2025年12月7日放送の「がっちりマンデー!!」で紹介されたローソンの引き算ビジネスが話題です。具なしカップラーメンという常識破りの発想で200万食を売り上げ、4億7600万円の売上を記録。この記事では、物価高時代に逆転の発想で成功した多和孝徳さんの戦略と、スープが美味しいと評判の秘密、そして予想外の副次効果まで詳しく解説します。
ローソンの引き算ビジネスとは?具なしカップラーメンが200万食突破
2025年12月7日放送のTBS系「がっちりマンデー!!」で、ローソンの画期的な引き算ビジネスが特集されました。その主役となったのが「スープ激うま!」シリーズです。
このカップラーメンの最大の特徴は、カップラーメンに必ず入っているはずの「具材」を完全に引き算してしまったこと。一見すると貧相に見えるかもしれないこの商品が、なんと2024年10月の発売から約1年で200万食を販売し、売上4億7600万円という驚異的な数字を叩き出したのです。
番組では開発担当の多和孝徳さんが登場し、この商品開発の舞台裏を明かしました。価格は238円(税込)。ローソンのカップラーメン全体の平均価格である約250円を下回る価格設定ながら、スープのクオリティは妥協しないという、まさに引き算の発想が光る商品です。
「スープ激うま!」シリーズは、2024年10月29日に第1弾として「濃厚豚骨ラーメン」と「激辛味噌ラーメン」の2種類で発売開始。発売初週にはローソンのプライベートブランドカップラーメンの売上で1位と2位を独占するほどの人気となりました。その後、2025年1月28日には第2弾として番組で紹介された「札幌味噌ラーメン」と「京都背脂醤油ラーメン」が追加され、シリーズ展開されています。
この成功の背景には、物価高の時代だからこそ、何を削り何に集中するかという明確な戦略がありました。従来のカップラーメンは新機能追加や具材増量といった足し算の発想が主流でしたが、ローソンはあえて引き算に舵を切ったのです。
多和孝徳さんが開発した「スープ激うま」ラーメンの特徴
開発を担当した多和孝徳さんは、番組の中でこの商品の特徴を詳しく説明しています。「スープがめちゃくちゃ美味しい」と自信を持って語る多和さん。その言葉通り、試食したAD及川さんも「うまい。カップラーメンじゃないみたいですね。なんかコクがあります、味噌に」と驚きの声を上げていました。
札幌味噌ラーメンのスープには、濃厚な味噌に豚骨とラードを掛け合わせ、さらに生姜、すりごま、豆板醤を隠し味として使用。通常のカップラーメンとは一線を画す、奥深いコクのある味わいに仕上げています。
この本格的な味を実現できた理由は明確です。具材にかかるはずだったコストを、すべてスープの開発に振り向けたからです。多和さんは「具材で浮いた分のコストも全てスープに振り切った商品になってます」と説明しています。
番組に出演した経済アナリストの森永康平さんも鋭い指摘をしています。「他のカップラーメンがスープ美味しいですって書いても流されちゃうのが、具がないが故に、あ、多分本当にスープ相当うまいんだろうなって思ってもらえるっていう、こうマーケティング効果もあったと思うんですよ」
まさにその通りで、これは唐揚げ専門店と総合メニューを置く店の唐揚げの違いと同じ心理です。一点勝負している店の方が、その分野では絶対に美味しいはずだと消費者は期待する。具なしという潔さが、逆にスープへの信頼感を生み出したのです。
社内の反対を押し切った理由:物価高時代のコスパ戦略
実はこの商品、発売までの道のりは決して平坦ではありませんでした。番組では社内の反対意見の様子も紹介されています。
「具をなくしちゃったら貧相だろ」「具がなかったら売れないでしょ」
当然の反応かもしれません。カップラーメンに具材が入っているのは当たり前。それをなくすという発想は、常識を覆すものでした。しかし多和さんは、この反対意見を押し切って販売に踏み切ります。
その判断の根拠となったのが、綿密な顧客ニーズの調査でした。多和さんは「お客様ニーズを調べる中で、ま、物価高の中で、ま、コスパのいい商品が求められているというのがわかって開発しました」と語っています。
2024年から2025年にかけて、日本は深刻な物価高に直面しています。外食すれば1000円を軽く超えるのが当たり前の時代。消費者は本当に価値のあるものにお金を使いたいと考えるようになりました。
ローソンが目指したのは、「高品質なカップラーメンをお手頃価格で食べたい」という顧客の声に応えること。そのためには、何かを諦めなければならない。その諦めるものが「具材」だったのです。
この決断は、まさに引き算ビジネスの本質を表しています。すべてを満たそうとするのではなく、本当に重要なもの—スープの美味しさ—に集中する。常識に縛られない勇気ある決断が、大ヒット商品を生み出しました。
スープが美味しい秘密:具材コストを全てスープに投資した結果
なぜ「スープ激うま!」シリーズのスープはこれほど美味しいのか。その秘密は、コスト配分の徹底的な見直しにあります。
通常のカップラーメンでは、具材にもかなりのコストがかかっています。チャーシュー、メンマ、ネギ、海苔など、これらの具材を調達し、乾燥処理して品質を保つには相応の費用が必要です。
ローソンは、この具材コストを完全にゼロにすることで、その分をすべてスープの品質向上に投資しました。濃厚な味噌、豚骨、ラード、生姜、すりごま、豆板醤といった材料を贅沢に使用できたのは、この戦略があったからこそです。
実際にネット上のレビューを見ても、「238円でこのクオリティは驚き」「300円超の高級カップ麺に匹敵する」といった高評価が並んでいます。中には「本当に美味しかった!濃厚で多少にんにくもきいており、お酒のシメの素ラーメンとして100点💯」というコメントも。
さらに興味深いのは、具なしであることが新しい食べ方を生み出している点です。あるユーザーは「スープ替わりで食べる」という使い方を提案していますし、別のユーザーは「シメのラーメン」として活用しています。
この商品は、単なるコストダウン商品ではありません。コストの再配分によって、新しい価値を創造した商品なのです。具材という固定観念を取り除くことで、スープという本質に集中できた。これこそが引き算ビジネスの醍醐味と言えるでしょう。
予想外の効果!サイドメニュー購入が2割増加した理由
ローソンの具なしカップラーメンは、予想外の儲かり効果も生み出しました。それがサイドメニューの売上増加です。
番組では、ローソン店舗での実際の購買行動が観察されています。「スープ激うま!」を手に取ったお客さんが、その後ホットスナックのコーナーに立ち寄り、からあげクンチーズ味を購入する場面が映し出されました。
インタビューに答えたお客さんは「やっぱ具が…近いものが欲しかったのかもしんないですけど」と正直に語っています。このお客さんはからあげクンを10回以上食べているリピーターでもあり、この組み合わせを気に入っているようです。
別のお客さんは、カップラーメンとおにぎりの組み合わせを「いつもこの組み合わせで買ってる」と話していました。
驚くべきことに、カップラーメンから具を引き算したことで、お惣菜やおにぎりを一緒に購入する人が2割も増加したのです。これは完全なダブルの儲かり効果。カップラーメン自体も売れる、そしてサイドメニューも売れる。
この現象は、消費者心理の巧みな読みが生んだ結果です。238円という手頃な価格設定により、消費者は「もう一品買っても予算内」と感じやすくなります。そして具なしという特徴が、逆に「何か足したい」という気持ちを喚起するのです。
コンビニビジネスにおいて、客単価を上げることは重要な課題です。しかし無理に高額商品を売り込むのではなく、手頃な価格の商品を組み合わせて買ってもらう。この戦略が、自然な形で実現できているのです。
加藤浩次さんも番組で「これはうまいこと考えたな」と感心していましたが、まさにその通り。引き算することで、別の場所で足し算が起きる。この連鎖効果こそが、ローソンの引き算ビジネスの真骨頂と言えるでしょう。
がっちりマンデーで紹介された引き算ビジネスの成功ポイント
番組では、引き算ビジネス全般についても深い議論が交わされました。経済アナリストの森永康平さんは、引き算ビジネスの本質について次のように語っています。
「何を引いたらいいのかっていう見極める力、これがまず大事ですし、そこの決断力ですよね。どこまで引くかっていうその見極め。あとはそれをちゃんと綺麗に抜きたいところだけ引きたいところだけ引ける技術力っていうのも大事だと思うんで」
この指摘は非常に重要です。ローソンの成功は、単に具材を抜いただけではありません。以下の3つの要素が揃っていたからこそ実現できたのです。
1. 見極める力 物価高という時代背景の中で、消費者が何を本当に求めているかを正確に把握しました。安いだけではダメ、でも高品質で高価格でも売れない。「手頃な価格で、本当に美味しいもの」というニーズを的確に捉えました。
2. 決断力 社内の反対を押し切って発売に踏み切る勇気。常識を疑い、新しい価値を信じる力。これがなければ、この商品は世に出ることはなかったでしょう。
3. 技術力 具材を抜いた分のコストを、確実にスープの品質向上に活かす技術。濃厚な味噌、豚骨、ラード、そして隠し味の生姜、すりごま、豆板醤を絶妙なバランスで配合する開発力があったからこそ、「スープ激うま」という名前に恥じない商品が完成しました。
加藤浩次さんも「引いてるもんってかっこいいんですよ。そこで勝負してるって感じがして」と語っていますが、まさにその通りです。足し算は誰でもできます。しかし引き算は、何が本質かを見極める目と、それに集中する勇気が必要なのです。
ダイソンの羽なし扇風機も、従来の常識だった「扇風機には羽が必要」という固定観念を打ち破りました。ローソンの具なしカップラーメンも同じく、「カップラーメンには具が必要」という常識を疑い、新しい価値を創造したのです。
まとめ
ローソンの「スープ激うま!」シリーズは、引き算ビジネスの見事な成功例です。2024年10月の発売から約1年で200万食を販売し、4億7600万円という売上を記録。具材を引き算するという常識破りの発想が、物価高時代の消費者ニーズに見事にマッチしました。
開発担当の多和孝徳さんの勇気ある決断、社内の反対を押し切ってでも実現した信念、そして具材コストをすべてスープに投資するという明確な戦略。これらすべてが相まって、大ヒット商品が誕生したのです。
さらに予想外の副次効果として、サイドメニューの購入が2割増加するというダブルの儲かり効果も実現。引き算することで、別の場所で足し算が起きるという好循環を生み出しています。
2025年12月7日放送の「がっちりマンデー」で紹介されたこの事例は、私たちに大切なことを教えてくれます。それは、常識を疑う勇気、本質を見極める目、そして集中することの力です。
物価高の時代だからこそ、何を削り何に集中するか。その選択が、ビジネスの成否を分けるのです。ローソンの引き算ビジネスは、これからの時代のヒントに溢れていると言えるでしょう。
※ 本記事は、2025年12月7日放送(TBS系)の人気番組「がっちりマンデー!!」を参照しています。
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