元素のなかには思わぬところで活躍し、企業に多額の利益をもたらしているものがあります。しかしその実態は一般の人々にはあまり知られていません。
本記事では2024年2月18日に放送された「がっちりマンデー」で特集された「ケイ素」という元素をピックアップ。国内有数のケイ素メーカーで年商10億円超の売り上げを誇る企業の姿をはじめ、想像を超えるケイ素の驚くべき儲け話を紹介します。ぜひご一読ください。
ケイ素って何?身近にある「ケイ素」の正体
ケイ素は元素記号Si、原子番号14の元素です。身の回りにはさまざまな形で存在しています。ケイ素は固体として地球上で最もたくさんある元素の一つで、砂浜などにある砂の主成分です。ケイ素の化合物は土壌や岩石を構成する主要成分でもあります。
ケイ素のすごい特長 「硬さ」と「耐熱性」
ケイ素には非常に硬い、そして熱に強いという2つの特長があります。モース硬度で9と非常に固い物質で、砂時計の砂としてよく知られています。また、1000度以上の高温でも安定しており、耐熱性に優れています。こうしたケイ素の性質が、現代文明を支える土台となっているのです。
ケイ素の原石「けい石」と「けい砂」大量採掘の実態
ケイ素がたくさん含まれる原石を「けい石」と呼びます。日本国内では山口県をはじめとして、各地でけい石が多く産出されています。番組内で紹介された、山口県美祢市の宇部サンド工業株式会社(原田晋作社長)では、年間18万トンものけい石を採掘。これを細かく砕いて「けい砂」と呼ばれる製品に加工しています。粒の大きさを調整したケイ素は、ごみ処理で重要な役割を果たします。粒径0.4mm以下の微粉ケイ素を燃料に混ぜることで、燃焼効率が大きく向上。ごみ処理能力が飛躍的に高まるのです。同社では2024年現在、年間売上高約12億円を稼ぎ出すケイ素メーカーとなっています。
ケイ素でがっちり儲ける!ごみ処理と化粧品で大活躍
けい砂のような微細なケイ素は燃焼効率が大きしてごみ処理能力が飛躍的に高めるだけではなく、更に微細にしたケイ素粒子は、化粧品の原料としても大活躍。保湿性や肌なじみがいいことから、高級スキンケア製品をはじめ多くの化粧品が採用しています。次に紹介されたAGCエスアイテック株式会社はその例でした。
ケイ素微粒子が化粧品メーカーに改革を迫る
番組で紹介された、AGCの子会社であるAGCエスアイテック株式会社では、肌のシワにもきれいに入り込む超極小シリカゲルを開発。保湿性や肌なじみの良さから、世界中の著名化粧品メーカーがこぞって採用を決められているとか。2024年時点で工場の1.5倍の増設を計画するなど、ケイ素由来の化粧品原料が引き起こした化粧品業界の変革の兆しがうかがえます。
ケイ素は半導体からスマホまで欠かせない その驚くべき秘密
ケイ素ではないシリコンが高度な半導体材料として知られていますが、これはケイ素に酸素が結合した化合物。つまりケイ素なしには存在し得ません。ケイ素から作られる単結晶シリコンは、コンピュータやスマートフォンに欠かせない半導体の基となる重要な材料なのです。現代の高度情報社会と切っても切れない深い関係にある驚くべき元素といえます。
まとめ
以上、私たちの暮らしで欠かせないケイ素という元素を見てきました。その硬さと耐熱性から、土木・建築用資材や半導体製造に不可欠な元素として大量に消費されています。一方で微粒子状に加工することで、環境・エネルギーや化粧品分野でも大活躍。身近なところで驚くほど多くの場面でケイ素の力を利用し生活していることがわかりました。
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