女子中学生による強盗致死事件の背景には、SNSでの出会いから生まれた「美人局」の疑惑がありました。未成年による重大犯罪が深刻化するなか、事件の真相と、少年犯罪への厳罰化を求める議論の行方をご紹介します。この記事を読めば、最新の未成年犯罪の実態と、適正な少年法運用の在り方について理解が深まるでしょう。
SNSで知り合い金品狙う 大学生が転落死の強行疑惑
2024年2月、大阪市中央区で悲しい事件が起きました。当時22歳だった滋賀県在住の男子大学生 太田岳さんが、SNSで知り合った14歳と15歳の女子中学生と男子中学生に呼び出され、金品を奪われようとしました。大学生が逃げようとしたところ、隣のビルに飛び移る際に転落し、死亡してしまったのです。
大阪市中央区の事件現場
大阪府警は、14歳の女子中学生と15歳の男子中学生の2人を強盗致死の容疑で逮捕しました。調べに対し、14歳の少女は「間違いありません。大学生からお金を取るつもりでした」と容疑を認めています。一方で15歳の少年は「逮捕されるようなことはしていない」と容疑を一部否認しているそうです。
大阪市中央区の事件現場(別角度から)
現場となった大阪市中央区の隣り合う7階建てビルと4階建てビルが、一件落着への手がかりを残していました。防犯カメラの映像から、大学生が7階ビルから転落する直前に、若い女性と行動を共にしていたことが分かったのです。さらにその女性は、大学生と会う前に別の2人の若い男性と行動を共にしていた形跡も残されていました。
美人局を使った犯行か 女子中学生らの異常な行動
このような若い女性と男性らの不審な動きから、大阪府警は「いわゆる美人局だった可能性もある」と捉えて、経緯を詳しく調査しているということです。
美人局とは、女性が男性と密通するふりをして金品をゆすり取る犯罪手口のことです。女性が男性を誘い出し、それとなく男性と密通している様子を別の男性に見せかけ、「援助して欲しい」などと言ってカネを要求する卑劣な手口です。美人局の具体的な手口次第では、強盗罪や恐喝罪、詐欺罪といった重い罪に問われる可能性があります。
また、同じ中学校に通う当時13歳の男子中学生が、この事件に関与していた疑いで児童相談所に通告されていたことが分かりました。この男子中学生は任意の事情聴取に対し、「SNSで被害者を呼び出した。金を取る話をしていた」と供述していたそうです。中学生らがグループで大人の男性を狙った可能性がある、異常な事件の様相が見え隠れします。
低年齢化が進む深刻な少年犯罪の現状
本件は、近年の少年犯罪の低年齢化の深刻さを改めて示す事例と言えるでしょう。最近は経済的にも精神的にも大人びた児童・生徒が増え、かつてなかったような重大事件に走る例が後を絶ちません。
実際に、2023年6月にも小学生が100万円近い詐欺の被害に遭うなど、未成年者の犯罪や被害は深刻な問題となっています。特殊詐欺などの知能犯的な面でも、大人顔負けの子供が増えていると指摘される状況です。
一方で、近年の子供の身体的成長も目覚ましく、12〜13歳児でも場合によっては成人女性を上回る腕力を持つケースもあると言われています。こうした精神的にも肉体的にも大人びた子供たちが、SNSなどを経由して犯罪に手を染めてしまう危険性は無視できません。
重大事件での少年法適用に是正を 厳罰化を求める声
本件の大阪の強盗致死事件では、中学生らの重大な罪に対する厳罰化を求める声が上がっています。
強盗致死罪は死刑または無期懲役に処される、極めて重い罪です。しかし、本件の中学生らに少年法が適用されれば、年齢を勘案して大幅に減刑される可能性があります。14歳以上の少年の場合は刑事責任を問うことができますが、保護処分(更生のための処分)とされる場合もあり得るのです。
そのため、今回のような重大事件での少年法適用は見直すべきではないか、との意見が多数を占めています。「もう少年法は一桁年齢までで良いのでは」という極端な意見もあれば、「重大な罪の場合は少年法を一切適用しない」という意見も出ています。
若年の頃から罪の意識が希薄になり、「何をしても逃げ切れる」という経験を積んでしまっては、将来の更生も望めません。重大な事件であれば、未成年者に対しても厳しい処罰を科すことで、犯罪からの抑止力を働かせる必要があると訴える声が高まっているのです。
まとめ
大阪での強盗致死事件は、SNSでつながった中学生と大学生の間で起きた痛ましい出来事でした。金品目的に大学生を誘い出し、逃げられた際に転落死させてしまった疑いが持たれています。
中学生らの異常な行動から、美人局を使った犯行だった可能性も完全には否定できません。若年層の犯罪が深刻化している現状を改めて示す事例と言えるでしょう。
こうした重大な少年犯罪に対しては、今後の抑止力にもなるよう、少年法の適用を見直し、罪質に見合った厳しい処罰を求める意見が高まっています。未成年者でも重大犯罪には重い罰則を設け、初犯から更生への望みを持たせる、そんな法整備が必要とされています。
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