2026年3月8日放送の「がっちりマンデー!!」に、USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の村山卓社長が登場しました。「USJって最近すごく混んでるけど、なぜそんなに人気なの?」「チケットが多すぎてよくわからない…」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この記事では、番組で明かされたUSJが来園者数日本一を達成した秘密の戦略を、ティーンチーム、チケット戦略、パーク・コンシェルジュの研修まで詳しくお伝えします。読み終わる頃には、USJの強さの本質がきっと見えてくるはずです。
USJが来園者数1600万人で日本一になれた理由とは
USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)は、2024年の年間来園者数が約1600万人を記録し、東京ディズニーランドの約1510万人、東京ディズニーシーの約1244万人を上回って、日本で最もお客さんが来るテーマパークとなりました。米テーマエンターテインメント協会(TEA)のデータでも世界第3位にランクインしており、これは3年連続という快挙です。
番組に出演した村山卓社長(54歳)は、その転換期について「大きく変わったのは、やはりハリー・ポッターの導入(2014年)あたりから」と語っています。加えて、「できるだけゲスト、またはマーケットの理解をしようと。客観的なデータを見ながら繰り返しやっていく」という姿勢が、USJを躍進させた根幹にあると明かしました。
筆者が注目したいのは、この「データを見ながら繰り返す」という部分です。テーマパークというと華やかなアトラクションや演出にばかり目がいきがちですが、USJの強さの本質は、お客さんのことを徹底的に分析し、そこから逆算して施策を打つという「マーケティング主導型」の経営にあるのではないでしょうか。番組を通して紹介された個々の戦略も、すべてこの哲学がベースになっていると感じました。
映画からアニメ・ゲームへ!USJを変えた大転換戦略
かつてのUSJは、ジョーズやジュラシック・パークといった映画を中心としたコンテンツがメインのテーマパークでした。しかし現在は、任天堂のマリオの世界を再現した「スーパー・ニンテンドー・ワールド」や、呪術廻戦をはじめとするアニメコンテンツが大幅に導入されています。
この「映画の専門店」から「エンターテインメントのセレクトショップ」への大転換が、USJの来場客数V字回復の大きなきっかけでした。番組内で来園者の方が「いかなる世界観も楽しめるので、非日常みたいな感じ」「なんでもありか、みたいな。全然楽しんでオッケー」と話していたのが、まさにその効果を物語っています。
さらにアトラクション設計にも特徴があります。たとえば、スーパー・ニンテンドー・ワールド内のハテナブロックは、叩くとコインの音が鳴る。光ったら叩く。言葉で説明しなくても、感覚的に遊べるように設計されているのです。これにより、世界中の誰もが言語の壁なく楽しめる仕組みになっています。
この戦略の先見性は、いまやUSJのノウハウが海外にも「輸出」されているという事実からも明らかです。村山社長によると、昨年(2025年)にはハリウッドのパークで呪術廻戦などのイベントが展開され、ショーは日本語のフレーズのまま流れていたとのこと。そしてそのショーの最後は「USJ、USJ」で締めくくられていたというのですから、日本発のコンテンツ力がグローバルに通用している証拠と言えるでしょう。
1年5シーズン制!USJのイベント戦略の秘密
USJが他のテーマパークと大きく異なるのが、期間限定イベントを次々と開催している点です。番組でUSJブランド・マーケティング部の廣畑直子さんは、「毎回来ていただくたびに、違う体験、違う刺激を受け取っていただける」と説明していました。
一般的なテーマパークではアトラクションが中心ですが、USJはイベントも非常に重視しています。新しいイベントをどんどん打ち出すことで、「来るたびに何かある」というイメージが定着し、リピーターのお客さんが増え、来場客数日本一の大きな原動力になったのです。
USJでは季節ごとにイベント担当チームが分かれており、春チーム、夏チーム、秋チーム、冬チームがそれぞれの時期のイベントを企画しています。春は春休みのジュラシック・パーク関連、夏は水かけフェスティバル「ノーリミット・クールサマー」、秋は「ハロウィーン・ホラー・ナイト」、冬はクリスマスイベント、といった具合です。
しかし、春夏秋冬の4シーズンだとクリスマスと春休みの間にイベントの空白期間ができてしまう。そこでUSJが考え出したのが、この空白を埋める「クールジャパン」シーズンでした。日本のアニメやゲームとコラボしたUSJオリジナルイベントを展開する独自のシーズンを加え、1年を5シーズンにしたのです。これによって、1年間がイベントでぎっしりに。筆者としては、この「隙間を作らない」という発想こそ、USJのマーケティング力の真骨頂だと感じます。
番組ではまた、2026年の25周年パレードの走行テストの様子も放送されました。深夜11時に行われていたテストに関わる人数はなんと約1万5000人。周年チームの滝沢友理さんは、25周年テーマ「ディスカバー・ユー」のイメージを全員で共有するのに苦労したと語り、ビデオや分厚い資料を作って各部署を約2年かけて回り、世界観のイメージを統一したそうです。こうした地道な裏側の努力があってこそ、来園者に一貫した感動体験が届けられるのだと痛感させられます。
若者が押し寄せる仕掛け人「ティーンチーム」とは
現在のUSJのパーク内を歩くと、とにかく若い来園者が多いことに気づきます。その仕掛け人として番組で紹介されたのが、ティーンチームです。チームリーダーの佐藤哲哉さんが率いるこのチームは、10代の若者をUSJに呼ぶことだけを追求している専門チームです。
ティーンチームの主な仕事は、パーク内にいるティーンの行動を細かく分析すること。実は多くのティーンが、USJに写真や動画を撮りに来ているのです。番組内でも来園者の女性が「写真撮るためだけに来る」「TikTok撮ってました」と話していたのが印象的でした。そのため、「映えスポット」を生むことがティーン獲得にとって非常に大切な要素なのです。
具体的な分析としては、たとえば「なぜニューヨークエリアが自撮りスポットとして人気なのか」という疑問に対して、ティーンチームは「ビルの色合いにコーデを合わせたら可愛い。直線的なビルの背景に対して、ふわふわのAラインのコーデが映える」と分析。つまり、服装と背景のコントラストが若者に受けているということです。
ただし、ここで非常に大事なポイントがあります。佐藤リーダーが語った「映えスポットは作れない」という哲学です。公式に「ここが映えスポットです」と打ち出すと、それは広告っぽくなってしまい、「そこに乗ってる自分たちがダサい」と思われてしまう。だから「見つけてもらう工夫をする」ことが大事なのだと。
筆者はこの考え方に感銘を受けました。昔のテーマパークは「こうやって遊んでください」とお客さんに楽しみ方を教えるスタイルが主流でしたが、今の若者は「自分で楽しいところを見つけて、自分の楽しみを作り出す」世代なのです。村山社長もスタジオでこの変化を認め、だからこそイベントが必要だと語っています。お客さんの遊び方が変わったことに合わせて、テーマパークのあり方も変えていく。この柔軟さこそがUSJの強みでしょう。
約40種類のチケット戦略とエクスプレス・パスの仕組み
USJには、実はチケット売り場がありません。すべてオンラインで事前購入し、スマホのQRコードをゲートにかざして入場する仕組みです。村山社長も「完全にゼロ」と断言していました。これは入場をスムーズにするためですが、実はもうひとつ大きな狙いがあります。
USJのチケット戦略のキーマンとして番組で紹介された伊藤英夫さん(ストラテジー&ビジネス・ディベロップメント部)によると、USJではなんと約40種類ものチケットを販売しているそうです。大人8900円の1日券のほかに、1.5デイチケット(1日半と翌日1日楽しめる)、午後3時から楽しめるトワイライト・チケットなど、バリエーションが非常に豊富です。
さらに、同じチケットでも入場日によって5段階に値段が変わるダイナミックプライシングを採用しています。混雑する日は価格を上げることで、来園者の分散を図っているのです。
これだけ細かくチケットを設計できる理由が、デジタルチケットにあります。「どのお客様が、どなたと、どの地域から、どんなアトラクションやエリアを目的に来ているのか」を徹底分析。1.5デイチケットが売れる日と2デイチケットが売れる日の違い、どの県から来た人がどのアトラクションを好むか、といったことまで分析しているそうです。伊藤さんいわく「データの種類は無限にある」とのこと。
そしてUSJがいち早く導入したのが、9800円から買える19種類のエクスプレス・パスです。追加料金で人気アトラクションの待ち時間を短縮できるこのパスは大人気で、人気のものは2ヶ月前の販売直後に完売することもあるそうです。
さらに最上位として、19万8000円からの「VIPエクスペリエンス」というツアーも用意されています。1組に1人の専属ガイドがつき、希望に沿ったオンリーワンのツアーを提供。ほぼ待ち時間なしで、1日でほぼ全てのアトラクションに乗れたり、ドンキーコングのクレイジー・トロッコに30回乗ったお客さんもいたりするそうです。このVIPツアーは特に海外、とりわけオーストラリアからの観光客に評判が高く、インバウンド需要の取り込みにも一役買っています。
筆者が注目したのは、チケット戦略全体を通して見える「お客さんの多様なニーズに応える」という思想です。時間がない人にはエクスプレス・パス、一生の思い出にしたい人にはVIP、予算を抑えたい人にはトワイライト。村山社長も番組で「レストランをとにかく回りたいお客さん向けのツアーもあっていいかもしれない」と語っており、今後さらにチケットの種類が増えていく可能性がありそうです。
クルー1%の精鋭「パーク・コンシェルジュ」の研修がすごい
USJを支える約1万2000人のアルバイトクルーの中で、わずか1%しかなれない存在が「パーク・コンシェルジュ」です。赤いジャケットが目印のこの精鋭チームは、毎年テストと面接を受けて選ばれるという狭き門です。
番組で注目されたのは、コンシェルジュ歴20年のベテラン・大西美和子さん。彼女の仕事はとにかくお客さんへの声かけです。30分間でなんと35組のお客さんに声をかけ、7時間で500人近くに接するという驚異的なペースです。次のお客さんへの声かけは、今のお客さんを見送った時点でもう決まっているそうです。
USJの廊下には「Crew is the Number 1 Attraction(クルーこそがナンバー1アトラクション)」という言葉が掲げられています。パーク・コンシェルジュのハイテンションな接客は、お客さんのテンションを「もう一段」上げるためのもの。そしてこの「もう一段」を実現するために、独自の研修が行われています。
まず「もっともっとトレーニング」。これは「もっと!」の掛け声を何段階ものテンションで繰り返すことで、お客さんに合わせた「ちょうど一段上」のテンションを体得する練習です。お客さんによっては静かな方もいれば、すでにテンションが高い方もいます。どんなお客さんに対しても、相手より少しだけ上のテンションで接することで、気持ちをさらに高めていくのが狙いです。
もうひとつが「瞬発トレーニング」。お客さんの写真を見て、瞬時にその人の状況や気持ちを読み取り、ワクワクするような声かけをする練習です。番組ではコンシェルジュ1年目の上田初奈さんが挑戦し、最初は明るく声をかけたものの「もっとよくなる」とアドバイスが。お客さんの「誕生日シール」を見落としていたのです。シールに気づいてお祝いの言葉を加えた2回目は、格段に良い接客になっていました。
ベテランの大西さんや古賀みずほさんの接客は、さらにレベルが違いました。小さなお子さんが跳ねているならそのテンションに合わせた高い声で、休憩中のお客さんには落ち着いたトーンで共感しながら声をかける。相手の状況に合わせて声のトーンを変えるという、繊細な技術が身についているのです。
筆者は、この研修こそがUSJが「テーマパーク」ではなく「感動体験の場」になっている理由だと感じました。どんなに優れたアトラクションがあっても、最後にお客さんの心を動かすのは「人」なのです。クルーの教育にここまで投資するUSJの姿勢は、他の業界にも通じるヒントがあるのではないでしょうか。
村山卓社長が語るUSJの今後の展望
村山卓社長は、2000年にUSJに入社し、開業前の準備段階から携わってきた生え抜きの人物です。2025年6月に社長に就任し、USJ史上初の生え抜き社長として、また21年ぶりの日本人社長として注目されています。パーク運営、人事、マーケティングと幅広い部門を経験してきた村山社長だからこそ、現場の隅々まで理解した経営が期待されています。
番組の最後で村山社長は、USJの今後について「本当にみんな自由闘達に議論しながら、新しいことに挑戦していく会社。この風土をこれからも続けてやっていきたい」と語りました。
2026年3月31日でUSJは開業25周年を迎え、「Discover U!!!(ディスカバー・ユー)」をテーマにした1年間の周年イベントが2026年3月4日からスタートしています。25周年パレードやVaundyによるテーマソングの書き下ろしなど、これからの1年も盛り上がりは必至です。
日本のアニメ・ゲームコンテンツとのコラボを武器に、海外にもノウハウを輸出し始めたUSJ。ハリウッドのパークでのイベントが「USJ、USJ」の掛け声で終わるという話は、日本発のエンターテインメントがグローバルで勝負できることを示しています。村山社長の下で、USJがどこまで成長を続けるのか、非常に楽しみです。
まとめ
2026年3月8日放送の「がっちりマンデー!!」では、来園者数日本一のUSJの秘密戦略が惜しみなく紹介されました。
今回明らかになったポイントを振り返ると、映画からアニメ・ゲームへのコンテンツ転換、1年5シーズンの隙間を作らないイベント戦略、若者の行動を分析するティーンチームの存在、約40種類に及ぶきめ細かなチケット戦略、そしてクルー1%の精鋭パーク・コンシェルジュによるワクワクドキドキの接客。これらすべてに共通しているのは、「お客さんのことを徹底的に理解し、そこから逆算する」という姿勢です。
生え抜き社長の村山卓氏のもと、開業25周年を迎えたUSJは、日本のテーマパーク業界の枠を超え、世界に挑む存在へと進化し続けています。次にUSJを訪れた際には、アトラクションだけでなく、パーク・コンシェルジュの声かけや映えスポットの仕掛けにも、ぜひ注目してみてください。きっとこれまで以上にUSJが楽しくなるはずです。
※ 本記事は、2026年3月8日放送(TBS系)の人気番組「がっちりマンデー!!」を参照しています。
※ USJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の公式サイトはこちら。







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