アシックスが誇る革新的マラソンシューズ「メタスピードパリ」が、いよいよパリ五輪を控え大注目です。長年マラソン界をリードしてきたアシックスでしたが、ライバル勢に圧倒されていた時期がありました。しかし、日本人の足型に合わせた新設計と最新技術の粋を集め、頂上を射止める最強の一足が誕生しました。本記事では、2024年3月29日放送(テレビ東京系)の「ガイアの夜明け」で紹介された、シューズの開発秘話から性能の真髄まで、メタスピードパリの全貌をご紹介します。疾風のごとく駆け抜けるその姿に、日本人ランナーの新たな希望の光が見えてくるはずです。
アシックスが目指す”頂上作戦”とは
アシックスは創業者の鬼塚喜八郎氏の経営理念「頂上作戦」を受け継ぎ、トップアスリートのニーズを徹底的に調査し、最高の商品を開発することを目指しています。2020年からCプロジェクトと呼ばれる重要プロジェクトを立ち上げ、マラソンにおける頂上奪還を目指しています。
長年、アシックスはマラソン界を牽引してきました。しかし2018年頃から、ナイキが開発した厚底シューズの登場により、長距離の世界は一気に厚底シューズ一色になりました。最悪期には2021年の箱根駅伝でアシックスのシューズを履く選手はゼロになってしまいました。
そこで、アシックスはCプロジェクトを発足し、トップアスリートの足型データを徹底的に分析、その結果を反映させた最新モデル「メタスピードパリ」を開発しました。この厚底シューズは、軽量化と反発力の高さを両立させ、パリ五輪でのマラソン種目での頂点奪還を目指しています。
トップアスリート向け最強シューズ「メタスピードパリ」の特徴
「メタスピードパリ」はアシックスが2024年3月に発売した最新マラソンシューズです。ソールには特殊なカーボン素材を使用し、軽量化と共に高い反発力を実現しています。前モデルより20g以上の軽量化を果たした上、グリップ力の高いラバーを使うなど、足への フィット感と安定性にもこだわりました。
また、世界中のトップアスリートから集めた足型データを徹底分析し、日本人選手とアフリカ・欧州選手の違いを明らかにしました。日本人は土踏まずのアーチが低く、アフリカ・欧州選手はアーチが高くスリムな足型だということが分かりました。この違いを無視すると、最適なフィッティングが得られません。「メタスピードパリ」はこうした足型の違いを考慮して設計されています。
パリ五輪に向けた開発秘話
「メタスピードパリ」は、アシックススポーツ工学研究所の開発拠点で職人の手作業によって丁寧に製造されています。靴底部分のカーボンプレートと衝撃吸収材を専用の装置で張り合わせ、アッパーと組み合わせて完成します。
開発リーダーの竹村周平氏は、世界中の契約選手から膨大なデータと意見を集め、それらを製品化するための懸命の努力を重ねてきました。パリ五輪でメダル獲得を目指す選手に向けて理想的なシューズを生み出そうと、試行錯誤を繰り返してきたのです。
開発のこだわりの一つは、ゼロから新しく設計することでした。かつて世界を席巻した薄底シューズの名残を捨て去り、まったく新しいコンセプトで取り組みました。その努力が実を結び、最高のパフォーマンスを発揮できる一足が完成したと竹村氏は自負しています。
ライバルとの違いは”日本人向けの履き心地”
マラソンシューズ業界は世界規模での激しい開発競争が繰り広げられています。中でもナイキの存在は大きく、東京オリンピックの男子マラソンではナイキシューズ着用者がトップ10のうち7人を占める圧倒的な結果となりました。
このようなナイキの独走に対抗すべく、アシックスは”日本人の履き心地”にこだわった設計を行いました。世界から集めたデータの分析で、日本人選手とアフリカ・欧州選手の足の形状に違いがあることを発見。日本人は土踏まずが低く幅広い傾向にあり、アフリカ・欧州選手はアーチが高くスリムな足型だと分かりました。
「メタスピードパリ」はこの違いにフォーカスした設計となっています。ナイキ製品の日本人フィッティングへの課題を解決し、日本人選手への高い支持を獲得することが、頂上奪還への大きな鍵となるでしょう。
マラソン強豪・早稲田大も絶賛の反応
東京を本拠地とする早稲田大学は、箱根駅伝の常連校で歴史と伝統のある強豪チームです。2024年1月の箱根駅伝では、早稲田大学陸上競技部の10人のランナーのうち6人がメタスピードパリを履いて出場しました。
「履き心地が良く、前モデルより更に進化を感じる」と選手からの評価は上々です。他大学の選手も含め、箱根駅伝全体でメタスピードパリの着用率は23%にのぼりました。2021年の0%着用から一気に回復したアシックスの支持率の高さが窺えます。
箱根駅伝に先立ち、竹村リーダーは直接選手に商品を手渡し、プレゼンを行うなど、地道な営業努力を重ねてきました。その甲斐あってか、強豪校の選手たちからも高い支持を獲得できたことは開発陣にとって大きな喜びとなりました。
箱根駅伝で支持率アップ、東京マラソンへ
2024年2月の決算会見で、アシックスの廣田康人会長は過去最高の売上高5,704億円を発表しました。特にランニングシューズ部門の成長が目覚ましく、メタスピードシリーズの貢献が大きかったと分析されています。
そしてマラソンの本番が待っていました。3月の東京マラソンでは、メタスピードパリを履いた日本人選手が3位から7位に入賞。頂上を狙うにはまだ至らなかったものの、着実にライバルに食い込む好結果を残すことができました。
「アスリートも私たちと同じ気持ちです。悔しさを力に変え、更なる上を目指したい」と竹村リーダーは燃えるような言葉を口にしました。メタスピードパリへの手応えを感じつつ、パリ五輪に向けた挑戦はこれからが正念場です。日本発の最速シューズが、世界の頂点に立つその日を目指して、開発は進み続けます。
まとめ
アシックスは創業者の理念を受け継ぎ、「頂上作戦」によるトップアスリートへの製品化に挑戦しています。長年の弱体化を跳ね返すべく、世界中の足型データを徹底分析し、革新的な厚底シューズ「メタスピードパリ」を開発しました。
同製品は日本人選手の履き心地にフォーカスしつつ、軽量と反発力の両立を実現。開発の困難を乗り越えた最新モデルです。契約選手からの高い評価を得ており、強豪の早稲田大学選手の多数が箱根駅伝で着用し、その走破力を実証しています。
2024年の東京マラソンでも上位で活躍し、頂上を視界に捉えつつあります。パリ五輪でマラソン種目を制覇するため、日本が世界に誇る革新的シューズメーカーとして、開発の火はこれからも燃え続けることでしょう。
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