ガソリン需要の減少やEV化の波が押し寄せる中、出光興産が画期的な業態転換で注目を集めています。2024年12月8日放送のTBS「がっちりマンデー!!」で紹介された洗車専門店「アポロワン」の成功事例から、新たなビジネスモデルの可能性を探ってみましょう。
出光興産が仕掛けた洗車専門店アポロワンの全貌とは
出光興産株式会社販売部の伊勢仁美さんによると、同社が展開する洗車専門店「アポロワン」は、従来のガソリンスタンドを大胆に改装して誕生しました。特筆すべきは、給油設備を完全撤去し、洗車とカーコーティングに特化したビジネスモデルを採用したことです。
この革新的な取り組みについて、出光興産株式会社販売部の松冨陽一さんは「人口減少や若者の自動車離れ、さらには石油需要の減少により、ガソリンスタンドの数はピーク時の6万軒から現在3万軒を切るまで減少している」と背景を説明しています。
ガソリンスタンドから給油機を完全撤去!大胆な業態転換の理由
なぜ給油機を完全撤去するという大胆な決断を下したのでしょうか。イタバシ株式会社の板橋考史社長は「ガソリンの場合は税金がかかってしまうので、なかなか利益が上がらず、価格競争も激しい」と語ります。
さらに、給油業務における人件費の高さや、価格競争の激化により、従来型のガソリンスタンドビジネスの収益性は年々低下傾向にありました。一方で、都市部では駐車場付きの住宅が減少し、自宅で洗車できない車オーナーが増加。この社会変化を事業機会と捉えた出光興産は、立地の良さと既存設備を活かした新業態への転換を決断したのです。
アポロワンの成功の鍵!完全予約制の洗車専門店システム
アポロワンの特徴は、完全予約制を採用していることです。これにより、お客様の待ち時間をゼロにすると同時に、効率的な人員配置が可能になりました。実際に来店したお客様からは「専門店ならではの丁寧な対応」「プロフェッショナルな仕上がり」といった高い評価の声が寄せられています。
特に雨上がりや連休最終日などは、一般的な洗車場では1~2時間待ちになることも珍しくありませんが、予約制の導入により、そうした混雑時でもスムーズなサービス提供を実現しています。
プロフェッショナルによるカーコーティングで高収益を実現
アポロワンのもう一つの収益の柱が、プロフェッショナルによるカーコーティングサービスです。車種にもよりますが、1台あたり22万円程度の高単価サービスを提供し、月間最大10台ほどの施工実績があります。これは月額200万円の売上に相当し、高い収益性を実現しています。
この専門性の高いサービスを提供できる背景には、給油業務から解放されたことで、スタッフがコーティング技術の習得に専念できる環境が整ったことが挙げられます。
出光興産が描く未来戦略~250店舗展開への野望
出光興産は2030年までにアポロワンを250店舗まで拡大する計画を掲げています。松冨陽一さんによれば、将来的にはEV充電スタンドの設置や、低炭素社会実現に向けた次世代燃料の供給拠点としての機能も視野に入れているとのことです。
この業態転換により、一人当たりの生産性は従来のガソリンスタンド時代と比較して2.6倍にまで向上。少ない人数で効率的な運営が可能となり、人手不足が深刻化する自動車関連業界において、持続可能なビジネスモデルを確立しています。
まとめ:洗車専門店アポロワンが示す新たなビジネスモデル
出光興産による洗車専門店アポロワンの事例は、既存事業の課題を直視し、社会の変化を捉えた新たなビジネスモデルの好例と言えるでしょう。給油機の完全撤去という大胆な決断、完全予約制の導入、そして高付加価値サービスの提供により、売上2.6倍という成果を実現しています。
今後のモビリティ社会の変化を見据えた戦略的な業態転換は、他の企業にとっても示唆に富む取り組みと言えるでしょう。
※本記事は、2024年12月8日放送のTBS番組「がっちりマンデー!!」を参照しています。
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