ビジネスの世界でスピードが重視される昨今、実は「ゆっくり」こそが新たな付加価値を生み出しています。本記事では、「がっちりマンデー」で紹介(2024年4月21日放送-TBS系)された「ゆっくりビジネス」の実例として、豪華客船のようなアメニティに加え、物流の課題を解決する画期的な取り組みで人気を博している東京九州フェリーをご紹介します。リーズナブルな価格でありながら優雅な船上ライフが楽しめるだけでなく、ビジネスの効率化にも一役買うこのユニークなサービスの魅力に迫ります。
フェリーでゆっくり旅行?「ゆっくりビジネス」の意外な実態
一般的にビジネスと言えば、スピードが命だと思われがちですが、実はゆっくりなビジネスモデルがあり、急成長を遂げているのをご存知でしたか?2024年4月に放送された「がっちりマンデー」では、そんな”ゆっくりビジネス”の実態が紹介されていました。
「東京九州フェリー」が選ばれる5つの理由
番組でクローズアップされたのが、東京・神奈川県横須賀港と福岡県北九州市の新門司港を結ぶ「東京九州フェリー」です。この路線は片道約21時間もかかる遅いフェリーなのに、なぜ多くの人に選ばれているのでしょうか。その理由は主に5つあります。
豪華客船のような設備が大人気!
まず第一に、このフェリーはリニューアルを機に、客室や船内施設をぜいたくなクルーズ船のように刷新したことが人気を呼んでいます。吹き抜けのエントランスホール、太平洋の絶景が楽しめる洋上露天風呂、バーベキューコーナーなど、お値打ち価格ながら船上の時間を豪華に過ごせる環境が整えられています。
トラック運送業界から引っ張りだこの裏側
第二の理由は、トラック運送業者からの高い評価にあります。東京九州フェリーは最大154台ものトラック車両を一度に積載できるため、運送会社に大変便利なのです。さらに2024年4月から施行された改正貨物自動車運送事業法により、ドライバーの長時間労働が規制されることとなり、東京から九州や四国方面への長距離直行輸送は難しくなりました。そこで東京九州フェリーは、東京で荷物を載せてゆっくり航海する間はドライバーが休憩を取り、九州に着いてから再び走行できるサイクルを確立。これが労務管理上の大きなメリットとなり、多くの運送会社から支持されているのです。
「2024年問題」に対する画期的な解決策
第三に、東京九州フェリーはトラック運送の「2024年問題」に対する解決策となっていることが挙げられます。上記の改正によりドライバーの拘束時間が制限されたことで、長距離輸送が困難になり、物流が立ち行かなくなる恐れがあり、これが「2024年問題」と呼ばれています。そこで東京九州フェリーでは、トレーラーだけを船に積み、現地でトレーラーに新しいヘッドを取り付ける「ヘッドヘッド直しシステム」が導入されました。これによりドライバーの拘束時間をかなり短縮でき、長距離輸送の課題を解決しています。
神奈川横須賀港から福岡新門司港まで片道21時間の絶景クルーズ
第四は、リーズナブルな価格でありながら、東京から九州への約21時間の長距離フェリークルーズを楽しめることです。大人一人あたり片道14,000円と 飛行機や新幹線の半額以下。トラックの搬入料金も12mのトラック1台で13万2千円と破格の値段設定となっています。それでいて船内は上記のようにグレードの高い設備が整っているため、時間はかかるがゆったり優雅な船旅を満喫できるのが大きな魅力となっています。
コストパフォーマンスの良さが人気の秘密
最後に、このようにフェリー利用のコストパフォーマンスが非常に高いことが挙げられます。これまで飛行機などを利用していた東京-九州間の交通手段として、格安でありながら豪華な体験ができることから、個人旅行客やレジャー目的の需要が急増しているそうです。実際、東京九州フェリーの売上は就航から3年で260%もの伸びを見せており、この傾向は続きそうです。
まとめ
このように、かつては時間がかかるため避けられがちだったフェリー航路が、ゆっくりビジネスとして今や大きな注目を浴びるようになりました。スピードを追求し過ぎた結果への反動なのか、人々の「ゆっくり」を求める欲求に適った斬新なサービスが市場の支持を獲得しつつあるのがこの事例から見て取れます。 課題解決力の高さ、コストパフォーマンスの良さ、そして何よりも豪華で優雅なひと時が売りの東京九州フェリー。ビジネスにおいてスピードだけが勝ちではなく、ゆっくり確実に地道に進める手法にも需要が高まっていることがこのサービスからうかがえます。
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