量子コンピューターという言葉を聞いたことはありますか?現在、世界中で開発競争が激化するこの最先端技術において、日本発のベンチャー企業OptQCが革新的な「光量子コンピューター」の開発に成功しつつあります。31歳の若き天才CEO高瀬寛氏が挑む、この技術がもたらす3つのメリットと将来性について解説します。テレビ東京「ブレイクスルー」で特集された内容をもとに、日本が世界に誇る量子コンピューター技術の全貌に迫ります。
OptQCの高瀬寛CEOが語る光量子コンピューターの可能性
テレビ東京系列で2025年4月5日に放送された「ブレイクスルー」。新MCにベストセラー作家の相場英雄氏を迎え、日本発の革新的技術に迫る番組として注目を集めています。今回の放送では、OptQCの高瀬寛CEOが開発する「光量子コンピューター」が特集されました。
高瀬氏は「光量子コンピューターは究極の量子コンピューターだと思っています」と自信を見せます。東京大学の研究室に設置された機器は、一見するとレンズやミラーが複雑に配置されただけのシンプルな装置に見えますが、この中で量子の性質を持つ光が飛び交い、従来のコンピューターでは太刀打ちできない処理能力を生み出しています。
31歳という若さで最先端技術の開発に取り組む高瀬CEOは「コンピューターの性能で世の中の便利さが決まる時代。全く新しいコンピューターを作らないと人類の進歩が止まってしまう」と語ります。その言葉からは、単なる技術開発を超えた使命感が感じられます。
量子コンピューターとは?従来のコンピューターとの違い
量子コンピューターが従来のコンピューターと決定的に異なるのは、情報の扱い方です。従来のコンピューターは0と1の2つの電気信号であらゆる情報を表現しています。たとえば、ダイヤル式の鍵を開ける場合、従来のコンピューターでは1つずつ数字を動かし、最大で1万回もの計算を繰り返す必要があります。
一方、量子コンピューターは量子の「重ね合わせ」という特性を活用。0と1が同時に存在する状態で情報を処理します。高瀬氏は「2つの量子ビットがあると、0と0、0と1、1と0、1と1という4つのパターンを一気に表現できる」と説明します。これにより、従来なら16通りの計算が必要な処理も、一度に実行することが可能になるのです。
この驚異的な処理能力の実例として、2019年にGoogleが実施した実験では、スーパーコンピューターでも1万年かかる計算を、量子コンピューターはわずか3分20秒で終わらせたと言われています。これは人類のコンピューティング能力に革命をもたらす可能性を秘めています。
光量子コンピューターが実現する3つのメリットとその革新性
OptQCが開発する光量子コンピューターには、他の量子コンピューターと比べて3つの大きなメリットがあります。
1つ目は処理速度です。高瀬氏は「昔、電話回線でインターネットをしていた時代から光通信になって速くなったように、コンピューターも光で動作させることで処理速度が格段に上がる」と説明します。物質の中で最も速い光を利用することで、従来の電気信号を使用したコンピューターを大幅に上回る速度を実現できるのです。
2つ目はエネルギー効率の良さです。一般的な量子コンピューターは絶対零度近くまで冷やさなければ動作せず、稼働すると大量の熱を放出します。そのため冷却に莫大な電力を必要とします。しかし光量子コンピューターは常温で稼働し、熱もほとんど発生しないため、エネルギー問題の解決にも貢献できます。
3つ目はコンパクトさです。従来の量子コンピューターは性能を上げるために複数台を連結する必要があり、大型化してしまいます。しかし光量子コンピューターは1台でも高性能を発揮でき、さらなる小型化も可能です。高瀬氏は「現実的なサイズ、かつ現実的なコストで作れる光量子コンピューターが次世代の情報インフラになる」と展望を語ります。
世界の量子コンピューター開発競争における日本の立ち位置
量子コンピューターは今後100兆円市場になると言われ、IBMやGoogleなど世界の巨人たちが莫大な開発費を投入している分野です。アメリカや中国を中心に覇権をかけた開発競争が加熱しています。
「日本の立ち位置は、少なくともトップではない」と高瀬氏は率直に語ります。アメリカのGoogleやIBMが圧倒的な資金力と人材を投入し、すでに商品として量子コンピューターを販売しています。日本はむしろそれを購入する立場に置かれているのが現状です。
国家レベルでのバックアップについて問われた高瀬氏は「総予算額の面で、アメリカのような大国の規模には追いつけない」と課題を指摘します。しかし、そのような状況の中でも、OptQCは光を使った新しいアプローチで世界と戦おうとしています。
東京大学古澤明教授と高瀬寛の挑戦
高瀬氏の光量子コンピューター開発の礎となったのは、東京大学大学院工学系研究科の古澤明教授の研究です。古澤教授は25年以上前に世界に先駆けて光量子コンピューターの研究を始め、1998年にその基礎となる量子テレポーテーションに成功しました。この成果はサイエンス誌が選ぶその年の重大成果としても取り上げられ、古澤教授の名を世界に轟かせました。
高瀬氏は「古澤先生がノーベル賞を取るか、OptQCが大成功するか、どちらが先になるか競争している」と語り、恩師への敬意と自身の事業への自信を示しています。現在62歳の古澤教授は「若い人が好きにやってくれ」と言い、光量子コンピューターの実用化を高瀬氏に託したそうです。
高瀬氏は「日本が20年以上かけて古澤先生を中心に光量子技術を積み上げてきたものがあり、世界的にもかなり良い位置にいる」と語ります。この技術的蓄積を社会に実装するという強い使命感が、研究者から経営者への転身を後押ししたようです。
OptQCが目指す実用化への道筋と未来への展望
OptQCは現在、実用化モデルの初号機の製造を開始したところで、来年度には量産に向けた研究をスタートさせる予定だと言います。高瀬氏の見立てでは、「10年後に今のAIくらい光量子コンピューターが流行っていれば良い」と展望しています。
しかし、光量子コンピューターの実用化には課題もあります。「非常にポテンシャルが高いが、それをどうやって引き出すかが一筋縄ではない」と高瀬氏は語ります。特に量子をいかに完全にコントロールするかが大きな課題だと説明します。
それでも高瀬氏は最近、光の量子ビットを作る効率を100万倍も向上させる方法を発見したと言います。「1秒に1個しか量子ビット作れなかったところを100万倍早くできる」という発見は、実用的な光量子コンピューターへの道を大きく前進させるものです。
光量子コンピューターが変える私たちの生活と産業
光量子コンピューターが実用化されれば、私たちの生活や産業はどのように変わるのでしょうか。
高瀬氏は製薬業界を例に挙げます。「製薬は10年という期間をかけて、莫大な費用を投じて開発していく。最初の候補となる物質が数万通りある中から絞り込む作業に、量子コンピューターを使えば最初から10や100の候補まで絞れるかもしれない」と説明します。これにより、医薬品開発の期間とコストの大幅な削減が期待できます。
また、物流や自動運転の分野でも革命を起こす可能性があります。「船に積む荷物の順番や輸送スケジュールの最適化」「多数の自動運転車が渋滞なく効率的に走行するための全体制御」など、現在のコンピューターでは困難な複雑な最適化問題を解決できると言います。
高瀬氏は「今の社会は高性能なコンピューターがあるように見えるが、まだまだ無駄や非効率な部分が沢山残っている。そういう部分を解決に向かわせるのが新しい情報処理システム、量子コンピューターだ」と語ります。
まとめ:日本発の技術革命が切り拓く量子コンピューターの未来
OptQCの高瀬寛CEOが開発する光量子コンピューターは、処理速度、エネルギー効率、コンパクトさという3つの大きなメリットを持ち、量子コンピューター開発の新たな可能性を切り拓いています。
Google、IBMなど巨大企業がしのぎを削る量子コンピューター開発競争の中で、日本は必ずしも優位な立場にあるとは言えません。しかし、東京大学の古澤明教授が25年以上前から積み上げてきた光量子技術の蓄積を基に、OptQCは日本発の技術革命を目指しています。
高瀬氏は「光量子コンピューターという非常にチャレンジングなものを作ることで、世の中が効率化し、人類の進歩が早まる。ここまで人類社会がすごくなるんだと見届けてから人生を終えたい」と語ります。その言葉からは、単なるビジネスを超えた、人類の未来を変えるという崇高な使命感が感じられます。
2025年現在、OptQCはすでに実用化モデルの初号機製造を開始しています。10年後の2035年までに光量子コンピューターが社会に広く浸透し、製薬、物流、自動運転など様々な分野で革命を起こす可能性を秘めています。日本発の技術が世界を変える日も、そう遠くないかもしれません。
※本記事は、2025年4月5日に放送された(テレビ東京系列)人気番組「ブレイクスルー」を参照しています。
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