「次の50年の礎を築く」——2025年10月24日放送のBSテレ東「夢遺産」で、電通総研社長・岩本浩久氏が語った経営哲学が注目を集めています。創立50周年を迎える電通総研を率いるリーダーが、ラグビーで培った「One For All, All For One」の精神と、後継者育成への強い思いを明かしました。本記事では、番組で語られた岩本社長の人生観とリーダーシップの本質に迫ります。
岩本浩久氏が夢遺産で語った電通総研の未来とは?
2025年10月24日、BSテレ東の番組「夢遺産」に電通総研の代表取締役社長・岩本浩久氏が出演し、企業経営者としての夢と経営哲学を語りました。番組は、時代に輝きを放つ各界のキーパーソンが「子供の頃の夢」や「今の夢」を語る人気シリーズです。
埼玉県出身の岩本氏(54歳)は、電通総研が2025年に創立50周年を迎えるという節目の年に、トップリーダーとしてのビジョンを明確に示しました。特に印象的だったのは「次の50年の礎を築く」という言葉です。これは単なるスローガンではなく、後継者育成という具体的な行動に裏打ちされた、確固たる経営哲学でした。
電通総研は、システムインテグレーション、コンサルティング、シンクタンクという3つの機能を連携させ、企業と社会の課題解決を見据えた価値を提供する企業です。2024年1月に電通国際情報サービス(ISID)から社名を変更し、新たなステージに入った同社を率いる岩本氏の使命感は、番組を通じて視聴者の胸に深く響きました。
電通総研・岩本浩久社長のキャリアと営業職への転身
岩本浩久氏の幼少期の夢は、動物園や水族館の飼育係になることでした。生き物と触れ合い、その命を守る仕事に憧れていたという純粋な少年時代のエピソードは、現在の「人を大切にする経営」につながる原体験だったのかもしれません。
大学では上智大学理工学部に進学し、量子力学を専攻するという理系の道を歩みました。しかし、就職活動の際に岩本氏が希望したのは意外にも営業職でした。「無形のものをお届けする。それで価値を提供するという、営業提案活動みたいなことをしたいな」と番組内で語ったように、目に見えないサービスを通じて顧客に価値を届けることに魅力を感じたのです。
1995年、当時の電通国際情報サービス(現 電通総研)に新卒入社した岩本氏は、「特に若い頃なんかは、『お前だから買ったんだ』って言われる営業になりたい」という熱い思いを胸に、キャリアをスタートさせました。この「人に信頼される」という価値観は、その後30年にわたるキャリアの中で一貫して貫かれてきました。
2018年に執行役員、2019年に上席執行役員、2021年に常務執行役員と着実にキャリアを積み重ね、2024年3月22日、ついに代表取締役社長に就任しました。理系の知識と営業マインドを併せ持つ異色のリーダーの誕生です。
「One For All, All For One」ラグビーから学んだリーダーシップ
岩本浩久氏の経営哲学の根幹にあるのは、高校時代にラグビー部で培った「One For All, All For One」の精神です。番組内で岩本氏は次のように語りました。「やっぱり一人ではなしえないことを15人というチームで、それぞれが役割をしっかりまっとうすることで成果に繋がる。まさに今、我々がやってる仕事そのものだなと」。
この言葉には、システムインテグレーションという複雑なプロジェクトを成功に導くために不可欠なチームワークの本質が凝縮されています。ラグビーでは、フォワードとバックス、それぞれのポジションが異なる役割を持ちながらも、一つの目標に向かって協力し合います。これは、エンジニア、コンサルタント、シンクタンク研究員など、多様なプロフェッショナルが連携する電通総研の組織運営そのものです。
リーダーとして大切にしていることについて、岩本氏は「やっぱり自分ではできないようなことができる人がたくさんおります。客観的な視点でその人の強い部分とか、良い部分とかですね。そういうものを見るようにしてます」と述べています。自分にできないことを補完してくれる人材の強みを見抜き、適材適所で力を発揮してもらう——これこそが、チームを率いるリーダーに求められる資質です。
このリーダーシップスタイルは、電通総研が掲げる「Vision2030」で目指す売上高3,000億円という大きな目標達成に向けても、重要な推進力となっているはずです。
電通総研50周年―岩本浩久が描く次の50年の礎を築く戦略
2025年、電通総研は創立50周年という大きな節目を迎えました。1975年12月に電通国際情報サービスとして設立されて以来、半世紀にわたり日本のIT業界を牽引してきた実績は、まさに先人たちが築いた財産です。
岩本浩久社長が番組で語った夢、それは「次の50年の礎を築く」ことです。具体的には「後継者を一人でも多く作る。それによって次の50年に繋がる」と明言しました。この発言には、短期的な業績よりも、組織の持続可能性と人材の育成を重視する岩本氏の経営哲学が表れています。
電通総研は2024年1月1日に社名を変更し、コンサルティング機能とシンクタンク機能を大幅に強化しました。従来のシステムインテグレーターの枠を超えて、「社会進化実装」という事業コンセプトのもと、企業の課題解決から社会変革の実装まで一気通貫で支援する体制を整えています。
2025年から2027年までの新中期経営計画「社会進化実装 2027」では、売上高2,100億円、営業利益315億円という目標を掲げ、さらに人員数を約1,600名増やして6,000名体制を目指しています。これは単なる規模拡大ではなく、次世代を担う人材への積極投資です。
岩本氏が大切にする「後継者育成」という視点は、目先の利益追求ではなく、50年先、100年先を見据えた企業づくりへの強いコミットメントを示しています。現在の好業績は先人たちの努力の賜物であるという感謝の念と、自分たちもまた次世代のために何を残せるかという責任感——この両輪が、岩本氏の経営を支えています。
まとめ:夢遺産に学ぶ後継者育成と持続可能な組織づくり
BSテレ東「夢遺産」で語られた岩本浩久氏の経営哲学は、現代のリーダーに多くの示唆を与えてくれます。動物園の飼育係を夢見た少年が、量子力学を学び、営業職に挑戦し、そして数千人規模の組織を率いるトップリーダーへと成長する——その歩みは決して平坦ではなかったはずです。
しかし、高校ラグビー部で学んだ「One For All, All For One」の精神は、一貫して岩本氏の行動原理となってきました。個人の力には限界があっても、チームとして協力すれば大きな成果を生み出せる。そして、リーダーの役割は自分が前面に出ることではなく、メンバー一人ひとりの強みを引き出し、適材適所で活躍してもらうことだという信念です。
電通総研が創立50周年を迎える2025年、岩本氏が掲げる「次の50年の礎を築く」という夢遺産は、後継者育成という具体的な行動を通じて着実に実現されつつあります。短期的な成果を追い求めるのではなく、長期的な視点で組織の持続可能性を考える——この姿勢こそが、真のリーダーシップなのかもしれません。
番組を通じて伝わってきたのは、岩本氏の誠実な人柄と、次世代への深い思いやりでした。電通総研の「次の50年」がどのような進化を遂げるのか、今後の展開に注目が集まります。



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