2025年6月15日に放送されたTBS系「がっちりマンデー!!」で注目を集めたのが、2024年に創業100周年を迎えた老舗製氷会社「小野田商店」です。同社が手がける超透明な氷を使ったアート商品「氷華」は、なんと300時間以上もの時間をかけて作られ、1個5万円からという高価格にも関わらず注文が殺到しているといいます。一体なぜ、この氷のアート商品がこれほどまでに話題になっているのでしょうか。
小野田商店と小野田渉社長とは?創業100年の透明氷メーカー
株式会社小野田商店は、1924年(大正13年)3月16日に創業され、2024年に創業100周年を迎えた老舗製氷会社です。現在の代表取締役社長は4代目の小野田渉氏で、1987年生まれの38歳という若手経営者が会社を牽引しています。
小野田渉社長は2012年に学習院大学経済学部を卒業後、アミューズメント企業で働いていましたが、父親の病気をきっかけに2013年4月に家業である小野田商店に入社しました。そして2020年6月、コロナ禍の真っ只中で代表取締役社長に就任し、苦境に立たされた製氷業界の再興に向けて様々な新しい取り組みを始めています。
同社の年間売上は約8億円で、東京を中心に1万5000件以上の飲食店に氷を供給している実力派の製氷メーカーです。特に銀座のバーや料亭などの高級店で重宝されているのが、小野田商店が誇る超透明な氷「超純氷®」です。
話題のアート商品「氷華」の特徴と驚きの価格設定
小野田商店で現在最も注目されているのが「氷華」という商品です。これは超透明な氷の中に造花や靴、フレグランスボトルなどを美しく閉じ込めたアートギフトで、古くは大正時代から続く「花氷」や「氷中花」と呼ばれる伝統的なアートを現代に蘇らせたものです。
氷華の最も驚くべき点は、その透明度の高さです。まるでクリスタルガラスのように澄み切った氷の中に、まるで宙に浮いているかのように美しく配置された花や装飾品が見えます。この美しさは、生で見ると写真では伝わらない感動があると、がっちりマンデーのスタジオでも絶賛されていました。
価格は1個5万円からと、氷にしては非常に高価ですが、大型ショッピングモールやハイブランドのイベント、結婚式のギフトとして注文が殺到しています。氷だからこそのメリットもあり、イベント終了後は溶かして処分できるため、ガラスやアクリル製品と比べて廃棄コストがかからないという実用的な利点も評価されています。
小野田商店の透明氷が溶けにくい理由と製造技術の秘密
一般的な家庭用冷蔵庫で作られる氷は、2〜3時間で急速冷凍されるため、どうしても白く濁ってしまいます。これは水に含まれるミネラルや空気などの不純物が氷の中に閉じ込められてしまうためです。また、こうした不純物が入った氷は構造的に弱く、溶けやすいという特徴があります。
小野田商店の透明氷が溶けにくい理由は、その独特な製造方法にあります。同社では-11℃という一般的な冷凍庫よりもやや高めの温度で、実に60時間以上もかけてゆっくりと氷を凍らせています。
この製造過程では、まず濾過して不純物のない水をアイス缶という鉄の容器に入れ、それを冷却液が入った水槽に浸します。水をゆっくりと空気でかき混ぜながら凍らせることで、水分子同士が隙間なくくっつき、不純物が自然に押し出されていきます。ある程度凍ったら、不純物が多く含まれた水を新しい純水に交換し、この工程を繰り返すことで、最終的に溶けにくくて透明度の高い氷が完成します。
氷華の作り方|300時間をかける驚異の製造工程を解説
通常の飲食店用の氷でも60時間という長時間をかけて製造している小野田商店ですが、氷華はさらにその5倍以上となる300時間以上もの時間をかけて作られています。つまり、約2週間という長期間をかけてじっくりと製造されているのです。
普通に水の中に物を入れて凍らせると、途中で空気が入ったり、ひびが入ったりして美しく仕上がりません。氷華では、この問題を解決するために極限までゆっくりと凍らせることで、水分子同士がより密に結合し、飲食店用の氷を上回る透明度を実現しています。
この製造工程は一つ一つ手作業で行われており、花や装飾品の配置、向きなどはすべてランダムになります。そのため、同じものは二つとない、まさに「唯一無二」のアート作品となっているのです。製造には高度な技術と長時間の工程が必要なため、小野田商店でも限られた社員しか製造技術を持っておらず、現在は技術継承が重要な課題となっています。
自宅の冷凍庫で透明氷を作る方法|小野田社長直伝のコツ
がっちりマンデーの番組内で、小野田渉社長が家庭でもできる透明氷の作り方を教えてくれました。完全に小野田商店の氷のようにはならないものの、普通の氷よりも透明度を上げることは可能です。
まず、水を煮沸することが重要です。煮沸により水中の空気や不純物を取り除くことができます。次に、100円ショップなどで売っている発泡スチロールの容器に煮沸した水を入れ、それを冷凍庫に入れます。
発泡スチロールは断熱効果があるため、水がゆっくりと冷却されます。これにより、家庭用冷凍庫でも小野田商店の製造環境に近い状況を作ることができ、普通に氷を作るよりも透明度の高い氷を作ることが可能になります。
ただし、家庭での製造では小野田商店のような完全な透明氷を作ることは難しく、あくまで「ちょっとは透明度を増す」程度の効果になることを理解しておく必要があります。
イベントで引っ張りだこ!氷華が人気の理由と活用事例
氷華が現在様々なイベントで引っ張りだこになっている理由は、その圧倒的な美しさと実用性にあります。スタジオでの実演では、25度の室温でも翌日まで形を保つほどの耐久性を見せており、イベント会場での展示にも十分対応できることが実証されています。
活用事例として最も多いのが、ハイブランドのイベントや大型ショッピングモールでの展示です。氷華は見る角度によってキラキラと輝き、時間とともにゆっくりと溶けていく様子も美しく、来場者の注目を集める効果的なディスプレイアイテムとなっています。
また、結婚式やパーティーでのギフトとしても人気が高まっています。特に母の日や誕生日、記念日などの特別な日のプレゼントとして選ばれることが多く、「時間と共に消えてしまうからこそ、その瞬間を特別な思い出に彩る」という氷ならではの価値が評価されています。
さらに、有名アーティストのミュージックビデオでも使用されるなど、エンターテインメント業界でも注目を集めており、小野田商店の技術力の高さを示すものとなっています。現在では楽天市場での販売も開始され、より多くの人が氷華を手に入れられるようになっています。
まとめ
がっちりマンデーで紹介された小野田商店の透明氷技術は、創業100年の歴史と4代目小野田渉社長の革新的な取り組みが生み出した現代の芸術品です。300時間以上をかけて作られる氷華は、単なる氷を超えた価値を持つアートギフトとして、多くの人々に感動を与え続けています。
溶けにくい透明氷の秘密は、60時間以上かけるゆっくりとした製造工程にあり、この技術を応用した氷華は、イベント業界や贈り物市場で新たな需要を創出しています。家庭でも煮沸した水と発泡スチロールを使えば、多少透明度の高い氷を作ることができますが、小野田商店の技術力の高さは他の追随を許さないレベルにあることがよく分かります。
今後も小野田商店は、伝統的な製氷技術と現代のニーズを融合させた新しい商品開発を続けていくことでしょう。創業100年を超えた老舗企業の挑戦は、まさにがっちりとしたビジネスモデルの好例と言えるのではないでしょうか。
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