スポンサーリンク
テレビ番組・情報

【クローズアップ現代】高齢者の運転寿命「いつまで運転できる?」科学で解明

closeup-gendai-driving-lifespan
スポンサーリンク

高齢者の運転寿命をめぐり、本人と家族の悩みが深刻化しています。2025年12月9日放送のNHK「クローズアップ現代」では、最新科学で運転能力を客観的に測定し、安全運転を支える画期的な取り組みが紹介されました。この記事では、眼球運動測定やAI技術など科学的根拠に基づいた評価方法と、運転寿命を延ばす具体策をわかりやすく解説します。読めば、家族との対話のヒントと安心して運転を続ける道筋が見えてきます。


スポンサーリンク

運転寿命とは?高齢者の運転能力を科学的に測る最新技術

運転寿命」とは、安全に運転できる期間を指す概念です。2025年12月9日放送のNHK「クローズアップ現代」では、この運転寿命を科学的に見極める最先端の取り組みが特集されました。従来は本人の自覚や家族の主観に頼っていた判断が、今や客観的なデータで示される時代になっています。

眼球運動で運転能力をスコア化

最も注目を集めているのが、ゴーグル型の眼球運動測定装置です。大学発ベンチャー企業が開発したこのシステムは、わずか90秒で運転能力を評価できます。タクシー運転手500人ものデータを収集し、眼球運動と事故歴の関係をAIアルゴリズムで分析した成果です。

番組内で紹介されたテストでは、視聴者も体験できる簡単なチェック方法が示されました。赤い点だけを目で追うテストでは、事故歴のない人は正確に追えるのに対し、事故歴のある人は途中から追い切れなくなる傾向が明らかになりました。また、画面中央の一点を見つめ続ける集中力テストでは、事故歴のある人ほど視線が不安定になるという結果が出ています。

開発者の西村太雅さんによれば、測定結果は車間距離をとる力や危険予測力などを含む総合評価として提示されます。番組に登場した62歳男性は、実年齢より6歳高い68歳相当の運転レベルと判定され、「客観的に把握するのは大事」と気づきを得ていました。

脳科学が解明するペダル踏み間違いのメカニズム

踏み間違いによる死亡事故の7割が65歳以上の高齢者によるものという深刻な現実があります。名古屋大学情報学研究科の川合伸幸教授は、脳科学の観点からこのメカニズムを解明しました。

高齢者と大学生でペダル操作時の脳血流量を比較した研究では、高齢者の前頭葉により大きな負荷がかかっていることが判明しました。特にブレーキを踏む際には、さらに負荷が増大します。川合教授は「頭の中で判断することが増えると、踏み間違いが起きやすくなる」と指摘し、免許更新時の検査項目として取り入れることで本人の自覚を促せると提案しています。

佐賀県の包括的評価システム

佐賀大学特任教授の堀川悦夫さんは、240人分の運転データを分析し、運転の「迷い」が事故リスクを高めることを発見しました。交差点で右折する際、アクセルを何度も踏み直す運転者は、加速度データから明確に判別できます。こうした迷いの頻発が、ヒヤリハットから事故へとつながると堀川さんは説明します。

この知見を基に、佐賀県では複数機関が連携した包括的な評価システムが構築されました。認知機能検査、脳神経内科専門医の診察、シミュレーター検査、さらに教習所でセンサー付き車両による実走行テストを組み合わせ、多角的に運転能力を見極めます。堀川さんは「たった一つの検査で判断できる指標はまだない」と慎重な姿勢を示しており、総合的な評価の重要性を強調しています。


スポンサーリンク

島田裕之氏が解説!運転能力の個人差と客観的測定の必要性

番組のゲストとして登場した国立長寿医療研究センター部長の島田裕之氏は、高齢者の運転能力研究の第一人者です。島田氏が繰り返し強調したのは、「年齢だけでは判断できない」という点でした。

simadahiroyuki

国立長寿医療研究センター部長の島田裕之氏                     (引用:「国立長寿医療研究センター」HPより)

広がる個人差と年齢一律の危険性

島田氏によれば、高齢になればなるほど運転技能の個人差は広がります。同じ80歳でも、極めて高い運転能力を維持している人もいれば、大きく低下している人もいるのです。だからこそ、「もう何歳だから運転しないでほしい」という年齢での一律の線引きは、絶対に避けるべきだと警鐘を鳴らします。

現在、自動車教習所や一部の病院に設置された運転外来、自治体の健診などで客観的評価が受けられるようになってきました。ただし普及はまだ不十分で、その背景には高齢者自身が運転に自信を持っているという現実があります。

データが示す認識のギャップ

番組で紹介された調査データは、この問題を如実に示しています。70歳以上の高齢者がいる家族に免許返納を勧めたいかと聞くと、7割超が「勧めたい」もしくは「勧めたことがある」と回答し、その理由の82%が「事故を起こしてほしくないから」でした。

一方、運転する本人に交通事故を回避する自信を聞いた調査では、70代の57%、80代では71%が「自信がある」と答えています。高齢になるほど自信が高まるという逆説的な結果です。

免許返納件数の推移も興味深いデータです。2019年の池袋暴走事故をきっかけに返納が急増しましたが、その後は減少傾向にあります。島田氏はこの要因として、新型コロナウイルスの影響に加え、特に地方部では車がないと買い物や病院受診といった生活そのものが成り立たない現実を挙げています。


スポンサーリンク

運転寿命を延ばす科学的アプローチ「補償運転」と最新技術

運転能力の低下は避けられないとしても、科学的なアプローチで運転寿命を延ばすことは可能です。番組では、具体的で実践的な方法が数多く紹介されました。

補償運転で機能低下をカバー

島田氏が最も重要視するのが「補償運転」という考え方です。心身機能の低下を劇的に改善するのは難しくても、ゆとりを持った運転方法で機能低下を補うことで、安全運転技能は格段に向上すると島田氏の研究で明らかになっています。

具体的には、交差点できちんと停止線で止まり、目線だけでなく首を動かして確認し、できれば「右よし、左よし」と声に出すことで意識を高めます。こうした基本動作の徹底が、運転寿命を延ばす鍵となります。

AIが運転の癖を改善

佐賀大学理工学部の井出將文特任准教授は、AIを活用した画期的な取り組みを進めています。運転中の一挙手一投足を複数のカメラで記録し、AIで解析することで、本人も気づかないリスクのある運転行動を検出します。

番組では70代女性の事例が紹介されました。交差点で左折車が3台連続で来ることはないという長年の思い込みから、3台目の確認を怠っていたことをAIが指摘。井出氏は「いろんなことを直そうとすると大変だから、まずは1個ずつ絞って」と助言し、特定の場所での注意喚起に絞った指導を行いました。

4ヶ月間のAIフィードバックを受けた実証実験では、特にスコアが低かった人ほど高い改善効果が見られました。堀川氏は「適切な方法でフィードバックがなされれば、想定より長い期間運転が可能になる」と期待を寄せています。

ロボット同乗者「まあくん」の効果

さらに注目されているのが、AIロボット「まあくん」です。GPSと加速度センサーで車の位置情報を把握し、地図と照合しながら運転の助言をしてくれます。「速度に気をつけようね」「次は一時停止だね」といった優しい声かけが特徴です。

60代の実証実験参加者は「声が子供の声で受け入れやすい」「まあくんを壊さないようにと思うと同乗者を怪我させない気持ちになる」と語ります。

大手総合商社が主導したこの実証実験で注目すべきは、「褒める効果」です。褒める設定をした一時停止では問題行動が減少しましたが、褒めない設定では改善が見られませんでした。担当者は「注意されるのは誰も好きじゃない。楽しく前向きな気持ちで改善してほしい」と話しています。

サポートカーと限定免許の可能性

車両側からのアプローチとして、衝突被害軽減ブレーキなどを搭載したサポートカー限定免許が日本でも始まっています。まだ普及は始まったばかりですが、島田氏は多くの人に知ってもらいたいと訴えます。

海外では、時間や場所を限定した免許制度も進んでいます。オーストラリアなどでは、夜間運転を避けて日中のみ、あるいは自宅近隣のみといった制限付き免許が選択できます。こうした柔軟な制度設計も、今後日本で検討される可能性があります。


スポンサーリンク

家族の悩み解決!免許返納を切り出す適切な方法

高齢の親に免許返納を勧めたいが、どう切り出せばいいかわからない。これは多くの家族が抱える深刻な悩みです。島田氏は、適切なコミュニケーション方法を具体的に示しています。

絶対に避けるべきNGワード

島田氏が「絶対にやめていただきたい」と強調したのが、「もう何歳だから運転しないでほしい」という年齢を理由にした言葉です。前述の通り、運転技能の個人差は年齢とともに広がるため、年齢だけでは決められません。本人の尊厳を傷つけ、反発を招くだけです。

ポジティブな声かけの重要性

代わりに推奨されるのが、ポジティブワードを使った声かけです。運転に自信がある高齢者が多いため、否定的な言い方では受け入れてもらえません。「こうしてもらえると安心できるよ」といった肯定的な表現が効果的です。

番組では、「速いスピードはだめだよ」より「今の運転安心だな」と褒める方が、相手への印象が良くなる例が示されました。これはロボット「まあくん」の実証実験でも証明された、科学的に裏付けられたアプローチです。

運転継続と健康寿命の深い関係

島田氏が行った3500人の高齢者を対象とした研究は、衝撃的な結果を示しています。2年間の追跡調査で、運転を継続した人に比べ、運転をやめた人は要介護状態になるリスクが8倍も高まっていました。

この数字は、運転が高齢者の生活の質や健康維持に極めて重要な役割を果たしていることを示しています。ただし島田氏は「安全に運転できる方に限定」と強調します。危険な運転者にはきちんと免許返納を促し、安全に運転できる人には対策を講じて継続してもらう。このバランスが重要なのです。


スポンサーリンク

安心して運転できる社会に向けた科学的な視点

高齢者の運転問題は、個人や家族だけでなく、社会全体で考えるべき課題です。番組では、科学的根拠に基づいた社会システムの構築が提案されています。

客観的データに基づく判断の重要性

島田氏は「より客観的に自分の運転状態が安全なのか、危険が高まってきたのかを知っていただくことが非常に重要」と繰り返し述べています。主観に頼るのではなく、眼球運動、脳血流、運転操作データなど、複数の科学的指標を組み合わせた客観的評価こそが、納得感のある判断につながります。

柳町守代表(大学発ベンチャー企業(TMU Science株式会社))は「免許を更新してもいいのだろうか、でも車がないと毎日の生活が困る」と悩む高齢者が多いことを指摘し、データとして示すことで判断の一助になればと語っています。

yamagimatimamoru

TMU Science株式会社の柳町守代表取締役兼CEO                     (引用:「TMU Science株式会社」HPより)

地方部の切実な現実

免許返納が進まない背景には、特に地方部での車の必要性があります。買い物、病院受診など、車がなければ生活そのものが成り立たない地域は少なくありません。単に返納を促すだけでなく、代替交通手段の整備や地域支援の仕組みづくりも並行して進める必要があります。

海外の柔軟な免許制度に学ぶ

オーストラリアなど海外では、全面的な返納ではなく、夜間運転の禁止や運転範囲の制限といった段階的な免許制度が導入されています。こうした柔軟な選択肢があれば、完全な返納に踏み切れない高齢者も、安全性を確保しながら必要最小限の運転を続けられます。

日本でも、地域の実情に応じた多様な選択肢を用意することが、安心して運転できる社会の実現につながるでしょう。


スポンサーリンク

まとめ

2025年12月9日放送のNHK「クローズアップ現代」で紹介された高齢者の運転寿命をめぐる取り組みは、科学の力で長年の課題に答えを出そうとする画期的なものです。

眼球運動測定装置、脳科学、AI分析など、客観的なデータで運転能力を可視化する技術が実用段階に入っています。国立長寿医療研究センターの島田裕之氏が強調するように、年齢だけでなく個人差を踏まえた科学的評価が、これからの標準になっていくでしょう。

同時に、補償運転やAIフィードバック、ロボット同乗者など、運転寿命を延ばす具体的な方法も確立されつつあります。運転をやめた人は要介護リスクが8倍になるという研究結果は、安全を確保しながらできるだけ長く運転を続けることの重要性を示しています。

家族との対話では、年齢を理由にした否定的な言葉を避け、ポジティブな声かけを心がけることが大切です。そして何より、運転は高齢者にとって「生活そのもの」であることを理解し、客観的なデータに基づいて本人と家族が納得できる判断を下すことが求められます。

車は便利な移動手段である一方、凶器にもなり得るという認識を持ちながら、科学的な視点で安心して運転できる社会を実現していきましょう。

※ 本記事は、2025年12月9日放送のNHK「クローズアップ現代」を参照しています。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
シェアする
スポンサーリンク

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました