「免許を返納したら、どうやって移動すればいいの?」そんな悩みを抱えるシニア世代やそのご家族に朗報です。2025年12月14日放送のがっちりマンデーで紹介されたWHILLの電動車いす「モデルC2」は、段差も砂利道も軽々走破する注目のモビリティ。この記事では、番組で明かされた売れる秘密と独自技術、そして賢い販売戦略まで詳しくお伝えします。
WHILLモデルC2とは?番組で紹介された電動車いすの基本情報
2025年12月14日放送の「がっちりマンデー」(TBS系)では、「儲かる!小さな乗り物」特集の一つとして、WHILL株式会社の電動車いす「WHILLモデルC2」が取り上げられました。
WHILLは東京都品川区に本社を構える企業で、番組にはWHILLの執行役員である広木さゆみさんが出演。売上グラフを見せながら、その好調ぶりをアピールしていました。
WHILLモデルC2の基本スペックは以下のとおりです。
- 価格:48万7000円(非課税)
- 最高速度:時速6キロ(早歩きと同程度)
- スピード調整:ボタン1つで4段階に切り替え可能
- 操作方法:手元のコントローラーを進みたい方向に傾けるだけ
- 免許:不要(歩道を走行可能)
価格だけ見ると「なかなかお高め」と感じるかもしれません。しかし、販売台数は2019年から4倍に急上昇しているというから驚きです。
正直なところ、電動車いすや電動カートは世の中にたくさん存在します。それなのに、なぜWHILLだけがここまで売れているのでしょうか?番組では、その秘密を技術面と販売戦略の両面から紐解いていました。
私が番組を見て感じたのは、WHILLは単なる「移動手段」ではなく、シニア世代の「新しいライフスタイル」を提案しているということ。そのコンセプトが、デザインや機能のすべてに一貫しているからこそ、多くの人の心をつかんでいるのだと思います。
段差も砂利道もスイスイ!WHILLが走破できる秘密は「超デカいタイヤ」
番組で開発担当の中川智之さん(WHILL品質保証部)が説明していたのは、WHILLの「走る力」のすごさでした。
一般的な車いすにとって、段差は大敵です。番組では5センチのコンクリート段差を用意し、普通の車いすとWHILLで走行比較を行っていました。
普通の車いすで5センチの段差に挑むと、車体がグラグラと揺れて非常に危険な様子。スタジオの山口智充さんも「え、5センチは…」と不安げな表情を浮かべていました。進藤晶子アナウンサーも「大変だよ、前につんのめっちゃう」とコメント。
一方、WHILLは同じ段差を軽々と乗り越えてしまいました。スタッフも思わず「え?」と驚くほど、あっけないほどスムーズだったのです。
この違いを生み出しているのが、WHILLの「超デカいタイヤ」。直径は約26センチで、普通の車いすと比べると約1.7倍もの大きさがあります。
なぜタイヤが大きいと段差に強くなるのでしょうか?
番組の解説によると、車輪が小さいと段差にぶつかったとき、壁に垂直にドーンと当たるような形になってしまいます。ところが大きな車輪なら、段差にぶつかる角度が緩やかになるため、スーッと乗り越えられるというわけです。
これは物理的にも理にかなった説明で、車輪の径が大きいほど、障害物との接触角度が浅くなり、乗り越えやすくなります。単純な原理ですが、それを電動モビリティに本格的に取り入れたのがWHILLの独自性と言えるでしょう。
番組では石畳の上や芝生の上もスイスイ走行する様子が映し出されていました。加藤浩次さんも「段差も結構いけるんだよね、これね」と感心。
実際の生活では、お店の入り口のちょっとした段差や、歩道と車道の境目など、意外と段差が多いもの。一般的な電動車いすが乗り越えられる段差は2〜3センチ程度と言われていますが、WHILLは5センチの段差をクリアできます。この差は、日常の移動範囲を大きく広げてくれるはずです。
狭い場所でもくるり!オムニホイール(10個のローラー)の小回り技術
WHILLの大きな前輪タイヤには、もう一つ「とっておきの特徴」があると、中川さんは説明していました。それが「小回り性能」です。
番組では、WHILLの本社で「一番狭いエレベーター」に乗り込み、その中で旋回できるかという実験を行いました。見るからに狭いエレベーター内でしたが、WHILLはくるっとその場で旋回。スタジオからも「おおー!」と歓声が上がりました。
この驚異的な小回りを実現しているのが、「オムニホイール」と呼ばれる特殊なタイヤ構造です。
通常のタイヤは縦方向にしか回転しませんが、オムニホイールは10個の小さなローラーが組み合わさって1つの車輪を構成しています。そのため、縦にも回れば横にも滑るように動くことができるのです。
番組でタイヤの動きをよく見ると、床に接している部分だけがクルクルと回転していました。山口さんも「横にも」と気づき、加藤さんは「だからこうなったんだ」と納得の様子。
従来の車いすで方向転換するときは、前輪がぐるっと回る必要があり、ギクシャクした動きになったり、かなりの力が必要でした。しかしオムニホイールなら、前輪の向きはそのままで横にスーッと滑らかに方向転換できます。
番組では、山口さんがフィギュアスケートに例えて「こういうことですよね」「顔残したまんま…」と身振り手振りで解説。確かに、その動きはまさにフィギュアスケーターがくるりと回転するような滑らかさでした。
この小回り性能は、数字でいうと最小回転半径76センチ。エレベーターの中やスーパーの狭い通路、病院の待合室など、これまで電動車いすでは動きづらかった場所でもスムーズに移動できるようになります。
私が特に感心したのは、「大きなタイヤで段差に強い」と「狭い場所での小回り」という、一見相反する2つの課題を同時に解決している点です。普通に考えれば、タイヤを大きくすると取り回しが悪くなるはず。それをオムニホイールという独自技術で両立させたところに、WHILLの技術力の高さを感じます。
WHILLはどこで買える?免許返納シニアを狙う販売戦略
番組では、WHILLの広木さゆみさんが「儲かる秘密は売り場所にもある」と明かしていました。その売り場所とは、意外にも「自動車販売店」です。
ホンダディーラーである「Honda Cars 埼玉西 新狭山店」では、WHILLの取り扱いを行っているとのこと。番組で接客の様子を見ていると、あるシニアのお客様が「免許証返納しました」という相談に来店。店員さんがWHILLを紹介し、その速度を見て「あのくらい(の速度)ならいいね」と興味を示していました。
なぜ自動車販売店でWHILLを売るのか?そのターゲットは、ズバリ「免許を返納するシニア」です。
免許を返納するシニアの多くは、それまで乗っていた車の下取りで自動車販売店を訪れます。そのタイミングで「車の代わりにWHILLはいかがですか?」と、次の移動手段として提案するという戦略です。
山口さんも「ああ、そういうことか」と膝を打ち、加藤さんは「そりゃこっちだ」と納得。確かに、車を手放すタイミングは、次の移動手段を真剣に考える絶好の機会です。
現在、WHILLを取り扱う自動車ディーラーは全国1600店舗にまで拡大。トヨタ、ホンダ、ダイハツ、マツダなど、自動車メーカーの垣根を越えて販売網が広がっています。
番組では、実際に昨年WHILLを購入した83歳の男性も登場。「あれに乗らないと、1日が始まんないよな」と語り、すっかりお気に入りの様子でした。WHILLのスタイリッシュなデザインに惹かれたとのことで、「もう是非ね、免許を返したらば、ウィルを乗ってください。私はWHILLの人間じゃないですよ」と笑いを誘っていました。
さらにWHILLは家電量販店でも販売されています。こちらのターゲットは「親へのプレゼントを考えるお子さん世代」。高齢の親の移動手段を心配する子ども世代が、WHILLをプレゼントとして検討・購入するケースが増えているそうです。
この「売り方の設計」は見事だと思います。製品がいくら優れていても、ターゲット顧客に届かなければ意味がありません。WHILLは「誰が、どんなタイミングで、何を求めて購入するか」を徹底的に分析し、最適な販売チャネルを構築しています。
また、番組でも紹介されていたように、WHILLは新たにスクーター型も開発しています。ハンドル操作に慣れた自動車ユーザーが、より違和感なく乗り換えられるモデルとして、さらなる市場拡大を狙っているようです。
まとめ
2025年12月14日放送の「がっちりマンデー」で紹介されたWHILLの電動車いす「モデルC2」について、その技術的な強みと販売戦略をお伝えしました。
WHILLが売れている理由をまとめると、以下のポイントが挙げられます。
技術面の強み: 直径約26センチの大型前輪タイヤで5センチの段差も楽々乗り越え、10個のローラーで構成されるオムニホイールにより、最小回転半径76センチという驚異的な小回り性能を実現。段差走破性と小回り性能という相反する課題を同時にクリアしています。
販売戦略の強み: 免許返納シニアをターゲットに、全国1600店舗の自動車ディーラーで販売。車の下取り相談のタイミングで「次の移動手段」として提案する仕組みを構築。さらに家電量販店では、親へのプレゼント需要も取り込んでいます。
超高齢化社会を迎える日本において、免許返納後の移動手段は大きな社会課題です。WHILLは単なる「電動車いす」ではなく、「近距離モビリティ」という新しいカテゴリーを確立し、シニアの外出機会と生活の質を向上させる製品として存在感を高めています。
広木さゆみさんが番組で語った「ウィルは、近距離モビリティで、がっちり!」という言葉どおり、WHILLの成長はまだまだ続きそうです。
※ 本記事は、2025年12月14日放送(TBS系)の「がっちりマンデー!!」を参照しています。
※ WHILL(株)の公式サイトはこちら






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