2024年11月17日放送のTBS系「がっちりマンデー!!」で、マツキヨココカラ&カンパニーが特集されました。年間売上高1兆円を超える業界最大手のドラッグストアチェーンの躍進の秘密に迫ります。独自のPB商品開発戦略から、全国3,400店舗という圧倒的な店舗展開まで、松本清雄社長が実現した改革の全貌をお伝えします。
松本清雄社長が語る「トップダウンからボトムアップへ」の転換とは
「できたものを見ているだけです。一番邪魔にならないですから」。そう語る松本清雄社長の言葉からは、マツキヨココカラ&カンパニーの新しい企業文化が見えてきます。
社長就任後、同社の経営スタイルを大きく転換させた松本氏。それまでの「トップダウン」から「ボトムアップ」へと舵を切ったのです。その理由について「成長している企業の時は、カリスマ的な人間が引っ張っていく力が強い。しかし、成長が止まると、言われたことしかできない組織になってしまう」と説明します。
現在の同社では、従業員からの提案制度を積極的に取り入れ、現場発の問題解決を推進。この改革を成功に導いた背景には、松本社長自身のユニークな経歴があります。スポーツクラブでのアルバイト経験から始まり、マツキヨの店舗でのアルバイト、店長、そして店舗開発と、現場を知り尽くした経験の持ち主だからこそ、現場の声を重視する経営スタイルを確立できたのです。
さらに2024年7月からは、髪型やピアスなどの社内規定も大幅に緩和。多様性を重視する文化づくりにも率先して取り組んでいます。
マツキヨココカラのPB戦略|年間売上1300億円を支える3つの秘密
マツキヨココカラ&カンパニーの強みの一つが、プライベートブランド(PB)商品の開発力です。全商品数2万アイテムのうち、PB商品は約2,000アイテム。全体の10%にあたるPB商品が、年間売上高の13%(約1,300億円)を生み出しています。
パッケージで勝負する独自の商品開発戦略
同社の商品開発部の櫻井壱典氏は、「大手メーカー様はブランドがあるので商品名で売り出すが、当社のPB商品は『何のための薬なのか』『どういうものに効くのか』をわかりやすく表示することを重視しています」と語ります。
例えば、解熱鎮痛剤の場合、「バファリン」や「イブ」といった大手ブランドとの競争を避け、あえて商品名を前面に出さない戦略を採用。代わりに効能や有効成分を大きく表示することで、顧客が求める情報に直接応える工夫を施しています。
現場発想から生まれる「小さなお困りごと解決」商品
PB商品開発のもう一つの特徴が、顧客の小さな悩みに寄り添った商品開発です。例えば、化粧品開発担当の和田那美氏が手がけたクレンジング商品は、「テレビを見ながら片手で使えたら楽だな」という発想から生まれ、当初の予定を300%上回る売上を記録しました。
また、店舗スタッフからの提案で誕生した「メイクができる絆創膏」は、顔に貼る絆創膏の目立ちを気にする顧客の声から開発されました。表面に特殊な加工を施すことで、上からファンデーションが塗れる仕様に。現在では絆創膏カテゴリーの売上トップ5に入る人気商品となっています。
マンダムとの協業で見えたデータ分析力
同社の強みは、延べ1億5千万人にのぼる会員データの分析力にもあります。この膨大なデータを活用し、顧客の価値観や購買行動を細かく分析。その分析力を評価した大手メーカーのマンダムと協業し、2024年4月には男性用スキンケア・ヘアケア製品「ナレッジ」を発売しました。
マンダムの倉石昇氏は「マツキヨココカラ様のデータ分析は業界でも優れている」と評価。実際、「ナレッジ」は各カテゴリーで上位にランクインし、購入者の8割が新規顧客という結果を残しています。
全国3400店舗展開を可能にする多様な出店戦略
マツキヨココカラ&カンパニーの圧倒的な強みは、全国47都道府県に展開する3,400店舗というドラッグストア業界No.1の店舗数です。東京・銀座の一等地から長崎県の離島・五島列島まで、その出店形態は実に多様。この柔軟な店舗展開を可能にする独自のノウハウを見ていきましょう。
駅前から離島まで!顧客誘導施設を軸にした店舗展開
店舗開発部長の野澤信行氏は、出店戦略の要として「顧客誘導施設」という考え方を重視しています。駅、学校、大規模商業施設、大病院など、必ず人が集まる場所の徒歩1分圏内に出店することで、安定した集客を実現しているのです。
この戦略は、1987年に日本初の都市型ドラッグストアとして上野アメ横に出店して以来、脈々と受け継がれてきました。バブル期には都心の駅前を中心に展開し、1990年代には郊外型の大型店舗へと拡大。現在では、都市部の小型店から郊外の大型店まで、様々な形態の店舗を展開しています。
野澤信行店舗開発部長が明かす小型店舗の収益化戦略
特筆すべきは、わずか25坪という超小型店舗でも収益を上げる独自のノウハウです。例えば、池袋駅直結の「Echika池袋店」では、以下の工夫を施しています。
- 倉庫スペースの極小化:売場面積を最大化するため、倉庫をほとんど持たない設計を採用
- 効率的な配送システム:3,400店舗という規模を活かした細やかな配送体制の構築
- 可動式の壁面活用:外せる壁は外し、陳列棚を通常より1段高くすることで商品展開数を確保
さらに、同じ池袋駅周辺でも、人の流れに合わせて戦略的に複数店舗を配置。例えば、東口店は駅から外に向かう人流、アネックス店は駅に向かう人流と、それぞれ異なるターゲット層を狙った店舗展開を行っています。
がっちりマンデーが徹底取材!マツキヨココカラ躍進の原動力
2024年11月17日の放送で明らかになったのは、現場主導の組織改革、独自のPB商品開発、そして柔軟な店舗戦略という三位一体の経営戦略です。特に注目すべきは、これらが全て「現場からの声」を起点としている点です。
まとめ|美と健康の専門性を追求するマツキヨココカラ&カンパニーの未来
マツキヨココカラ&カンパニーの松本清雄社長は、今後の経営方針について明確なビジョンを示しています。「他のドラッグストアが食品の構成を高めスーパーに近い売り場作りをしている中、当社は美と健康を基本に据え、専門性を追求していく」と語ります。
実際、その経営方針は着実に成果を上げています。
・年間売上高1兆円を超える業界最大手への成長
・PB商品による年間1,300億円の売上実現
・全国3,400店舗という圧倒的な店舗網の確立
・延べ1億5千万人の会員データを活用したマーケティング力
また、同社の成功の鍵は、以下の3点に集約されます。
- トップダウンからボトムアップへの組織改革
- 現場からの提案制度の確立
- 多様性を重視した企業文化の醸成
- 社員の自主性を重視した意思決定
- 顧客視点に立ったPB商品開発
- わかりやすいパッケージデザイン
- 小さな困りごとを解決する商品企画
- 大手メーカーとの戦略的協業
- 柔軟で効率的な店舗展開
- 顧客誘導施設を基点とした出店戦略
- 小型から大型まで多様な店舗フォーマット
- 人流を考慮した戦略的な店舗配置
「美と健康になるために店に来て探す楽しみを提供していきたい」という松本社長の言葉には、専門性を追求しながらも、顧客一人一人の小さな悩みに寄り添う同社の姿勢が表れています。
ドラッグストア業界でトップを走り続ける同社の今後の展開に、より一層の注目が集まりそうです。
※本記事は2024年11月17日放送のTBS系「がっちりマンデー!!」の内容を基に作成しています。
・マツキヨココカラ&カンパニーのオンラインストアHPはこちら
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