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【クローズアップ現代】イスラエルとイランの攻撃激化!「アメリカの動向とイランの核開発の行方」

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近年、中東地域ではイスラエルとイランによる攻撃の応酬が激しさを増し、国際社会に大きな緊張をもたらしています。特に2025年現在、この対立は核開発問題と深く結びつき、その動向は世界経済や国際情勢に計り知れない影響を与えかねません。本記事では、2025年6月18日放送のNHK「クローズアップ現代」で取り上げられた内容を基に、現在のイスラエルとイランの衝突の実態、イランの核開発の現状、そしてこの危機におけるアメリカの動向トランプ大統領の思惑について深く掘り下げていきます。

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イスラエルとイランの衝突激化:核関連施設への攻撃と被害の実態

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イスラエルとイランの間で続く攻撃の応酬は、犠牲者を増やしながら、その激しさを増しています。特に注目すべきは、イスラエルによるイランの核関連施設への攻撃です。2025年6月13日に実行されたイスラエル軍による攻撃では、イランの軍指導者や核科学者が死亡する被害が出たと報じられています。

衛星画像の分析からは、被害が限定的であると指摘する専門家がいる一方で、今後さらに大規模な攻撃が行われる可能性も示唆されています。核問題を専門とする一橋大学の秋山信将教授は、最も大きな被害が出たナタンズの核関連施設について、「濃縮ウランを使った核弾頭を作るという観点からするとポイントとなっているその核濃縮の施設と、それからその濃縮の全段階とあと段階をやる施設が狙われている」と分析しています。ナタンズの施設にはおよそ1万7000基の遠心分離機があり、イスラエルは地上の電気系統設備を破壊しただけでなく、地下施設を直接狙った貫通弾の使用も試みています。しかし、地下8メートルから20メートルの深さにある施設は完全に破壊するには至らなかったと見られています。

また、濃縮ウランの前後の工程を担うイラン中部のイスファハンの施設も標的となりました。イスラエルは、濃縮されたウランを金属ウランに加工するこの施設の機能を麻痺させることで、イランの核開発を比較的長期間阻止する狙いがあったと秋山教授は指摘します。

一方で、イラン中部の山岳地帯にあるフォルドゥーの濃縮施設は、地下80メートルという深い場所に位置するため、イスラエルの攻撃では歯が立たなかったとされています。効率よくウランを濃縮できる新型の遠心分離機を多く備えるこの重要拠点を破壊するには、アメリカの大型貫通弾が必要になると秋山教授は語ります。

こうした核関連施設への軍事攻撃は、国際社会において極めて危険な事態であると認識されるべきです。秋山教授は「国際社会としては核施設に対する攻撃というのはしてはいけないんだということは改めて確認する必要がある」と警鐘を鳴らしています。

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緊迫化する中東情勢:イランの核開発と国際社会の反応

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放送大学の高橋和夫名誉教授(引用:「NHK」より)

イランの核開発は、中東地域の緊張を一段と高める要因となっています。国際原子力機関(IAEA)の報告によると、イランはウラン濃縮を粛々と進めており、保有する濃縮ウランの量と純度が上昇し続けていると報じられています。2015年に締結されたイラン核合意によってウラン濃縮が制限されていましたが、トランプ大統領が一方的に離脱して以降、イランは約束に反する形でウラン濃縮を拡大してきました。国際政治学者の高橋和夫放送大学名誉教授は、「このままいくと、もうイランがすぐにでも核兵器を作るに十分な量と濃度のウランを獲得するんじゃないかという懸念が、持たれている」と指摘します。

イスラエルが今回、このタイミングで攻撃に踏み切った背景には、高橋教授が指摘するように大きく二つの要因があります。一つは、ネタニヤフ首相が国内的に様々な問題を抱えており、イラン攻撃によって局面を打開したいという焦りがあったことです。そしてもう一つは、イランが核兵器製造に十分な量の濃縮ウランを獲得する寸前にあるというイスラエルの危機感です。

国際社会の反応は、この重大な局面において足並みが揃っているとは言えません。高橋教授は、国連事務総長やIAEA事務局長からの発言はあるものの、「弱い」と評価しています。特にG7(主要7カ国)の中で、今回のイスラエルによるイランへの攻撃を明確に非難したのは日本政府だけであり、他の国々はある意味「どっちもどっち」的な議論に終始していると高橋教授は語ります。これは、国際社会における危機感の欠如を示唆していると言えるでしょう。核関連施設が戦場になったロシアとウクライナの戦争や、これまでのサイバー攻撃やサボタージュといった活動によって、核関連施設への攻撃の敷居が下がっているという高橋教授の指摘は、国際的な規範の脆弱化を浮き彫りにしています。

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鍵を握るアメリカの動向:トランプ大統領の戦略と中東政策

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グラント・ラムリー氏(引用:「NHK」より)

中東情勢の行方を左右する上で、アメリカの動向は極めて重要な鍵を握っています。特にトランプ大統領は、自身のSNSで「我慢の限界が近づいている」と投稿するなど、イランへの圧力を一段と強めています。

第一次トランプ政権で国防総省の中東政策を担当していたグラント・ラムリー氏は、トランプ大統領がこの数ヶ月間のイランとの交渉戦術に相当な不満を抱えていたと指摘します。イスラエルがイランへの攻撃を示し、トランプ大統領が支援を強化する姿勢を見せた背景には、イランとの交渉に対する不満があったと考えられます。

しかし、ラムリー氏はトランプ大統領が長期にわたる戦闘は避けたいと考えていると見ています。最悪のシナリオは、アメリカがイランとの紛争に巻き込まれ、解決に時間やエネルギーをさらに投入しなければならない状況です。トランプ大統領の政権にとっての最優先事項は、中国との競争、インド太平洋地域の抑止力強化、そして国境の安全保障だからです。

アメリカのトランプ大統領(引用:「NHK」より)

トランプ大統領は交渉による解決を好む姿勢を一貫して示していますが、同時にウクライナやガザなど、世界中で長く続く紛争が思うように迅速に解決されないことへの不満も見られます。そのため、「交渉することに疲れ、軍事力を背景にした交渉に移ることも辞さないだろう」とラムリー氏は語ります。

一方で、トランプ大統領は中東の紛争がアメリカ国内に及ぶ影響を懸念しています。特にガソリン価格の急騰は、トランプ大統領に対する政治的な圧力を生じさせる可能性があります。そのため、アメリカが介入する場合には、イランの核開発の脅威をなくす目標を達成しつつ、中東から生じるエネルギー市場への影響を最小限に抑えることも必要となるでしょう。

高橋教授は、トランプ大統領がジレンマを抱えていると分析します。トランプ大統領を支持する層には、イスラエルを徹底的に守ることを望むグループと、「アメリカファースト」を掲げ、アメリカ人の血を外国のために流すことに反対するグループが混在しているためです。もしイスラエルのために参戦すれば後者の支持層が離反する可能性があり、トランプ大統領は「介入しても跳ね返りがあるし、介入しなくても跳ね返りがある」という政治的決断を迫られている状況です。

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イスラエル攻撃の背景:ネタニヤフ首相の焦り親イラン組織の弱体化

イランの最高指導者ハメネイ氏

イスラエルが今回の先制攻撃に踏み切った背景には、前述のイランの核開発の進展だけでなく、ネタニヤフ首相の焦りと、親イラン組織の弱体化という二つの大きな要因があったと高橋和夫教授は指摘しています。

ネタニヤフ首相は、国内で様々な政治問題を抱えており、このイランへの軍事行動が、停滞した局面を打開するための手段として利用された可能性があります。国民の目を外に向けさせることで、自身の政治的な立場を強化しようとする意図があったと推測できます。

また、イスラエルは過去1年間で、親イラン組織に対して大きな打撃を与えてきました。例えば、去年の7月にはハマスの最高幹部を暗殺し、9月にはヒズボラの指導者を暗殺。さらに去年の12月にはアサド政権の崩壊という出来事も発生しています。高橋教授によると、イスラエルは昨秋にイランを爆撃し、イランの防空施設の大部分を破壊したと主張しています。これらの行動により、イスラエルはイランと、その影響下にある組織が弱体化していると判断したのかもしれません。

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イスラエルのメタニヤフ首相(引用:「NHK」より)

このような状況認識のもと、イスラエルは「もうイランは弱体化している、イランの核開発は進んでいる、だからイランの核問題を軍事的に解決するなら今しかない」という判断に至ったと考えられます。特に、アメリカとの核協議が今年4月から進められていた中での攻撃は、ネタニヤフ首相が交渉を待てないという焦りを示していると言えるでしょう。イスラエルによるイランへの奇襲は、ちょうどアメリカとイランの協議が始まって61日目というタイミングで行われました。

これらの複合的な要因が絡み合い、イスラエルはイランへの先制攻撃に踏み切り、現在に至る攻撃の応酬を引き起こしているのです。

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日本に求められる役割:核関連施設への攻撃阻止と国際社会の協力

現在の緊迫した情勢において、国際社会、特に日本に求められる役割は非常に大きいと高橋和夫教授は強調します。G7サミットが閉幕した今、最も重要なことは「核関連施設への攻撃は許されない」という原則を改めて確認することです。

日本は唯一の被爆国として、核兵器や核関連施設への攻撃に対して国際社会に強く訴えかける責任を負っています。高橋教授は、日本政府がイスラエルによるイランへの攻撃を非難したことを評価する一方で、G7の共同声明ではその非難のトーンが弱まっていることに懸念を示しています。日本の被爆者団体も声を上げており、日本政府が国連事務総長やIAEA事務局長の発言と連携し、この原則の再確認を国際社会に強く働きかけるべきだと高橋教授は訴えます。

また、高橋教授は、GDPや人口から見ても、もはやG7が世界の中心であり「自分たちが国際社会だ」と言える時代ではないと指摘します。ウクライナとロシアの戦争やガザ紛争におけるG7の対応の違いが、「グローバルサウス」と呼ばれる国々を中心に、「G7は道徳的権威を失っている」という見方を広げています。こうした中で、日本が核施設の攻撃は許されないという明確な立場を示すことは、国際社会における信頼とリーダーシップを確立する上で不可欠です。

テヘランのNHK土屋悠志支局長によると、イラン側は圧倒的な軍事力を持つアメリカが軍事介入し、イスラエルと共に攻撃をしてくることを懸念しており、第三国の手を借りて事態を収束させるための「落としどころ」を探っていると見られています。イラン外相らが周辺アラブ諸国やヨーロッパ各国に、イスラエルに攻撃をやめさせるよう圧力を強めることを求めるなど、外交攻勢を活発化させているのはその表れです。

エルサレムのNHK田村祐輔支局長は、イスラエル側ではイランへの攻撃を「必ずやり遂げなければならない」という強硬論が支配的であり、ネタニヤフ首相がさらに攻勢を強め、イランの軍事力を大幅に弱体化させようとしていると報じています。特に、フォルドゥーの核施設に壊滅的な打撃を与え、イランの核開発能力を大幅に削ぐためにも、早期のアメリカの協力が必要だと考えています。軍の当局者は計画している標的への攻撃は今後1、2週間で完了するという見通しを示していますが、自衛の権利を主張してイランに対する攻撃を続ける可能性も指摘されています。

このような状況下で、日本は核兵器不拡散体制の維持と、中東地域の安定化に向けて、G7のみならず、より広い国際社会、特にグローバルサウスの国々とも連携し、外交努力を最大限に尽くす必要があります。

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まとめ

2025年現在、イスラエルとイランの攻撃の応酬は、イランの核開発問題を背景に、かつてないほど緊迫した状況にあります。特に、イランの核関連施設への攻撃は、国際社会の規範を揺るがしかねない危険な事態です。この危機において、アメリカの動向、特にトランプ大統領の政治的判断が、事態の収束か、あるいはさらなる拡大かの分かれ道となるでしょう。

トランプ大統領は国内政治と国際情勢の板挟みとなり、難しい選択を迫られています。一方、イスラエルは、ネタニヤフ首相の焦りと親イラン組織の弱体化という背景から、イランの核開発を軍事的に阻止しようと攻勢を強めています。

このような状況下で、日本は被爆国としての責任を果たすべく、「核関連施設への攻撃は許されない」という原則を国際社会に強く訴え続ける必要があります。G7だけでなく、より多様な国々との連携を通じて、外交による解決を模索し、中東地域の安定化に貢献していくことが、日本に課せられた重要な役割です。国際社会全体が今、まさに瀬戸際に立たされていることを認識し、冷静かつ建設的な対応が強く求められています。

※ 本記事は、2025年6月18日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。

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