【がっちりマンデー】明太フランスでフルフル古田量平社長が「年4億円売上の秘訣」

2025年7月27日放送のTBS「がっちりマンデー!!」で特集された「儲かる地元パン」。その中でも圧倒的な存在感を放ったのが、福岡県の株式会社フルタパンが展開する「フルフル」の明太フランスです。古田量平社長が築き上げた年間4億円売上の地域密着型ビジネスモデルには、現代の地方企業が学ぶべき成功の法則が隠されていました。

がっちりマンデーで紹介された明太フランスとは？フルフルの驚異的売上実績

フルフルの「明太フランス」　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（引用：「がっちりマンデー」より）

がっちりマンデーで紹介されたフルフルの明太フランスは、まさに福岡が誇る地元パンの代表格です。番組では、開店前から30人以上の行列ができる様子が映し出され、お客様が「明太フランス13本」「明太フランス5本」と次々に大量購入する光景が印象的でした。

フルフルの明太フランスの売上実績は驚異的です。年間100万本、売上4億円という数字が示すように、1本480円の商品でこれほどの成果を上げることは並大抵のことではありません。特に注目すべきは、1日最大4000本という販売数です。これは切った状態での数字ですが、それでも地域密着型のパン屋としては驚異的な数字といえるでしょう。

明太フランスの特徴は、外はパリパリ、中はもっちりのオリジナルフランスパンに、厳選された明太子とバターを合わせたソースがたっぷり入っていることです。DJ KOOさんが番組で「明太DOダンス」と表現したように、その美味しさは一度食べたら忘れられない味わいです。

フルフルが他の明太フランスと一線を画すポイントは、国産小麦へのこだわりです。DJ KOOさんも番組で言及していたように、フルフルは国産小麦にこだわったパン作りで知られており、これが明太フランスの独特な食感と風味を生み出している要因の一つです。

古田量平社長が語る明太フランス誕生秘話「高知での運命的出会い」

フルフル（(株)フルタパン）の古田量平社長　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（引用：「がっちりマンデー」より）

明太フランス誕生の裏には、古田量平社長の鋭い観察眼と福岡愛がありました。番組で語られた誕生秘話は、地方企業の商品開発において非常に示唆に富むものです。

20年以上前、古田社長が高知県を訪れた際に、小さなパン屋でひっそりと売られていた明太子入りのフランスパンを発見したのがきっかけでした。この時の古田社長の発想が秀逸です。「これ高知だとそんなにかも、だけど明太子が大好きな福岡ならもっと売れるっちゃんないと」という言葉からも分かるように、地域特性を活かしたマーケティング戦略を瞬時に見抜いていました。

しかし、商品開発は順風満帆ではありませんでした。当初の売上は1日わずか5〜6本という厳しい現実がありました。この期間は古田社長にとって試練の時でしたが、諦めずに継続したことが後の大成功につながったのです。

福岡という明太子の本場で明太フランスを展開するという発想自体は理にかなっていましたが、商品として成功するまでには相当な努力と工夫が必要でした。古田社長の「高知で見つけたアイデアを福岡で活かす」という地域間のビジネスモデル移植は、現代の地方企業にとっても参考になる事例です。

売上800倍の転機！独自スタイル「カット販売」のアイデア誕生

フルフルの明太フランスが1日5〜6本から4000本へと 売上800倍 を達成した最大の転機は、女性スタッフの何気ない一言でした。この事例は、従業員の声に耳を傾けることの重要性を示す格好の例といえるでしょう。

その女性販売チーフが指摘したのは、「これ長いからね、女性がね、食いちぎって食べれるっていうのはね、ちょっとね、食べにくいです」という実に的確な問題点でした。確かに、まるまる1本の明太フランスパンは食べづらく、かじると明太子が口の横からあふれ、切って食べようとしてもパンが潰れてこぼれてしまうという課題がありました。

そこで生まれたのが、フルフルの 独自スタイル である「お店で切って売る」という販売方法です。この改善により、女性だけでなく子供や高齢者にも食べやすくなり、幅広い年代の顧客層を獲得することができました。

古田社長は番組で「それはね、男では分からんのです」と語っていましたが、これは経営者にとって重要な示唆を含んでいます。顧客目線での商品改善は、性別や年代の違いによる視点の多様性から生まれることが多いのです。

興味深いのは、この提案をした女性スタッフについて「もう結婚したから（辞めた）」「うちにすれば一番出した方やないかな（退職金を）」と古田社長が語っていることです。この発言からも、会社の成長に貢献した従業員への感謝の気持ちと、適切な評価を行う経営姿勢が伺えます。

フルフル明太フランスの5つの工程と5分から10分おきの焼き上げシステム

フルフルの明太フランスが常に焼きたての美味しさを提供できる秘訣は、綿密に計算された製造システムにあります。番組で紹介された 5つの工程 は、「仕込み、分割、成形、仕上げ、カット」というもので、明太フランス専門のスタッフがこれらの工程を常時回し続けています。

最も特徴的なのは、5分から10分おき という短い間隔での焼き上げサイクルです。一般的なパン屋では朝にまとめて焼いておくのが普通ですが、フルフルでは明太フランスの特性を考慮した独自のシステムを採用しています。

この頻繁な焼き上げが必要な理由は明確です。明太フランスは焼いてから時間が経つと、プチプチの明太子がパサパサになり、じゅわっとしていたバターもパンに染み込んでなくなってしまうからです。フルフルでは焼き上がってから 30分以内 に食べてもらうことを理想としており、そのために1日になんと 130回 も焼き上げを行っています。

この製造システムは単純なようで実は非常に高度です。需要予測、在庫管理、人員配置、品質管理など、複数の要素を同時に最適化する必要があります。特に、明太子とバターという繊細な食材を扱う以上、温度管理や時間管理は極めて重要です。

顧客からも「どんどん焼いてくださるからね。焼きたてすごい。カットして、パリパリとしてるフルフルさんがやっぱり一番と思う」という評価を得ており、この製造システムが競合他社との差別化要因になっていることが分かります。

吉崎唯己マネージャーが実践する品質管理の徹底ぶり

フルフルの吉崎唯己マネージャー　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（引用：「がっちりマンデー」より）

番組では、吉崎唯己マネージャーが明太フランスの品質管理について語る場面も印象的でした。「5分から10分おきに焼き上げてます」という発言からは、現場レベルでの品質へのこだわりが伝わってきます。

吉崎マネージャーの管理下では、醗酵状態により時間が多少前後することも計算に入れた柔軟なオペレーションが行われています。これは画一的な製造ではなく、食材の状態に応じた職人的な判断が求められる高度な品質管理といえるでしょう。

フルフルの品質管理が徹底している点は、明太フランスだけでなく、店舗全体の運営にも表れています。開店前から行列ができる人気店でありながら、常に安定した品質を提供し続けることは、マネージャークラスの現場管理者の力量にかかっています。

特に明太フランスのような生ものを扱う商品では、衛生管理、温度管理、時間管理のすべてが品質に直結します。吉崎マネージャーのような現場責任者が、これらの要素を総合的に管理することで、フルフルブランドの信頼性が維持されているのです。

まとめ

がっちりマンデーで紹介されたフルフルの明太フランスは、古田量平社長の経営哲学と現場スタッフの創意工夫が生み出した地域密着型成功事例の典型です。高知での発見から福岡での展開、女性スタッフのアイデアによる独自スタイルの確立、そして5つの工程による品質管理システムまで、すべてが有機的に結びついて年間4億円という驚異的な売上を実現しています。

特に注目すべきは、地域の特性を活かしながらも、顧客目線での改善を続けていく姿勢です。古田社長が「うちにすれば一番出した方やないかな（退職金を）」と語った女性スタッフへの感謝の気持ちからも分かるように、従業員の声を大切にする経営文化が、継続的な成長の原動力となっています。

吉崎唯己マネージャーをはじめとする現場スタッフの品質への徹底したこだわりと、5分から10分おきという頻繁な焼き上げサイクルは、まさに「焼きたて」という価値を顧客に提供するための具体的な仕組みです。

フルフルの明太フランスは、単なる地元パンを超えて、地方企業が全国に誇れるブランドを構築するためのヒントを数多く含んでいます。がっちりマンデーが注目したのも、この普遍的な成功要因があるからこそといえるでしょう。