケティング部の堤崇将さんは、マーケティング戦略の観点から2つの大きな改革を推進し、キャンディ開発グループの川崎翔太さんは、技術面から食感改良を実現しました。
川崎翔太さんは、25年ぶりという大規模な食感改良について「最初に歯を入れた時の噛み出しの柔らかさが大体、半分ぐらいになるようにとてもソフトに仕上げております」と説明しました。この改良により、従来は噛み始めが硬く、口の中の水分や温度で徐々に柔らかくなっていたハイチュウが、最初から理想的な柔らかさを提供できるようになったのです。
堤崇将さんは、ロゴ変更の効果について「10代から20代のお客様の購入金額が上がりました」と具体的な成果を示し、マーケティング戦略としての成功を強調しました。これらの改革は、それぞれの専門性を活かした連携によって実現されたものであり、森永製菓の組織力の高さを物語っています。
森永製菓の徹底した食感研究が生んだイノベーション
ハイチュウの食感改良は、森永製菓の研究開発力の結晶です。番組で紹介された森永製菓の研究所では、「どれくらいの柔らかさだったら1番幸せを感じるか」という感覚的な要素を科学的に分析し、数値化することに成功しました。
この研究では、色々な硬さのハイチュウを数多く製作し、それぞれの圧力を測定しながら、消費者の感覚と物理的な数値の関係性を詳細に調査しました。その結果、現在のハイチュウの柔らかさは、最も多くの人が幸せを感じる度合いに調整されているということです。
川崎翔太さんが強調した「第一印象」の重要性は、消費者心理学の観点からも理にかなっています。最初の一口で感じる柔らかさが、その後の食体験全体の印象を決定し、ブランドに対する愛着や再購入意欲に直結するのです。このような消費者心理を深く理解した上での製品改良が、50年という長い歴史を持つハイチュウの新たな成功につながったと言えるでしょう。
まとめ
2025年6月22日放送の「がっちりマンデー!!」で明かされたハイチュウの過去最高売上の秘密は、森永製菓が実施した2つの戦略的改革にありました。2022年の25年ぶりとなる食感改良では、噛み始めの硬さを約50%減らし、「1番幸せを感じる」柔らかさを科学的に追求しました。そして2024年のロゴ変更では、カタカナから英語表記への変更により、特に10代から20代の若者世代の購入を促進することに成功しました。
これらの改革は、50年という長い歴史を持つロングセラー商品であっても、時代に合わせて変化し続けることの重要性を示しています。堤崇将さんと川崎翔太氏が語った開発秘話からは、マーケティングと技術開発の両面から製品を進化させる森永製菓の企業力が読み取れます。
ハイチュウの成功事例は、他の企業にとっても貴重な学びとなるでしょう。伝統を大切にしながらも革新を恐れず、消費者の声に耳を傾け、科学的なアプローチで製品改良を行う姿勢こそが、ロングセラー商品を更なる高みへと押し上げる鍵となるのです。
コメント