あなたは「すすきのホテル殺人事件」の母親・田村浩子被告の供述内容の詳細を知りたいと思っていませんか?本記事では、浩子被告が初公判で無罪を主張した理由から、検察側が指摘する浩子被告の犯行認識、さらには異常な家族関係の実態まで、丁寧にお伝えします。事件の経緯と浩子被告の正確な関与、そして今後の焦点となる”ほう助罪”の適用有無まで、全てがつまった濃密な内容です。この衝撃的な事件の全貌に迫る、堪えがたい真実がここにあります。
浩子被告が涙を流しながら語った「無罪」主張の理由
2024年6月4日、札幌地方裁判所の法廷で開かれた「すすきのホテル殺人事件」の初公判。被告人席には容疑者の一人である母親、田村浩子被告(61)が座っていました。検察官による起訴状の朗読が終わると、裁判長から認否を問われた浩子被告は、涙を流しながら「あまりに異常なことだったので、娘に対して何も言えず、とがめることもできず、認めることも何も言えませんでした。犯罪を手伝う意思は全くなかった」と無罪を主張しました。
一体、浩子被告はなぜそこまで強く無実を訴えたのでしょうか。それには、この家族が抱えていた特殊で”いびつな家族関係”が大きく関係していました。検察側の冒頭陳述によると、娘の瑠奈被告(30)は18歳頃から「自分の体には5、6人の魂が宿っている」と語り、本名の”瑠奈”ではなく”ルルー”や”シンシア”と名乗るようになったそうです。両親に対しても、父親を「ドライバーさん」、母親の浩子被告を「彼女」と呼ぶなど、親子の上下関係が完全に逆転してしまった状況にありました。
さらに、浩子被告は娘の瑠奈被告から「私は奴隷です」と書かれた誓約書を書かされ、リビングに飾られるなどして、文字通り”瑠奈ファースト”のいびつな状況が常態化していたのです。そうした中で浩子被告は、娘の意に反することは到底できず、言うがままの立場に押し込められてしまっていたと推測されます。
娘の瑠奈被告に支配された”いびつな家族関係”の実態
一体、なぜこの家族はこうしたいびつな関係になってしまったのでしょうか。公判で明らかになった事実関係からは、娘の瑠奈被告による両親支配が徐々に染み付いていった様子が伺えます。
検察側の冒頭陳述によると、2023年5月27日と28日に開催されたダンスクラブの閉店イベントで、瑠奈被告は被害者男性と出会っています。その後瑠奈被告は、父の修被告にホテルに「男性とカラオケに行く」と偽り、実際には被害者男性とホテルに赴いたそうです。しかしそこで何らかのトラブルが起き、瑠奈被告は修被告にそのことを報告しています。
そこから事態は急転します。瑠奈被告は「絶対に見つけて仕返しする、殺してやりたい」と修被告に告げ、ナイフなどを購入するなどして被害者男性を害する計画を進めていったのです。このころから、瑠奈被告が両親を完全に支配下に置いていた様子がうかがえます。
さらに浩子被告は、事件の約1週間前の6月27日から30日にかけて、被害者男性に対し「娘と会わないように」と連絡を入れています。しかし男性からはその要請を拒否され、遺憾ながら犯行を食い止めることはできませんでした。
こうした一連の経緯から、瑠奈被告は被害者男性に強い因縁を抱いていただけでなく、両親をも自身の思うがままに操っていた実態が見て取れるのです。そうした異常な環境のなかで、母浩子被告は娘の意に逆らうことができず、やむなく犯行にも荷担せざるを得なくなってしまったのかもしれません。
検察側が指摘する浩子被告の”犯行認識”の有無
一方で検察側は、浩子被告の無罪主張に割って入り、娘の瑠奈被告の犯行を認識した上で、わずかながらでも協力したと指摘しています。
具体的には、事件当日の2023年7月1日、ホテルに入室した後の様子についてです。検察側によれば、瑠奈被告は被害男性に対し「1番反省することは私の約束を破ったことでしょ」と話し、男性も「そうだね、こんなに怒られたことはない」と応じる会話がなされたといいます。こうした経緯から、瑠奈被告が被害男性に強い恨みを抱いていたことは明らかです。
そしてこの後に瑠奈被告は、のこぎりで被害男性の首を切断するという残虐な犯行に及んだのです。確かに浩子被告は、この時点で犯行現場には居合わせていませんでした。しかし検察側は「事件の7月3日ごろには、浩子被告は娘の犯行を認識していた」と指摘します。それにもかかわらず、浩子被告は家族生活を続けながら、被害者の頭部を自宅に隠したり、ビデオ撮影を求められても助けを求めるつもりで夫の修被告に依頼するなど、容認はしていないといいつつも、犯行への関与は免れ得ないというのが検察側の見立てなのです。
すすきのホテル殺人事件の経緯と浩子被告の関与
それでは、この”すすきのホテル殺人事件”の全体像と、浩子被告の正確な関与をおさらいしておきましょう。
事件の発端は、2023年5月下旬にさかのぼります。瑠奈被告は男性とダンスクラブの閉店イベントで出会い、ホテルに赴いたところで何らかのトラブルを起こしました。深い憎しみを抱いた瑠奈被告は「絶対に仕返しする」と両親に語り、ナイフなどを購入しています。
そして7月1日、再びホテルに男性を呼び出した瑠奈被告は、男性の首をのこぎりで切断し殺害。遺体の頭部を自宅に持ち帰った上で、7月3日ごろに母浩子被告はこの事実を認識しています。
浩子被告はこの頃から、頭部を自宅の浴室に隠したり、瑠奈被告の求めに応じて夫の修被告に頭部の損壊した様子を撮影させるなど、遺体の遺棄や損壊にも関与していったのです。
検察側は、こうした一連の行為について「浩子被告は事件前から瑠奈被告が被害男性に性的トラブルを受け、殺意を抱いていたことを認識していた」と指摘しています。つまり、娘の犯行を事前に認知していたにもかかわらず、黙認し続けただけでなく、あとからその犯行を助ける行為に及んだと批判しているのです。
一方の浩子被告側は「警察への通報や娘を出頭させなかったものの、頭部が自宅にあると知っていたことをもって、犯罪への加担(ほう助)とは言えない」と無罪を主張しています。つまり、娘の犯行を認識していたことは認めつつも、積極的に協力したわけではないと争っているのが賛否両論の核心なのです。
争点は”ほう助罪”の成立か?弁護側と検察側の主張
浩子被告の有罪・無罪をめぐる大きな争点は、死体遺棄ほう助や死体損壊ほう助の”ほう助罪”がこの事案で成立するかどうかにあります。
検察側は「浩子被告は事前から娘の殺人計画を認識していたはずだ。それでも全く制止しようとしなかった」と主張します。そのうえで、浩子被告が切断された頭部を隠したり、損壊の様子を撮影するよう指示したことは、明らかに犯罪を助けたと断じています。
一方の弁護側は「頭部があることを知っていても、警察に通報しなかった程度では、ほう助罪は成立しない」と反論しています。つまり、適切な行動をとらなかったことは否定しつつも、積極的に犯行に関与したわけではないと主張するのです。
この”ほう助罪”の適用有無が、浩子被告の有罪・無罪を分ける重要な鍵を握っています。今後の裁判で双方の主張がどのように評価されるか、大きな焦点となりそうです。
まとめ
今回の札幌地裁での初公判で、娘の瑠奈被告による両親支配と、それに伴う異様な家族関係の実態が明らかになりました。浩子被告は「瑠奈ファースト」の環境下で、娘の意に逆らえず、ついには殺人事件の荷担に至ってしまった可能性があります。
一方、浩子被告側は警察への通報をしなかった点は認めつつも、事件への積極的な協力はなかったと主張し、無罪を訴えています。これに対し検察側は、娘の殺人計画を事前に認識していたはずだと反論。遺体の遺棄や損壊に関与したことは”ほう助罪”に該当するとして、有罪を主張しています。
両者の主張のすれ違いに今後、どのような評決が下されるのか。検察と弁護双方の舌戦に注目が集まります。今後の裁判の行方が、一家を巻き込んだこの凄惨な事件のすべての謎を解き明かすことになるでしょう。
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