ペットを家族のように想う飼い主にとって、羽田空港の衝突事故で命を落とした愛猫の話は胸をえぐる思いでした。機内へのペット同伴について、賛否両論が交錯する中、著名人たちもそれぞれの立場から持論を展開しています。記事では事故を機に再燃したこの議論の全体像を紹介。人命優先と愛玩動物への思いの狭間で悩む飼い主の気持ちに寄り添いつつ、問題解決に向けた具体的な方策が見出せるのかどうか、検証していきたいと思います。
事故を機に再燃した論争
2日に羽田空港で発生した日本航空旅客機と海上保安庁航空機の衝突事故を受けて、ペットを機内に持ち込めるよう求める声が高まっている。
この事故で日本航空機に搭乗していた乗客の愛猫2匹が貨物室で亡くなったことが発端となった。実業家の堀江貴文氏をはじめ有名人たちもSNS上で持論を展開するなど、ペットの機内持込みをめぐる議論が再燃している。
日本国内でもスターフライヤーが一部路線で、犬や猫を客室に持ち込めるサービスを始めているが、多くの航空会社では貨物室に預けることを義務付けているのが現状だ。
ペットは家族か所有物か
飼い主にとって、ペットは家族同然に大切な存在だ。犬や猫は単なる所有物や荷物ではなく、命ある生き物なのである。
「わたしは、あの旅客機に乗っていました。(中略)愛猫を失いました。(中略)暗い貨物室で怖かったよね、苦しかったよね。」
これはある乗客がSNS上でつづった実際の体験談だ。深い絆で結ばれた家族を突然失った痛ましさが伝わってくる。
人気タレントのフィフィ氏も自身のSNSで「ペットは助かっても、その分避難が遅れたり混乱が起きて死者が出る」といったジレンマを指摘するなど、議論の分かれるところだ。
機内への持ち込み賛否両論
元フジテレビアナウンサーの笠井信輔氏は「犠牲者が出なくてよかったねと言う私の感想は表層的でした。機内に一体いくつの命が積まれていたのでしょうか。連れ出せないのは決まりですが…」と持論を展開している。
一方、参議院議員の米山隆一氏は「ペット持ち込みを認められても避難時は荷物扱いとなりその場に置かされる規約がほとんど」と実際の運用の難しさを指摘する。格闘家の須藤元気氏も「手荷物も持てないのにペットのかご持てるわけがない」と述べている。
消費者庁によると、国内航空会社で現在ペット同伴サービスを提供しているスターフライヤー社でさえ、「緊急時にはペット同伴席も除き、ペットは乗客およびクルーの脱出を妨げることができません」と定められているという。
人命最優先だがペットの命も大切
日本の法律上、航空機事故の際には「人命救助」が最優先で、手荷物より人を優先して避難させることが義務づけられている。元大阪府知事の橋下徹氏も「手荷物さえ持ってはいけないのが避難時の鉄則」だと説明している。
ただ、タレントの石田ゆり子氏が「生きている命をモノとして扱うことが私にはどうしても解せない」と訴えるように、ペットへの愛着とジレンマを抱える飼い主は多いのも事実だ。
「緊急時であると分かってればペットは置いていく覚悟を持つべき」とした上で、橋下氏も「日頃から預け先を確保できれば済む話でもある」と指摘している。
解決の糸口はあるのか？
果たしてこの問題に解決の糸口はあるだろうか。メンタリストのDaiGoは「ケージ抱えて避難はできるはず」と主張するが、現実的には極めて困難で、ほとんどの専門家が容認していないのが実状だ。
一方で笠井氏が「海外では犬や猫を膝の上で運ぶこともある。日本でも条件を設ければ可能では」と示唆したように、技術的な課題をクリアできれば、少しずつ状況が変わる可能性は残されている。
須藤氏も「アレルギーや鳴き声への対策を施せば、実現可能では」と述べ、議論を促している。
まとめ
今回の議論を受け、航空各社や国はこの問題に真摯に向き合う必要があるだろう。飛行機事故時の人命最優先原則が変更される可能性は低いものの、飼い主にとって家族同然のペットの命が失われる現状を看過することもできない。
技術の発展とともに、条件をクリアすれば機内へのペットの持ち込みが将来的に実現するかもしれない。一方で、長距離移動をしたい場合の選択肢として、ペットホテルの利用や自家用車による陸路移動も確保する必要があるだろう。
ペットをめぐるこの問題に完全な答えはない。だが、さまざまな立場の人が話し合い、少しずつ理解を深めていけることが大切なのではないか。そうした互いの想いに寄り添う姿勢がこの議論を前向きなものへと導いていくことを期待したい。
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