昨今の気候変動による豪雨災害が増加する中、斜面の土砂崩れ対策が急務となっています。2024年11月10日放送のTBS系「がっちりマンデー!!」で紹介された、中村建設株式会社が開発した画期的な斜面補強材「ドライマット」について詳しく解説します。
ドライマットとは?中村建設が開発した斜面補強の革新技術
「ドライマット」は、山口県宇部市の中村建設が開発した斜面補強用マットです。従来のブルーシートによる応急処置とは異なり、水をかけることで硬化する画期的な製品です。1本4万8千円で販売されており、土砂災害対策の新たな選択肢として注目を集めています。
「がっちりマンデー!!」で話題!中村建設のドライマット開発秘話
この革新的な製品を開発したのは、中村建設の中村廣義社長(75歳)です。開発のきっかけは意外にも、社長自身の怪我でした。階段から転倒して腕の骨を折った際、病院でギプスを巻かれた体験がヒントとなりました。
ギプスが水で濡らすことで硬化する性質に着目した中村社長は、これを斜面補強に応用できないかと考えました。開発にあたっては100回近い試作を重ね、さらにダンボールの三層構造からヒントを得て、現在の形に至りました。発案から完成までには実に12年の歳月を要しています。
斜面を補強する画期的な仕組み
ドライマットの最大の特徴は、その三層構造にあります。
- 第一層:水を通しやすい層
- 第二層:セメントを含む波形の特殊層
- 第三層:水を通さない層
この構造により、斜面に設置した際にセメントが偏ることなく均一に広がり、水との反応で全体が均一に硬化します。施工方法も簡単で、マットを斜面に敷き、端をピンで固定し、水をかけるだけです。約3日で硬化が始まり、自然の降雨でも硬化するため、特別な水の供給も必要ありません。
ドライマットの導入実績と効果
発売からわずか3年で、毎年売上が2倍以上増加し、現在では年間売上1億円以上を達成。中村建設の売上の4分の1を占める主力製品となっています。
従来のブルーシートでは半年程度で劣化する可能性があった斜面保護が、ドライマットでは約10年間持続します。この耐久性の高さが、多くの現場で評価されている理由の一つです。
中村建設が見据える今後の展開
日本の国土の約6割が斜面地形であることから、需要の拡大が期待されています。さらに、中村建設は斜面補強以外の用途も開拓中です。
特に注目されているのが太陽光発電施設での活用です。太陽光パネルの下の雑草対策として、従来の防草シートでは破られて草が生えてくる問題がありましたが、ドライマットなら硬化して防草効果も期待できます。
■まとめ
中村建設のドライマットは、斜面補強という課題に対して革新的な解決策を提供しています。従来のブルーシートと比較して、耐久性、施工性、効果の面で大きな優位性を持ち、防災対策の新たな選択肢として期待されています。今後は防災分野に限らず、さまざまな用途での活用が期待される製品といえるでしょう。
※本記事は、2024年11月10日放送の「がっちりマンデー!!」(TBS系)を参照しています。
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