2025年7月27日放送のTBS系「がっちりマンデー!!」で、静岡県の地元パン「のっぽパン」が特集され、その驚きの売上実績と製造の秘密が明かされました。全長34cmという長さが特徴的なこのパンは、なぜ年商2億円もの売上を誇るのでしょうか。番組で紹介された内容を詳しく解説します。
がっちりマンデーで紹介されたのっぽパンとは？34cmの長さの理由
のっぽパンは、静岡県で1978年に発売開始された地元パンの代表格です。番組内で沼津市の街頭インタビューを行った際、地元の方々が口々に「のっぽパン」と答えるほど、静岡県民にとって馴染み深い存在となっています。
このパンの最大の特徴は、なんといってもその長さです。一般的なパンと比較すると圧倒的な34cmという長さを誇り、端から端までびっちりとクリームが詰まっています。ピーナッツ味やチョコ味など様々な種類があり、どれも同じ34cmの長さで統一されているのが特徴的です。
種類豊富な「のっぽパン」 （引用：「がっちりマンデー」より）
番組で試食したスタッフからは「素朴な感じで、パンもシンプル、クリームもすごく甘いわけではなく食べやすい味」との感想が聞かれました。この絶妙な味のバランスと、34cmという独特の長さが、静岡県民に長年愛され続ける理由の一つといえるでしょう。
地元の皆さんの食べ方も実に多様で、「朝昼夜どこでも食べる」「家族で分ける時もあるし、1人で1本食べる時もある」「夜食みたいな感じで」など、シーンを選ばずに親しまれていることが番組で紹介されました。この汎用性の高さも、のっぽパンが地元で根強い人気を誇る理由の一つです。
(株)バンデロールの加藤与志和社長が語る「年商2億円」の実績
(株)バンデロールの加藤与志和社長 （引用：「がっちりマンデー」より）
のっぽパンを製造・販売する(株)バンデロールの加藤与志和社長が番組で明かした売上実績は驚くべきものでした。のっぽパンだけで年商約2億円を達成しており、これは1本180円という価格設定から逆算すると、年間100万本以上を売り上げていることになります。
販売網も非常に充実しており、番組時点でスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストアなど約600店舗で展開されています。2025年現在の最新情報では、静岡県内のローソン、ミニストップ、セブンイレブン（一部店舗）をはじめ、マキヤグループ、エブリービッグデー、ウエルシア薬局など、さらに販売網を拡大していることが確認できます。
注目すべきは、これだけの規模でありながら基本的に静岡県内での販売に特化していることです。地元密着型のビジネスモデルでありながら、年商2億円という大きな成果を上げているのは、まさに「がっちり」な経営戦略といえるでしょう。
静岡県外での常設販売は行っておらず、県外の方がのっぽパンを購入する場合は、バンデロールの公式ネットショップを利用するか、沼津市の工場直売所を訪れる必要があります。この希少性も、のっぽパンの価値を高める要因の一つとなっています。
のっぽパンはどうやって作っているのか？手作業の製造工程を徹底解説
番組では、34cmという長さのパンがどのように作られているのか、その製造工程が詳しく紹介されました。一般的なパン作りとは異なる、のっぽパン独自の工程に驚きの秘密が隠されていました。
製造工程は、まず小麦粉や砂糖などを混ぜ合わせてパン生地を作り、機械でパン1個分に小分けしていきます。ここまでは一般的なパン作りと同じですが、ここからがのっぽパン独自の重要な作業となります。
(株)バンデロールの山田栄一さん （引用：「がっちりマンデー」より）
山田栄一さんの説明によると、小分けした生地をネットでクルクルとロールにして、「天圧盤」という機械で徐々に長くしていきます。板と板の間を生地が転がることで、だんだんと伸ばされていくのですが、この段階ではまだ完成サイズの7割程度の長さにしかなりません。
ここで最も重要な工程が登場します。機械だけでは34cmの均一な長さにすることができないため、熟練した職人による手作業が必要になるのです。成型担当の新村智恵子さんは「硬さが違うんです。最初の生地は柔らかくてそれほど引っ張らなくても伸びるけれど、終わりの方は伸びないので引っ張る度合いを考えながらやらないと」と説明しています。
のっぽパン形成担当の新村智恵子さん （引用：「がっちりマンデー」より）
パンの生地は1個1個硬さが異なるため、機械では同じ長さに伸ばすことができません。職人が生地を触った時の感触で力加減を調整しながら、1個1個丁寧に、けれど素早く伸ばしていく技術が必要なのです。
番組スタッフが実際にのっぽパン作りに挑戦した結果、素人が作ったパンは両端が太くて真ん中が細くなってしまいましたが、ベテラン職人が伸ばしたパンは端から端まで均等に仕上がっていました。この技術の差が、のっぽパンの品質を支える重要な要素となっています。
この工場では多い時で1日に1万本ものっぽパンを製造しており、すべてに職人の手技が込められているのです。
34cmのっぽパンが静岡で愛され続ける理由
のっぽパンが静岡県で40年以上にわたって愛され続けている理由は、その独特の長さだけではありません。番組で明かされた地元での親しまれ方を見ると、静岡県民の生活に深く根ざしていることがわかります。
のっぽパンは34cm！ （引用：「がっちりマンデー」より）
まず、食べ方の自由度が高いことが挙げられます。34cmという長さは、1人で食べきるには十分なボリュームがありながら、家族でシェアすることも可能です。朝食、昼食、夜食、おやつと、どのタイミングでも楽しめる汎用性の高さが、幅広い世代に支持される理由の一つです。
また、1978年の発売開始から現在まで約70種類ものバリエーションが展開されており、常に新しい発見があることも魅力です。番組に出演したDJ KOOさんも「その年によってどんどん新しい商品が開発されて出てくるので、その度に地元の方も新しい商品を買って味わうのではないか」とコメントしています。
実際に番組では、期間限定の静岡おでん味のっぽパンが特別に用意され、9種類の具材が入った特別仕様が紹介されました。これまで多くのバリエーションが開発されており、このような地域の特色を活かした商品展開も、地元愛を深める要因となっています。
加藤浩次さんも試食した「静岡おでんのっぽ」 （引用：「がっちりマンデー」より）
さらに、これまでに累計2億本という驚異的な販売実績を誇り、親から子へ、そして孫へと受け継がれる「ソウルフード」としての地位を確立していることも重要です。番組のインタビューでも「子供の頃から食べている」「親が買って置いてあった」という声が多く聞かれ、世代を超えて愛され続けていることがわかります。
価格も1本180円と手頃で、気軽に購入できることも継続的な人気の理由といえるでしょう。
のっぽパン成功の秘密「がっちりマンデー」で明かされたポイント
番組では、のっぽパンの成功要因として、地元パンが生き残る理由についても解説されました。経済アナリストの森永康平さんは「パンは賞味期限が短く、輸送や発送が大変なので、その場で作ってその場だけで売ることが、結果的に地域の銘品パンになる」と分析しています。
実際にのっぽパンの消費期限は製造日＋3日と短く、これが全国展開を困難にする一方で、地域密着型のビジネスモデルを強固にしている要因でもあります。遠方への配送は2日かかる場合もあるため、基本的には静岡県内での販売に特化することで、品質の維持と効率的な流通を両立させています。
また、職人技術への投資も成功の鍵となっています。機械化が進む現代においても、最終的な生地の伸ばし作業は人の手に頼っています。これは一見非効率に思えますが、この手作業こそが34cmという独特の長さと均一な品質を実現し、他社では真似のできない差別化要因となっているのです。
ブランド力の構築においても、キリンのキャラクターを使った親しみやすいパッケージデザインや、「のっぽ」という覚えやすいネーミングが功を奏しています。シンプルでありながら印象に残るブランディングが、長期にわたる愛用に繋がっています。
さらに、工場直売市や工場直売所の展開により、消費者との直接的な接点を作り出していることも注目すべき点です。毎月第1・第3日曜日に開催される工場直売市では、のっぽパンをはじめとした製品を直接販売するとともに、工場見学的な要素も提供することで、ブランドへの愛着を深めています。
これらの要素が組み合わさることで、静岡という限定されたエリアでありながら年商2億円という大きな成果を実現しているのです。全国展開を目指すのではなく、地域に根ざした戦略で確実な成功を収める「がっちり」なビジネスモデルといえるでしょう。
まとめ
「がっちりマンデー!!」で紹介されたのっぽパンは、34cmという独特の長さと年商2億円という驚きの実績で注目を集めました。1978年の発売開始から累計2億本を売り上げ、静岡県民のソウルフードとして確固たる地位を築いています。
成功の秘密は、機械と手作業を組み合わせた独自の製造工程、地域密着型のビジネスモデル、そして世代を超えて愛される品質とブランド力にあります。山田栄一さんや新村智恵子さんといった熟練職人の技術により、1日最大1万本という大量生産でありながら、一つ一つに手作りの温かみが込められています。
のっぽパンの事例は、全国展開を目指すのではなく、地域に根ざした戦略で確実な収益を上げる「がっちり」なビジネスモデルの好例といえるでしょう。今後も静岡県民に愛され続けるのっぽパンの動向に注目していきたいと思います。
※ 2025年7月27日放送（TBS系）の人気番組「がっちりマンデー!!」を参照しています。
※ (株)バンデロールのHPはこちら
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