2025年11月9日放送の「がっちりマンデー!!」で、ラーメン業界の常識を覆す魁力屋の経営戦略が紹介されました。人手不足で閉店が相次ぐラーメン業界で、なぜ魁力屋は上場まで果たし、売上176億円を達成できたのでしょうか?その秘密は「女性が働きやすい店舗作り」にありました。この記事では、藤田宗社長が実践した具体的な施策と、ラーメンチェーンとして異例の成長を遂げた背景を詳しく解説します。
魁力屋ラーメンとは?売上176億円で上場した京都背脂醤油ラーメンチェーン
魁力屋は、京都を拠点とする背脂醤油ラーメンのチェーン店です。2025年で創業20周年を迎え、現在は全国に169店舗を展開しています。
注目すべきは、その驚異的な成長スピードです。グループ売上高は昨年が約146億円、そして今年は約176億円を見込んでいます。さらに2年前(2023年)には株式上場を果たしました。ラーメンチェーンの上場は外食業界でも珍しく、「ラーメン業界最後の上場」とも言われています。
看板メニューは、熟成醤油の鶏ガラスープに背脂を浮かべて味玉をトッピングした「京都背脂醤油味玉ラーメン」(946円)。そして醤油の香ばしさがたまらない「焼き飯(並)」(572円)も人気商品です。
番組で取材した京都の店舗では、雨の日にもかかわらず行列ができており、店内は大賑わい。お客さんからは「大好き。醤油の味がすごく食べやすい」「みんな好きですね。魁力屋の醤油ラーメン」という声が聞かれました。
現在、日本のラーメン市場規模は7900億円と過去最高を記録しています。しかし、その一方で原材料費の高騰や人手不足で閉店するラーメン店も激増しているのが現実です。この厳しい環境の中で、魁力屋がこれほどまでに成長できた理由は一体何なのでしょうか?
がっちりマンデーで判明!魁力屋が絶好調の理由は「女性が働きやすい店舗作り」
株式会社魁力屋の藤田宗社長は、番組で「お店を増やすことができた」ことが成長の要因だと語っています。実際、この5年間で66店舗も増やしているのです。
しかし、飲食チェーンがお店を増やしたくても、人がいなくて出店できないというのが業界の常識です。そこで魁力屋が目をつけたのが、「女性スタッフ」の採用でした。
藤田社長は「優秀なスタッフを採用することができたから」と明言しています。特に、今までラーメン店であまり働いていなかった女性の採用に力を入れたのです。
その結果、現在では全従業員の3分の1(30%)が女性社員という、ラーメン業界では異例の数字を実現しています。実際に店内を見ると、確かに女性スタッフの姿が目立ちます。
では、どうやって女性スタッフを増やしたのでしょうか?
魁力屋が導入した制度は以下の通りです。
- 土日勤務がない
- 転勤がない
- 深夜勤務がない
これらの制度により、女性のアルバイトやパートを社員に抜擢し、お店を増やしていったのです。
ラーメン店といえば、長時間労働、深夜営業、体力勝負というイメージが強い業界です。しかし魁力屋は、その常識を根本から覆す働き方改革を実施しました。これは単なる制度の導入だけでなく、厨房そのものを変えるという徹底ぶりでした。
女性スタッフ急増の絶好調のヒミツ①小さい寸胴で作業効率アップ
魁力屋の厨房改革で最も象徴的なのが、寸胴のサイズ変更です。
元々は倍の大きさだった寸胴を、30リットルサイズ(従来の半分以下)に変更しました。パートから社員になった中江有佳さんは「寸胴がだいぶ小さくなったので、スープが混ぜやすいし、持ち運びしやすいので、仕事もしやすくなりました」と語っています。
一見すると小さな変更に思えるかもしれません。しかし、この変更は女性スタッフにとって非常に大きな意味を持ちます。大きな寸胴でスープを混ぜたり、持ち運んだりする作業は、かなりの体力を必要とします。これが女性にとって、そして長時間働く上での大きな障壁になっていたのです。
30リットルという絶妙なサイズ設定により、味の品質を保ちながらも、スタッフの負担を大幅に軽減することに成功しました。
女性スタッフ急増の絶好調のヒミツ②IH導入で厨房温度を7〜10度低下
さらに魁力屋が行った大胆な投資が、IHコンロの導入です。
藤田社長は「IHを入れることで厨房を涼しくした。7度から10度ぐらいは下がりました」と説明しています。そして「買ったら高いんですけどね。ちょっと、ちょっと高いんですけども、でもやっぱり職場の、要は、お店のね、環境変えるのにはどうしてもこれ必要だった」と続けました。
ラーメン店の厨房は、ガス火で長時間スープを炊き続けるため、夏場は特に過酷な労働環境になります。厨房温度が7〜10度下がるというのは、働く側にとって劇的な改善です。
初期投資は確かに高額ですが、藤田社長は職場環境の改善を最優先に考えました。そして重要なのは、IHに変えても「味はちゃんと美味しい」という点です。
ただし、藤田社長には譲れないこだわりもあります。それが焼き飯を作る中華鍋です。「これやっぱ火力が大事なんでIHじゃなくてガス。調理してるね、ライブ感ってのは非常に大事です」と語り、「簡略化するところと、力入れるところと分けてやってる」と説明しています。
その他にも魁力屋が実施した工夫は多岐にわたります。
- 仕込みの外注化
- 自動茹で麺機の導入
- 自動飯盛り機の導入
- 棚の高さを低くする
- 商品の小分け納入
これらすべてが、女性スタッフが働きやすい環境を作るための施策でした。
藤田宗社長の戦略:女性社員からエリアマネージャーまで登用
藤田社長の女性活躍推進は、単に採用するだけではありません。キャリアアップの道筋もしっかり用意しているのです。
番組では加藤浩次さんが「3年前にアルバイトから社員になられて、3年経ってどういう状況になってる方がいるんですか?」と質問しました。
藤田社長の答えは驚くべきものでした。「店長も増えましたし、エリアマネージャーも、今12人中3人が女性のエリアマネージャーがおりまして」
ちょんまげラーメンのお二人も「僕らがアルバイトやってた時のエリアマネージャーって絶対おっさんでしたもん」と驚きのコメント。従来のラーメン業界では考えられなかったことです。
この女性活躍推進の取り組みは、実は約3年前から本格的に始まったものです。比較的最近の取り組みにもかかわらず、すでにこれだけの成果を上げているのは驚異的と言えるでしょう。
パートやアルバイトから社員へ、そして店長、エリアマネージャーへと昇進できる明確なキャリアパスがあることで、女性スタッフのモチベーションも高まり、優秀な人材が集まる好循環が生まれています。
まとめ
魁力屋ラーメンが上場を果たし、売上176億円という驚異的な成長を遂げた秘密は、「女性が働きやすい店舗作り」という明確な戦略にありました。
藤田宗社長が実践した具体的な施策は以下の通りです。
制度面の改革
- 土日勤務なし、転勤なし、深夜勤務なしの勤務体系
- パート・アルバイトから社員への抜擢システム
- 店長、エリアマネージャーへの昇進機会
設備面の改革
- 寸胴を30リットルサイズに縮小
- IH導入による厨房温度の7〜10度低下
- 棚の高さ調整、自動茹で麺機、自動飯盛り機の導入
その結果、現在では全従業員の3分の1が女性社員、エリアマネージャー12人中3人が女性という、ラーメン業界では異例の数字を実現しています。
人手不足で閉店が相次ぐラーメン業界において、魁力屋の成功は大きな示唆を与えてくれます。それは、「今まで業界にいなかった人材」に目を向け、その人たちが働きやすい環境を本気で整備すれば、新たな成長の道が開けるということです。
藤田社長は番組の最後に「ナンバーワンラーメンチェーンを目指す女性活躍でガッチリ!」と宣言しています。女性活躍推進を始めて3年でこれだけの成果を上げた魁力屋。今後の成長がさらに期待される注目企業です。
※ 本記事は、2025年11月9日放送(TBS系)の「がっちりマンデー!!」を参照しています。
※ 株式会社 魁力屋の公式サイトはこちら





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