1円スマホがなくなろうとしています。12月27日から施行される新ルールで、これまでのような激安販売ができなくなるのです。しかし値上がりというデメリットの反面、公平な競争を阻害していた過剰割引の改善にもつながります。本記事では、端末割引規制強化の経緯と新ルールの内容を丁寧に解説いたします。併せて消費者への影響や今後の市場動向についても考察しています。スマホをめぐる新時代の幕開けを知る手がかりになれば幸いです。
1円スマホ終了の理由と背景
2023年12月27日から、スマートフォンの販売ルールが改正され、いわゆる「1円スマホ」が終了することになりました。これはなぜ起きるのでしょうか。
背景には、1円スマホを利用して高額転売を行う「転バイヤー」の存在がありました。過去１年間で、1000円以下で販売されたスマホは約50万台。このうち多くが海外で高値で転売されていたのです。
こうした事態を重く見た政府が値引き規制を変更。過剰な安売りを抑制するため、1円スマホがなくなることになったのです。
1円スマホの仕組みと抜け穴
では、1円スマホとは一体どのような仕組みだったのでしょうか。キャリア各社が通信契約とスマホ端末をセットで販売する際の値引き上限は、税抜きで2万円と法律で定められていました。
しかし、端末単体での値引きについては規制対象外。つまり、端末代金から大幅に値引きして1円に近づけ、そこから更に2万円割引することで、結果的に1円スマホを実現できたのです。これが抜け穴でした。
改正後の割引上限ルール
2023年12月27日からは、この抜け穴がふさがれます。新しい割引ルールでは、端末単体の値引きも規制の対象となり、割引額の合計の上限が設定されます。
端末代金が4万円以下（税込み）の場合は最大2万円引き。4万円を超え8万円以下は半額まで。8万円超は最大4万円引きです。つまり、10万円のスマホを1円にすることが不可能になるのです。
消費者への影響は?
このルール変更で消費者への影響はどうなるのでしょうか。
間違いなくスマホが高くなります。例えば10万円の機種なら、今は1円で購入できましたが、新ルール後は最大5万円台に。値上がり幅は大きいです。
一方で、SIMフリー端末が売れにくくなる点も懸念されます。1円スマホで多くのユーザーをキャリアに囲い込む戦略は、公平な競争を阻害してきた側面があります。今後はより健全な市場環境を期待したいところです。
今後のスマホ市場の行方
ルール変更によって、今後のスマホ市場で何が変わっていくのでしょうか。
まず、端末単体での大幅値引き販売ができなくなります。キャリア各社は回線契約の獲得に注力せざるを得ません。MVNOへの参入障壁も下がる可能性があり、料金が安くなることを期待したいところです。
さらに、スマホ自体の値上がりで、中古市場がより活性化することも予想されています。衰退が懸念されていたSIMフリー販売事業者の息吹も戻ってくるかもしれません。
少なくとも、今回の改正が「過剰な安売り」を抑制し、スマホ市場の過熱ぶりが改善される効果は十分にあると考えられます。
1円スマホは本当になくなるのか？
新ルール施行後、1円スマホが完全になくなるかどうかは未知数です。過去にも抜け穴が存在した経緯があることから、今後も何らかの形で激安販売が残る可能性があるでしょう。
ただし、規制対象が拡大される今回の改正によって、これまでほど極端な安売りは難しくなると予想されます。少なくとも今回の改正が過剰な値引きの抑制に一定の効果があることは間違いないでしょう。
出典：改正後の１円スマホ？例（TBS NEWS DIG）
まとめ
2023年12月27日からスマホの販売ルールが大きく変わります。「1円スマホ」だけでなく、割引販売全般に影響が及ぶこの改正。抜け穴が残る余地や新たに受け穴が作られる可能性も十分にあるでしょうが、市場環境次第では安売りが減る一方で、料金面でのメリットも期待できます。
消費者には値上げの痛手もある一方で、健全な市場環境をつくりあげていくには不可欠な施策と言えるのではないでしょうか。今後の展開にも注意が必要でしょう。
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