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テレビ番組・情報

【ブレイクスルー】タイガー魔法瓶の真空断熱パネル「物流業界を変革する技術とは」

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2025年9月13日、テレビ東京系で放送された「ブレイクスルー」では、創業102年の老舗メーカー・タイガー魔法瓶が挑む革命的な技術革新が紹介されました。作家・相場英雄氏が密着取材したのは、同社商品開発責任者の南村紀史氏が開発する「真空断熱パネル(TVIP)」という画期的な技術です。この技術は、単なる水筒メーカーの枠を超え、物流業界全体を変革する可能性を秘めています。

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タイガー魔法瓶の真空断熱パネル(TVIP)とは?ブレイクスルー技術の全貌

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タイガー魔法瓶の真空断熱パネル(TVIP)                            (引用:「ブレイクスルー」より)

タイガー魔法瓶が開発した「ステンレス密封真空断熱パネル」(正式名称:TIVIP=TIGER Vacuum Insulated Panel)は、100年以上培ってきた魔法瓶技術を平面パネル化した革新的な断熱材です。この技術の核心は、わずか0.05mmという極薄のステンレス箔を2枚重ねて溶接し、内部を真空状態にすることで実現される驚異的な断熱効果にあります。

従来の水筒は筒状でしたが、これを平面のパネル形状に進化させることで、保冷ボックスやコンテナの壁面に設置可能となりました。熱伝導率は約0.0025W/m・K以下と、従来の断熱材と比較して10倍から25倍もの断熱効果を発揮します。さらに注目すべきは、この真空状態を30年以上維持できる長寿命性です。

この技術開発には約10年の歳月が費やされ、南村氏は「当時はまだまだ加工技術も開発できていなかったが、この10年で周辺の加工技術も進化し、ようやく形にできた」と語っています。タイガー魔法瓶の企業秘密とも言える独自の溶接技術により、繊細なステンレス箔を傷つけることなく強固に接合することを可能にしました。

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南村紀史が挑む物流業界革命「BtoCからBtoBへの大転換」

南村紀史氏は2001年にタイガー魔法瓶に入社し、一貫してBtoC(個人消費者向け)製品の開発に携わってきました。炭酸飲料対応水筒の開発では、販売から3ヶ月で10万本を売り上げるヒット商品を生み出すなど、確かな実績を築いてきたエンジニアです。

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タイガー魔法瓶の南村紀史氏                                 (引用:「ブレイクスルー」より)

興味深いのは、南村氏の父親がBtoBのエンジニアだったにも関わらず、入社時は「産業機器は分からないから、生活に身近な商品を作りたい」と考えていたことです。しかし、創業100周年を機に、南村氏自らがBtoBの世界へと足を踏み入れることになったのです。

この転換の背景には、同社の強い危機感がありました。南村氏は「これまで100年コンシューマ向けでやってきたが、そのままで次の100年はやっていけない。真空断熱技術を応用進化させて新たな製品を開発しよう」と決意を語っています。創業100周年という節目が、この大胆な事業転換のきっかけとなったのです。

南村氏が入社時に掲げた「新世紀我に任せろタイガーは」という言葉通り、同氏は真空断熱技術への愛着を持ち続け、「技術を好きでい続けること」がブレイクスルーの原動力だと信じています。

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真空断熱パネルの驚異的な性能「従来断熱材の10-25倍の効果を実現」

実際の性能検証では、36度の猛暑日に冷凍うどんを入れた保冷ボックスを4時間屋外に放置するテストが行われました。結果は驚異的で、冷凍うどんは完全に凍った状態を維持し、相場英雄氏も「全然普通。冷たい」と驚きの声を上げました。この実験は、真空断熱パネルの実用性を明確に証明するものでした。

この技術の最大の特徴は、従来の冷凍・冷蔵輸送で必要だった電気エネルギーを大幅に削減できることです。冷却装置を使用せずに常温トラックでの混載輸送が可能となり、「3台必要だったトラックが1台になる」という物流革命を実現します。これにより、CO2排出量の大幅削減と、深刻化するトラックドライバー不足問題の解決にも貢献することが期待されています。

パネルの構造は、特殊な芯材を内部に配置し、ステンレス製のため不燃性も備えています。さらに、ステンレス素材の採用により完全リサイクルが可能で、環境負荷の観点からも優れた特性を持っています。タイガー魔法瓶では2021年から使用済みステンレス製ボトルの回収・再資源化に取り組んでおり、この真空断熱パネルでも同様の循環型社会実現への貢献を目指しています。

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日本通運との実証実験で見えた物流業界の未来「CO2削減への具体的効果」

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試作品として紹介された真空断熱BOX                             (引用:「ブレイクスルー」より)

2025年5月から、タイガー魔法瓶は日本通運および岐阜プラスチック工業との協業により、大阪・関西万博会場内外での保冷輸送において真空断熱パネルの実証実験を開始しました。日本通運は万博における「推奨物流事業者」「場内貨物取扱指定事業者」として、この革新的な保冷輸送技術の検証を担っています。

日本通運の担当者によると、「お客様からのニーズがありながら、これまで試行錯誤を繰り返してきたが、なかなか良いものができなかった。タイガーさんからお声がけいただいて、今までできなかったものが実現できる」と期待を寄せています。この実証実験により、輸送商品の幅が大幅に広がることが確認されています。

この協業の意義は単なる技術検証にとどまりません。物流業界全体が抱える環境負荷削減の課題に対する具体的な解決策を提示しており、2027年の本格的な製品化に向けた重要なステップとなっています。万博という国際的な舞台での実証は、この技術の世界展開への布石としても位置づけられています。

実証実験では、従来の蓄冷材や蓄熱材を不要とし、電力使用量の大幅削減を実現しています。これにより、年々増加する世界の冷凍・冷蔵輸送需要に対応しながら、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献することが期待されています。

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住宅設備・ハウスメーカーへの応用展開「建築材としての可能性」

物流業界での成功を見据えながら、タイガー魔法瓶はさらなる展開として建築業界への応用を進めています。住宅設備メーカーやハウスメーカーとの協業により、戸建て住宅、リフォーム、倉庫、データセンター、コンテナハウスなど幅広い分野での活用が検討されています。

南村氏は「ハウスメーカーさんとご一緒させていただいて、どこの場所にどんな施工方法で真空断熱パネルを収めていくか、その検討に入っており、おおよそプランはできています」と具体的な進展を明かしています。超えなければならないハードルはまだあるものの、実証のスタートは近いとの見通しを示しています。

建築材としての真空断熱パネルの利点は、薄型でありながら高い断熱効果を発揮することです。従来の断熱材と同等の性能を得るために必要な厚みを大幅に削減できるため、建築設計の自由度向上と省スペース化に貢献します。特にデータセンターのような電力消費の大きい施設では、冷却エネルギーの削減効果は計り知れません。

この建築分野への展開は、タイガー魔法瓶の事業領域を根本的に拡大する戦略的意義を持っています。これまでの家庭用製品から産業用途への転換により、同社の次の100年を支える新たな収益基盤の構築が期待されています。

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タイガー魔法瓶の0.05mm極薄ステンレス技術「企業秘密の溶接技術」

真空断熱パネルの核心技術は、厚さわずか0.05mmの極薄ステンレス箔の溶接技術にあります。この厚さは、一般的な魔法瓶に使用されるステンレス板の10分の1という薄さで、「触ると手を切ってしまうほど鋭い」と南村氏が表現するほどの繊細さです。

この極薄ステンレス箔を2枚重ねて溶接する技術は、まさにタイガー魔法瓶の企業秘密と呼べるものです。番組の取材で相場英雄氏が「これを溶接するということ自体が信じられない。どういう技術なのか?」と問いかけた際、南村氏は「そこが企業秘密です」と答えています。

実際の溶接工程では、一瞬で作業が完了する高度な技術が使用されています。相場氏が「実家が町工場だった」経験から、「機械がやっているが、神業ですね。溶接の概念を知っている人間からすると」と評価したように、この技術は従来の溶接概念を覆すものです。

この溶接技術により、ステンレス箔を傷つけることなく強度を保ちながら、内部を完全な真空状態にすることが可能となっています。真空状態の実現と長期維持は、JAXAからの依頼で国際宇宙ステーション(ISS)向けの真空二重断熱容器を開発した経験が活かされており、宇宙レベルの技術が地上の産業応用に転用された形となっています。

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大阪関西万博で実現する脱炭素社会への貢献

2025年大阪・関西万博は、タイガー魔法瓶の真空断熱パネル技術にとって重要な実証の場となっています。2025年10月7日から13日まで、万博会場内のフューチャーライフヴィレッジ フューチャーライフエクスペリエンスにおいて、「ステンレス密封長寿命不燃真空断熱パネル技術開発・実証」が展示されます。

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5月から大阪・関西万博ではすでに実証実験されている                    真空断熱保冷ボックス                                    (引用:「ブレイクスルー」より)

この展示は大阪府の「カーボンニュートラル技術開発・実証事業」の一環として実施され、2025年万博の機会を活かしてカーボンニュートラルに資する最先端技術の開発・実証にチャレンジする企業を後押しする事業の一部です。万博という国際的な舞台での技術披露は、世界に向けたタイガー魔法瓶の技術力アピールの絶好の機会となっています。

万博での実証実験により、世界各国の関係者や来場者に対して、この革新的な断熱技術の実用性と環境貢献度を直接体験してもらうことが可能となります。これにより、技術の国際展開や新たなパートナーシップの構築につながることが期待されています。

また、万博会場内外での保冷輸送における実際の運用データの蓄積により、2027年の本格的な製品化に向けた技術改良と品質向上が図られています。この万博での取り組みは、単なる展示にとどまらず、実用化に向けた重要な技術検証の場として位置づけられています。

脱炭素社会の実現に向けて、輸送業界や建築業界からの期待は高く、南村氏は「世界中の冷凍輸送、冷蔵輸送の使用数が年々上がっているため、世界のコールドチェーンに貢献できる可能性がある」と自信を示しています。

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まとめ

タイガー魔法瓶が開発した真空断熱パネル(TVIP)は、創業103年の歴史を持つ老舗メーカーが次の100年に向けて挑む革命的な技術です。南村紀史氏の「技術を好きでい続けること」という哲学のもと、10年の歳月をかけて開発されたこの技術は、物流業界と建築業界に根本的な変革をもたらす可能性を秘めています。

従来断熱材の10倍から25倍という圧倒的な断熱効果と30年以上の長寿命性、そして完全リサイクル可能という環境配慮により、この技術はカーボンニュートラル社会実現の重要な要素となることでしょう。2025年大阪・関西万博での実証実験を経て、2027年の本格製品化に向けて着実に歩みを進めるタイガー魔法瓶の挑戦は、日本の製造業の技術力と革新性を世界に示すブレイクスルーと言えるでしょう。

この技術革新は、単なる断熱材の進歩を超えて、物流の効率化、環境負荷削減、エネルギー消費抑制という社会課題の解決に直結しており、まさに「ブレイクスルー」にふさわしい技術革新として注目されています。

※ 本記事は、2025年9月13日放送(テレビ東京系)の人気番組「ブレイクスルー」を参照しています。

※ タイガー魔法瓶株式会社の公式サイトはこちら

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