2025年8月12日放送のテレビ東京系「LIFE IS MONEY ~世の中お金で見てみよう~」で特集されたアイス業界の裏側をご存知ですか?6451億円という巨大市場の成長背景から、ガリガリ君が86円という驚異的な安さを実現できる理由まで、番組では業界関係者の貴重な証言が次々と明かされました。
赤城乳業の岡本秀幸さんが語る純氷技術の秘密、アイスマン福留さんが解説するプレミアム市場の動向、ローソン齊藤僚太さんが明かすコンビニ戦略など、普段は知ることのできない業界の舞台裏を詳しく解説します。この記事を読めば、なぜアイス市場がこれほど成長しているのか、そしてガリガリ君の価格戦略がいかに巧妙なのかがよく分かります。
ライフイズマネーで話題!6451億円アイス市場の驚異的成長
2025年8月12日放送のテレビ東京系「LIFE IS MONEY ~世の中お金で見てみよう~」で取り上げられたアイス市場の規模は、なんと6451億円。この数字は2024年度の実績で、15年前と比較すると1.5倍という驚異的な成長を遂げています。
番組内で日本アイスマニア協会代表理事のアイスマン福留さんが解説したように、「アイスの会社は、こう値上がりをしても、ま、ちょっと高くなったから買わないっていう感じにはならずに、そのままついてきているっていうところがあり、ちょっと高くても美味しいものを食べたいみたいなニーズが結構、あの、高まってきて」という消費者心理が、この市場拡大を支えています。
実際に日本アイスクリーム協会のデータによると、2024年度のアイスクリーム販売金額は過去最高を記録し、前年比106.1%増という大幅な伸びを示しました。コンビニエンスストアでは約50種類のアイスが並び、180円から200円台の商品が目立つようになっていることからも、消費者のプレミアム志向が見て取れます。
ガリガリ君86円を支える赤城乳業の製造技術「純氷」の秘密
アイスの値上げが続く中で、1本86円という圧倒的な安さを誇るガリガリ君。番組では埼玉県深谷市にある赤城乳業の製造現場に密着し、その価格を支える技術的な秘密が明かされました。
赤城乳業開発マーケティング本部の岡本秀幸さんが説明したのは、大きな氷のブロック「純氷」の存在です。この純氷は、ゆっくりと時間をかけて凍らせることで透明で硬い氷を作り出します。夏でも溶けにくいガリガリ君の特徴は、まさにこの純氷を使用しているからなのです。
「夏最盛期なので、まあ、増産。ま、もちろんそうです。工場がもうフルで、ま、いっぱい回ってるっていう感じですね」と岡本さんが語るように、夏場の需要に応えるため、工場はフル稼働で製造を続けています。現在、ガリガリ君は年間4億本を販売しており、これは国民1人当たり約3本という計算になります。
20年ぶりの進化!ガリガリ君の氷粒改良で食感が劇的向上
2023年、ガリガリ君は20年ぶりに大きな改良を実施しました。岡本秀幸さんは「氷の粒を、23年には大きくすることにして、で、そうするとですね、食感もガリガリしますし、口の中に残る氷が大きいので、よりこのさっぱり感っていうのが強化される」と説明しています。
改良前は細かい氷の粒が目立っていましたが、改良後は大きな粒が混ざっているのが明確に分かります。この改良により、従来のガリガリ食感がより際立ち、口の中に残る氷が大きくなることで、さっぱり感が格段に向上したのです。
長年愛され続けているガリガリ君でも、決して現状に満足することなく進化し続けることで、ファンの心をつかみ続けています。この姿勢こそが、競合他社がひしめくアイス市場において、86円という価格を維持しながらも確固たる地位を築いている要因と言えるでしょう。
赤城乳業の3段階価格戦略でターゲット層拡大の仕組み
番組で明かされたガリガリ君の巧妙な価格戦略は、まさに消費者の多様なニーズに応える3段階システムです。岡本秀幸さんが詳しく説明したように、最も安い86円の通常ガリガリ君は「子供でも買えるように」という理念のもと設定されています。
中間価格帯の130円「大人なガリガリ君」シリーズは、主に女性をターゲットとしており、果汁は通常のガリガリ君のおよそ10倍の33%を配合。果物のおいしさをダイレクトに感じることができる本格的な味わいを実現しています。
最上位の170円「ガリガリ君リッチ」シリーズには、チョコチップやクッキーなどの菓子素材を贅沢に使用。岡本さんは「普段ガリガリ君食べない方たち食べてもらって、あ、ガリガリ君てこんなに美味しいんだねってとこに気づいてもらって、こちらの定番のソーダに戻ってもらうっていうな、ところをイメージしてます」と、巧妙な顧客獲得戦略を語っています。
この戦略は、異なる価格帯で新規顧客を獲得し、最終的に基本商品への回帰を促すという循環型のビジネスモデルを構築していることです。86円/130円/170円という3段階設定により、幅広い消費者層にアプローチし、ブランド全体の売上最大化を実現しています。
アイスマン福留が解説するプレミアムアイス市場の動向
番組に登場した日本アイスマニア協会代表理事のアイスマン福留さんは、現在のアイス市場の特徴的な変化について興味深い見解を示しました。特に注目すべきは、消費者の価格に対する感度が変化していることです。
「ちょっと高くても美味しいものを食べたいみたいなニーズが結構、あの、高まってきて」という福留さんの指摘は、まさに現在のアイス市場を象徴しています。実際に、コンビニの売り場では180円から200円台の商品が目立つようになっており、従来の100円以下が主流だった時代から大きく変化しています。
この変化の背景には、スイーツとしてのアイスクリームの地位向上があります。単なる暑さしのぎの食品から、味わいや品質を重視する嗜好品へと進化しているのです。特にここ数年は、コンビニのプライベートブランドアイスが高品質路線で成功を収めており、消費者の舌も肥えてきていることが伺えます。
ローソン齊藤僚太が明かすコンビニアイス戦略の裏側
ローソン商品本部の齊藤僚太さんが番組で語ったコンビニアイス戦略は、まさに現代の消費者ニーズを的確に捉えたものでした。特に注目すべきは、268円という価格設定の「日本のフルーツシリーズ」です。梨の果肉を感じることができる大人の味わいで、価格は高めに設定されているにも関わらず人気を博しています。
さらに興味深いのは「ミルクワッフルコーン」の成功事例です。齊藤さんは「これも、すごい売れていって、ランクトップ5に上がってくるような商品となってます。20代から60代女性までが購入していただいている」と説明しており、幅広い年齢層に支持されていることが分かります。
このデータは、現代のアイス市場が単純な年齢セグメンテーションでは語れないことを示しています。若年層だけでなく、中高年層も積極的にアイスを購入しており、特に女性層の購買力が市場拡大の原動力となっていることが見て取れます。
夏以外の売上確保!赤城乳業「Sof’」の季節性対策
アイス業界特有の季節性という課題に対する赤城乳業の解決策として登場したのが「Sof’(ソフ)」です。この商品は、ソフトクリームの上の部分だけを商品化したユニークなアイデア商品で、夏以外の時期に安定した売上を確保する目的で開発されました。
ガリガリ君の売上が6月から8月に集中するという課題を解決するため、赤城乳業は季節を問わず楽しめる商品開発に注力しています。Sof’は殿様をキャラクターにした宣伝も話題となり、ガリガリ君とは異なる顧客層の開拓に成功しています。
この戦略は、単一商品に依存するリスクを分散させると同時に、年間を通じた安定経営を実現する巧妙なビジネスモデルです。季節性の強いアイス業界において、こうした商品ポートフォリオの多様化は、企業の持続的成長にとって不可欠な要素と言えるでしょう。
まとめ
ライフイズマネーで紹介されたアイス市場の実態は、単なる食品業界の成功事例を超えた、現代消費者の心理と企業戦略の絶妙な融合を示すものでした。6451億円という巨大市場の背景には、赤城乳業のガリガリ君に代表される技術革新と価格戦略、そして消費者のプレミアム志向という複数の要因が複雑に絡み合っています。
特に注目すべきは、86円というガリガリ君の価格設定が、純氷技術や20年ぶりの改良といった品質向上努力に支えられていることです。また、3段階価格戦略による顧客層の拡大や、Sof’による季節性対策など、赤城乳業の取り組みは他業界の参考にもなる優れたビジネスモデルと言えるでしょう。
アイス市場の継続的な成長は、単なる暑さしのぎから、味わいや体験を重視する嗜好品への進化を物語っています。今後もこの市場は、消費者のライフスタイルの変化とともに、さらなる発展を遂げていくことでしょう。
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