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テレビ番組・情報

【クローズアップ現代】クマ被害の実態「過去最多レベルの恐怖」問題個体と対策

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2025年9月22日に放送されたNHK「クローズアップ現代」では、私たちの想像を超える深刻なクマ被害の実態が明らかになりました。家の中にまで侵入し、人の命を奪うクマ。その背景には、人と野生動物の関係が根本的に変化している現実があります。専門家による独自調査とともに、私たちが知るべき衝撃的な事実と対策を詳しく解説していきます。

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クローズアップ現代で明かされたクマ被害の深刻な実態

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2025年4月から9月22日までに全国で89人がクマに襲われ、そのうち5人が命を落としました 。この数字は、番組放送時点での最新データであり、過去最多を記録した2023年(219人被害、6人死亡)とほぼ同じペースで被害が拡大していることを示しています。

特に注目すべきは、被害者の半数が市街地など人の生活圏で襲われているという事実です。これまでクマ被害というと「山に入った人が遭遇する事故」というイメージがありましたが、もはやその認識は完全に覆されています。ゴミ出しや日常の散歩中に襲われるケースが急増しており、私たちの日常生活そのものが脅威にさらされている状況です。

さらに深刻なのは、今年もブナの実の大凶作が予測されていることです。2023年も同様にブナの実不作が秋の被害急増につながりました。専門家は「この秋にさらなるピークが訪れる可能性が高い」と警告しており、年末にかけて一層の警戒が必要な状況となっています。

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問題個体はなぜ生まれる?専門家大西尚樹氏が解説する根本原因

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森林総合研究所の大西尚樹氏                      (引用:「となりのカインズさん」より)

森林総合研究所の大西尚樹氏は、問題個体が生まれる根本原因について「端的に言うと、クマの数が増えすぎた。これに尽きる」と明確に指摘しています。この言葉の背景には、日本のクマ保護政策の皮肉な成功があります。

1970年頃、クマは絶滅の危機に瀕していました。そこで積極的な保護政策が取られ、その結果クマの個体数は劇的に回復しました。しかし、この保護が「うまくいきすぎた」ことが現在の問題の根源となっています。秋田県だけでも2023年に2000頭が駆除されたにも関わらず、翌年も大量出没が続いていることが、個体数の増加を物語っています。

以前は奥山にのみ生息していたクマが、個体数増加により生息域を拡大せざるを得なくなりました。奥山→中山間地域→市街地周辺という段階的な分布拡大により、現在では市街地との境界線まで生息域が広がっています。

この状況に拍車をかけているのが過疎化・高齢化の進行です。人里でも管理されなくなった柿の木や空き家の増加により、クマが侵入しやすい環境が整ってしまっています。ただし、市街地に出現するクマがすべて問題個体になるわけではありません。多くの場合、クマは人間に気づかれることなく山に帰っていきます。問題となるのは、人間の食べ物の味を覚え、住宅地の環境に慣れてしまった一部の個体なのです。

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身を守るための方法|クマ撃退スプレーと正しい対処法

クマから身を守るためには、段階的な対策が重要です。大西氏は「出会わないことが一番大事」と強調しています。

出会わないための予防策では、音による存在アピールが最も効果的です。クマは人間より聴覚が優れているため、クマ鈴、ラジオ、会話などで先に気づいてもらうことが重要です。番組では実際のクマ鈴も紹介され、一部で「クマを寄せ付ける」という誤解についても言及されました。大西氏は「人間の食べ物の味を覚えた個体もいるが、全国数万頭のうちせいぜい2〜3頭程度。その確率のために安くて簡単なクマ鈴を使わない手はない」と明確に否定しています。

遭遇してしまった場合は、パニックにならないことが最重要です。クマも人間に会いたくないため、お互いが怖がっている状態です。こちらがパニックになるとクマもパニックになってしまうため、落ち着いて目を見ながらゆっくり後ずさりすることが大切です。絶対に後ろを向いて走って逃げてはいけません。

襲われそうになった時の最終手段として、クマ撃退スプレーが非常に有効です。番組で紹介されたスプレーの条件は、カプサイシン濃度が1.6〜2.0%で、米国環境保護庁(EPA)の認証を受けているものです。大西氏は「鼻や目にかかれば、まずクマは逃げていく」と効果を保証しています。

それでも攻撃を受けてしまった場合は、うつぶせになって首を守る防御姿勢が重要です。クマは頭や顔、腹部を狙ってくるため、首を手で覆い、足を開いて転がされないよう踏ん張ることが生存の鍵となります。

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緊急銃猟制度の導入|猟友会の課題と新たな選択肢

2025年9月から新たに導入された「緊急銃猟制度」は、クマ対策における画期的な変化です。これまで市街地での発砲には警察の命令が必要でしたが、新制度では市町村の判断でも発砲が可能になりました。

しかし、発砲には4つの厳格な条件があります:①銃以外での捕獲が困難、②人に弾丸到達の恐れがない、③人の生活圏に侵入またはその恐れ、④緊急性がある—これらすべてを満たす場合に限られます。

実際の運用では多くの課題が明らかになっています。北海道名寄市猟友会の西尾是人氏の証言によると、8年前に市内駅周辺でクマが出没した際、住宅密集地での発砲は「完全に地面に着弾させるのは非常に難しく、住宅被害は確実に出る」として発砲を断念した経験があります。クマ用銃弾の最大射程は約4キロメートルにも達するため、市街地での使用には極めて高度な安全対策が求められます。

2025年9月20日、山形県鶴岡市で実際に緊急銃猟制度が適用されそうになった事例では、準備中にクマが人に向かってきたため、結局現場の警察判断で発砲されました。この事例は、制度の運用にはさらなる訓練と連携体制の構築が必要であることを示しています。

大西氏は「住民の安全が一番。追い払い、捕獲、麻酔銃に加えて銃猟というオプションが増えたのは現場にとって心強い」と評価する一方、「行政、警察、捕獲者の連携を密にして訓練や情報を重ねることで効果的に使えるようになる」と今後の課題を指摘しています。

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山崎晃司教授の独自調査で判明したクマの行動変化

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東京農業大学の山崎晃司教授                    (引用:「東京農業大学」HPより)

東京農業大学の山崎晃司教授によるGPS追跡調査は、クマの行動変化を科学的に解明する画期的な研究です。秋田県北部の市街地近くで捕獲したクマにGPSつき首輪を装着し、時間ごとの位置情報を分析した結果、驚くべき事実が判明しました。

「春から夏にかけて山と集落周辺を両方使っていたクマが、夏になると集落周辺への依存度が高くなる」という明確な行動パターンが確認されました。さらに同じクマの去年と今年の7月の行動を比較すると、今年はより市街地に近づいていることも明らかになりました。

調査で特に注目されたのは、クマが繰り返し訪れる場所に設置した自動撮影カメラの映像です。そこには放置されたスモモ、梨、栗などの果樹があり、深夜0時過ぎから様々なクマが集まって食事をする「ワンダーランド」状態が記録されました。子グマを連れた親子の姿も確認されており、複数世代にわたって人里の食べ物への依存が進んでいることが判明しています。

山崎教授は「美味しくて栄養があって、短時間に効率よく食べられるものがあるのがクマにとって一番いい。言ってみればクマにとってのワンダーランド」と表現しています。このような環境で学習を重ねたクマは「だんだん行動が大胆になり、家の中に入ってみよう、倉庫に入ってみようと行動がエスカレートする」のです。

この研究結果は、単なる個体数増加だけでなく、クマの行動そのものが人間社会に適応する方向に変化していることを科学的に証明した重要な知見といえます。

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中永士師明医師が語る被害の深刻さと治療現場の実情

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秋田大学医学部附属病院の中永士師明医師              (なかえはじめ)                       (引用:「秋田大学医学部附属病院」HPより)

秋田大学医学部附属病院の中永士師明医師は、これまでおよそ100人ものクマ被害患者を治療してきた現場のスペシャリストです。中永医師の証言は、クマ被害の深刻さを医学的観点から浮き彫りにしています。

「顔が完全に取れてしまうような状態」「両目失明」など、クマによる外傷は想像を絶する深刻さです。番組で紹介された69歳男性患者は、日課のランニング中に襲われ、約4時間の手術で25か所を縫合する重傷を負いました。声も出せない状態となり、クマ被害がいかに人生を一変させる深刻な事故であるかを物語っています。

中永医師が特に危機感を抱いているのは、被害の質的変化です。「今年特に目立つのがゴミ出しなど日常生活の中で襲われるケース」であり、「ゴミ出しぐらい行きますよね、畑仕事もするし。そんな当たり前の日常で襲われるのが大変」と現状への懸念を表明しています。

「こんなところにクマが」という従来の常識が通用しなくなった現在、医療現場では過去に例のない状況への対応を迫られています。中永医師の証言は、クマ被害が個人の不注意や偶然の事故ではなく、社会全体で取り組むべき深刻な問題であることを医学的見地から裏付けています。

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まとめ

2025年のクマ被害は過去最多レベルとなり、もはや山間部だけの問題ではなくなりました。大西尚樹氏が指摘するように、根本的な原因はクマの個体数増加と分布拡大にあり、保護政策の成功が皮肉にも新たな課題を生み出しています。

緊急銃猟制度の導入は新たな選択肢を提供する一方、安全な運用には課題が残されています。山崎晃司教授の研究が明らかにしたクマの行動変化は、従来の対策では対応しきれない新しい現実を示しています。中永士師明医師の治療現場からの証言は、被害の深刻さと日常生活への脅威を医学的に裏付けています。

私たちにできることは、まず正しい知識を持つことです。クマ鈴による音のアピール、ゴミの適切な管理、放置果樹の除去など、個人レベルでできる対策を確実に実行することが重要です。そして万が一の遭遇時には、パニックにならず冷静に対応し、クマ撃退スプレーなどの護身用具を適切に使用する準備も必要でしょう。

しかし個人の努力だけでは限界があります。大西氏が提言するように、専門職員の配置や全国レベルでの対策強化、そして「災害レベル」としての認識共有が不可欠です。人とクマの真の共存を実現するためには、一時的な個体数削減による奥山への押し戻しと、長期的な管理体制の構築が求められています。

2025年秋以降もクマ被害の増加が予想される中、この問題は私たち全員が関心を持ち続けるべき重要な社会課題となっています。

※ 本記事は、2025年9月22日に放送されたNHK「クローズアップ現代」を参照しています。

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