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【カンブリア宮殿】村上龍&小池栄子卒業SP「未来をつかむ経営とは」

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2026年3月26日放送のカンブリア宮殿は、村上龍&小池栄子の卒業SPとして20年の集大成が届けられました。豊田章男、柳井正、孫正義といった凄腕経営者たちの格闘と現在の挑戦、さらに「大変貌ランキング」まで、見どころが凝縮された回です。この記事では、番組で語られた「未来をつかむ経営」のエッセンスを余すところなくお届けします。


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カンブリア宮殿卒業SPの放送内容── 村上龍&小池栄子20年の集大成

2026年3月26日にテレビ東京系列で放送されたカンブリア宮殿は、「村上龍&小池栄子卒業SP 未来をつかむ経営とは?」と題した、放送20年の節目となるスペシャル回でした。

2006年の番組スタート以来、メインインタビュアーとして日本を代表する経営者たちと向き合い続けてきた作家・村上龍さん(74歳)と、サブインタビュアーとして番組を支えてきた俳優・小池栄子さん(45歳)。お二人にとって、まさに最後の収録となるこの回は、過去20年間に出演した数多くのゲストの中から厳選された凄腕経営者たちの歩みと現在の挑戦を振り返る構成になっていました。

スタジオには、元ネスレ日本社長の高岡浩三さん、クリエイティブディレクターの佐藤可士和さん、そして東京都副知事の宮坂学さんという豪華なゲスト3名が集結。さらにVTRでは、トヨタ自動車の豊田章男会長、ファーストリテイリングの柳井正会長、ソフトバンクグループの孫正義会長といった日本経済を牽引してきた超大物経営者たちへの独自取材映像も紹介されました。

番組が始まった2006年を振り返る映像の中で、小池さんが「私、経済番組初めてなので」と話し、村上さんが「僕も初めてですよ」と返す初々しいやり取りが流れると、20年という歳月の重みがひしひしと伝わってきました。

なお、4月2日からの放送では、作家の金原ひとみさんと音楽クリエイターのヒャダインさんが新MCを務めることが発表されています。20年にわたって番組を支えてきたお二人の功績は、まさに「カンブリア宮殿」という番組そのものの歴史と言っても過言ではありません。

ここからは、番組で取り上げられた各経営者のエピソードや、ゲストたちの議論を詳しく見ていきましょう。


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豊田章男が語るトヨタ20年の格闘と「車を愛する人がいい車を作る」

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トヨタ自動車 会長の豊田章男氏                      (引用:「カンブリア宮殿」より)

卒業SPで最初に取り上げられたカリスマ経営者は、トヨタ自動車の豊田章男会長でした。

69歳になった今も、豊田さんは「マスタードライバー」として、車の乗り味を最終決定する責任者を務めているそうです。番組では、愛知県豊田市と岡崎市の山間部にある3000億円をかけて建設された最先端の研究開発施設で、開発中の車に自ら乗り込み、ドイツの名門サーキット・ニュルブルクリンクのようなアップダウンの激しいテストコースを走り込む姿が映し出されました。

印象的だったのは、豊田さんの次の言葉です。「壊れるまでやる。そうすると、一つ壊れるっていうのが一番そこが弱いってことでしょう。今度そこを強くする。それをどれだけできるかによって、いい車に一歩ずつ近づいている」。壊れるまでテストを繰り返すというトヨタの姿勢は、まさに「妥協を許さないものづくり」の真髄だと感じました。

そして豊田さんが現在、車作りとともに力を注いでいるのが「人材育成」です。トヨタの社員を育てるトヨタ工業学園で、卒業を控える訓練生たちに特別講義「章男塾」を行っています。その大半が質疑応答で、若い訓練生たちが会長に対して臆することなく質問する姿が非常に清々しいものでした。

なかでも目を引いたのは、ある訓練生が「夢の車を作るとしたら?」と質問した場面です。豊田さんが逆に「車って何だと思う?」と聞くと、「移動手段です」と素直に答えた訓練生に対して、豊田さんはこう語りかけました。「ムーブ(Move)っていう英語の意味は、移動だけじゃなくて感動っていう意味もある。単に移動手段ではなく、感動を与えたい」と。この「Move=感動」という言葉は、トヨタが目指す車づくりの哲学をシンプルかつ力強く表現していると思います。

さらに番組で最も胸を打ったのは、豊田さんがカンブリア宮殿のMCお二人に寄せたメッセージでした。12年前の出演時に村上さんが編集後記で残した「車を愛する人がいい車を作る」という言葉が、「自分のそれ以降のぶれない軸になった」と明かしたのです。「車が好きだということをずっと批判されてきた人間ですから。そこを初めてお褒めいただいた、背中を押していただいた」と語り、「その時の小池さんの聞いている時のあの笑顔が、カンブリア宮殿の一番のいい思い出です」と感謝を伝えていました。

これに対して村上さんは「覚えてないよ」とおどけ、小池さんが「照れ屋さんなんだから」と切り返すおなじみの掛け合い。しかし村上さんは続けて、「約48兆円の会社からああやって言われるなんて信じられない」と本音をこぼしていたのが印象的でした。

この一連のエピソードから感じるのは、経営者にとって「自分が信じるものを認めてくれる人の存在」がいかに大きいか、ということです。売上高約48兆円のトヨタを率いる豊田さんですら、たった一つの言葉が軸になったと語るわけですから、言葉の持つ力の大きさを改めて実感させられます。

スタジオでは、佐藤可士和さんが「車を愛しているっていうのが一番素晴らしい。信じているからこそ人に売れる」と指摘し、宮坂さんも「自分の作っているサービスの手触り感を確かめていくっていうのは、本当にすごいこと」と感嘆していました。そして高岡さんは「あれだけの感情を皆さんと共有できるというのは、すごいリーダーシップ」と評価しました。理論だけでなく感情を共有できるリーダーシップ──これがトヨタの強さの源泉なのかもしれません。


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柳井正のユニクロ成功の方程式と孫正義の揺るがぬ信念

続いて番組は、もう二人のカリスマ経営者の20年の格闘を振り返りました。

ユニクロ・柳井正──売上6000億円から3兆4000億円超へ

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ファーストリテイリング 会長兼社長の柳井正氏                  (引用:「カンブリア宮殿」より)

2008年にカンブリア宮殿に初出演した当時、ファーストリテイリングの売上はまだ6000億円程度。佐藤可士和さんがデザインしたロゴで攻勢をかけ始めたタイミングでした。それが今や、売上3兆4000億円を超える世界的企業に成長しています。

今年77歳になる柳井さんが語った成功の理由は、非常に明快でした。「最終的な目標を決めてなかった。どうせ一生かけるんだったら世界一になろうと思った。成長しないと生き残れない、現状維持では」。この言葉は、現状に甘んじがちな多くの日本企業への強烈なメッセージにも聞こえます。

柳井さんがこだわったのは「成長のスピード」。海外事業では何度も失敗を繰り返しながらも挑み続け、今や売上の半分以上が海外です。日本企業が海外で勝てない理由について、「馴れ合いの同調圧力」「うまく回ることが目的になっている」と厳しく指摘し、「商売がうまく回って利益が出ればいい、という発想を超えなければならない」と語っていました。

個人的に特に響いたのは、ビジネスの本質について語った言葉です。「流行やトレンドが神様だと思っている人と、値段が安ければいいと思っている人がいる。どちらも違う。服の完成度が一番大事。着て買ってよかったなと思われる商品を作れば、次も買ってやろうと思われる」。この考え方は、服に限らずあらゆるビジネスに通じる普遍的な真理ではないでしょうか。

スタジオでは、20年間にわたって毎週ワンオンワンミーティングを続けてきた佐藤可士和さんが、「柳井さんの信念は20年前から全く変わっていない。ずっとディスカッションしているのは、『服とは何だ』というかなり哲学的なところ」と証言。さらに宮坂さんからは、ソフトバンクグループの取締役を務めていた時代、柳井さんがとにかく猛烈にメモを取っていたというエピソードも紹介されました。あれだけの実績を上げても、まだ貪欲に学び続ける姿勢。ここに柳井さんの強さの秘密があるのだと思います。

高岡さんは、ユニクロの好調の要因としてデジタルトランスフォーメーションの活用を挙げました。世界中でどこで何がどれだけ売れて、どれだけ残っているかが即時に分かるシステムを構築し、適正な在庫管理のもとで正価販売で売り切ることを実現。「20%近い営業利益率は日本企業として誇らしい」と評価していたのが印象的でした。

ソフトバンク・孫正義──脱皮し続ける経営者

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ソフトバンクグループ 会長兼社長の孫正義氏                  (引用:「カンブリア宮殿」より)

一方、2010年にカンブリア宮殿に登場した孫正義さんの20年の格闘も、ダイナミックなものでした。

2006年、総額1兆7500億円でボーダフォン日本法人を買収し、携帯事業に参入。当時は成功を疑う声も多かったものの、「崖っぷちに追い込まれると、もう一生懸命考えざるを得ない」と語った孫さんの言葉は、今も色あせません。

2017年には10兆円規模のソフトバンク・ビジョン・ファンドを立ち上げ、携帯事業が稼ぎ頭だったグループの収益構造を一変させました。そして現在は、生成AIへの巨額投資に挑戦しています。番組では、孫さんが投資するイギリスのウェイブ・テクノロジーズ(Wayve Technologies)の自動運転技術が紹介されました。エヌビディア(NVIDIA)などとともに1600億円もの投資を行っており、同社のアレックス・ケンドルCEOは孫さんの先見性と揺るがぬ信念を高く評価していました。

宮坂さんは元Yahoo Japan社長として孫さんと長く仕事をした経験から、「脱皮し続ける感じがすごい。志は『情報革命で人々を幸せに』と全く変わらないが、方法論がブロードバンドから携帯電話、スマートフォン、投資、そしてAIへと常に変わっていく」と語っていました。

興味深かったのは、宮坂さんが明かしたエピソードです。ソフトバンクの30周年記念式典で、スマートフォン全盛の時代に突然「これからはAIとロボットだ」と言い出した孫さん。それが2010年代半ばのことです。当時は社員も「えー?」とキョトンとしていたそうですが、結果的にその先見性は正しかったわけです。「信じ切る力がすごい」という宮坂さんの言葉が、孫さんの経営の本質を突いていると感じました。


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佐藤可士和・高岡浩三・宮坂学── ゲスト3人の最新の挑戦

卒業SPでは、過去の経営者の振り返りだけでなく、スタジオゲスト3名の最新の仕事ぶりも取材されていました。それぞれが現在進行形で取り組む挑戦の姿は、「20年経っても進化を止めない」というメッセージそのものでした。

佐藤可士和── シェア型書店「本まる」のブランディング

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クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏               (引用:「カンブリア宮殿」より)

小池栄子さんが神保町を訪ねて取材したのが、佐藤可士和さんが手掛けた新しい書店「本まる神保町」です。直木賞作家の今村翔吾さんから13枚もの熱烈なラブレターをもらい、その思いに心を打たれてブランディングを引き受けたといいます。

この「本まる」はシェア型書店という独自の仕組みを採用しています。ずらりと並ぶ本棚の一区画ずつにオーナー(棚主)がいて、売りたい本を自由に置くことができるのです。棚の使用料は一番安いもので月額4850円。プロの書店員でなくても、誰でも棚主になれるという画期的なコンセプトです。

小池さんが棚を見て回ると、競馬の本ばかり集めた棚や、氣志團の綾小路翔さんの棚なども発見。「普通の本屋さんとは違う。個人の頭の中を覗いてるみたいで面白い」という可士和さんの表現がぴったりの、ユニークな空間でした。

書店の減少が社会問題となる中、本屋を救う「本丸」になりたいという名前の由来も含め、佐藤可士和さんのクリエイティブの力が社会課題の解決に向けられている好例だと言えるでしょう。佐藤さん自身も「クリエイティブの力を社会課題や文化を守ることに役立てたい」と語っていて、その姿勢には深く共感します。

高岡浩三──若手起業家の育成とスカイドライブ

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元ネスレ日本社長の高岡浩三氏                  (引用:「カンブリア宮殿」より)

元ネスレ日本社長の高岡浩三さんが今注力しているのは、若手起業家の育成です。高岡さんが主宰する「イノベーション道場」の門下生である福澤知浩さん率いるスカイドライブ(SkyDrive)は、空飛ぶ車(eVTOL:電動垂直離着陸機)を開発するスタートアップ企業です。

番組では、江東区でのデモフライトの様子が紹介されました。12機のモーターを個別に制御し、最高巡航速度100キロを出せるという機体が、高岡さんが見守る中で浮上する映像は、まさに未来の到来を感じさせるものでした。

注目すべきは、高岡さんのアドバイスによって機体が2人乗りから3人乗りに変更されたというエピソードです。福澤さんによると「海外の競合も誰もできなかった」技術的に高いハードルだったそうですが、「2人と3人では、会社が生き残れるかどうかぐらい圧倒的な差がある」という高岡さんの助言が、実現への後押しとなりました。東京都では2027年にプレ実装を行う計画も進んでいるとのことです。

高岡さんの経営哲学で有名な「イノベーションとリノベーションの違い」も、番組冒頭で改めて紹介されました。「諦めている問題の解決ができた時がイノベーション。お客様が『これ変えてほしい』と言っているものを変えるのはリノベーション」──この明快な定義は、今でも多くの経営者に示唆を与えるものだと思います。

宮坂学── GovTech東京で行政DXを推進

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東京都副知事の宮坂学氏                       (引用:「カンブリア宮殿」より)

元ヤフー社長の宮坂学さんは、東京都副知事として7年目を迎えました。社長時代の6年を超えて、公務員としての期間の方が長くなっています。

宮坂さんが取り組んでいるのは、長年紙だらけで立ち遅れていた行政のデジタル化です。行政手続きのデジタル化率を91%まで押し進め、3年前にはGovTech(ガブテック)東京を設立。東京都だけでなく62の区市町村のデジタル化をまとめて推進する組織として、スタートアップ出身のエンジニアなど約300人の凄腕が集結しています。

番組では、宮坂さんの仕事部屋にある「未決」「既決」と書かれた書類箱が空になり、今やパソコンモニターの台として再利用されている姿が映し出されました。これだけでペーパーレス化の進捗が一目で分かる象徴的な映像でした。

宮坂さんの言葉で印象に残ったのは、「ビジネスの世界ではお金を払ってくれる人にどう貢献するかの仕事をした。でも行政はお金が払えない、生きづらい、苦労している人のためにやっている」という発言です。企業経営と行政の本質的な違いを、実体験から語れる人はそう多くないでしょう。

さらに宮坂さんは、企業経営者が行政に入ることの可能性についても前向きに語っていました。「組織を作ってビジョンを語り、みんなをモチベートして動かすという意味で、経営と行政は全く一緒。経営をやったことがある方が行政に来て組織を変えていくのは、本当にお勧め」とのこと。この発言は、これからのキャリアを考える多くのビジネスパーソンにとって、新たな選択肢を示すものだと感じます。


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カンブリア宮殿大変貌ランキング── 小池栄子・ジャパネット・いろどり横石知二

番組の中でも大きな見どころだったのが、放送20年で最も変貌を遂げた人物を発表する「大変貌ランキング」です。

第3位:小池栄子── バラエティから実力派俳優へ

まさかの自分ランクインに、小池さんも少し照れ笑い。番組開始時は、バラエティを中心に活躍していた小池さんが初の経済番組に挑んだ1年目の映像が流れました。「何で私なんだろう」と驚いていた当時の映像と、過去のゲストとのやり取りの中で「狙わない」「ですわ」といった今では考えられない口調が映し出され、ご本人も「最悪だ、私」と苦笑いしていました。

ちなみに当時、目標設定の専門家であるゲストの前で「宮崎アニメの声優をやりたい」「自分が主演でロングランになるような舞台に出たい」と語っていた小池さん。森光子さんの「放浪記」のような舞台を夢見ていたといいます。現在はドラマ、映画、舞台に引っ張りだこの人気俳優となり、数々の賞も受賞。あの頃に語った夢を着実に形にしてきた姿は、視聴者に勇気を与えてくれます。

「昔は評価されたい、人に好かれたいという気持ちだったけど、今はもっと自分がやりたいことや好きなものだけを見つめて走り続けてきた」と語る小池さんの成長の軌跡は、まさに「大変貌」と呼ぶにふさわしいものでした。

第2位:ジャパネット高田親子── テレビ通販から地域創生企業へ

2006年の番組出演時、ジャパネットといえば創業者・高田明さんの強烈なトークによるテレビ通販が代名詞でした。しかし2015年に長男の旭人さんに社長をバトンタッチしてからの変貌ぶりは目覚ましいものがあります。

旭人さんは2017年にクルーズ事業に参入し、わずか6年で年間売上150億円を超える事業に育て上げました。就任10年で売上を倍近くに増やす攻めの経営を展開しています。旭人さん自身は「父の代は『伝える』部分がフォーカスされていたが、この10年で『磨く』の部分がすごく広がっている」と語り、自分たちの社員の手で中身を磨き上げるスタイルを強調していました。

そして何よりも象徴的なのが、2年前に地元・長崎に1000億円を投じて建設した長崎スタジアムシティです。ピッチを見下ろすホテルやアミューズメント施設を備え、地元のサッカーファンからは「全然サッカー興味なかったけど、ハマっちゃった。長崎のためにすごく頑張ってくれて嬉しい」という声が上がっていました。

77歳になった高田明さんも「ここに来るたびに幸せな気持ちを感じさせてもらっている。このスタジアム自体が別世界」と感慨深げ。テレビ通販から、地域に活気を生み出す企業へと変貌を遂げたジャパネットの姿に、村上さんも「別世界ですね」と感嘆していました。

テレビ通販で培った「伝える力」を土台に、サービスそのものを自分たちで「磨く」というスタイルに進化させたジャパネット。これは日本企業の成長モデルとしても非常に参考になる事例だと思います。

第1位:いろどり・横石知二── 葉っぱビジネスが変えた過疎の町

大変貌ランキング第1位に選ばれたのは、徳島県上勝町で高齢者が葉っぱを売って稼ぐ「いろどり」のビジネスを生み出した横石知二さんでした。

2008年の放送では、町中のおばあちゃんたちが料理の「つまもの」に使う葉っぱで稼ぎまくる姿が紹介され、全国から視察団が殺到する話題となりました。横石さんが当時語った「おばあちゃんたちに出番ができた。80何歳で苗木を植えるのは、子や孫が継いでくれる夢の種を蒔いているんだ」という言葉は、今聞いても胸に迫るものがあります。

しかし番組は悲しいニュースも伝えました。横石さんは2025年6月に膵臓がんが判明し、余命2ヶ月と宣告。2025年8月8日(葉っぱの日)に、66歳の若さで亡くなったのです。

それでも横石さんが蒔いた夢の種は、しっかりと根を張っていました。番組の取材では、葉っぱビジネスが現在も全国トップの出荷量を維持していること、次の世代が収穫を引き継いでいること、さらには県外からの移住者が葉っぱ農家を志して集まっていることが報告されました。上勝町内には、地ビールにこだわるおしゃれな店や、旬の食材を使った本格イタリアンの古民家レストランも増え、若い世代が集まる魅力ある町に変貌しています。

上勝町の花本靖町長は「『人は誰でも主役になれる』というのが彼の言葉。女性やお年寄り、どんな方でも主役になれる、やれば可能性はいくらでもある、というのが口癖でした」と横石さんを偲びました。

個人的に、この横石さんのエピソードが第1位に選ばれたことには強く共感しました。華やかな大企業の成長よりも、過疎の小さな町を希望ある場所に変えた一人の男の物語の方が、「大変貌」という言葉にふさわしい。それがカンブリア宮殿という番組の価値観であり、20年間に渡って視聴者に愛されてきた理由なのだと思います。


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凄腕経営者たちが明かした「未来をつかむ経営」に必要なもの

番組の最終盤では、これまで登場した経営者たちの言葉に加え、スタジオゲストたちが「未来をつかむ経営」に必要なものを語り合いました。

まず、VTRで紹介された経営者たちの生き残り術です。豊田章男さんは「共感による未来づくり。トヨタ一社では作れない。いろんな方が同じ思いで仲間が集まって作っていくもの」と語りました。柳井正さんは「世界の基準で勝負すべき。海外からどんどん来るし、我々もどんどん海外に行く。その中で自分の存在理由は何なのかを考えないといけない」と。そしてキッコーマン名誉会長の茂木友三郎さん(91歳)は「挑戦すること、リスクを取ること。やらないと前に進まない」とシンプルながら力強い言葉を残しています。

番組内では、茂木さんが2019年の放送で経営指南を行った大阪のこんにゃくメーカーのその後も紹介されました。売上低迷に悩む中尾食品工業に対し、茂木さんは「アイデア先行で詰めが足りない。消費者に潜在需要がないと何回やってもダメ」と厳しく指摘。そこから7年を経て、中尾さんは有機こんにゃく芋100%使用・隠し包丁入りという業務用ニーズを掴んだ商品を開発し、惣菜チェーンだけで月に1トンも売れるヒットを生み出しました。「ユーザー目線に立つことが当時の自分には抜けていた」と振り返る中尾さんの姿に、茂木さんは「人の意見を聞くことは大切。彼はこんにゃくにかなり惚れ込んでいるから将来楽しみ」と目を細めていたのが温かかったです。

スタジオでの議論も非常に深いものでした。佐藤可士和さんは「何を信じているかがすごく重要。信じているものだからこそ新しいブランドが作れるし、新しい意味を社会に提示できる」と述べました。

宮坂さんの発言も秀逸でした。「世の中には二種類の経営者がいる。内側に何かがあってそれを事業にするタイプと、それを上手に回すのが得意なタイプ。イノベーションは圧倒的に前者から生まれる」と語り、豊田さんも柳井さんも孫さんも、内側の物語を商品やサービスとして外に出していった人たちだと指摘しました。この「内側の圧力」という表現は、経営の本質を非常にうまく言い当てていると感じます。

高岡さんは番組名「カンブリア」に込められた意味に触れ、「失われた30年の中で、デジタルやAIのイノベーションに関わる新しい企業が次々と生まれてきた。次のカンブリア宮殿でもそうした企業がどんどん出てくることを期待したい」とエールを送りました。

そして村上龍さんの最後の言葉が、番組を締めくくりました。「あんまり未来をつかむとか考えない方がいい。今を生き抜くってことを考えればいいと思う。今をサバイバルすることだけ」。この言葉は一見ネガティブに聞こえるかもしれませんが、20年にわたって経営者と対話し続けてきた村上さんならではの達観だと思います。結局、未来をつかんだ経営者たちも「今」を全力で生き抜いた結果として未来が開けたのではないか。そう考えると、この言葉はむしろ最もリアルで実践的なアドバイスなのかもしれません。

番組最後の編集後記で、村上さんは20年で最も印象に残るゲストとしてユニバーサル園芸社会長の森坂拓実さんを挙げました。小学生の頃、死への恐怖に取り憑かれたことで逆に行動的になったという森坂さんのエピソードを紹介し、最後に直筆で「死&生 村上龍」という3文字の言葉を残して番組を去りました。生と死を見つめ続けた作家らしい、深い余韻のある幕引きでした。


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まとめ

カンブリア宮殿の卒業SP「村上龍&小池栄子卒業SP 未来をつかむ経営とは?」は、20年という時間の中で日本企業と経営者がどのように格闘し、進化してきたかを凝縮して見せてくれる、まさに「カンブリア宮殿の集大成」と呼べる回でした。

この回を通じて見えてきた「未来をつかむ経営」に共通するポイントは、いくつかあります。豊田章男さんの「感情を共有するリーダーシップ」、柳井正さんの「現状維持を否定する覚悟」、孫正義さんの「信じ切る力と脱皮し続ける姿勢」、そして横石知二さんの「どんな人にも出番を作る思想」。立場も業種もまったく異なる経営者たちですが、全員に共通しているのは、「自分が心の底から信じるものを持ち、それを周囲と共有し続けたこと」です。

佐藤可士和さんが言った「信じているからこそ売れる」、宮坂さんが指摘した「内側の圧力がイノベーションを生む」という言葉が、その本質を簡潔に表現しています。

そして村上龍さんの「今をサバイバルすることだけ」という最後の言葉。華やかに聞こえる「未来をつかむ」という行為は、結局のところ、目の前の「今」を全力で生き抜くことの積み重ねなのかもしれません。

4月からは新MCの金原ひとみさんとヒャダインさんのもとで、カンブリア宮殿は新たな20年に向けて再スタートを切ります。番組の名前の由来であるカンブリア紀の生命の大爆発のように、これからも新しい挑戦に満ちた経営者たちの物語が届けられることを期待しています。

※ 本記事は、2026年3月26日放送(テレビ東京系)の人気番組「カンブリア宮殿」を参照しています。

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