海運業界に革新的な変化をもたらす世界初のEVタンカーが日本で誕生しました。2024年12月29日放送、TBS系列の人気経済番組「がっちりマンデー」で紹介された旭タンカーの取り組みについて、詳しくご紹介します。
EVタンカー「あさひ」とは?世界初の電気だけで動くタンカーの全容
旭タンカーが開発した「あさひ」は、世界で初めて電気だけで動くタンカー船です。外見は一般的なタンカーと変わりませんが、内部は従来の重油を使用するディーゼルエンジンの代わりに、大容量バッテリーを搭載しています。動力源となるバッテリーは合計35トンもあり、電気自動車約100台分に相当する容量を備えています。
充電方法は、船尾に装備された専用ケーブルを岸壁の給電ステーションに接続するだけという簡単なもの。10時間の充電で最大12時間の運行が可能です。価格は従来の同サイズのエンジン船と比べて1.4倍ほど高価ですが、すでに2隻目も運行を開始しており、その価値が認められています。
旭タンカーが開発した電気で動くタンカーの3つの特徴
- 即時出航が可能 従来のエンジン船では、出港前に1時間程度のエンジン暖気が必要でしたが、電気モーターで動く「あさひ」は、スイッチを入れるだけですぐに出航できます。これにより、作業効率が大幅に向上しています。
- 革新的な操船性能 「あさひ」の最大の特徴は、360度回転可能なスクリューを採用していることです。従来の船舶では、エンジンからシャフトを伸ばしてスクリューを回す構造上、前進と後進にしか対応できませんでしたが、小型の電気モーターを直接スクリューに取り付けることで、真横への移動も可能になりました。
- 環境への配慮 電気推進により、CO2排出量を大幅に削減。日本の貿易の99.6%を担う海運業界において、地球温暖化対策の新たな選択肢として注目を集めています。
電気で動くメリット!船員にやさしい革新的な設計とは
船員の労働環境改善も、EVタンカーの重要なメリットの一つです。従来のディーゼルエンジン船では、常時発生する騒音と振動が船員の大きなストレス要因となっていました。しかし「あさひ」は、エンジン音がなく振動も少ないため、船内での会話もスムーズに行えます。
船長の金谷遼さんは、「通常の船では大きな声を出さないと会話ができませんでしたが、この船では普通の声量で十分にコミュニケーションが取れます」と、作業環境の劇的な改善を評価しています。
EVタンカー開発の立役者!木村竜馬氏が語る未来への展望
旭タンカーのチームリーダーである木村竜馬氏は、「あさひ」の主な任務について、「川崎港から出港して東京湾に停泊している大型船まで約1000トンの燃料を運び、給油する」と説明します。革新的な操船性能により、大型船への接近と離脱が安全かつスムーズに行えるようになったことで、作業効率が格段に向上しているとのことです。
従来のタンカーとの違いから見えてくる革新性
従来型のタンカーと比較した「あさひ」の革新性は以下の点に集約されます:
・エンジン暖気が不要で即時出航可能 ・騒音と振動の大幅な低減 ・360度回転可能なスクリューによる高い操船性 ・環境負荷の低減 ・船員の労働環境改善
これらの特徴は、海運業界が直面する様々な課題の解決策となることが期待されています。
まとめ:世界が注目する日本発の海運革命
「あさひ」の成功は、海運業界における電動化の可能性を示す重要な一歩となりました。船員の労働環境改善や環境負荷の低減など、複数の課題を同時に解決できる革新的な技術として、世界中から注目を集めています。2隻目も既に就航しており、今後さらなる普及が期待されます。
※記事内の情報は、2024年12月29日放送のTBS「がっちりマンデー」の内容に基づいています。
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