2025年7月13日に放送されたTBS系「がっちりマンデー!!」で紹介されたトピー工業の巨大メカが話題を呼んでいます。番組では、約3000億円の売上(2024年度連結売上高3,339億円)を誇る同社の驚異的な技術力と、17メートルの巨大トランスパワープレスによる「3秒」の製造技術が詳しく解説されました。なぜトピー工業は自動車用スチールホイールで日本一のシェアを獲得できているのか、その秘密に迫ります。
がっちりマンデーで紹介されたトピー工業の巨大メカとは
TBS系「がっちりマンデー!!」の特集「工場のスゴい巨大メカ!巨大織り機、巨大プレス機に巨大電気炉」において、トピー工業の2つの製造拠点が取り上げられました。番組では、加藤浩次さんと進藤晶子さんが司会を務め、ゲストの経済アナリスト森永康平さんとケンドーコバヤシさんが、同社の巨大メカの技術力に驚きの声を上げました。
森永康平さんは番組内で、「巨大なものを作れる機械を持っているというのは、とてつもない参入障壁なんです。儲かってるから真似しようとしてもそんなものすぐ作れない」と解説し、トピー工業が持つ競争優位性の本質を説明しています。
売上3000億円を支える17mの巨大トランスパワープレス
南雄一郎所長が語る日本最大級プレス機の実力
愛知県豊川市にあるトピー工業豊川製造所で、南雄一郎所長が巨大メカを案内してくれました。番組内で南雄一郎所長は「トピー工業は全体で約3000億円の売上がございます」と説明し、現れたのは、長さ17メートル、高さ11メートルの日本最大級のプレス機「3400トン トランスパワープレス」です。
南雄一郎所長は「あるものを、日本一大量に作る機械になっております」と説明し、その「あるもの」とは自動車用のスチールホイールでした。実際に、トピー工業は自動車用スチールホイールの製造において日本一のシェアを誇っています。
このトランスパワープレスが日本一の製造量を実現するために課せられたノルマは、なんと1日およそ2万5000個。これは1個あたりわずか3秒で製造しなければならない計算になります。
1日2万5000個!3秒で作るスチールホイールの技術力
夏目幸さんが解説する12回プレス工程の秘密
トピー工業自動車部品事業部の夏目幸さんによると、スチールホイールは「鉄でできていて、その鉄の板を成形するのにものすごい力が必要」なため、この巨大トランスパワープレスが欠かせないということです。
製造工程で最も興味深いのは、1回のプレスでは完成品ができないという点です。スチールホイールは12回の異なる形の金型を使って、何度も何度もプレスを重ねることで最終的な完成形にたどり着きます。夏目幸さんは「1回じゃできないですか?」という質問に対して、「割れてしまったりとか、ちゃんと形状にならなかったりします」と説明し、この12回プレス工程の技術的必然性を明らかにしました。
髙木桂さんが操る3秒リム製造技術
スチールホイールの製造において、ディスク部分だけでなく、リムと呼ばれる外周部分の製造も重要な工程です。トピー工業自動車部品事業部の髙木桂さんが担当するリム製造ラインでは、「最速で1時間1200個できます。なので3秒に1個ホイールができる計算」と説明されています。
この3秒という時間は偶然ではありません。リムに使う鉄板を丸める時間が3秒、丸めた鉄板をくっつける時間が3秒、そして円形の鉄板に加工を施す時間も3秒と、全ての工程が3秒で統一されています。
森永康平さんは番組内で、「全ての工程3秒で決めてるんですよ。あれなんでかっていうと、1個が5秒かかったりとか、1秒とかだったりこう時間がずれてしまうと、どっかの工程で他の部品ができあがるの待ったりする時間が出てきちゃうので」と解説し、この3秒技術の重要性を説明しています。
30mのエコアーク式電気炉で3000トンの鉄を溶かす技術
上手研二所長が誇る豊橋製造所の巨大メカ
トピー工業のもう一つの拠点である豊橋製造所では、上手研二所長の案内で別の巨大メカが紹介されました。それが長さ11メートル、幅12メートル、高さ30メートルの「エコアーク式電気炉」です。
この巨大電気炉は、1日3000トンの鉄くずを3000度以上の高温で溶かすことができる設備で、番組では「ターミネーターの工場みたいな炎が立ち上る現場」として紹介されました。上手研二所長は「普段よりあの、ちょっと景気よく炎が出てる。社長が来たり、こういうロケがあったりする時って、なん、なんかあるんですよ」と、ユーモアを交えて説明しています。
岡田晏佳さんが操作する3000度の電気炉
トピー工業豊橋製造所生産技術部の岡田晏佳さんは、この巨大電気炉の操作について「大量の電気を流して、この電気で溶かしていく」と説明しています。20トンの鉄くずに電気を流し、3000度以上で1時間かけて溶かしていく工程は、まさに現代の製鉄技術の粋を集めたものです。
驚くべきことに、この30メートルの巨大メカは1人のオペレーターによって操作されているということです。番組では「めちゃくちゃでかいのに1人で操作するんだとか」と紹介され、その技術力の高さが強調されました。
川村仙晃さんら10人だけの熟練技術者
溶かした鉄を分厚い柱にし、さらに細い鋼材に加工する工程では、別の巨大メカが使用されます。堀内涼太郎さん(トピー工業豊橋製造所生産技術部)によると、「あちらで鉄の柱を細く加工しています」という作業が行われています。
この細い鉄の加工作業は、実は人の手による操作が必要です。コントロール室からスチール事業部の川村仙晃さんが手と足を使って鉄を細くする作業を行っており、「1日多い時で100、200本とか」製造しています。
この作業は「鉄の形状が細かく異なるため、機械化するのが難しく、熟練を要するため」社内でも10人くらいしかできない高度な技術なのです。
トピー工業の技術力を支える人材と設備投資
トピー工業が自動車用スチールホイールで日本一のシェアを維持し続けている背景には、巨大な設備投資と高度な技術を持った人材の存在があります。17メートルのトランスパワープレスから30メートルのエコアーク式電気炉まで、これらの巨大メカは一朝一夕では構築できない技術の結晶です。
同社の2024年度連結売上高は3,339億円に達しており、この規模の企業だからこそ可能な大型設備投資が、競合他社に対する参入障壁を築いています。また、川村仙晃さんのような熟練技術者が社内に10人程度しかいないという事実は、技術力が単なる設備だけでなく、人的資本によっても支えられていることを示しています。
番組で紹介された3秒という製造時間の統一は、単なる効率化ではなく、全体最適化を図った結果の技術力の現れです。森永康平さんが指摘したように、どこか一つの工程でも時間がずれてしまうと全体の流れが止まってしまうため、全ての工程を3秒で仕上げるという技術力そのものが、トピー工業の競争優位性の源泉となっているのです。
まとめ
2025年7月13日放送の「がっちりマンデー!!」で紹介されたトピー工業の巨大メカは、単なる大きな機械ではなく、同社の技術力と競争戦略が結集したものでした。17メートルのトランスパワープレスによる1日2万5000個の自動車用スチールホイール製造、30メートルのエコアーク式電気炉による1日3000トンの鉄の溶解、そして全工程を3秒で統一する技術力は、約3000億円(2024年度連結売上高3,339億円)の売上を支える原動力となっています。
南雄一郎所長、上手研二所長をはじめ、夏目幸さん、髙木桂さん、岡田晏佳さん、堀内涼太郎さん、川村仙晃さんといった現場の技術者たちの努力により、トピー工業は自動車用スチールホイールで日本一のシェアを維持し続けています。
番組を通じて明らかになったのは、巨大メカそのものの価値だけでなく、それを支える人材と技術力、そして全体最適化を実現する経営戦略の重要性です。3秒という時間に込められた技術力こそが、トピー工業の真の競争優位性なのです。
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